喫茶店にて
折戸みおこ
*
「それで、君はこれまで何人の女の子に言い寄られたの?」
「うーん、サッカーチームは組めるかな」
目の前の美しい彼はさらっと言った。
ぬるい暖房が喫茶店のなかで充満している。
頼んだ飲み物がテーブルの上に置かれた。
彼はホットコーヒーで、私はアイリッシュコーヒー。
彼が砂糖やミルクを手に取る雰囲気はない。
ずいぶんあっさりしているんだな。
「これまでの女の子か。全員で何人だったっけ」
指を折って数える彼は、どちらかというとなよなよした体躯をしており、白く艶のある肌に真っ黒の髪がマッシュルームカットに揃えられている。
20代も後半だと言うのに、彼はいつも実年齢より10歳ほど若く見られがちだ。
指先は12を超えたあたりから曖昧に折ったり戻したりをし始め、しまいに彼は
「顔があいまいな子と、名前があいまいな子がいるな」
と言い出した。
そんなものなのか。
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