概要
「外は、危険なんですよ。害虫がいっぱいいるから」
訳のわからないまま、天才医学者の妹に監禁された透は、常軌を逸する感覚遮断と長期におよぶ拘束によって、廃人のようになっていた。
なぜ、こんなことをされないといけないのか。
妹と自分の運命を呪い、悲嘆にくれる透。だが、妹の妊娠というさらなる絶望的な事実が発覚してしまう。
発狂する透の前に、彼が大好きなヒーロー、ブラックナイトの幻影が現れ――。
ヤンデレ妹の策略に恐怖する、ホラー&ダークファンタジー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!気が付いたら虜になる歪んだ愛と狂気の世界
これほど取り込まれた物語はどれほどあるだろうか……
気が付いたら時間を忘れて取りつかれたように読み終えていた。
まさに歪んだ愛と狂気の世界
ヤンデレという簡単な言葉では表せない、もはや芸術の領域とも思える。
戦闘シーンはすさまじいの一言。
グロテスクなはずなのに鮮明に描かれてなぜか「美しく」感じてしまうほど、これは本当にすごすぎる。
時間を忘れ読み進めていくごとにどんどん底なし沼のように狂気と嫉妬の世界へ引きずり込まれていく。
この物語の最後に待ち受ける結末がなんなのか、全く想像すらできない。
さあ、あなたも一緒にこの世界の結末を見届けに行きませんか? - ★★★ Excellent!!!異色の作品。だからこそ価値がある。
これほど唖然とした作品はなかったかもしれません。
はじめこそヤンデレ妹の狂気に巻き込まれた不運な男の監禁生活がずっと描かれると思っていました。そして男がいかにその狂気から逃れ、自由を手に入れるのかというある種のサバイバルストーリーだと思っていました。
でも、そんなもんじゃありませんでした。我々の想像を遥かに凌駕する驚愕の作品です。
ネタバレになると悪いので詳しくは語れませんが、ホラーやスプラッター的な作品がお好きな方は絶対に読んでおくべき作品だと思います。好みが分かれるかもしれませんが、自分は大好きなタイプでした。
ハマる人はとことんハマると思います。まずは怖いもの見たさで読んでみてく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ようこそ狂気で歪んだ悪夢の中へ…まあ、夢じゃないんですけど
――それではSAN値チェックのお時間です。ダイスを振ってください――
胸糞耐性のない人は、焼き付く壮絶な情景描写に悶え苦しみ、そうでなくとも、言葉および語彙力を失うことになるだろう。
まず一読した者は、必ずと言っていいほどその躍動感に目を奪われる。速度? 勢い? いいや、「緩急」がこれまでかと効果的に表現されている。ゆったりとした動き一つとっても、それが「蠢く」ものなかのか「這いよる」ものなのかを、視覚、聴覚、嗅覚、触覚に訴えかけて、リアルな質感まで描く出される。
いわんや、戦闘シーンだ。サバイバルホラーとあるだけあって、凄まじいの一言。グロテスクなはずなのに、その鮮明な描写には恐ろし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶望に続く絶望の中、ヒーローは狂女(妹)に打ち勝つことができるのか??
『ベルセルク』の魅力を知る方なら、残虐性と「美」が両立することを知っているのではないでしょうか。
本作では、映像作品のような鮮やかな残虐性が芸術として昇華されています。
青春のきらめきに心ときめかせたかと思えば、迫力満点の戦闘シーンに息を呑む。そんな目まぐるしい変化に、文字を読んでいることも忘れて感情を揺さぶられます。
特筆すべきは、ヒロイズムの欺瞞に深く切り込んでいる点です。本作の主人公・透は熱い性格で、強気をくじき弱きを助く、典型的なヒーロー体質の高校生です。彼の心の闇に焦点を当てることで、この作品は単純な戦闘ものとは一線を画した文学性を確固たるものとしています。
大変読みやすい…続きを読む