魔王は、勇者を異世界へと召喚させた張本人で。

あずま悠紀

第1話

「ようこそ、勇者よ。異世界への転生をご希望の方ですね。承りました」

女神はそう言った。

「あぁ、俺は異世界に行ってみたい。ただ、チートスキルも無いし……いきなり魔王とか倒すような能力も持ってないけど大丈夫か?」

俺の言葉に女神は無表情で応える。

「はい、もちろんですとも。勇者になられても世界を救う必要は無いのです。貴方の目的は異世界で幸せになることにあります。ですから……」

「だから?どうすればいいんだ?」俺の質問に女神は答える。

「貴方には特別な力を授けましょう」

その言葉と同時に、目の前に光の渦が現れ、その中に剣が現れた。

「この世界の武器を特別仕様にしたモノです。これを受け取ってください」

光る武器を前に戸惑うが、俺に渡せとばかりに差し出された女神の手の中に握られると光は徐々に収束していった。そして俺の手の中には剣が現れた。それは俺の持つ剣とは全く違う形状をしていた。刀身には複雑な模様が描かれているように見える。刃先は長く、切っ先は鋭い曲線を描いていた。持ち手部分は細くて長い作りになっており、鍔は無くシンプルだ。だが美しいデザインだと思う。柄頭の部分に何か嵌め込めるような丸い穴が見える。俺はそれをそっと握った。すると剣に光が纏っていくのを感じた。その不思議な光景に目を奪われていると女神が話しかけてきた。

「これは【聖剣エクスカリバー】という名前の特別な力を備えた剣になります。それでは貴方に幸福を祈りたいと思います」

女神が俺に向かって手をかざすと俺の姿が徐々に消えていった

「ちょっ!えぇ?何だよこれ!?」突然の出来事に驚きの声を上げる俺 そんな俺に対して微笑むように優しい眼差しを向ける女神様はゆっくりとこう告げた。

「あなたが行く世界はとても厳しい世界ですがどうかお気を付けて」

そう言いながら女神が指差す先には大きな門があった 門の向こう側には森があり、その奥には街のようなものが見えていた。俺は今からそこに向かうらしい そして、そこで俺は新たな人生をスタートさせるとのことだった まぁ、まだよくわからないんだけどね。なんで俺みたいな普通の人間を異世界に送ってくれるのかとか色々疑問はあるが今はとりあえず行ってみるしかない。それに、こんな機会滅多にないしな。せっかくなら新しい世界で楽しもうと思う。だってそうだろ?死んだと思って目覚めたらそこはファンタジーの世界なんだぜ。テンション上がるってもんだよな。ワクワクするわ~♪よし!!頑張るか!!! そんな感じで意気込んでいるうちに門までたどり着いたのだが これがめちゃくちゃデカかったのだ。俺のイメージしてたのは西洋風な城というか洋館のような建物だったわけよ。それがさ、まさかの高層ビル的な大きさがあるんだよ。マジびっくりしたよね そして俺の前には大きな扉があって開けようとしたんだけど開かなかった。

困ってると背後から声をかけられたんだ

「そこに誰か居るのかい?」って 慌てて振り返ったんだけどそこには天使が居たんです。白い布みたいな服に羽の生えた女性型の人形がいたんですよ。でもなんか変な感じもするっていうかなんだろう、上手く言えないけど人っぽくないんですよ 俺はその人に事情を説明したんです。「すいません勝手に入って来てしまいまして、実は目が覚めたばかりでどうして良いかわからずにウロウロとしてただけで」俺の説明を聞いて少し考えた後彼女は答えてくれたんだ。

「なるほど、そういうことであれば私に着いて来て下さい。ここは貴殿が入る事を許された場所では無いのです」と言って背中に生えている羽根を動かしながら歩き出した。俺は彼女に連れられて建物の中に入ることになった。建物内は白を基調とした内装が施されておりとても清潔感を感じる造りになっていた。床もピカピカで歩くと綺麗な音が響くのが心地よかったりする。暫く進むと彼女はとある部屋の前まで来ると俺を待たせて何処かに行ってしまったんだ 部屋の中には一人の女性が椅子に座って待っていた

「やあ初めまして、私がここの責任者だ。君の名前は?」女性はそう言うと俺に手を差し伸べてきた。俺は自己紹介をして握手をしたのだがこの人は何を考えているんだろうかと思った。

まず最初に見た目は凄い若い20代後半ぐらいに見える美人なお姉さんなのだ。それで髪は銀色に近い紫色、目はエメラルドグリーンだ。そして背が高いモデルのようにスタイルが良い体型をしているのだ。胸が大きいから目線的にどうしても谷間に目が行ってしまう。いかんいかん失礼だ。そんなことを考えていると俺の顔を見て微笑んでいる彼女と目があった。どうしたらいいのか戸惑っていると彼女はまた話しかけて来た。

「ふむ、緊張しているようだな、しかし心配はいらないぞ?私は君に対して悪意を抱くことはしないつもりだ。なぜなら君は私の大切な友人の息子だからだ。だからこそ信用してここに連れてきた訳だが。とりあえずこの話は後にしよう。先ずは座って貰えるかな?」俺はそう言われたら素直に従うことにした。案内されたのはふかふかの高級ソファーのような場所だ。

「飲み物を用意するが、何にする?紅茶かコーヒーしか無いのだが。それとも酒は苦手かね?まぁとりあえず何でも言ってみたまえ」彼女の質問に応えるべく、じゃあ紅茶にしようと答えるとすぐに温かいお茶を用意してくれた 俺は出されたお茶を飲みながら改めて周りを見渡すと壁一面に本棚が置かれていて様々な本が並べられているようであった。その中に絵本のようなものもあって興味津々なんだけど、さすがに読み始めるほどの度胸は無かった。そして気になる事が一つある、先程までは確かに人が誰も居なかったはずだがいつの間にか女性が2人ほどこちらの様子をうかがっていたのだ。気配なんて無かったはずなんだけどなぁ、気になった俺は話しかけることにした。「えっとそちらの方たちは誰ですか?姿が見えないですけど、どこにいるんですか?」すると彼女がこう言った

「おっ、流石に気付いたみたいだね。そうさ、そこに隠れているのは彼女たちが君の面倒を見るように言いつけてあったからさ。ほら姿を見せてやりなさい」そう言われて姿を現した女性たちだがどうにも普通の姿ではないらしいのだ。なんと、透けてるというか、実体が無いような存在なのだ 幽霊?精霊?よくわからんけどそういう感じだと思う 彼女たちは俺たちに向かってこう挨拶した。「私たちは貴方様に仕えるものたちです」

「えぇっ!そんな急にそんなこと言われても、困るんだけど。てか仕えるとは一体どういう意味なんでしょうか?」いきなりのことに戸惑いを隠せないが取り敢えず会話を試みる

「まぁまぁ落ち着いてください勇者さま。貴方はこの世界を救う使命を帯びて転生してきたのですよ。そのお役目を全うすべく貴方をお守りする者が必要ということでございます」俺の問いに対して丁寧に答えてくれるのが1人の女性だった。他の二人はその説明を聞きながらも笑顔を絶やすことなく俺に話しかけてくる

「私たちは勇者さまの身の回りのお世話をする者としてお側に居させていただきます」

そう言って一人ひとり俺に挨拶してくれた

「えぇぇ!何だよこれ。どゆこと?これってつまりあれなのか、俗にいう女神とか巫女的なポジションの人たちなのか。でも俺はそんな偉い立場でもないんだけどなぁ」そんなことをブツブツ呟いていると目の前の女性は笑い始めた

「はっはっは、これは驚いた。まさか本当に何も知らされていない状態でここまでやって来るとはね。面白い少年だな」

俺が困り果ててうろたえている姿を見て楽しんでるようで少しムッとするが相手の立場も考えなければと思い至った。この人たちは神様とかそういう存在なのかもしれないのだと。だからあまり感情をあらわにするのは良くない気がする。それにしてもこの状況どうするべきかな。何か俺が知ってることってあったっけ?そんなことを考えていたのだが、彼女は突然こんなことを言い出してきた。

「なにやら困っているみたいだがそんな顔をしてたら可愛い顔が台無しじゃないか。せっかくだし私がいろいろ教えてあげてもいいが。そうだ、これから一緒に風呂に入ってみるというのはどうかな?裸で向き合って話し合えば何かわかることもあるかもよ。まぁ嫌なら仕方ないのだが。でも私も女だ。もし君が望むなら肌を重ねても問題ないとは思っているのだがね」俺はその言葉を聞いた瞬間固まってしまった。この人もしかしなくても結構な肉食系の部類に入るのではないのかと警戒したのだ。しかしだ、この人の言葉通りならば今から俺は脱ぐのであろうか? 俺には女性とそういった経験は一切無い。当然だろ。モテたことなど無いんだから

「ちょっと待って欲しい!俺は今初めて会った人に対してそんな簡単に裸になれるほど、女に対して積極的じゃないんだ」俺は慌てて反論した すると女性はニヤリと微笑んでこういった

「なーんだそんな事か。大丈夫だよ、今すぐ抱くつもりは無いさ。安心してくれ。それに、君を無理矢理襲ったりするつもりもないよ。さっきも言ったろ。君は私の友達の息子なんだからな。だからこうして色々と話を聞かせてもらいたいだけだ」俺はこの言葉に少しだけ納得してしまった。彼女はおそらく女神様なんだと思う。だって俺のことを見つめている時の目がとても優しく感じられるし。

俺は彼女の言う通りにすることにしてみる事にした そして今、なぜか俺はお姉さんたちとお風呂に入っていた。もちろんみんな服は来たままだけど、お湯の中で対面するようにして座っている状態だ。

「いやまいったねこれ、マジで。人生でこれほどの体験すると思っていなかったぜ。てか、マジでこの人美人過ぎだわ。なんかもう神々しさを感じてしまうよ。やばい、心臓がドキドキして止まらないんだけど。俺って童貞だぞ、いいのかよ!」俺がそうつぶやくと、女性は俺の背中をさすりながら話し始めた。

「落ち着けってば。そんな風に興奮していては話が進まないからさ。それよりまずはお互いの事を知る必要があると思うんだよ。自己紹介をしておこうか、まずは君から名前と年齢を教えてくれ。あぁ、私はアルティエルと言う。歳は秘密だ。それでだ、君の名前なんだが、やはり教えてもらえないか? 一応聞いておかなければならない規則になっていてね。すまんな。ちなみに私がここの責任者だ、気軽に話しかけてくれて構わない。それからこっちにいるのはメイド服を身に纏った女性たちだ。皆、私の友人でもあるので心配はいらない。彼女達は普段は実体があるように見えるんだがな、今は君にもわかりやすいよう霊体になっている。しかし君にしかその姿は見えてはいないだろうな。なぜだか君には見えるんだ。君が特別な存在ということだ。」

なるほどなぁ、と心の中で呟いた。そして気になることを聞いてみる事にした。「それでさ、さっき俺が聞いた時あんたは何も教えてはくれなかった。どうしてなんだ?」そう問いかけてみると、彼女の方からも疑問が帰ってきた

「うん、それについてはだな。私が聞きたかったことはある。まず第一にどうやってここまでやって来た?そして第二に、どうしてここにいるとわかった?」

「それはだな。まずは俺のほうから話すよ。俺は普通のサラリーマンだった。仕事も頑張ったさ。上司からは褒められることも多かった。でもだな、会社の同僚や先輩たちは俺のこと馬鹿にしてるっていうかさ。そんな感じな訳ですよ、そりゃ辛いよな。そしてストレス溜まって、コンビニに夜遅くに弁当を買いに行った帰りに事故に遭って死んでしまったんですよ。それで死んだ後に、変な空間に連れてかれて、そこで神様みたいな人に会って。お前は不幸な運命を辿るはずだったが特別に生き返らせようと、そういう流れになった。そして転生して新たな人生を歩むことが出来るって言われたわけ。俺は別に死にたくはなかった。もっと生きていけば何かしら楽しいこともあったはずなのに。だから正直迷わずそいつの頼みを引き受けたんだ」そう言って俺は目の前の女神を見据えた。すると彼女はこう告げた「まぁ、確かに君の境遇は同情に値する部分もある。だけど、それが本当なのかわからない。そもそもの話だが、この異世界に来るためにはそれなりの条件が必要になるはずだ。それも生半可なものでは駄目なのさ。君はどうやってこの場所に来たのか、それを話してもらいたい」俺はそれを聞くなり思い出そうとした。だがしかし思い浮かぶことはなかったのだ。

