第3話 母親の憂鬱&父親の歓喜
今更ながらドエルが生まれ落ちたこの国を紹介しようと思う。
この世界に五つある大陸のうち、中央大陸と呼ばれる東西に伸びた大陸の東側一帯の支配地を持つのがアルメリダ王国。そう、ドエルが生まれた国である。
このアルメリダ王国とは、国王を君主としており、世界一の異種族国家である。
さて、説明はここ等で終わりにして、本編スタート!!
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「奥様!ガンマ先生が到着されました。」
「分かったわ」
メイドに報告を受けた私は、玄関へ向かった。
そこには、噂どりの若い色男が立っていた。
「初めまして。ガンマと申します。」
「えぇ、色々と噂は聞いてるわ。けれど、結果で示してくれれば問題ないから」
「かしこまりました」
「息子には、もう話はしてあるから準備出来次第試験を初めてちょうだい!」
「かしこまりました」
「では、あなた案内して差し上げて」
メイドの1人に案内をお願いし、旦那の書斎へと向かった。
「では、先生。こちらでご準備をお願い致します。ドエル様を連れて参ります」
「分かりました」
「失礼致します」
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「あなた先生が到着したわ。大丈夫かしら。」
「カナよ。心配し過ぎだ。」
「だって普段我がまま一つ言わないあの子が、家庭教師なんていらないって言ったのよ!」
「頭のいいドエルのことだ。何か考えがあるのかもしれない」
「そうかしら…。あ!そういえば、あの子がこの試験クリアしたら一つお願い事があるって言われたわ!」
「うむ。やはりドエルのことだ。何かやりたい事でも出来たのであろう!出来れば商いに関わる事だと親としても嬉しいな」
「あなた!真面目にやって!良家の子供は、皆家庭教師を付けて英才教育を受けるものよ」
「そうだな。だが、うちにはドッチとドーマがいるし、内容によっては、ドエルの好きにさせてもいいんじゃないか?」
「…。」
「取り敢えず試験結果を待とう」
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今日、僕の家庭教師がうちに来るらしい。どんな人なのかも知らないが、出来れば可愛い女の人がいいななんてことを考えていると、
「ドエル様!先生が到着されたみたいです。お部屋に通してありますので、ドエル様も向かいますよ!」
「えぇ〜行きたくないなぁ」
「ダメです!奥様と約束なされたんですよね?その約束は守らないとダメですよ?」
「分かった!分かったよ。行くから」
重い腰を上げ家庭教師のいる部屋へ向かった。
「初めまして。ドエル・リッジウェールと申します。」
「ご挨拶ありがとうございます。本日試験を行わさせていただきます!ガンマと申します。よろしくお願い致します!」
んーとても頭の良さそうなオーラを出しているが俺はこの試験に合格して夢を叶える必要があるんだ!絶対クリアしてみせるぜ!
「では、早速で申し訳ないですが試験を始めさせて頂いても?」
「はい!大丈夫です!」
「まず、試験の説明をさせて頂きます!教科は、国語、計算、地理・歴史、化学・物理の4科目とします。かなり難しく作成致しまして、奥様と話して合格ラインは満点ではなく9割とさせて頂きます」
「舐められたものだな」
「いえ。そういう訳でなく、今回のテストは、非常に難しく作成したので悪く言うわけではないですが、5歳の子供が解くのは本来無理なレベルですのでそれ故です。ご理解ください」
「了解した。では、早速始めようか」
1科目50分の時間制限を設けて試験が始まった。
「それではお疲れ様でした」
「いつ結果が分かるんだ?」
「すぐ採点してお伝えします。お待ちください」
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コンコンとノックが聞こえたので、「入りたまえ」と旦那であるドグマが答える。
「失礼します。」
とガンマが入ってきた。
「試験結果が出たので、先にご報告と思い参りました」
「うむ。では結果を教えてもらおうか」
「はい。まず彼は天才としか言えません。全教科で満点を取りました。これは、国立の学校に主席で合格できるレベルですよ」
「そこまでか。分かった。おい!マロンよ。ドエルを呼んできておくれ」
メイド長のマロンにドエルを呼ぶようお願いをした。
「ドエル参りました」
「うむ。結果から伝えると試験には合格した。だから約束通り家庭教師は付けないでいいのか?」
「はい」
「ガンマ先生が言うには、お前の点数だと国立の学校に主席で入れるレベルみたいだぞ!しっかりやれば官僚も目指せるかもしれないんだぞ!」
「大丈夫です。私は、そんなこと目指してないので。」
「じゃあ何を目指している?」
「それを話すには、今回の試験の合格の代わりにお願いしてたお願い事を聞いてもらう必要があります」
「そういうことか。お前には、もうやりたい事が見つかっていたのか」
「はい!なのでそれについてのお願いになります」
「分かった!いいだろう。では、そういうことだ。ガンマ先生には、申し訳ないがお帰りをお願いしたい」
「かしこまりました。短い時間でしたが、これからを担うであろう少年に出会えたことには感謝申し上げます。それでは、失礼致します!」
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