「金槌」を含む小説

　あやかしと呼ばれる存在がいるらしい。もちろん、その話を聞いて、信じる人がいて、嘘だと思う人がいて、まったく興味を持たない人もいる。受け取り方は人それぞれであり、相手によっては、…

　兄が、最近魂を失ったみたいだ。 　私の胸中は、口数は少なくとも熱い男だった兄の、げっそりと豹変した姿への不安が大多数を占めていた。よりによって受験前に……。 「ねえ、彩華の方は…

終業直前に突如異世界に飛ばされた僕、三千院侘助は【鍛冶一如】というユニークスキルを手にした。 それは熱した鉄を金槌の一打でイメージする完成形へと成形する鍛冶特化スキルだった。 ち…

　ある次郎の想い出、昭和の事である。 　正月三日がすぎたころ、円空のように仏像を彫ってみたいと父に話した。 　うちの仏壇に、奈良の大仏を高さ十センチくらいに縮めたような、銅の…

憎い上司を呪いたい。そう思い立った主人公は藁人形と金槌を持ち、近所の神社に向かうのだが・・・。 丑の刻参りを現代風にアレンジした全く怖くない話。

ハンマーへの対処を迫られる世界。 生まれ落ち、わずかな猶予を経て行われる定例行事のことを徒然。

『ヘドロ王物語』という摩訶不思議な本があった。 　児童向けのファンタジーだったが、舞台となるのは東京湾に実在する人工浮島、通称『ヘドロ島』だった。 　ヘドロ島は三十五年前に建造…

普通じゃない人々

　まだ魔物が跋扈する混沌とした時代、突如現れた十二人の剣を携えた女性によって魔物の創造主である魔神が討たれ、世界に平和が訪れた。 　人々はその十二人の剣士を英雄と崇め、尊敬の念…

真夜中の二時に、神社へと向かう白い着物姿の女性を見た。頭には鉄輪と三本の蝋燭、手には藁人形と金槌。丑の刻参りは、誰かに見られると呪詛が返ってくるから、見た人を殺すのだという――。…

S県立斎賀東高校２年Ａ組に在籍する女子高生である遠山キナコは、それはもう、ごくごく普通の女子高生であった。 鬱屈した彼女は、ふとしたきっかけで自らの夢――「殺し屋」になるために奮…

　快活な笑みだった

ここは魔法とモンスターが出てくる世界にある、パラディース王国。 そこに住む青年、リヒター・ウェインは魔法が使えて当たり前なのに、何故か魔法が使えない。 その事から周りから「能無し…

今日も今日とて、『夢見の魔女』は夢に見る。大嫌いな男が、おかしな死因で死ぬ様を。 走ってくる犬のリードに首が引っ掛かり、丑の刻参りの金槌が飛来し、果ては豆腐の角に頭をぶつける──…

　オッス！　俺、異世界転生して勇者として担ぎ上げられた一般人、真虎（シンゴ）！ 　こっちは聖剣の妖精ことエクス！　見た目は普通の幼女だけど、その正体は勇者だけが振るえる聖剣エクス…

　「人外病」――それは人の体をヒト以外のモノに変質させる奇病。 　その「爬虫類型」に冒された豊依清花の肌は鱗に覆われていた。 　周囲の奇異の視線に晒され、心を閉ざし、引き籠ってい…

震災と大阪。遠い遠い距離。近い近い共感。冷静になることに熱意が止まらない。熱意が止まらない者に対して冷ややかな目がやめられない。何の感情も持ってはいけない気がする。深く、純粋な感…