「いや悪い、俺には全く記憶が無いんだ。確かに転生できるという話を受けてここまでやってきたんだけど、ここに来た方法が全く分からない。ごめんなさい。役に立てそうも無いです」俺が謝ると、女神は「そうだったのか、なら仕方がないな。とりあえず話は変わるが、私はこれからしばらく忙しい日々を送ることになりそうなので君に頼むことにした。とりあえず私の仕事を手伝いつつ、ここでの生活の仕方を学んでくれ。それから先ほどの質問の答えになるが、ここは神の世界だ。この世に存在する全ての世界のな。私はその中のひとつを担当しているだけのことだよ。他の場所には私と同じように他の世界を見守る者たちがいる。そんなところさ」なるほど、よくわからないけど理解できた気がする 俺がそんな事を考えてる間もお風呂の中では彼女たちとの会話が続いていた。すると今度は彼女が質問してきた

「そう言えばまだ聞いていないことがいくつかあったんだ。先ずはそうだな。君のステータスを拝見したいのだが良いかな?そうすればある程度の事は理解できるはずさ。もちろん強制はしないよ。君の自由にしてくれて構わない」俺は言われるがままに、自分の力を確認する事にした

「ステータス」すると脳内に俺の能力が一覧になって現れた。それを女神に伝えたのだが、彼女は興味深そうにその内容を読んでいく。

俺は少し焦っていた。なんでこの人はこんなことまで知ってるんだ? 俺はこの世界で何か特別なことでもあるのかと思ったのだが、そんなものは無かった そして能力を確認したところで彼女はこういった「これは、また凄いな。君の持つ能力はどれも素晴らしい物ばかりじゃないか。私でさえ驚く程だ。しかもこれは、君本来の才能によるものなのかな? だとしたらとんでもない逸材だぞ」そう言って目を輝かせていた。俺にはいまいちピンとこなかったが、どうやら俺の力はかなりのものだったらしい そして俺が困惑している中、お風呂の時間が終わりを告げるのだった。

*

* * *

風呂場から上がった俺は、女神の案内の元、俺に与えられた部屋へと向かう。そこは女神と同じ部屋の作りになっていた。俺はそこに入るや否や女神は口を開いた

「よし! じゃあ早速だが、これから私の仕事について手伝ってもらう。この書類を片付けていくんだがな。これを全て今日中に終わらせる必要がある。頼めるか?君の仕事は私の秘書として働いてもらいたいんだ」

そういって手渡されたのは何枚かの紙の束だその紙を見て思わず言葉を失う そこには俺をバカにしているかのように難しい言葉が並んでいた しかしだ、これはチャンスだと前向きに考えることにしよう これならば勉強しなくて済むから、すぐに覚えることができるかもしれない。

そう考えた上で引き受けることにした 俺の人生初バイトが始まった瞬間であった 仕事内容はとても単純で簡単だ まずはこの部屋に来て最初にすることは整理だ そして次にやるのが俺に与えられた机に向かうことだ それから女神の指示に従い、次々と資料を整理していく 最初はなかなか上手くいかずに戸惑うこともあったが、次第に作業に慣れてくるのを感じていた そんなこんなで2時間ほどが過ぎた頃だろうか、俺の机の上は書類で溢れていたのだが、どうにか今日の分のノルマを終えることに成功したのである。

「うん、なかなかいいんじゃないかな?お疲れ様、これで私も安心したよ。この調子なら私の助けはいらないかもしれんな。それとだな。私はこの後も色々とやることがあるから、申し訳ないが先に休ませてもらうぞ」そんなことを言い出したので

「あぁ、俺の方こそ無理言って悪かった。俺はまだまだ大丈夫だけどさ、あんたが大丈夫ってんならそれで構わないさ。それよりもさ、聞きたいことがあったんだけどさ、いいか?」俺はそう問い掛けてみる すると

「うん?何だ?遠慮せずになんでも聞くといい。私に分かる事ならば何でも教えてあげよう」俺はこの時、気になる事を聞いたのだ それは俺が死んだ理由だ。

俺はあの時信号を無視して交差点に突っ込んでいった車を避けようと思い横に飛んだまでは良かったのだ そして地面に叩きつけられて死んだ。そこまではしっかりと思い出せた。しかしだ、そこから先の事は何も分からなかった。そのせいで自分がどうしてここに居るのかすら分かっていないのだ。だから聞いてみたんだが、予想通りの答えが帰ってきた それは、女神も俺の死は予測出来なかったということだった そして事故にあった俺を助けようと必死になり過ぎてしまい、蘇生が間に合わなかったとのこと 俺はこの言葉を聞いて少しホッとしたような気持ちにもなったが それとは裏腹に複雑な気分でもあった。だってそうだろう? 俺の死因は俺が飛び出したことが発端なのだから、それで俺の両親はどんな思いを抱いたのだろうと。俺はそれを聞いて、さらに深い悲しみに襲われたのだった。俺にはもう両親が居ないのだと考えてしまったからだ。

俺は両親にはもう会えないのだと そんな事を考えていて落ち込んでいると、目の前にいる女性が俺に声を掛けてきた。そして、こう言ってきたのだった

「君はまだ若いんだ。これからの人生を私と一緒に歩んでくれるか?それにだな。君は家族を失っているんだ。君には私の加護を与えておいた。だから寂しくは無いはずだ」そう言って俺の肩をポンッっと叩いてくれた。それだけで俺は心が軽くなるのを感じた

「あぁ、そういえばまだ君の名を聞いていなかったな」彼女はそんな風に問いかけてきて、自己紹介をして無かったのを思い出した

「俺は神原勇斗。改めてよろしくお願いします。俺に仕事をくれると聞いてるんですが。何をしたらいいのか分からないんですが」そう伝えると彼女は、とても驚いた顔をしていた「神原くんか。まさかとは思ったが、やはりそうなのか」などと呟いていた

「どうかしたんですか?」そう俺が問いかけてみると

「いや、なに、君は神原という名前なんだなと思ってな。珍しい苗字だろう?それで、もし君に妹がいたら同じ名前を付けられるか?」などと言う そこで俺は違和感を感じつつも返事をした「えぇ、まぁ、たぶん」そう答えると、やはりそうなのかと彼女は呟いた

「そう言えばさ、俺もあなたに聞きたいことがあるんだ。教えてくれると嬉しいんだけど、いいかな?」

俺は彼女にそう問いかけたそして、彼女は快く受け入れてくれた。そして彼女は俺の問いに対してこう言った

「そうだな。まずはだ、私は女神と呼ばれてはいるが実際は違うんだよ。私達はこの世界の神ではないのだからね。私達の管轄している世界の神様の眷属といった所かな。そんなことはさておき質問はなんだ? 出来る限りのことは答えてあげるよ」そんな事を言われて困ってしまった俺は、結局は彼女の仕事内容について尋ねた。そこで返ってきた答えはこうだった 神の世界はいくつも存在し、それぞれが様々な役割を担っている。彼女はその中でも大きな役割を果たしているというわけだ。この世界を創った神様が、ある人物のために用意したのがこの異世界。そこに、神様の部下が仕事を手伝うために送り込まれている そんな話をされても理解できないというのが正直なところだ。しかし、彼女達が嘘をついているとは思えない。なぜなら、彼女は本当にこの世界の管理者みたいなものだと思っているからだ。俺に嘘を教える必要はないだろう。しかし、そうなるとますます混乱してくるわけで。そんな時に俺はあることを思い出す。それは彼女が言っていた言葉だった"私には全てが見えている。君が何者であるのかも含めてだ。そして君のステータスについても把握済みだ。だからこそ君の頼みを引き受けたのさ"つまり、そういうことなんだと思う。そして彼女は、この世界に来たばかりの俺に、仕事の内容を教えようとしているんだと勝手に想像することにした そんなことを考えながら黙っていると、彼女が声をかけてくる。

「まぁ、君がこの世界のことについて何も知らないというのも理解できるが、とりあえず今日はこれぐらいにしておこう。明日からも頼むぞ」そして俺らは床につくことにした 朝起きて俺は身支度をしてから、食堂に向かったのだが俺を待っていたのはメイド服の女性3人だった。しかも全員美人さんである 俺の顔を見るなり、一斉に頭を下げてきた

「お目覚めですか?勇者様。本日からこちらで働かせていただきます。私はメイド長のサラです。宜しくお願いいたします。さっそくですがご案内いたしましょう」そんなことを言われた俺はただ困惑するだけだった すると後ろから 昨日、女神に紹介された秘書が話しかけてきた「おはようございます、神原さん。まず、朝食を食べに行きませんか?話はその後にしましょう。では行きますよ?皆さんついてきてください」そう言うと歩き出してしまう。俺もそれに続くようにして歩いたのだが、どうも気になる事があるので俺は振り返り、みんなを呼び止めた そして、俺が疑問に思っていたのは、なんでこの人たちは俺のことを勇者様と呼ぶのかということだった。なので聞いてみると、どうやら俺の存在は王都にも伝わっているらしくて。俺の姿を見ただけで、大騒ぎになってしまったとのことだった それで急遽俺の身を隠すために変装をしてもらう事になったのだというのだが これがまた面倒だった。俺はそんなに化粧は得意じゃないので断ったのだが押し切られてしまっていて。仕方が無いので、この格好で過ごすことになったのである。

そして、案内された部屋に行くや否や食事が用意されていたので食べようとしたところで、再び案内されるままに付いていくことに 向かったのは会議室のようだ。中には数人の人が既に集まっていた 俺は適当に席に着くように指示をされたが、座ろうとした椅子にはお洒落な装飾が施されていた それにしても何やらとてつもなく豪華な部屋で、明らかに普通の部屋とは違っていた それからはしばらく待つだけとなった すると突然部屋の扉が開かれて入ってきた人物が

「さてさて、皆さん、今日はよく来てくれましたね。これから貴方達の雇い主になる方をお呼びしていますから。さぁ、入ってきて下さい」そんな言葉が聞こえたかと思うと、扉が開いて俺と同い年くらいの女の子が入って来た そしてその子の後ろに付き添って入ってくる人物がいた。その人を見た途端、何故かはわからないが心臓が飛び跳ねた。

そして俺はその子を見て思わず息をするのも忘れていた 俺はその少女を見て思わず立ち上がってしまった そんな様子に気付いた彼女は俺の方を見て不思議そうにしている

「ん?君は一体どうしてそんな反応を示しているんだ?まさか、何か気に入らないことでも有るのか?」

そういわれたのだが俺はなんて返事をすればいいのか分からず 口を開けては閉じを繰り返していて。俺はようやくの事で言葉を絞り出した

「あぁ、えっと、君は俺のことを知っているんだよな?じゃあ俺に聞きたいことがあるんだけどさ」俺はそう問い掛けてみる

「うむ、私が君を知っていて君が私を知らない。これはおかしな話だな。それにだ、私は君とは初対面だが。それは君も同様なのだろう?違うかね?」俺はそう言われるまで気がつかなかった 確かに彼女の言っていることは正しいのだと。俺は彼女のことを全く覚えていなかったのだ。そして彼女はさらに続ける

「さてと、自己紹介がまだでしたな。申し遅れてしまいました。私は、アネスト王国国王。アルセリア=アネスティア=エルストリアだ」

「初めまして、俺の名前は神原勇斗と言います。その王様が何故俺なんかに会いに来てくれたんですか?」そう聞いてみた そうして帰ってきた答えは意外なものだった 俺が勇者として召喚されたのは知っているだろうかと言われて、そのとおりに返すと彼女は、そうかとだけ呟くと、いきなり俺にこんな質問をしてきたのだった。

「では神原勇斗くん。君から見てこの国はどんな風に見えた?率直な意見が欲しいんだ」そんな事を急に聞かれた俺は戸惑いつつも正直にこう言った

「正直なことを言うけど、良い国には見えなかったかな。皆んな必死に生きようとしてはいたんだけどさ。生きること自体に疲れてるように見えたんだよね。だから俺にはこの国がどういった理由で滅びかけているのかさっぱり分からない」そう答えると、王様は俺が感じたままを素直に伝えたのが気に入ったらしい すると彼女は少し微笑みながらも嬉しそうにしだした そんな彼女を見つめていると、彼女はこう言った「なるほどな。君のような若者に国の事を任せるのに心配はしていたが、問題無いようで良かった。しかしなぁ君が勇者だとしてもだ。君1人で魔王を倒すことなどできるわけないじゃないか。勇者とは、神が与えたもう力なのだ。この世界での理不尽を全て解決出来る力をな。だからこそ我々は、勇者に頼るしか無い。それしか方法がないのだから。しかし勇者の力というものも万能ではないのだよ。

そこで、我々が提案するのはだ。

勇者には勇者になって貰おうということだ」そんな事を言われても俺は困ってしまった。だってそうだろ?

