異世界に行ってもやりたいことは変わらねぇ!

蒼華 未来

第1話 「夢」

「恵悟ちゃんとご飯たべてるのか?」


「食べてるよ!父さん。心配しすぎ」


そんなたわいも無い会話をしている場所は、国が運営する国立医療センターであり、そのベットに横になっている俺は、坂倉恵悟さかくらけいごという11歳の少年である。


なぜ、国立の医療センターにいるかというと、俺は生まれつき心臓に難病を患っているからだ。世界の医療でも完治は難しいらしく延命医療が精一杯だそうだ。ちなみに、持っても15年らしい。だが、これは長く見積もってなので普通に11年生きれただけでも奇跡に近いらしい。


さてさて、暗い話はそこまでにして今は年末の家族団欒の時間を楽しもう!


「そーいや恵悟!これ見ろよ。最近流行りの格闘技ってやつらしいぞ!」

そう言ってテレビのチャンネルを変える父。


そこに流れたのは、大の大人二人が殴り合っているという危ない内容であったが、不思議とそれに見入ってしまい心が躍った。


「すげぇ!かっけぇ!これ生で試合見てみたい!」

そんな思いを不意に口にしてしまった。普段、恵悟は病気の事もありお願い事などは口にしない子であった。そのため、恵悟がそんな「〜したい」と口にしたことに驚いた両親であったが、


「そうだな。恵悟の病気が治ったら見に行こう!」

父が嬉しそうにいった。



****************


?「ごめんなさい。恵悟くん!」


「はい?」


?「本当は、あなたは病気にはなるはずじゃなかったの。こちらの手違いなの!だからお詫びになるか分からないけど、次の人生は色々楽しめるように手を尽くしておいたから!最後に、本当にごめんなさい。」


という会話を薄れていく意識の中、脳に響いた。




”あぁ、試合見たかったなぁ”





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