美人な精霊達が僕と契約したら、嫌な奴ら全員粛清してくれました。(試作版)

ゆにすた

第1章:2年の2学期は精霊と出会う

第1話:能無しリヒターはいじめられっ子

「はぁ…幼馴染が屑だとホント苦労するわ…」


僕が重い彼女の荷物を持たされているなか、赤髪のショートヘアでルックスは良いけど、気が強い女は僕にそう言った。

こいつの名前は、ウォルス・ハービィー、僕の幼馴染だ…

いつも強引で、僕の事情なんてこれっぽっちも考えてくれない、自己中心的な人だ。

選べるならこんな奴と一緒に居たくない位だ…

でも…僕の父さんの所属するカンパニーの上司が彼女の父親で…彼女の機嫌を損ねると、父さんにシワ寄せが行ってしまうから、僕は彼女の犬として生まれて17年ずっと耐えている。


「あんたね、良い加減魔法使える様になりなさいよ!恥ずかしい思いをするのは私なのよ!これだから落ちこぼれは…」


そう、僕は魔法が使えない。

理由は分からないけど、僕は生まれつき魔法が使えないのだ。

この世界では6つの魔法属性がある。

『火、水、木、土、光、闇』

希少と言われているのは光と闇だ

光は、人を癒す力に特化していて、使える人をセイントと言われる。

闇は、人を壊す事に特化している、使える人をダークナイトと言われる。

この二つの属性はもうここ100年出ていないそうだ。

もし僕にそんな力が有れば…なんて思うけど、そんな事は起こり得ない、だって、僕は…


「ちょっと!聞いてるの!リヒター!」


あ、僕の名前はリヒター・ウェイン、「能無しリヒター」って呼ばれてる。

17歳で魔術が使えないし…これと言って強みが無いから「能無しリヒター」と言う嫌なあだ名が付いてしまった。


「はい…何でしょうか…」

「私喉乾いたから、川で水を汲んできて!今すぐ!」

「畏まりました…」


そう言って僕は布を地面に置き、彼女に持たされた荷物を置く。

こうしないと「汚れる!」と言って風魔法で切られるからだ。

それに昨日の雨で地面がぬかるんでいるし…


「早くしなさいよ、能無し!」


彼女は水袋を僕に投げつけ、急かした。

僕は道中にある森を抜けて川へ走って水を汲みに行った。

川へ着くと、いつもより川は高く、流れも速い。

僕は慎重に水を汲もうと屈むと…


ドボーン


誰かから後ろから蹴られて、僕は川へ頭から落ちてしまったのだ。

何とか頭を水中から出すと、大声で笑う制服を着た男達が居た…

レナード・ベインとその取り巻きだ。

この男は、それなりに名が通た貴族の人間でウォルスが好きなのだが、振り向いてもらえない、その理由が僕に在ると思い込み、いつも意地悪をしてくる奴だ。


「ははは!能無し、俺が近づいた事すら気付かねぇなんてやっぱ馬鹿だな!」


そんな事を言われたが、僕はそんな事を気にする余裕は無かった。

僕は…泳げないんだ…

不幸な事に増水した事で、僕の足が付かず流される一方だ…

僕は必死に藻掻《もが》くが、何も変わらない、水死する事が頭に過った。


「能無しは学生に蹴られて水死か…ごめん、父さん、母さん…」


そう思い藻掻く事を止め、ただ深い川へと落ちて行った…


目を覚ますと、暗い空間に焚火がある場所だった。

立ち上がろうとすると頭がクラクラして立てなかった。


「あ、起きた?君大丈夫?」

「ん、目覚めたか、人間」


振り向くと二人の女性が立っていた。

1人は、肌は色白で、長い金髪な優しい印象を受ける綺麗な女性

もう一人は、肌は色黒で、短い銀髪な活発そうな印象を受けるクールな女性


「貴方達は…?」

「ああ?私達?私達はね、貴方と会いたかった精霊だよ?」

「精霊…?」

「ああ、私達は精霊だ、お前を助けたな」


この二人との出会いが、止まっていた人生を動かす切っ掛けになった瞬間だった。

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