「ちょっと待ってくれ。俺が今いるこの場所は何なんだ?そして俺にどうしろと言う?」

俺の言葉を聞いた王様は呆れた顔をしている。どうやら俺は間違ったことを言ってはいないはずだ すると、今まで沈黙を守っていた彼女が口を開いた

「貴様、陛下に向かってそのような口調と態度で話すなど。許されると思っているのか?!」そう言いつつ俺に近づいてくる彼女に対して俺は咄嵯に手を出してしまった

「やめとけよ。この子はあんたより弱い。俺でも勝てるぜ?」俺がそんなことを口にすると彼女は目を大きく見開いたまま固まった すると、王様はこう言う

「おい君。それは本当なのか?」

俺はそれに対して首を縦に振る

「あぁ、間違いないさ。試してもいいぜ? 俺のステータスはあんたが思っているよりも高いはずなんだ」

俺がそういうと同時に彼女は剣を抜き俺に斬りかかってきた それをひらりとかわし彼女に問いかけた

「だからやめておけっつの。俺を殺すつもりなら別だけどさ。今のお前の攻撃は俺を傷付けることはできないよ」そんな事を言っていた俺は目の前で起こる光景をただ眺めているだけだった。なんせ一瞬のうちに彼女の手の中から俺の剣が無くなっていたのである 俺はその現象を理解することが出来なかった

「えっ?!俺の武器はどこへ行ったんだ?!」そんな言葉を発しながら周りを見渡すと彼女は驚きの表情のまま硬直してしまっているのだった すると彼女はハッとすると慌てて自分の手に視線を落としたのだが、そこにはやはり俺が先程まであったはずの聖魔銀で拵えられた美しい片手剣は無くなっているのだった そして俺の耳にはそんな状況の中でも淡々と言葉を放つ声が響いていた 私達は神様から勇者様がこの世界に来るように命じられた そしてこの世界に来ている勇者が貴方様だということが分かり、私達はすぐに行動を開始しました。勇者様にこの世界のことについて詳しくお伝えするため しかし、勇者様はなかなか目覚めることがありませんでした。ですがようやく目覚めた時、彼は既にこの世界の住人となっていました それでも構いません、神様からのお告げにより彼の手助けをするように言われているのです そして私はまずは勇者がこの世界の現状を正しく理解してくれることが重要だと思い、彼にこの国のことについてお話ししました。そして私にできることがあれば協力したいと言ってくれて。私は嬉しかった。

ですが勇者様が目を覚まされた次の日の出来事です。

私はいつも通りに朝の支度をして朝食を用意して食堂に向かいます。すると突然勇者様が立ち上がり私の前に立ち塞がります そして彼は唐突にこのようなことをおっしゃった

「君は、あの時に見たメイド服の女性か?それともこの城にいる人たち全員がそうなのか?もしそうならば、俺はこの城に仕えることはできません」と 私が一体何のことですかと聞くと彼は私にこう言うのです

「えっとさ、昨日、夢でさメイドさん達に囲まれてお茶とか飲んでいたんだよね。その時のメイドさんの格好に似ていたんだけど」そういって頭を掻いている彼を見た私は思わず笑い出していました

「フッ、クフフ。アハハ。アハ。失礼いたします。勇者様。それでそのメイドは一体何人居たのですか?」私がそう尋ねると勇者様は指折りで数え始めました。そして

「5人いたな」と、私はそれを聞いていたのですぐに気がついたのであります そうして私はある決意をしたのでございます。

それは勇者を独り占めすることなのです。私は他の女性に負けないように勇者にアタックを仕掛けてみることにしました。

すると勇者は私に「俺は君のことをよく知らないから、もう少し知り合ってから考えさせて欲しいんだ」と そんな言葉をかけてきた。しかし私にはそんなことを悠長に考えている余裕は無かった それから勇者は色んな人に会って話をするようになっていったのでした。そしてある日の事、私は勇者と二人っきりになれる機会を得ました。その機会を利用して告白することにしたのであります。

私はこのチャンスを逃すまいと思い、早速実行に移しました。するとどうしたことでしょうか、勇者は困り果てたような顔をしていたのですよ。勇者の反応に驚いていると彼はこう言ったのでありました

「俺の好みのタイプの話をしていたのは確かだが。どうしてそれがいきなり俺への好意へと繋がるんだ?」その言葉を耳にした瞬間に私は思い知らされたのであった 勇者の心は既に別の人に向けられていたのだと そう思うと悔しいという思いがこみ上げてくるが今はそんなことを言っている場合ではない この想いを伝えるのだ。例え断られたとしても そして私は気持ちをぶつけてみた結果。何故か上手くいったのだった。どうも彼は鈍感らしい そして私達の関係を応援してくれた。そのお陰もあって、私と彼とは恋人同士になることが出来たのでございます。これで、私はこの城の人達よりも勇者に近い位置に立ったと思う。だからこそ今度は絶対に諦めないのだから。私達の幸せな未来のために そう、だからこれは、始まりの物語。きっとこの後に訪れる物語はもっと波乱なものに違いない。けれどそんなものは関係ない。何故なら私たちの関係には障害は付き物なのだから そうね、でも、もしもあなたが望むのならば。私はどこまででもあなたの側に寄り添い、そして一緒に歩み続ける。私はそのための存在だから。そして、これからはあなただけの特別な存在になりたいの。

だって私はあなたの事が好きなんですもの。

そんなわけで 私は彼女の事を全く覚えていない。そればかりか俺が彼女のことを思い出すことさえもできない だが、彼女の言った「君は私を知っているのか?」という言葉が引っかかっていた そう考えるのも当然のはずだ。俺にとって彼女が初対面の相手だったとしても、彼女にとっては俺とは初対面では無いのだから。しかし俺が彼女に違和感を抱いているということは、彼女は俺になんらかの記憶を持っているということだ。それならば俺は彼女のことを知っているということになる。だからこそ聞いてみることにした

「ねぇ君、俺に何か隠し事してるだろ?もしかしてだけど俺に隠しておきたい秘密でもあるんじゃ無いの?」俺のそんな問いかけに対して彼女からの返答は予想外のものだった

「いいえ、そんなことはありません。貴方には話さなければならないことがあるのです。だからこうしてここに連れて来たのですよ」そんな返事を返されると、ますます彼女に対して疑問を抱いてしまう そもそも、ここは何処なんだ?俺はこの世界で目が覚めるまで自分の部屋で眠っていたはずなんだが、それに彼女は「貴方はこの国の現状を知らない」と口にした

「貴方の置かれている状況は把握しているつもりですが、貴方はまだこの世界の事については殆ど何も知っていない。だからこそ貴方はここで暮らす上での注意事項などをきちんと知っておいた方がいいでしょう。そのために貴方には一度この国の王に会うべきです。ですが、貴方にその気が無いのであれば別に構わないですが」俺は迷うことは無かった 俺は王様に会いに行くことを決めたのだった すると王様はすぐに会いたいと俺に告げた そして王様は玉座に座り、俺も席に着く そして彼女は王様にこう問いかける「陛下、勇者様は、この国のことを知りたいそうなので、今すぐ説明してあげるべきだと思うのですが。如何なさいましょう?」俺は少し不安だったが王様の返事を待つことにした すると王は俺の事をじっと見つめてから「ふむ、君が嘘偽りの無い人物だということはよくわかった。そうだな、君の願いを叶えよう」俺はほっとしてから「ありがとう」とお礼の言葉を告げた それから、彼女は俺が異世界から来た人間であることを説明したのだった そしてその後から、彼女は「勇者」がこの世界を救うために召喚されたということを改めて王様に伝えていた そんな感じで一通りの話を終えた彼女は「勇者」がどのような能力を持っておりどんな戦いが出来るのかなどの基本的な部分について説明したのであった。そして俺は最後にこう問いかける「ところで、その「勇者」は本当にこの国の為に働いてくれるのかな? 俺はそこが一番大事なところだと考えている」すると彼女はこう答えた「もちろんですとも。勇者が力を振るえば、この国は救われることでしょう。そして私は確信しているのですよ。勇者は必ずこの国の希望になると。」そんなことを言われてしまうと俺は黙ってはいられなかった

「ちょっとまってくれ、その言葉は本当なのか?俺の聞き間違いでなければ、勇者は俺と同じように元の世界で普通に生活していて。この世界に呼ばれたって聞こえたんだが」俺の問いに彼女の顔が曇りだす「ええ、確かにそのとおりで御座います。貴方のいた世界では「勇者」は突然現れたのですよ。そして魔王が現れて世界を闇に染めようとしていると神様からお伝えがあったそうで。そして「神様から神託」を受け、この世界は救われることに決まりました。」俺と同じような立場であるはずの「勇者」が既に俺より優遇されているということが分かってしまい。悔しい思いをしながらも それでもこの国が「勇者」に頼らなければやっていけないという状況にあるのだとしたら。俺は「勇者」になるべく協力しようと決めたのである。そんなこんなで「勇者」「魔王」「魔物」「勇者パーティー」などなど色々な話を聞いた そして話がひと段落したところで俺は王様と別れることにした。「また会う時があるだろう」なんて言われてしまったからな そして俺の世話係をしてくれている女性、名前はリゼと言うのだが。彼女は「私は仕事があるのでこの辺で失礼しますね。」そう言うと去っていったのであった 俺はこの城を探検することにした まず俺はこの城にどれだけの部屋が存在するか確認することにして。一つ一つ調べてみる

「おぉ〜広いなぁ〜」そんな風に呟きながら城内を見て回る すると廊下の曲がり角からメイドが姿を現すとこちらに歩いてくると、突然立ち止まり。そして話しかけてくる

「こんにちは、お客様、この城の見学ですか?」そう尋ねてきたメイドさんに俺は答える「あぁ、俺はここに住んでいるわけではないからさ。どんな場所なのかなと思ってね。この城は凄いな」すると、メイドは嬉しそうな顔をしてから「私も嬉しいわ。このお城、とっても綺麗よね」とそんな言葉を言ってくる 俺はメイドに質問をしてみる「このお城、君一人で管理してたりしないよね?流石にそれは無いよな」するとメイドは「はい、私は掃除を任されています。お洗濯や料理なんかも担当しています。それと、勇者様と、貴方の専属メイドを勤めさせてもらってますので。もし、分からないことや、何かありましたら。気軽に訪ねてください。出来る限りのお手伝いは致しますから」その言葉に「分かった、じゃあさ。俺と一緒に散歩でもどうだい?この世界のこととかさ」俺はそう誘ってみた その言葉に対して、彼女は微笑みを浮かべて「いいですよ。それじゃ行きましょうか?」と言ってきた そうして二人で歩いているうちに、城の最上階に到着するとそこには見晴らしのよい風景が広がっている

「ほへぇーこれはなかなか素晴らしい光景だな」俺の感想を聞いて彼女は満足したように笑顔になる そして彼女は俺の手を握る「あのですね。私の両親はとても仲が良くって。

よく手を繋いでいました。そして私はそんな両親のことを見ているだけで幸せな気持ちになれたんです。

だから、私、あなたのことも。私の手で幸せにしてあげたかった。けれどもう私に残された時間は少ないみたいです。だから、だからせめて、私が出来ることだけでも、あなたのために尽くしたかったんです。私にとってはそれだけが唯一の希望でしたから。ごめんなさい。本当はもっと一緒にいられたはずなのに、私のせいであなたに迷惑をかけて、それでも私はまだ生きていたい。この命を無駄にしたくないって、ずっと思ってました。だからあなたのために、この力をお貸しできるのであれば、喜んでお借りします。お願い。あなたのために私を助けて下さい」彼女は涙を流す

「あぁ、俺にどこまで力になれるかわからんけど。助けになると思うぞ」そんな感じの会話を済ませると、彼女は急に苦しみ出す「ぐぅっ、もう時間がないようですね。勇者、この世界に来てくれてありがとう。そして私を救おうとしてくださったことを、心から感謝します。どうか、貴方は生き抜いて、この世界を救うんだ。そうすればきっと。あなたは報われるはずなんだ。だから、だから生きて。この世界を救って、あなたはきっと幸せな未来を手に入れるはずだから」

彼女はその場に倒れ込んでしまう

「待て!おい、しっかりしろ。死ぬんじゃない。生きるんだろ。約束しただろ、だから俺を信じろ。絶対にお前のことは俺が助けてやる。だから、だから。俺はまだ死にたくないんだよ!」俺は彼女の体に触れようとするも彼女の体には一切触れることが出来ない すると彼女の体が光に包まれ始める 俺は思わず目を瞑ってしまう。そして光が消えた頃に再び目を開く

「あれ、ここはどこだ?」俺は辺りを見回す「貴方は誰なんですか? それにこの子たちは一体?ここは一体何所なのですか?私は何故このような場所にいるのでしょうか?」彼女は困惑していた様子だが、次第に冷静になり現状を理解し始めたようだ「とりあえず落ち着いてくれたようで助かるよ」俺は安心感を覚えた そして彼女の名前はアリサと言い、今は訳あってこの城に滞在しているのだと説明した。そんな彼女から、俺はこの世界のことについての説明を受けていた この世界には魔王と呼ばれる存在が居るらしく、そして魔王を倒すために、俺たちが「勇者」としてこの世界に呼ばれたらしい。俺は勇者ではないが「魔王と戦う力」だけは有しており、そのため魔王に狙われているとのことだ ちなみに、俺は異世界召喚されてから三日が経過した頃だったそうだ 俺はそんな話をアリサとしている最中、俺はふと「俺の力は本当に使えるのか?」そんなことを疑問に思った。すると、アリサが不思議そうに俺の顔を見る 俺は正直なところ、自分にそこまでの力が眠っているのか?と不安になっていたのだ だからこそ俺はこの国で一番強い人に会わせて欲しいという旨を伝えた。すると「わかりました。貴方の実力については既に報告が上がっているので。恐らく貴方が望むような展開にはならないでしょうが。一応は顔合わせくらいはしておきましょう」なんて事を言われたのだった そうして案内されたのは、俺の住んでいる城とはかなり違うタイプのお城で、見た目は完全に洋風な城だった。そんな城内をしばらく歩いた後、王様は俺に告げた

