フレンド

作者 なまけもの

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122人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

「主人公と彼女」は強い絆で結ばれており
読む者の気持ちを鼓舞する程である。

東屋での思い出、茶色に統一した髪色。
お互いの視点から、
変わらないもの、変わりゆくものが切り取られて行く。

冒頭で「主人公と彼女」と断ったが
逆説で「主人公と彼氏」と読むことも出来るかも知れない。

男児も女児も主人公。
そんな物語が、淡雪のように、淡々と降りしきる。

★★★ Excellent!!!

簡潔な中に淡々とある年の冬の出来事を綴っていった作品。
だけれど、成長する「彼女」に対してどこか取り残されてゆく友達の「六ちゃん」。
不器用な二人の恋模様を眺めるお話かと思いきや―――

どうぞ、その先はご自身でお確かめください。
彼女の成長と、ちょっぴりの切なさを孕んだ素敵なお話です。

★★★ Excellent!!!

伏線回収、タイトル回収、とっても気持ちが良いです。

「これは誰目線のお話なんだろう?」
とワクワクしながら読み進めていくと、ジーンと来る結末が待っていました。

個人的にはこの手のお話がとても好きです。
小さい頃の記憶が、するすると引き出されるようで。

お話を思い出しながらレビューを書いている今も、頭の中が感動でじーんとしちゃっています。

ただ感動するだけではなく、その感動を増幅させられるような技巧にもぜひご注目ください。

★★★ Excellent!!!

 “僕”と“彼女”。2人の目線で語られる、切なくもどこか温もりのあるストーリー。

 一人称で進む物語。幼少、小学生、高校生、大人。4話構成のどの場面も冬で、吹きすさぶ冷たい風が印象的です。それと同じくらい“彼女”の手足も心も冷たい。そんな彼女に温もりを与え、支えてあげているのが“僕”です。

 多くを語るわけでもない。彼女の愚痴を聞いて、ちょっとした軽口を叩きながら、ずっとそばにいる。だけど本音のところでは何もできない自分に、思うところもある。──ただの友達でしかない。そんな僕目線のお話は読んでいて切なく、キュッと胸が締め付けられる思いです。

 しかも、そのやるせなさを抱えたままやがて訪れる別れ。誰よりも彼女を思うからこそ“友人として”見送る僕の心情は痛いほどに共感できてしまいます。

 そして、最終話にあるのが彼女の視点。唐突に訪れた、大切な友人との別れ。いつでも自分を支えてくれた僕との思い出は彼女にとって本当の意味で青春だったのでしょう。何よりも大切なはずの人々を手に入れても、同じくらい、あるいはそれ以上に大切な僕のことは忘れられないでいる。そんな彼女の心が地の文からはもちろん、髪色からも伺えます。

 僕の目線、言葉、見ている物事など。2人にとっての青春を記した場面を注意深く読めばそれら全てが、2人の本当の関係性を表すものだとわかるはずです。だからこそ、最終的に語られる僕と彼女の関係性には救いもあって、何より納得感がありました。

 手を擦り合わせ、息を白ませながら話す僕と彼女の青春が行き着く先。約6000字に濃縮された切なく、儚くも、心がほっと温まるヒューマンドラマ。ぜひ、見届けてほしいものです。

 どんな方にもオススメしたい、とても素敵な作品です!

★★★ Excellent!!!

養護施設で育った少女の、ある冬の日を切り取っていく作品。

強がりだった女の子が成長していくのを見守るのは、彼女の唯一のお友達。
上京して、大人になって、もうその声が聞こえなくなっても、彼女が生きてこれたのは、友達がいてこそ。

でも、その友達は、実は……。

優しいまなざしで、彼女の友達と一緒に、主人公の成長を見守りませんか?

★★★ Excellent!!!

初めて小説を書かれたとは思えないほどの構成力とセンスの良さを感じました。

最初は六ちゃんの視点から、彼女の個性が描かれていきます。
彼女が立たされた環境は一見すると辛いはずのものですが、六ちゃんの優しさと彼女の強さもあって、温かみのある、ノスタルジックにも思えるものとなっています。
成長した彼女側から描かれる最終章で、「ああ、そうだったのか」となる瞬間は少し切なくもありますが、なんとも言えない感動をもたらしてくれます。

文章も読みやすく、良い作品だなと思いました。