第2話 誕生
「旦那様生まれましたよ!」
「おお!そうか」
メイドに声をかけられ部屋に入ると幼い我が子を抱く妻の姿が目に入る。
「あなた。可愛い男の子よ」
「あぁ。可愛いな。ありがとうカナ!」
嬉しさのあまり妻と子供をおもっきり抱きしめてしまった。
「ウェェェェん」
「もうあなた!急すぎよ!」
子供が泣きだしてしまった。
俺としたことが出産というとで不安だったことで焦ってしまった。
「あなたこの子の名前は決まったの?」
「もちろん。この子は、ドエルだ!」
「ドエル。うん、ドエルくんいい名前だわ」
「だろ!三日も考えてしまったよ!まぁとにかくだ。この子を2人でしっかり育てて行こう!」
「えぇ」
**************
やはり時間の流れとは速いもので、ドエルこと俺が生まれてから5年が経った。
ちなみに俺の名前は、ドエル・リッジウェール。商家リッジウェールの三男としてこの世に生を受けた。さらには、俺は前世の坂倉恵悟の記憶をもったままであった。
「ドエル様‼︎どちらですか?」
「ここだ!」
「ドエル様!また勝手に図書室に。奥様に言いますよ!」
「えぇ〜俺ちゃんとユウナに伝えたはずだけどな」
「聞いてません!」
ここは、屋敷の中にある図書室。
そんでこいつは、俺の専属メイドのユウナである。
「そんなことはよくて、奥様がお呼びですよ!」
「母さんが?なんの用事だろうか。」
「家庭教師がうんたらかんたらって仰ってましたよ。」
「わかった!書斎にいるのかな?」
「はい」
「わかった。行ってくる」
********
コンコンとノックする。
「はいっていいわよ〜」
「失礼します。」
「ドエル。待ってたわよ。適当に座ってちょうだい」
「はい」
「今日あなたを呼んだのはあなたに家庭教師をつけるためよ」
「なるほど。しかし、俺はそんなの必要ありませんね」
「あら、そうなの」
「えぇ俺は歩けるようになってから図書室に通って言語から歴史、計算まですべて覚えました。」
ちなみに前世で好きに動けずしたいこのできなかったドエル(恵悟)にとって好きに動き回れるこの体は素晴らしく、年齢的にやれることが図書室で本を読むことくらいだったので本をすべて読んでしまったのである。尚、今3周目の途中らしい。
「とはいえ、あなたはまだ子供だし図書室の本だけでは勉強を網羅したことにはならないわ」
「確かに。そう言われると困りますね。分かりました。では、こうしましょう!母さんが俺に付ける予定の家庭教師の人に問題を作成してもらい俺が百点を取れたら免除するってのはどうでしょうか?」
「んー。問題は、教科ごとに作成させるわ。それでいいならいいわよ」
「分かりました。あと、それにもしクリアしたら一つお願い事をしてもよろしいいでしょうか?」
「お願い事?今ではダメなの?」
「それでは、わがままになってしまいます。しっかり親に自分の実力を見せた上でお願いしたいのです」
「分かったわ。いいわよ」
「ありがとうございます。それでは、失礼致します」
残った母はすごく悩んでいた。普段から品行方正で執事やメイドからの評価も高く真面目で問題など起こさないあの子がまさか家庭教師を断るなんて思わず、早い反抗期なのではと思っていたからである。
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