「この部屋にいる者こそがこの国の最強で。魔王軍との戦いに置いて重要な戦力となるであろう人物だ。」王様は俺のことを部屋の中へと招き入れた 俺は王様に続いて部屋の中に入る。そこは、豪華な装飾品の類は無く。代わりに壁一面を覆っているのは巨大な水晶のような結晶で出来ていた そしてそこには金髪の少女が座っていた。その容姿は整っており。一目で美少女と呼べるほどには整ったものだった。そんな少女は、俺の姿を見るとこう問いかける「君は誰なの?もしかして私を殺しに来たのかしら?そんな事ならお帰り頂けるとありがたいのだけど。だって貴女みたいな雑魚に興味はないから。まぁそれでも構わないのならばここに残っていても別に良いわよ。さて、それじゃ始めましょうか」なんて言葉を放つのであった そして、俺は、この場に取り残されるわけにも行かず、とりあえず話を聞く事にした。すると彼女はこんな言葉を告げる

「私の力は「魔法」よ。「魔法」の力で相手を一方的に叩きのめすことに特化しているわ。まぁ、そんなのは見ればすぐに分かると思うけれどね。そんなこんなで私の「魔法の一撃」を受けてみる?受けてみるの?どうせ死ぬんでしょうけどね。でも私は貴方を歓迎するから。この国のお客さんになってくれるっていうのなら私は貴方に力を貸すかもしれない。ただね、貴方は弱いわ、この世界で生き残れる程に貴方の戦闘能力は育ってはいない、だからこそ私が教えてあげる。生き残る術をね。そうそう、私は君を弟子にしてあげても構わないのよ? 君がこの世界で生き抜くためには強くなるしか道が無い。

そして強くなりたければ私に頭を下げなさい、そうしないとこの世界ではまともに生きることなんて出来ないの。

私の弟子になればそれなりの生活を保証するつもりだし、それに私の側仕えにするというのも有りなのよ? 私は「この世界」において「勇者」よりも優れた人間なのだから どう?私の側に居ればそれなりに幸せになれそうな気がしない? それとも、私に服従したい?それこそ君の選択肢としては間違っていないのだと思う。

けれども貴方はそのどちらを選ぶの?私を失望させないでね」そうして彼女は微笑む

「それでは、失礼させていただきます」と、一礼して俺は部屋から出ていくのであった 俺と、彼女はお互いに無言のまま見つめ合っていた

「ねぇ」唐突な彼女の言葉によって沈黙は打ち破られる「俺に何か用か?」俺は彼女に質問をする

「私のことはアリスって呼べば良いから」彼女は不機嫌そうな声でそう答えた 俺は「あぁ、よろしくな」そう答えると彼女は嬉しそうな顔をした

「私と勝負してもらえないかしら」彼女はそんな提案を持ちかけてくる

「いいぜ」俺は二つ返事でその申し出を受けた 俺は自分の強さがどれほどのものなのかを知りたかった。それはきっとこれから先に必要なものだろうと俺は思うからだ

「この部屋で戦えばいいのか?」

俺は確認の意味を込めて質問を行う「そうよ」とだけ言って彼女が歩き出すので俺はそれに続く 俺は彼女と一定の距離を取った位置に立つ 彼女は剣を二本持っていた そして、俺は「魔法での攻撃」に警戒しながら戦闘を開始する「貴方は私を舐めてるようね。少し痛い目を見せなくちゃ駄目みたい」彼女はそう言うと一気に加速してくる「へぇー凄いな、これが魔法ってやつか」

俺はそう言いながら相手の出方を窺うことにする「あら、驚いた。貴方はどうやら本当に私のことを侮ってたみたい。そういえば自己紹介がまだだったよね、私はアリアよ。改めてよろしく」そう言うと今度は彼女から攻め込んでくる「くっ、意外と重い一撃だな。だが俺には効かない。次は俺から行くぞ」俺は彼女の剣戟に対してカウンター気味に攻撃を行う すると、彼女はバックステップをして回避を行い、さらに間合いを取って俺の様子を観察し始める「やっぱり強い。流石はこの世界の勇者と対等に戦い合う力を持っているだけはある。

けれども残念。まだまだ甘い。

これなら、この程度の戦い方ならば今の貴方はきっと私に傷を付けることはできないはずよ。貴方にはもっと私を本気にさせるだけの覚悟が必要なはず」俺は、彼女からの指摘を受けつつ 次の攻防に備えて意識を向ける彼女の持つ「双剣」

俺がこの世界で見る初めての剣だ。彼女はこの世界に来る前から剣を使っていたのだろう。そんな彼女の実力は相当高いものだと容易に想像できた そんな彼女との戦闘は、かなり長く続いたように思えるが、実際にはそこまで時間が経過しているわけではなかった そして俺は彼女を追い詰めたのだが。彼女は「ふぅ」と息をつくと、彼女は笑みを浮かべてこういった

「なかなか楽しかったわ。貴方とはきっと今後も戦う事になると思う。その時はきっと全力をぶつけ合える関係になりたいわ。それまではさよなら」と彼女は別れの挨拶と共に去って行った それからというもの、アリサと一緒に過ごす毎日が始まった 最初はアリサから「勇者、私に稽古を付けて欲しい」なんてお願いをされたから一緒に訓練をしていたんだが。それが次第に日課のようになっていき、最近では一日のうちの半分くらいの時間を使って俺達は二人で鍛錬に励んでいた。俺がアリサに剣術を教え。逆に俺には魔法についてアリサから教わるという形にいつの間にかなっていた。アリサは天才という言葉すら生ぬるいと感じる程の才能の持ち主で、俺は、彼女の成長速度には驚かされっぱなしだ。今では俺は魔法に関してはかなりの実力を身に付けることが出来た だが。俺には未だに解決していない問題があった そう。この国最強と噂されている剣士との勝負だ。正直なところ俺がこの国最強だと思っているあの人とは戦った所で絶対に勝てる見込みはないと断言できる。そんな相手にどうやって挑むべきか悩んでいるのだ そんなことを考えている間に俺は城の中で、偶然にアリサと出会う

「お久しぶりです、アリサ様」「うん。お疲れ様。それで何があったのかな?顔が暗いから気になったんだけど。もしかして悩み事?私に出来ることがあるなら相談に乗るよ?」俺は正直なところ誰かに相談をしたかった。だからこのチャンスを利用してしまおうと考えた

「アリサ、ちょっと頼みたいことが有るんだけど、聞いてもらえるか?」

俺の言葉にアリサは笑顔で「大丈夫だよ。任せて」と答えてくれる そうしてアリサは俺を連れてどこかに向かう「どこに行くんだよ?」俺はアリサに質問を投げかける すると彼女は「んー。そうだなぁ、とりあえず私の実家に来てもらってもいい?私の両親は私の好きな人であれば基本的に誰でも受け入れてくれそうな性格をしているから安心してね」なんてことを言うので俺は内心「俺の好きはどういう意味で解釈されるのか不安な部分もあるけど、アリサに変な勘違いはされてなさそうだからまぁいっか」とそんな風に考えていた。

俺はしばらく歩いてようやく目的地に到着する「ここが私のお家なんだ。ただいま」と言って扉を開ける そして俺達は中に入っていく そしてアリサは両親を呼びに家の中に入る「お父様、お母様、勇者を連れてきたので話を聞いてあげてくださいませんか?」

そんな言葉をアリサが放った瞬間、物陰に隠れていた人達が一斉に現れて俺を取り囲もうとする。しかし、それはアリサの手によって防がれる

「お父さん達ったら勇者が怖がっちゃうでしょう?さっきまであんなに楽しそうにしてたんだから今は邪魔しないでください。それとも私に逆らいますか?貴方達がこの国からいなくなった後ならば私としても何も言いませんよ?」そう言ったあと、この場に静寂が訪れた「ほらね?この通り、私がちゃんと見張っているのでご心配は無用ですよ。それに、彼は私の弟子のようなものなのですから、そんな事をすれば許さないんですよ?」その言葉を最後に、再び俺達は二人っきりになれる

「それじゃぁとりあえずこっちに来なさい」とアリサの母親がそう告げる 俺とアリサの二人は連れられて一つの部屋に通されると、そこは綺麗で、いかにも高そうな家具などが置かれており、とても上品な雰囲気を醸していた そしてそこには、一人の男性が座っていた。そして、俺を値踏みするような視線でこちらを見てくる

「よく来たね。私のことはお義父さんと呼んでくれても構わないからね。まぁ君のような少年が私の息子になるなんて事はあり得ない話ではあるが。それと私の妻のことは義母さんとでも呼ぶと良い。ちなみに君をここに呼んだのはね、君とアリサとの関係がどのようになっているのかを聞きたかっただけなんだ」

おとうさん。そう呼ばれた時一瞬動揺してしまった

「私としては、アリサが君にぞっこんで君以外眼中に無いということしか分かっていない状況なわけでね。君はどうかな?もしも私の娘と恋仲になりたいと考えているなら申し訳ないけれど。この国の王としては、君の願いを叶えるつもりは無い。君のことはとても素晴らしい青年だと私は考えている。だからこそこの国の力になってくれることを願っている。だからこそ私に協力してくれないだろうか」俺はその言葉を聞いたときに「これはまずい。非常にまずい」と思ったのでどうにかして話題を変えることにした

「俺は、俺は。俺は確かに、そのアリサのことが好きだけど。俺は彼女に釣り合わない男だし、俺にはそもそも彼女のような人は勿体無いんじゃないですか?彼女はきっともっと素敵な人に会えますから」

俺がそんな風に言うと何故かアリサのおとうさんの機嫌が悪くなる。

「いい加減にしな!このクソ野郎!」そんな怒号が部屋の中に響き渡る。それと同時に部屋の壁が破壊されてしまい。そこから入ってきた兵士によって取り押さえられる

「お前みたいな奴に。お前なんかに。この子の気持ちを弄ばれる覚えはないんだよ!俺はずっと見てた。この子はお前のことを想って泣いていたんだぞ。お前にはこの子が、どうしてこんなにも傷付いてしまったのか分かるか?」

俺には分からなかった。でも答えられなかった。そんな俺を見て、アリサのお父さんはさらに怒りを増していく「おい、貴様、今この子に向かって『この子に相応しくないと?』とか言わなかったよな。それは私に対して言っていることと何ら変わりはないだろう。この子を悲しませた責任は必ず取らせるから。覚悟していろよ。お前がどれだけ強かろうが、どんな力を持っていようが、そんなものは全く関係が無い。私の娘を傷つけると言うのなら容赦はしない」その言葉で俺は理解する。俺はとんでもない地雷を踏み抜いてしまったのだと 俺はその場で処刑をされた そして目が覚める。

「夢か。なんだったんだ?あれは、俺にどうしろって言いたいんだよ」そうやって俺はベッドから降りて身支度を始める そして、朝飯を頂き、俺は外に出ることにした。今日から本格的にアリサとの稽古が始まる

「おはようございます。アリサ、今日の稽古は何をするんだ?」俺がそういうと彼女は俺に対して笑みを浮かべながらこう言った「今日から本格的な戦闘の訓練を始めようと思って。昨日も伝えたとは思うけど、私は魔法に関してかなりの実力を既に身に付けている。そこで、次は剣の方を重点的に鍛えていきましょう」とのことだった。俺はアリサに言われたとおり素振りを行う「うわぁ。これやべぇな」

そう。俺は魔法に関してはそれなりの実力を手に入れた。しかし、剣の方は素人なのだ アリサは、俺の実力に合わせて的確に指導を行う。俺は必死にそれを真似ようと頑張る。だが、やはり俺が彼女のように戦えるはずもなく。むしろアリサが俺の戦い方を学ぼうとしてくれるのだ 俺はそんなアリサの姿を見ながら、彼女のように強くなりたいと本気で考えるようになっていった。俺は今まで、自分の弱さに甘えて逃げてきた。だが、これからはもっと強くならないといけない。彼女のように戦うことが出来るようにならなければ俺は、きっと彼女に相応しいとは認められないのだろう。

