第4話 始まる物語

「じゃあ話してくれるか?」

「はい」

「待て。カナはどうする?この先の話を聞くか?」

「…。いや、やめておくわ。ここは、男同士で話すべきだと思うから私は一旦抜けるわ」

「分かった。話は俺が聞いておく。ゆっくり休んでくれ」

「えぇ。それじゃ」


そう言い母さんは部屋を出た。


「それじゃあ改めてお前の願い事とは何か教えてくれるか?」

「はい。父さんは、今の仕事で幾ら稼がれていますか?」

「んーそうだな。ざっと数十億ぐらいだろう。なぜだ?」

「私の考える事業内容が上手くいけばそれぐらい稼げるようになると思っているからです」

「なんだと?」

「なので、私のお願い事とは、その事業の資金を提供して頂くことと新たに紹介を立ち上げたいのでそれのスポンサーになって欲しいのです。」

「そうか。まず一つずついこう。資金とは、具体的に幾ら欲しい?」

「はい!父さんならそう言うと思ったので、資金の話をすると同時にこれの事業計画書を見て欲しいです」


俺はそう言って、これまでに作り上げてきた計画書を手渡した。

父さんは、もの珍しそうに端から端まで余すことなく目を凝らして読んでいる。

15分程してから、


「拙いものだが、歳の割にはよく出来ている。だが、こんな事業は今まで見たことも聞いたこともないぞ?」

「だからいいのではないでしょうか?競合がいない事業は上手くいけばあとは鰻登りです」

「だが、真似てくるやつもいるぞ?」

「そこは心配してません。事業内容的に後から来たぽっとでのやつに世間が食いつくとは思わないので。」

「そうか。ちなみに、資金についてはここに記載されている額でいいのか?」

「はい」

「分かった。いいだろう。何事も経験だ!やってみろ!あとは、新たな商会を作りたいだな。これもいいだろう。だが、このスポンサーとやらはなんだ?今までにない仕組みだろ?」

「そうです!スポンサーと例えば、この事業で言うなればある大会を開くとなった際に新たに資金を提供して頂く代わりにその大会で着る衣装等に広告を付けたり、またいい席を用意する等の便宜を図ったりさせて頂きます。さらに、その大会で得た収益の何%かを資金の額に応じてお支払いさせて頂きます。それが、スポンサーという契約です。いかがでしょうか?」

「うむ。悪くはないな。こちらの収益は多少減るが広告ができるというのがデカいな」

「それもそうですが、大会の規模によってはプラスになることもあるかと。」

「分かった。俺も俺でお前に試されている感じがするがまぁいい。やってみろ!」


*************


これで俺のやりたいことの第一歩をやっと踏み出せそうだ。


後日、父さんから資金を貰い、紹介を立ち上げることに成功した。


””カイザー商会””


これから世に轟く名をもつ商会がここに誕生したのである。

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