このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(198文字)
ほんとうに文章が美しいのです。描写が素敵で、うっとりしてしまいます。感情を抑えた筆致、衣擦れがするような世界に、ほうと溜め息が出ます。多くを語らない削ぎ落した文章だからこそ、胸に迫るものがあり、そして、最後まで読むと、もう一度読みたくなります。紙の本ならば、ぱらぱらとページを戻って好きな箇所を読み、そして続きをまた読み進めるのです。午後のゆったりとした時間にひとりで、お気に入りの紅茶を淹れて世界に浸りたい。そんな読み方をしたい作品でした。