そう思い、俺は再び鍛錬に勤しむ。アリサに少しでも追いつくために

「勇者さま、最近、何かあったんですか?」そう言って話しかけてくる少女の名前はアイリという 彼女は俺に懐いてしまっていて。最近では毎日のように、俺と一緒に居るようになっていた 彼女は天才で。そして俺に魔法についていろいろと教えてくれる 俺はアリサが言っていた魔法の才能という物について少し疑問を感じている。俺の場合は魔法の才能など一切存在しない。魔法についての知識だって無いのだから、俺に魔法の使い方を教えるという行為が、彼女の為になっているのかという事に疑問を抱いている。俺が、そんな事を考えると、彼女の母親は「あの子はね、貴方の事についていつも相談をしていたのよ。貴方の役に立てていないんじゃないかと。そんなあの子に対して貴方は何も文句は口にしていないでしょう?」と言われてしまった。

正直なところ、俺がアリサの役に立てるかどうかなんていう問題は存在しない。ただ単に、彼女が努力家で。それに俺は付き合っているだけのことだ。俺は、彼女の事を凄いと常に感じているし。それに俺はそんな彼女を愛している。ただ、それだけの話でしかない

「そうだ。せっかくなら勇者様、私が手合わせをしてあげても良いですが、如何致します?」その問いに対して俺は「遠慮しておきます」と即答する。

そして「そういえば、俺に勝てたらお願いを聞くとか言ってましたよね?」俺は思い出したのだ。

俺が負ければ俺は何でも彼女の命令に従うと約束していたのだから「あ、あれは無しです。私にはそんな勇気がないのです」俺はそんな事を言っていたアリサの手を掴む「それじゃぁ。訓練の時間ですよ?さっさと来てください。俺と貴方の二人っきりですよ?」俺は強引に彼女を連れ出した。そして、二人で向かい合う

「えへへ、私、実は男の人とちゃんと戦うの初めてで」彼女はそんなことを言うので俺は彼女に優しく微笑んであげる

「まぁ、無理にとは言いませんけどね。それじゃぁ始めましょうか?」俺はアリサと対峙するように位置取ると剣を構える。それに対して彼女は腰元に手を回そうとする。恐らく、彼女は魔導具と呼ばれる物を持っているに違いない 俺も一応は魔導士なので。そういった知識はしっかりとある。しかしだ、俺はあえて彼女には攻撃は仕掛けず様子を見る事にする

「勇者様?私と戦いたくないですか?」

「いや、戦いたいですよ?でも。別に今からでなくても良いでしょ?貴方の準備が出来るまで待っていてあげますよ」その言葉を聞いた瞬間、アリサの顔つきが変わる「それではお待たせしました。いざ勝負と行きましょう」そう告げると彼女は一気に動き出し、俺へと接近してくる そして俺は彼女の拳が放たれる前に蹴りを放つ。

「な、何で。どうして私の技が見えたんですか?」そう言うアリサ 俺は彼女に「まだまだ、全然甘いですね。それに、俺は魔法使いなので近接戦に弱いと思っているんじゃないですか?それは大きな間違いですよ」と答えるとアリサは俺の腹部に目掛けて蹴りを入れようとしたので俺は彼女の足を掴もうとするのだが彼女はそれを避けて後方へと下がる

「やっぱり私の考え過ぎでしたね。あなたは確かに強いかもしれませんが、それでも私の方が上だと確信をしています」

そんな言葉を吐くと再び、彼女は攻撃を俺に対して行ってくる。俺も負けじとそれに応対しようとするが 俺は地面に叩き伏せられてしまう

「大丈夫ですか!?すいません。つい力が入ってしまって」そういって俺の身体を起こしてくださる 俺は、そのまま立ち上がる「いや、大丈夫だよ。それよりもアリサ、君は本当に俺より遥かに強いんだね」

俺がそう告げる。するとアリサは「はい。私よりも貴方のほうが遥かに優れています。私なんかが到底敵わないくらいに」と俺を持ち上げてくるので「俺なんかを過大評価しても何も良いことなんかありませんよ」と言って俺は立ち去る「また来てくれないんですか?」

「いえ、今度こそ来るつもりです。今度は俺が貴女に勝つつもりなんで。そしたら貴女の言うことを一つだけ聞いて差し上げますよ」

「ふふ、楽しみにしておりますね。でも、次は私、負けるつもりは一切ないので」

俺はアリサに勝ち。そして彼女にお願いを言うことにした アリサは、俺がこの国に来て一番最初に知り合った人だ。そして俺はアリサの優しさに触れていく度に好きになっていった。だからこそアリサが、俺のことを好いているということを実感できた時に。その願いを叶えてやりたいと思ったのだ そして俺はアリサが俺に対して好意を抱いていることを本人に伝えた。そして彼女は、俺からのその言葉を聞いたときに嬉しそうに涙を流す。そしてその日の夜に俺達は結ばれることになった アリサは、俺が異世界からこの世界に来たという事実を知っている数少ない人間の一人である。だから彼女は俺がこの世界の文化に疎いということも知っている。しかし、アリサが作ってくれた料理の数々は非常に美味しかった。特にカレーライスが最高である 俺は今、彼女の家にお邪魔している。この世界に召喚されてから既に一週間ほどが経過した そして俺の今の目標は。とにかくこの世界を満喫する事にある。この世界にはゲームは無いしアニメも無い。漫画だってラノベなんて無いんだぜ? 俺はこの世界で何をして生きていこうかなと考えている最中なわけよ。この世界に来るまでは毎日のようにニート生活を送っていて暇だったのにも関わらず。今ではそれなりに忙しいのだ そんな俺を見てアリサが不思議そうな顔をしているのが少し気になる

「どうしたの?勇者さま、最近なんだか元気が無いような気がするんだけど」そうやって話しかけてきた。俺はその質問に対して「俺にそんなことを聞いてくるなんて珍しいじゃないか」と答えた アリサは「勇者さまは私にとって特別なんだから。それに、貴方のことが好きでしょうが無いの」と、俺の膝の上に頭を乗せてきた。そんな可愛い彼女の頭を撫でてやる 彼女は気持ち良さそうにしている。まるで猫みたいだ そして、俺が彼女に対して「お前はいつから俺に対してそういう態度を取るようになったんだ?」と尋ねると 彼女は「勇者さまは私のことが嫌い?」と少し寂しそうに答える

「いいや、お前は優しい奴だと思う。俺はお前に救ってもらった。そしてお前には何度も助けられた。俺だって本当は感謝をしているんだよ。ただ、今までの行いを悔い改めようとしない俺自身が許せないんだ」

そう俺の言葉に反応するように「それなら、私は貴方の全てを受け入れる」と彼女は言った。そして俺はそんな彼女の耳元に口を近付けて「なぁ。今日もお前の家に泊まりたい」そう伝えるとアリサは恥ずかしそうに頬を赤くしながら俺の方を見る 俺は彼女の瞳を見つめると彼女が小さく首肯したのを確認してから彼女を優しく押し倒す それから数日の間は、毎日のようにアリサの部屋に泊まった。もちろん俺は彼女の母親には事前に話を通しているのだけれど、その日以来アリサは俺と一緒に眠る事を拒むように なってしまった。しかしだ。アリサの部屋に入り浸っていたので、俺は彼女が毎日のように俺のために食事をご馳走してくれていた事も理解していた 俺とアリサが恋人関係になって二ヶ月が経った。そして、アリサと出会ってから、早くも一年が経とうとしている。俺とアリサの関係は良好で、お互いを愛し合っていた。しかし、アリサは魔法の研究にのめり込んでしまっている。だから最近は俺と一緒に居てくれないし、食事なども俺が作りに行く始末になっている そんなある日のことだった。アリサが俺の目の前に姿を現すなりこう告げた

「ねぇ、アリサちゃん?勇者さんと別れてください」俺は唐突に現れた女性の方に顔を向ける。アリサはその女性を睨みつけながら口を開く「どうして?貴女が彼に用があるとは思えないんだけど?」と彼女は言い返した。

「あら?そんな怖い目をしないでほしいな。アリサちゃん、貴方だって勇者様を独り占めしたいはずでしょう?だってアリサちゃんは、彼以外の人との繋がりを持ととしていない。違うかしら?」アリサは彼女の言葉を聞くなり、不機嫌な表情になり。その後ろ姿を見た女性は、俺に向けて笑顔を浮かべてこちらへと歩み寄ってきた 俺はアリサが俺に助けを求めているのではないかと思い駆け寄り。アリサと女性を引き離そうとしたのだが「ダメだよ?私から勇者様を奪おうなんて」そう言って女性は、手に持っていた刃物で俺の腕を突き刺してきた 俺は激痛が走り。そしてその痛みに耐え切れず、俺は意識を失った。

「うぅ、こ、ここはどこだ?」

俺は目が覚めると知らない部屋にいた そして隣を見ると見知らぬ女性が座っていた。そして俺と視線が合うと「おはようございます。勇者様。お加減の方はいかがでしょうか?」と尋ねてきた

「いや、ちょっと待て。俺は、あんたに名前を告げた記憶はない。そもそも、なぜ、俺の事を、そんなに勇者と呼ぶ?」俺は動揺しつつも何とか声を出した。するとその問いに答えてくれたのは、アリサの声ではなく。その女性のほうだった

「私は、女神アスタ。そう呼ばれております」俺はその名前を聞いた瞬間。頭がおかしくなったかと本気で心配した 俺はとりあえず。その自称女神を名乗る人物から、この現状について詳しく聞くことにした。そして彼女は語る まず、今、俺は、アリサの身体の中に存在している。簡単に言うと幽体離脱状態だ そして俺は死んだというわけではなく。肉体ごと魂が抜けてしまっている状況らしい つまり俺はアリサの中に存在する霊的な存在なのだ アリサは、自分の身体に、別の人格が存在していて。しかもそれが男だと分かった時点で俺がどんな状態になるか分からないと判断して俺のことを、あの時、見捨てたのだという そして俺は、アリサがこの先どのように行動し、生きていくのかを見守って欲しい。俺が死んだのは残念だ。だが俺は君が好きだ、幸せになるんだぞと言われたそうだ。俺のことを本当に好きなら、あんな無様な姿を見せるべきではなかった 彼女は、俺との思い出を大切にしていて。だからその俺と過ごした時間が大切なものだと気付くことが出来た時には俺が死んでしまっていて。その後悔は、一生残るものになってしまったのだと教えてくれた 彼女はその日から、俺の死を忘れるために魔法を極めて、この世界の誰よりも強い力を手に入れることに心血を注いだ そしてその強さを手に入れた頃には。俺に対する罪悪感だけが、心の支えになっていて。

アリサは、この国で生きる意味を失ってしまったのだと俺に伝えてくれる そんな俺と彼女は、今現在。お互いに向き合っている。

そして俺の口からはこんな言葉が出てきた「アリサは、まだ俺の事が好きだと思ってくれてるの?」と俺が彼女に尋ねると「当たり前でしょ?だから、こうして会いに来てあげたの」と少し嬉しそうに話す 俺がこの世界で目覚めたとき。最初に出会ったのがアリサである だから俺は彼女から貰った物が多く。だから彼女がくれた言葉や想いが。今もなお残っている そして、それは。俺の心の中で生きている だから俺はアリサの頭を優しく抱き締める

「えっ?どうしたの?」と驚いた様子を見せるアリサ 俺は「お前が無事でよかった」と言って、彼女の頭をゆっくりと撫でる 俺は、アリサのことを守りきることができなかったのだ。俺のせいで。俺は彼女に酷いことしか出来なかったのだ 俺は彼女を守るために強くなろうと決意した。そして俺は、その約束を果たすために。俺は異世界から再びこの世界に戻ってきた。アリサと再会を果たして、アリサを護り。アリサと二人で暮らしていくんだ 俺は、そんな気持ちを抱えながら。これからどうしようかなと考えていると、アリサが「ねぇ、そろそろ離れてほしいな。なんか落ち着かない」と言われてしまったので、俺は素直にアリサから離れることにした 俺は彼女の頭を撫でるのをやめると「なぁ、一つ聞いてもいいか?」と質問をした

「なに?」

「お前は俺に何をしてほしい?」

「ふーん。じゃあ、キスしてくれる?」とアリサが微笑んでそう言ったのを聞いて「わかった」と返事をして彼女の額に軽く口づけをする。そしてそのまま唇を重ね合わせると、彼女は頬を赤くしながら照れくさそうに「もっとしていいよ?」と言うので、もう一度口付けを交わす。そして俺と彼女は長い時間口付けをしていた。そして彼女の方から離れたときに「勇者さま。愛してる」と言いながら俺の胸の中に飛び込んできた。俺は彼女の身体を抱き寄せる 俺は彼女を優しく包み込むようにして「大丈夫。絶対に俺がアリサのことを守ってみせるから」と伝えた

「ありがとう勇者さま。でも私はね、勇者さまに迷惑をかけるつもりはなかったんだよ。ただ私は、私が勇者さまと一緒に生きていけるような力が欲しかった。それだけなの」彼女は涙を流しながらも笑みを浮かべてそう口にする。俺は、そんな彼女を見て「俺もアリサと一緒に生きていきたい。そしてずっと一緒に居たい」と答えた

