先天的にメラニン色素が欠乏している状態で生まれた者の皮膚は透きとおるように白くて光に弱い。
しかし、大切な人を守ろうとする心は強い。
「かがやき」をイメージさせる「燦」という名前でありながら、「かがやき」を避けている少年が居た。
彼が守ろうとするのは、受動的で何処か御人形を思わせる少女「天花(てんげ)」
西行の和歌を口ずさみ、暗闇と死を恐れる少女。
何も知らないことが幸せならば、間違いなく幸せな少女だ。
その「当たり前の幸せ」に嫉妬する者も居る。
嫉妬の心が殺意に変わることもある。
人の心の遣り切れなさが、いにしえの和の舞台に殺戮の花びらを散らす。
天花を巡り、様々な想い人の心が錯綜する世界に、どんな花が咲うのか、期待が高まる物語です。