概要
もしかしたら、母方の祖父が、ぼくの疑問に答えたのかも知れない・・・。
ある次郎の想い出、昭和の事である。
正月三日がすぎたころ、円空のように仏像を彫ってみたいと父に話した。
うちの仏壇に、奈良の大仏を高さ十センチくらいに縮めたような、銅のちいさな仏像がある。人形みたいで何も感じない。だけど、テレビで見た円空が彫った仏像は、銅のちいさな仏像とちがい、ぼくに何かを話したいように感じた。なぜ、円空の仏像がそう感じるのかわからなかった。ぼくは、円空の仏像に感じた驚きをそんなふうに父に説明した。
ぼくの説明に、父が何と答えたか憶えていない。母は、
「あなたはお父さんのいうことを聞かない性格だけど、教えられてもいないのに、見聞きしたことに対する考え方は、お父さんに似ている」
と話したのを憶えている。
仏像を彫ってみたいと話したぼくに、父は金槌と大き平鑿と
正月三日がすぎたころ、円空のように仏像を彫ってみたいと父に話した。
うちの仏壇に、奈良の大仏を高さ十センチくらいに縮めたような、銅のちいさな仏像がある。人形みたいで何も感じない。だけど、テレビで見た円空が彫った仏像は、銅のちいさな仏像とちがい、ぼくに何かを話したいように感じた。なぜ、円空の仏像がそう感じるのかわからなかった。ぼくは、円空の仏像に感じた驚きをそんなふうに父に説明した。
ぼくの説明に、父が何と答えたか憶えていない。母は、
「あなたはお父さんのいうことを聞かない性格だけど、教えられてもいないのに、見聞きしたことに対する考え方は、お父さんに似ている」
と話したのを憶えている。
仏像を彫ってみたいと話したぼくに、父は金槌と大き平鑿と
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