「そういえば勇者さまって。どうして私の名前を呼んでくれないの?」

俺はアリサに質問されたことで「そうだったのか?俺はアリサの名前を呼ぶ資格が無いと思ったんだ。アリサのことが大好きなのに俺はお前に対して、酷い態度ばかりとってしまった。俺は最低な人間なんだ。俺はそんな奴を名前で呼びたくないだろ?」

アリサは俺の言葉を聞くなりクスッと笑うと

「勇者様は、私のことをそんなに大切に思ってくれていたの?なら私はそれでいいんだよ。それに私は、今の勇者様が好きなの。私のことを考えてくれている貴方が大好きなの。それにさ、貴方がどんなに悪い人だって私は構わないの。だって勇者様の全部を私に見せて」

俺は彼女の言葉がとても嬉しく感じてしまい。そしてアリサが俺の事を想っていると知っただけで俺は涙をこぼしていた 俺には、彼女を救えなかった責任がある。だから俺は彼女の願いを叶えてあげたい 俺は彼女に告白をしたときに彼女の手を握った時に見た指輪が。どうしても欲しいと思い 俺は、それを指にはめてやることにした。しかし、彼女は俺の行動の意味がわからず不思議そうな顔をしているので俺は彼女にこう説明した

「俺とアリサの絆が永遠に結ばれるように、これはおまじないだ」

俺がアリサに伝えると「勇者さま、これ。どうして知ってるの?」

「俺は勇者じゃない。ただの平凡な高校生だ。だけど、お前と出会ってからは、色々なことがあった。お前と出会ってから俺の人生は大きく変わった。アリサは俺のことを助けてくれた。そして俺も、アリサを助けたい。俺はお前のことを救いたい」俺は必死に彼女に思いを伝えようと、どうにか言葉を絞り出す アリサは泣きそうになっている

「どうしてそんな事を言うの?どうしてそんなに悲しそうな目をしているの?」彼女は不安に苛まれているようで、俺は少しでもアリサを元気付けてやりたい

「アリサは俺のことが嫌いか?」と問いかけたのだが。その問いを聞いたアリサは俺に向かって、いきなり平手打ちを喰らわせた。そして彼女は「バカ。そんな訳無いじゃん。私だって貴方の事が大好き。でも貴方は私の気持ちを信じられないの?」と怒られたのである

「ごめん。俺はまだ、お前の事を信じられなかった。お前のことを好きになってもいいのか?また俺は失ってしまうかもしれない、お前を失うんじゃないかって考えると、怖いんだ。だから俺はまだ、お前のことを信頼できていなかったんだと思う。すまない。許してくれとは言わないが、俺は、お前を幸せにしてやれるような人間ではないんだ」「もう!いいの。今は信じなくていいから、いつかきっと、私が貴方を幸せにするの」

アリサにそう言われても。俺の心の中の不安が消えることは無かった 俺はアリサのことが心配になった。アリサは何かを隠していて、俺は、その秘密が知りたかった 俺と彼女は互いに抱きしめ合う

「勇者様はやっぱり温かいね」と俺の腕の中でアリサが囁くのが聞こえたので俺は

「アリサの肌はとても柔らかい」と言ったら彼女は「勇者様のいじわる」と言いつつ恥ずかしそうにしているのが見えた 俺は「アリサ」と呟いて、彼女にキスをした そしてアリサから俺へと、その気持ちは流れ込んでくる

「ねぇ勇者様。私とひとつになってくれる?」

俺は彼女の問いを聞き「どういうことだ?」と聞き返す

「えっと、つまりは、その。あの、あれなの」

「アリサが何をしたいのかは理解した。俺は別にそれでもいいが、本当にアリサが望むなら。お前の事を幸せにしてやる。だから、無理しなくてもいいんだぞ?」と俺が言うとアリサは少し怒った顔をしながら

「そういうこと言って。本当に知らないからね?覚悟してよ?」

彼女はそう言いながら俺のことを見つめると。彼女は、その身に纏う衣装を一枚ずつ脱ぎ始める アリサは俺の身体に跨ってくると。その綺麗な身体を俺の目の前に差し出した そして彼女はその美しい手で、俺の服を脱がせてくれる 俺はアリサに導かれるままに、彼女と一つになる為に互いの体を重ねた その日俺達は何度も交わり続けたのであった。

「勇者さま」彼女はそう言って優しく口づけをする。彼女は今、幸せなのだそうだ。彼女が何を考えていたのかなんて事はどうでもよくて、ただ俺と過ごす日々を大切にしていてくれれば俺は嬉しいんだ。

俺はアリサの手を握る。そして彼女が俺の顔を見上げる。そんな彼女を見て、つい彼女の頬に口づけをする。するとアリサも負けじと俺の頬に優しく口づけをする。俺はそんな彼女を見ると胸が高鳴るのを感じるのだ。

そしてアリサは俺の首に腕を巻きつけて「もっとキスしよう?」と言い、それを聞いた俺は彼女の望み通りキスをしてあげる 俺とアリサが、そんな風な時間を過ごしていたら突然扉が開かれて。アリサは驚いて俺から離れてしまう そして「なんだ君は?一体誰の許可を得て入ってきたんだ!」アリサはその人物に向けて声をあげる。俺も彼女に倣って立ち上がり相手の様子をうかがう

「あら、あなたがアリサちゃんなの?随分と素敵な方とお付き合いをしているのね」と女性の声が聞こえる

「アリサ?アリサだと?お前が私の名を呼ぶんじゃないよ!!」「あら、どうしてなのアリサちゃん」

「その馴れ馴れしい態度を今すぐ改めろ。貴様と私が友達などありえるはずがないじゃないか」と怒鳴りつけるアリサ それに対してその女性は「そうかしら?」と言うと俺のほうを見て話しかけてくる「勇者さん、この人はアリサのお母様なのです」アリサの母だという女性が話し掛けてきたので俺は慌てて挨拶をすることにした「あ、初めまして。俺の名前は勇者であります。今日、娘さんのアリサさんと一緒に暮らすために引っ越してきました」そんな風に自己紹介をすると 彼女の母親が微笑み「よろしくお願いします。私はこの子の母親のリシアです。ところで勇者さん、娘のアリサは、こんな子なんですが、どうでしょう?これから仲良くしてくれるかしら?」と言われてしまった アリサが何か文句を言いかけたようだったけど、俺は「アリサは、凄い良い奴だと思いますよ」と笑顔で答えたんだけど。

「ちょっと、私の勇者様に気安く触らないで」アリサがそう言うと母親は

「ふーん。じゃあ、勇者さんが私達のことを認めてくれたなら私は喜んで協力させてもらうわ」と言い出したので、俺は思わず「なんでそんなことをするのさ」と聞いてしまった アリサの母親である彼女は「だって、あなたのお父様がね、アリサの事を愛してくれなかったって嘆いているのよ。それにね、私もアリサのことが心配なの。この子が、勇者という存在に固執しているのを知っているからね。そしてこの子は私達夫婦の宝物なの。だから私もこの子に協力してあげなくちゃ」

「ふざけるのもいい加減にしろ!私にだって親を選ぶ権利はあるはずだ!お前のような無神経で厚かましい奴と私とを一緒くたに語るな!それにな、お前みたいな奴を私は家族だと思ったことは一度も無いんだよ!出て行け!二度と姿を見せるな」とアリサは、俺のことを自分の方に引き寄せるなり。そんな感じの捨て台詞を口にしたのであった。そんなアリサの様子を見た俺は、「まぁ、いいじゃないですか、俺はアリサのお母さんがどんな人だったとしても構いませんよ」と言ったのにアリサは何故か不満そうに

「もういいから。私の部屋に来てよ。そこで話そう」と俺を部屋まで連れて行こうとしたのだけど。そんな俺たちの前に、一人の少年が割り込んできたのである その男は俺を鋭い目つきのまま睨むと「お前が、僕のお父さんの言っていた人間なのか?もしそうなら僕にも戦わせてくれ。アリサのそばにいる男がどれ程の力を持っているのか、僕は確認する必要があるからな。そして僕はその男を倒すんだ。それが、きっと僕が為すべき事だと思うんだ。僕は君のことが嫌いだからさ、絶対に邪魔をするからな」とか言ってきやがった。俺がこいつのことを気に入らない理由はいくつかあるが、一番大きな理由は「俺はお前のことが嫌いだから、消え失せろ」って言葉が、どう考えても挑発にしか思えなかったからである。だから俺は「俺は、お前のことなんか、どうだっていい。だからお前が何処かに行くか、俺とアリサの話の続きに横槍を入れるのか、好きな方を選べばいい」

「お前は何を言っているんだ。そもそも、お前は敵だ。そして僕も君が憎くて仕方が無い」そう言いながら少年は、俺に対して敵意剥き出しだ 俺は「俺に勝てると思っているなら好きにしたらいい」と言いつつアリサに話しかける「悪いけど少しだけ二人で話がしたいから外してもらえるか?大丈夫だ。すぐに戻ってくるから」

アリサは、心配そうにして「本当よね?変なことしない?大丈夫だよね?」としつこく質問をしてきた 俺は「大丈夫だって、ほら早く行かないと怒られちまうぞ」と彼女の背中を押して部屋から出ていくように促す。そうしてアリサは、ようやく俺の言葉を聞いて外に出てくれた 俺が扉の外を確認している間に。俺を殺そうとしていたその少年は動き出していたが、俺が既に剣を抜き終わっていることに気づいたようだ

「何だよ。やる気か?」俺が問いかけると。「当然だ!殺してやるよ!」と言って襲い掛かってきた その男の実力はかなり高いように見えた。でも俺には遠く及ばない程度だったので、余裕を持って回避してやると

「何故当たらないんだ!畜生、調子に乗るな!」

俺は攻撃を回避すると同時に相手の足に斬りかかると。「くっ!痛い。だがまだ負けていない!」と言って反撃に転じようとしたのだが、それは無理だった

「お前の武器では、俺は倒せないよ」と一言。そう呟いた俺が、相手に近づいて切りかかってきた。その一撃で勝負が決まった 俺の攻撃で気絶してしまったらしい。彼は倒れて動かなかった

「おい。起きれるのか?」そう俺が声を掛けたら。「あぁ。問題ない」と答えて、よろめきながらも立ち上がったのだ。

俺はアリサと少し離れた所に腰掛けたので、彼女は不安そうな表情をしながら「大丈夫なの?」なんて尋ねてきた。俺が「もちろんだ。何も心配することは無い。だから、俺を安心させるために少し抱きついてみて欲しいんだが?」と言うとアリサが照れくさそうにしながら「うん、分かった。それじゃあ、遠慮なく」と俺の膝の上に座って。彼女は後ろから俺のことを抱きしめてきた。俺は彼女の手を握ってやりながら、そっと彼女の頭にキスをした。するとアリサも振り返り、俺の顔を見ながら口づけを交わしてきた

「勇者様、アリサの事を大切にしてくれる?」そんな事を彼女が口にしたので俺は迷わずに「当たり前じゃないか。お前のことを大事にするし、何があっても幸せにするつもりだし。幸せにするために、お前のことを愛し続けるつもりなんだぜ?」と答えたらアリサの目に大粒の涙が流れた 俺はアリサを抱き寄せる。そして彼女を優しく包み込むと。彼女は嬉しそうにしている「勇者様、ありがとう。嬉しい」と言って、アリサから、また俺の方から口づけを交わすと。俺とアリサの心の中には暖かいものが広がっていたのであった 俺とアリサが互いに唇を重ね合っている間、ずっと黙って見続けていた母親と妹がいた。二人も口付けをするべきか?と考えていたのかも知れないが、俺は恥ずかしかったので。アリサの身体を離した。そして彼女に優しく語りかける

「俺は、いつでも待っている。俺はいつまででもアリサと一緒に居て。アリサのことを見守っていたいし。俺の大切な人と一緒になってくれる時を待っていたいからな。俺は、アリサが望んでいないのに自分だけが勝手に幸せになろうとするわけにはいかないんだ。俺はアリサのことも同じように大切にしたいからな。それで、どうする?アリサの気持ちも聞かせてくれよ」と尋ねると

「私は、勇者様に私の全てを預けたい。私の心が求めているのは勇者様だけで。私の全てが欲しいと願っている相手は、世界でただ一人、勇者様だけだと誓える」アリサがそんな風に言うので俺は彼女のことが可愛すぎて、強く抱きしめた。アリサは俺の腕の中で大人しくしていてくれていて そして「私は貴方と、もっと一緒にいて、色々な話をして、色々な思い出を作って行きたい」と言うとアリサは目を閉じた。俺はそんな彼女の事をとても可愛いと思ってしまった。だから、俺はアリサの頬に手を当て、顔を近づけていく。互いの吐息が掛かるほどに接近したところで

