「純文学？ ヒューマンドラマ」を含む小説

　恋の辿る道筋は、人それぞれの旅模様。 　早くて良いというものでもなく、遅いから悪いというものでもなく。 　 　いずれ結局、訪れる。 　早くて遅く、迂闊で地に足のついた、不器…

初恋の人をいつまでも忘れられなく、心の奥に引き摺ったまま動きだせない彩花は、その日の帰り道に歩きながら彼との懐かしい思い出に浸った。自分の誕生日に隣に彼が居ないことに寂しさを募ら…

異常に長い冬、吹雪の日。偏屈者の女将が営む場末の宿屋に、ひとりの美しい少女が訪れた。トランク一つを提げて、不機嫌な顔で。 ぶっきらぼうな女将と、ふてぶてしい毛玉の猫と、名前を名乗…

　アイドルを志す少女「凪」はかつて国民的アイドル「椿沙」とのコンビで一世を風靡した「雲母」とユニット、『FTERA』を結成する。 　初ライブの日付が決まり、焦りつつも必死に練習を…

青春ものからファンタジーまで、今まで書いてきた小説を纏めた短編集です。 なろう・ぷらいべったーにも同様のものを掲載しています。

失恋や仕事への迷いから心が疲れた女性が 祖母の暮らす静かな雪降る町で自分を見つめなおすお話。 ３０００文字程度 純文学です。

あの味をきっと、忘れてしまっただろうから

KAC2023お題「ぬいぐるみ」 ぬいぐるみが苦手、ダニが増えそうだから。そんな女性がある日街コンで出会った男性とゲームセンターを通り掛かる。 「わたし、UFOキャッチャーって…

この世とあの世の狭間にある図書館、アネモネ図書館。そこでは、自殺を図った人々に、忘却を条件にもう一度生きる権利を与えるらしい── 自殺を図った一人の男・神崎慧は、その先で自称魔女…

喫茶店、ぬるい暖房にあたりながら〈彼〉とコーヒーを飲むショートショート （2,000字未満）

大学二年生の夏。身体を鍛えることにしか時間を費やしてこなかった桜田は、知人の勧めによって児童館【ハレルヤ】でアルバイトをすることになった。 しかし、ここで一つ重大な問題が発生し…

僕と彼女の儚い思い出

「俺は穏やかな百年など望まない。百年分の一瞬があればいい。後の日々が死ぬくらいなら——」 凍える僕を振り返りもせず、探偵は雨を見つめている。もう戻らぬ人を想いながら。

高校生活ももう終わる。「わたし」と「彼女」は、部屋のベランダで、三年間の高校生活を振り返っていた。入学したときのこと、クラスでのこと、部活でのこと、一緒に遊んだときのこと。たくさ…

これからの進路に不安を持つ大学生の主人公は、子供のころから霊感のせいで一人ぼっちの学生生活を送ってきた。ところがある日、年を重ねるにつれ霊体験をしなくなっていた彼の前に「声」が現…

学校の離れ校舎、その図書館では、神隠しの噂があり、誰もがそこに行くのを避けていた。そんな誰もいないはずの図書館で、教室から逃げ出してきた「わたし」は、名前も知らない「彼」に出会う…

「果ての見えない荒野の中を、我らは歩き続けている。 　死を得るその日までは、歩き続けねばならない。 　それが人間に課せられた唯一の宿命である。その宿命に賭す情熱、絶えず渇きを与え…

始まりは親友からの電話だった。同僚が行方不明となり、捜査官の俺、キノシタ・カイトに行方を追ってほしいとのことだった。だが、手応えのないうちに事件は収束し、代わりに始まりを告げる別…

扉を開けるとそこは異様な世界だった。 薬品と花の混じった匂い。 できたての建築物の香りと、ちぐはぐで統一性のないこの空間が、これからの新しい生活と風変りな二人の関係性を示している…

人類はケプラー1649Cに移住しようと計画し、調査員を派遣していた。だが、小惑星との衝突事故で生存者は一人だけになってしまう。 その生存者は孤独から逃れようと、新たにリリィを生み…