「はなかっ」を含む小説

　あたしは、生きる目標だとかそういうものがなかった。あの日彼に助けられるまでは。

上京間もない大学一回生の井住サキは、不慣れな都会での生活にひとり孤独な日々を送っていた。 忙しいだけの毎日、誰にも頼れずにいたサキだったが、ある日ふとしたきっかけでアパートの隣室…

　電子仮想空間のアイドルヒロインとして名高い女の子、鶴崎 志海（つるさき しうみ）は、先日行われた試合で自らの判断ミスもあり仲間と共に敗北した。 　仲間たちや周囲のファンたちはそ…

「大人の事情はよくわからないよ。年齢的には大人だけどさ」

「私」と少年は、重い病気を抱えていた。孤独に震える私は、無理だと分かっていても彼にすがりつく。……すがりつく、しかなかった。 ──私を置いていかないで、と。 ──私より先に死なな…

労働需要が、労働供給をはるかに上回った日本。 かつて労働の義務が存在していた世界は終わりを告げ、労働は権利となった社会。 今の社会を『精神的身分社会』と呼ばれていた。 そこで将来…

『私が死んだら、隠れ里にお行き』 　そう言い残した母の言葉に従い、森を歩く少女が居た。 　少女は赤子の頃から共に育った、一頭の黒豹を連れていた。 「もう少しだよ、頑張って」…

「それはだな。まずは俺のほうから話すよ。俺は普通のサラリーマンだった。仕事も頑張ったさ。上司からは褒められることも多かった。でもだな、会社の同僚や先輩たちは俺のこと馬鹿にしてるっ…

第三中学校２年４組にはいじめあったかもしれない。 八方美人の土岐はいじめらしきものを見たがどうもしなかった。 いじめじゃないかもしれない。 助ける必要がないかもしれない。 助け…

社会人になった白河環子（しらかわたまこ）は、ある日、会社の後輩からお笑いの劇場に一緒に行こうと誘われる。 特にお笑いに興味がなかった環子だったが、彼女はふと、学生時代のことを思い…

この物語は「小説家になろう」様と「カクヨム」様に許可を頂き掲載しております。 現在掲載中の「カナかなダイレクト」の本編です。 第１幕の登場人物です。 勇者カナ 元素世界の現役J…

その日、学校から帰ってきた娘は娘ではなかった。 見た目こそ娘と瓜二つではあったが、 彼女が娘ではないことは明らかであった。

あるところに学歴主義者がいた。 彼は３回試験に落ちた挙句に進学をあきらめ派遣会社に就職したが、彼を慰めてくれる存在は酒しかなかった。 やがて酒は彼の身体を、精神を侵食していく。

　緋色くんは、私の初恋だった。すくなくとも自覚している限りでは。 　明確にそれが恋だと気付いたのは、小学校低学年がもうすぐ終わりを迎えようとしている頃だった。そのある一時期、決し…

異世界召喚に失敗し、僕は得られるはずの女神の加護を受け取れなかった。剣を振るう筋力も弓を引く力もなかった。魔法も目くらましの〝閃光〟しか使えず、鎧も満足に着られない。 そんなクソ…

金欠の俺にとって、頼りになる店はあそこしかなかった…！

田舎の道具屋の娘ヴィオレーヌは、養女として宰相家に迎えられた。 憧れていた貴族の世界。 大勢の召使にかしずかれて、宮廷の華ともてはやされ、王太子様と親しくなっていつか恋が芽生えた…

書いた。 KAC2022とは関係なかったけど、あ、ちょっと第７回のお題と関連するかなぁって思って、参加するつもりだった。 でも「ロイヤルティプログラムに参加する」って条件にあては…

KAC2022応募作品 書く時間が全然なかったので、自分の記憶を掘り起こして少し（だいぶ）装飾して作ってみました。 こういう一期一会って案外誰にでもあるもんだったりするんじゃない…

西暦20XX年。JASRAC帝国のもと、溢れまくった出会いと別れを扱う歌詞に、もうすでに自由などなかった。作詞家たちの会議を描く掌編。