「あらあら、若い子たちね。でも良かったわ、二人が仲良くしてくれるようになって、本当に安心したわ」アリサの母がそう言い出したので、俺は慌てて彼女と距離をとった。すると彼女は微笑みながら

「あら、そんなに離れなくてもいいじゃない。勇者さんは照れ屋さんなのね。そんな風に思っていてくれるだなんて私としては喜ばしい限りね。さて、アリサちゃんは、今日はこの家に住む事になったのです。勇者さんのお仕事が忙しい時は。私のお家で面倒を見ることにしました。それに勇者さんが、ここに来るまでは私と妹のリシアが面倒を見ていました。だから大丈夫ですよ。これからは私が責任をもって面倒をみるつもりですから、ご迷惑をかけることは絶対に致しませんから、どうかよろしくお願いします」と丁寧に挨拶してくれたので、俺は

「いえいえ、お世話になるのはこっちのほうなので。俺こそよろしくお願いします」

「ところでさ、どうして俺が異世界に行きたがってるのがわかったんだ?それにさ、あんたは一体何をしようとしているんだ?俺の味方だってのなら教えてくれよ」と尋ねた すると「うーん、簡単に言ってしまうとね。私達の種族はね、勇者という存在が好きなのよ。それは、私達の祖先がこの世界を創る時に最初に現れた人間達だから、私達は彼らを尊敬しているのよ。そして彼らは私達のようなエルフ族に力を与えてくれたの」と言いだした なるほどね、と思った。俺の予想通りこの世界の神々的な人達が、この世界に最初に来た人間達に力を与えて送り出したのだと

「ふぅん。それじゃあさ、俺が力を与えられてこの世界に送り出されたのは、やっぱり運命的なものなの?」そう質問を投げかけた 彼女は「そのようですね。そしてあなたに力を授ける際に、私も協力をさせていただきました。あなたのことを助けられるようにと。私の願いが、その剣を通して、あなたに伝わっているはずです。そして、この世界には、あなたの他にも多くの人間達がいます。そしてその中には。私の子供達もいるんです」そう答えてくれた その話を聞いて「なんだよ、結局は俺とアリサの仲を認めてくれているんだな」と笑ったら。アリサの母親も

「はい、そのとおりです。私たちは、どんな理由があるにせよ、あなたと、アリサさんの仲を祝福いたしております」と言った そんなことを話しつつ、俺たちは楽しく過ごしていたのだが

「あのさ、お母さん。私と勇者様もそろそろ、結婚の許しを貰いに行こうと思っているのだけど。お父さんには内緒にしておいて欲しいの」と、とんでもない発言をしたのであった それを聞いたアリサの母親は「まぁまぁ。アリサもようやく決心してくれのですか。それでは勇者さんも、そろそろアリサをお嫁に出すことを考えて下さらないと」と言い出したので、アリサが俺のことを思いっきり引っ張ってきたのである 俺の服を引っ張ってくるアリサはとてもかわいい そしてアリサに腕にくっつかれて嬉しかったので 俺がニヤけている間に、アリサが母親の説得をしていたのだ。その結果。「えぇ。それじゃあ仕方ないですね。わかりました。ただし条件があります」

そう言って彼女は俺に、ある提案を持ち掛けてきたのである アリサは俺のことを信頼して。母親に色々と打ち明けた。俺と結婚するためには必要な事なのだそうだ その条件でアリサの母親が出してきたものは俺にとって非常に魅力的なものであった まず一つ目は。俺のことを正式に娘として迎え入れる事 次に二つ目。それは俺とアリサとの間に生まれた子供を。正式に我が家の子供として受け入れて欲しいというものだった俺は当然「了解した」と答えたのである そして三つ目が「俺とアリサは今すぐにでも結婚したいという意思はお互いに持っているのだから。そのあたりについて俺がアリサの事を大事にしていることを、親御さんには認めてもらいたいし。アリサにも俺がどれだけアリサのことを大事に想っているかを理解して欲しい。それが俺とアリサの結婚の条件だ」

そんな事を頼んだ それから俺はアリサと二人で街に繰り出すことになった 俺にとっては、初めての街だし、初めての恋人とデートだ アリサと一緒だから楽しいし、アリサのことを守ってやれることが何よりも嬉しいし、俺が守ってやれることに喜びを感じていたのだ アリサの希望通りに手をつないで歩いて行った 俺は街の人々に注目されていたのが分かったが 特に問題はないと思った。なぜなら俺とアリサの二人が楽しそうに会話をしているのを。多くの人が見守るような形で、皆の意識が集中していたので、アリサと歩いている俺が注目されることはなかったからだ アリサと二人で仲良く街の中を見て回っていたら。「あら?あなたたちは、アリサの事をこんなに遅くまで連れまわしていたの?」と言う声が聞こえてきたので、振り向いてみるとそこにはアリサによく似た美人なお姉さんがいた アリサは彼女の事を母と呼んでいて「あ、お母さん、ごめんなさい。つい夢中になっちゃった」と言う すると母は微笑みながら「いいのよアリサ、貴方が勇者様と出会えた事が何より嬉しくて幸せを感じているのでしょう?でもあまり無理をして勇者様のご負担になってしまってはいけませんよ?それでね勇者様?アリサの事を大切に扱ってくれていますか?」と俺に尋ねてきた 俺が、「はい、もちろん大切に扱わせてもらってますよ。ただちょっとばかりアリサが甘えん坊なもんなので。俺は少しくらい厳しくしてあげないといけないかなぁとも思っているんですよ。それでアリサのお母さんに、許可を貰っておきたかったわけで」と言ってみた。すると彼女は「なになに?勇者様なの?アリサが迷惑を掛けていなければ良いけど、大丈夫なのかしら」そう言いながら近づいてきた 俺は、自分の素性を説明し、そして俺が異世界からやってきたことや。アリサが異世界から召喚された存在であることなどを、彼女に伝えたのだった

「あらそうなのね、勇者なのね。私はアリサの育ての親で。この子の父親の妻になりました、エルザといいます。どうぞよろしくお願いします」そう言って挨拶をしてくれたので、俺も自己紹介をした。

「勇者様はどうしてアリサのことを。大切にしてくれているのかしら?それに、アリサは私の娘だけれど。それでも大切にしてくれるのでしょうか?もし大切にできないと言うなら。私の命に代えても貴方を殺してやるわよ。私は貴方のこともアリサと同じように愛していますからね」

そんな風に宣言されて俺は戸惑ったが、とりあえず

「俺は勇者って言われても。普通の人間です。だから特別な力を持っているわけじゃないですし。魔王と戦うために召喚されたんじゃないですし。俺には戦う理由がありませんしね。俺はただの大学生ですし、俺自身は普通に暮らしていて、恋人がいる女の子と付き合っているだけのごくありふれた高校生です。そして俺は異世界に行ってみたいと思っていただけで。この世界で生きていきたいと思っている人間なんです。確かにこの世界に転生した理由は、アリサが俺を呼んだからっていうのも事実だと思います。俺自身も異世界に行きたくて仕方がなかったんで。だけど俺が異世界に来た目的はそれだけだったんです。そしてこの世界に来てからまだ数日しか経っていない。だからそんな短期間で。俺自身がこの世界の住人で居たいと強く思うようになったからです。だからこそ俺は。俺はアリサをこの世界でも。ちゃんと守っていく覚悟を決めたんです。アリサのお母さん、そして妹さん。それにこれから出会うかもしれない人たちの全ても。ちゃんと守って行きたいと考えている。だから、安心して下さい。それに。もし何かあった時は、俺が死んでもアリサを守ります」そんな言葉が自然と出た 俺がそこまで話したところ、いきなり横合いから

「勇者君?君は私という者がありながら。そんな浮気性の女に手を出すつもりかい?私のことを一番に考えてくれているなら。他の女のところにいくとかあり得ないと思うんだがね」そんな声がしたので振り返ると そこに居たのはこの世界の女神であった

「あれっ?お前がなんでこの場に居るんだよ」俺は驚いて思わずそう言ってしまった するとアリサが「勇者様、お母さん、こちらの人はね。私が勇者として召喚された際にお世話になった方なのよ。今は私の力の一部になっているの。それとね、彼女はこの世界を管理する女神の一人よ」と説明した なるほどね。こいつと俺の関係に、一応の決着が着いたという訳だ。

「勇者くん、この度はまぁ色々ありましたが、アリサを私達のところに連れてきてくれてありがとうございます。あなたのおかげで、この世界の人間達の信仰がさらに強まり。神格化も進んだのです。あなたには私からの加護を与えると約束しましたよね。それはもちろん忘れていません。これからはあなたの事を私もしっかりとサポートしていこうと思っています。だからこれからもよろしくね。それとさ、アリサと私達を裏切るような行為をしないでくれよ?」

そう言われたので、俺はこう返事をした

「ああ、わかった。まぁなんだ、いろいろあるとは思うんだが。これに関しては俺が悪いんだけどな。まぁとにかく今後、俺たち三人を見守ってくれるってことだよな?アリサと二人で幸せになるつもりではいるんだけどさ。やっぱり家族は大切だろう?それに、やっぱり娘と仲良くして欲しいんだろ?」俺がそう言った瞬間に、なぜか二人揃ってため息をつかれた。「やれやれ全く、アリサもまだまだ子供ですね。仕方がないですね。アリサが勇者様にべったりとくっついているのを見ていたら、嫉妬してしまったのでしょう。わかりました。勇者様が私たちを蔑ろにするような行動を取らない限りは。勇者様のことは私達がしっかり見守りましょう」と、アリサの母が言ったので俺はお礼を言った。

「よし。それじゃあ勇者様。アリサのことを任せたよ。もちろんだが、アリサのことを傷付けようものならば、私と妻が許さないから。その時は容赦するつもりはない。それは理解しておいてほしい」と。

最後に、俺に対してそう言うと、その場を離れていった さてと、これで一段落かな。俺とアリサは、アリサの実家に顔を出した 俺が挨拶をすると

「君が、勇者なのか?いや、確かに見た目はかなり良い男だとは思っていたが。まさか、アリサの恋人になってくれるなんてな。こんなに早く娘が出来るのは想定外だったが。とりあえず、アリサのことを宜しく頼む。それからな。これから先も、アリサと仲良くしてあげてくれ。あの子は昔からあまり感情が表に出るタイプではなかった。それが今のような性格になったのは。君と出会えて。そして君に好かれていると自覚したからだと思うのだ。その証拠にアリサは、毎日とても嬉しそうな顔をしているよ。君の事が好きで好きで堪らないのが。よく分かるほどにな。本当に感謝をしている。私達はね、この国で代々王を守っている騎士の一族だ。私は、この国の第二王女である。リゼリット様の護衛を務めさせてもらっていた」なるほど、それで俺に話しかけてきたわけだ

「えっと。俺とアリサは恋人同士になりましたが。それで、結婚までは考えてはいませんが。将来的にアリサと結婚できるように頑張りたいです。俺にできることでしたら。なんでもします」俺がそう告げると。

「そうか、そう言ってもらえると助かるよ。アリサのことも宜しくな」と、改めてお義父さんとお義母さんの公認を貰ったのだった 俺がアリサと二人で街に出て、しばらく二人で買い物をしていた。すると

「アリサ!こんなに遅くまで遊んでいるのは感心しませんね。今日はこの辺りにして家に戻りなさい。いいですね?」と言われてしまった 俺は、アリサが嫌がっているならともかく。この程度の外出なら構わないと思うんだけどな

「あーもううるさいなあ、せっかくの勇者様とのデートなのに邪魔をするんじゃないわよ。私はね、あんたらみたいなお偉いさんの操り人形になる気は無いわよ」そんな風にアリサが反抗的だったので

「そういえば、アリサってさ、俺と結婚するのそんなにいやなの?別に俺は気にしたりなんかしないけど」俺がアリサの目を見てそう聞くと、アリサは「そんなこと無いですよ、私は勇者様と結婚したいと願っております。だって、そうでもなければ、この歳までずっと処女を貫いたりはしません。ただね。私には夢があるのよ。だから今は結婚する気になれないというだけで。勇者様のことは愛しておりますよ」そんなことを言ってきたので

「うん、ありがとう。とりあえず帰ろう。そしてご飯を食べよう。それからゆっくり話そうじゃないか」俺はそう言って。アリサの手を取って、家に帰り着くと。そのままアリサを抱きしめ、優しくキスをした。

「ふふ、ごめんね。急に変なこと言って。それにしても、やっぱり勇者様のキスは気持ちがいいわね」そんな事を言われると照れるのだが そんな感じのことをしていたのを見られたらしく、翌日は大変であった。

アリサが俺の事を勇者様と呼んで慕ってくるのだ 俺としては複雑な心境であった。今までの俺であれば間違いなく喜ぶべき状況であろう しかし今の俺はどうなんだろうか?自分でも判断できないので困っていた 俺は、とりあえずこの世界に馴染んでいかなくてはならないのだ この世界では、勇者とは、勇者召喚によりこの世界に呼び寄せられた人間のことだ 勇者は神によって選ばれる存在なので、基本的に普通の人間とは比べられないほど強力な力を有している。勇者はその強大な力を振るって世界を救うとされている。俺の場合は、チート能力を持ってはいないし。そもそも、俺自身は普通の一般人と変わらないと思っている。ただ単に、この世界の住人として生まれ変わっただけの人間に過ぎないと まぁ勇者と呼ばれているのにはいくつか理由があったりする ひとつ目は勇者と呼ばれるに相応しい活躍をしたから。これは俺自身が何かしたという訳では無い ふたつ目はアリサを救ったからだ。これについては俺もアリサも感謝しているが 最後の理由はアリサが助けを求めたからという事になるのかな ただ、これらの理由では勇者と呼ぶのは適当ではないのではないかと考えている 俺は、普通に強い人など山程いるだろう。それにだ、仮に勇者の称号を得た者が、悪人だった場合はどうかと考えてみると、必ずしも悪行を働いているとは言えないのが現状だ それ故に勇者という言葉を、俺は素直に受け取ることが出来ない ちなみに勇者というのは特別な職業という訳ではない。この世に存在する全ての人々が持っている技能の一つに過ぎない。

だからこそ俺は思う。この世の中には、勇者に匹敵する力を宿している者がいるのだと そして俺は、自分よりも強い奴と出会う為に旅をすることにした。俺は勇者としての力が覚醒した際に手に入れた称号を持っている、それこそ俺が憧れていたものだった だからこそ、そいつに勝てる強さを手に入れることを目指して旅立つことを決意した そして俺とアリサは、俺の生まれ育った街で冒険者になることを決めて準備を始めることにした まず俺は、冒険者として登録するための準備としてお金を用意することにした 幸いにして俺の両親からはお小遣いを毎月もらていたのでそれなりの額が溜まっていた なのでそれを資金として使おうと思ったのだ

「アリサ、俺はね。俺にしかできないことを探しに行こうと思うんだ。だからさ。俺の旅についてきて欲しいんだ」と俺は言う するとアリサは、当然のごとく俺の提案に賛成してくれた 俺とアリサは二人で相談して旅に出る為の準備を始めた

「えっと、まず必要なのは何だろうな。俺が持っている武器は刀だけどさ。この世界にあるのかどうかわからないしな。剣くらいは欲しいかもしれない」

俺はアリサに聞いてみると

「ん〜、そうだね。勇者様が使えるような物があれば最高だと思うんだけどね。そういう品物が簡単に手に入るとは思えないんだよ。この国には勇者の伝説にまつわるものはほとんど残されてないしね。勇者様の持っていたとされる装備とかが見つかれば話は変わってくるかもだけれど。それでも、伝説レベルのアイテムとなると見つけられる確率は低いとは思うけどね。とりあえずさ、街に出て探してみる?」ということで俺たち二人で街に出たのである。

俺たちは街を散策している時に偶然にも伝説の装備を探すことになった。俺にとっては都合が良かったが そして見つけたのだ。

俺の腰にあった刀が光り出したかと思えば。鞘の部分だけが勝手に動き出して俺の手の中に入った。「勇者様!もしかしてその剣って。聖剣じゃないの?しかも神器級の。どうしてそれがここにあるのよ」アリサは、興奮しながら言ったので、少し説明が必要になってしまった アリサのお父さんの代までは代々続く騎士の一族の家系であり。初代から代々受け継がれている武具や魔法具などがたくさんあったのだというのだ それ故か分からないがアリサのお父様はかなり優秀な魔法使いでもあるらしい。

「アリサ、実は俺が手に持ってるのがそうなんだ」俺は聖剣を握りながらそう言うと

「はあぁ!?」と驚きの声を上げている

「なっ何言ってるのよ!!こんなものが、ただの一般人である貴方に使いこなせるはずがないでしょ?貴方が使ったのはどんな奇跡なのか知らないけど。それはきっと偽物だよ。私が鑑定してあげるわ」と、そんなことを言い始めた

「おっおい、アリサ!ちょっと待て。とりあえず落ち着いて話をしようじゃないか。俺は別にお前に危害を加えるつもりなんてこれっぽっちも無いから。落ち着けよ」とアリサのことをなだめることにした それからしばらく、二人で話し合いをしてみたのだが。やはり聖剣であることに変わりはないみたいで、俺の身体がその力に適応するように変化したらしい。俺自身は実感はないが とりあえずこの場では俺の持ち物にしておくことにした。

「勇者様。それで、勇者様はこの剣を使って戦うつもりなんだよね?」アリサは、真剣な表情で俺に話しかけてくる 俺はそれに対して

「いやいやいやいや、俺は別に勇者になるのを辞めたいってわけじゃ無いよ。俺の目標はさ、俺と同じくらいの強さのやつと手合わせすることだからね。それで俺は強くなりたいと願っただけ。だからね、俺は勇者と呼ばれることには、まだ慣れていないけど。その呼び方が、俺にとって相応しいのならばそう名乗ろうとも考えている。もちろん勇者の称号が欲しいっていうなら受け渡すことも可能だしね」と言うとアリサは、安心したようで胸を撫で下ろしていた そしてその後、アリサのお父さんに会いに行ったのだが。アリサと仲の良い女の子だと知ってアリサ同様に気に入られてしまった。

まあそれだけだったんだけどね。そんなことよりもアリサが、アリサのお姉さんに勇者との馴れ初めを話すときに顔を赤く染めて、俺との出会いを熱弁していたことが気になる

「ねぇアリサ、俺って勇者なんだよな?でもさ。俺自身は自分が特別強いとは思って無い。でもさ、勇者ってことは俺が最強になれる可能性があるということだろ?」

「んー、まあ確かに勇者の力を持っていても、それに満足せずに鍛え続けた人の方が遥かに多いんだけどね。私は勇者の力を持っていないからよくは分かんないけどね。勇者ってさ、普通に戦ってるだけで強くなる人は少ないみたいよ」

「え?そうなのか?だって、勇者って言えば特別な能力を持っているんだろう?それが使えないの?」

「そうそう、そう言われてるけど、私はそう思った事は一度もないかな?そもそも私自身、そんなに強く無いのよね。勇者様の役に立てるくらいには強くありたいとは思ってはいるけれど」そんな風にアリサが悲しそうに話していた そんな風に言われたのなら仕方が無い 俺だって別に戦いたいってわけではないしね 俺としては、この世界の色々なところを旅するだけでも十分楽しめそうだと思うから。まぁアリサと一緒にいればの話だけれど アリサと出会ってからの数日間は、一緒に過ごしてきたのだけれど 俺はアリサから色々とアドバイスを受けていた。

この世界ではレベルというものがあるらしく。それを上げていくことが強くなるために近道だと教えられた なので俺はとりあえず自分のステータスを見てみる事にした

「勇者殿の実力を測るのなら我が家の訓練所でやってみるとよい」とアリサのお父さんが言っていたので。俺はそれに従ってみようと思っていたのだ まずはステータスを確認しようと思い俺は目を閉じた。それからしばらくして目を開けると目の前にゲーム画面みたいなものが現れていた そして俺のステ値が表示されている。

ちなみにこの世界にきて分かったことがある。それは俺以外の人間は自分のステータスを見ることができないようだ。それに加えて俺の能力は俺自身が確認したい時以外見ることはできない つまり俺は今こうして他人のスキルを覗くようなことが出来るってことになる。まぁ他人が勝手に見ることの出来ない能力なんだろう 俺がこの世界で手に入れた称号の中に『神の使徒』というものがある。

これは恐らく俺の称号の効果だと思われるのだが、神に選ばれた人間には特別な能力が与えられるとかなんとか

詳しい内容は覚えていないので、なんとも言えないんだけれども。とりあえず特別な能力を手に入れているという事は間違いないんだと思う さて、それよりも。俺自身の能力を知らなくてはならない 名前:ヒロユキ=イサキオ

(異世界転移者)

年齢:25歳

性別:男

Lv1(10/100)→L3に成長 体力:15800→178000

筋力:16500

魔力 :18600 敏捷性:15700

精神:12900

幸運度:11400 【特殊スキル】

限界突破LV30(MAX)/加速LV29/自動翻訳/アイテムボックス/経験値増加/剣術補正

聖魔法/魔剣召喚/勇者補正/聖女補正 全耐性/聖女の癒し 加護/才能/ 称号:異世界転移者 /女神に見初められた者 お?なんか増えてるぞ。確か俺は、最初に称号の確認をしたとき、何もなかったはずなんだけど。いつの間にか何か追加されている。俺が気づいていなかっただけか。

まずは、一番下のやつか 体力と、筋力は単純に数値が上がっただけみたいだな。

次だ。次は俺が一番気になっていたこと

「レベルって、何なんだよ」

俺はアリサに聞いたら。簡単に答えてくれた まずは、レベルの説明から始める必要があるだろう。まずこの世界に存在する種族について説明しないといけないだろう。この世界には数多くの人種が存在しているが。大まかに分けて、人族、亜人族、魔族の三つに分けられる それぞれの特徴はこんな感じだ 人族は、身体能力に優れていて魔法が使える者がほとんどいない。その代わり、武術の才能に長けていると言われている 逆に魔法に関しては、魔法に特化した才能を持つものが多い 亜人は、身体機能に優れているが。魔法を扱うことができない。その代わりに魔物を操る魔法が得意とされている そして最後に魔族は、身体機能が人よりも劣る代わりに魔法に関して類まれなる力を有している。魔法を扱える者も少ないので、人族にとっては脅威である そんなこんなで。この世界で生きるにはどうするかという話だ まずこの世界の人々は、それぞれの国ごとに生活を送っている。国には、王様がおり国民たちを管理している。

そして国は、魔王軍によって度々襲撃を受けてしまい被害が甚大なものになっている そこで各国は協力して対抗するために勇者を呼び出して戦力としているのである そんな話はさておき。俺のレベルを確認するとするか、俺の称号から確認できるはずだ。

えっと、なんだ? 俺の称号のところに表示された数字は、100万となっている。これはいったいどういうことなのか理解ができない 俺はこの世界に来るまでは平凡な人生を過ごして生きていただけのただの人間に過ぎない そんな人間がいきなりレベルがカンストしてますよと言われても、どうして良いかわからない ただ、レベル上げをするにも現状俺はお金を持っていないので武器とかを買いたいのだがどうやって手にいれたらいいのか分からないのだ それにアリサのお父様に借りるにしても理由を説明しなければ怪しまれることは免れないだろう しかし、俺が強くなるためにはまず資金が必要になるわけで。アリサのお父様もお金を持っていないわけではなさそうなのだ。だから俺がお金を稼げる手段があれば、アリサのお父様に相談してみてもいいんじゃないかと思っている 俺はとりあえずは、アリサと一緒に街にでて冒険者として登録をしてしまおうと考えたのだ しかし俺は、忘れていた。俺の能力でできることがもう一つあることを。

それは聖剣を召喚することだ まぁアリサのお父様は、勇者の伝説を信じていらっしゃるし。アリサに渡しても問題は無いだろうと俺は思う。それに、アリサの剣技はかなりのものなんだ。

それに俺は、自分の力でどこまで出来るか確かめたいと思ったので試しに剣を使って戦ってみる事にした 俺に扱えないことはないと確信があったから そうやって俺は、とりあえず剣を振ってみる事にした。

それから数年経った。

俺はこの世界の文字を覚えることができた。それから、この世界で使われている通貨の価値も理解できるようになった そして、この世界の常識的な事も少しずつ理解できるようになってきた。それからこの世界のことも分かってきたのだ 俺が住んでいた世界とは違うということは分かっている。

だって、空の色から違うからね! そういえばだけど、ここ数日の間。毎日のようにモンスターに襲われ続けているんだよ もちろんその度に返り討ちにしているんだけどね この世界ではモンスターを倒して素材を集めることでお金を得る事が出来るらしい その事を知っていたので俺も実践することにしたんだけどね 最初は上手くいかないことも多かったけど、最近は戦闘がだいぶスムーズに進むようになって来たんだよね〜 たださすがにそろそろ限界かなとは思い始めているけどね。そんな風に考えていた時に出会ったのが一人の少年だった 彼は一人でダンジョンを探索をしていたんだけど。モンスターとの戦いで傷ついて倒れていたんだよね 俺は助けてあげたんだよ。彼を助けた理由はさ、単純に困っている人がいたから。それだけの単純なことだったんだよね そんな風に思っていても俺には彼の命を救うことが出来たんだよ。それならば、俺は勇者らしく。彼が助かった後、笑顔でお礼の言葉を受け取ることにしたのだ。まぁ、それが俺なりの考えだ。

「あぁありがとうございます勇者様、本当になんとお礼を申し上げてよいやら。勇者様ならきっと私達の村も救ってくれると信じています」なんて言葉を投げかけられたのは驚いたけどね。まぁでも俺は特になにかを頼まれることは無かったので、少し安心している さっさとここから離れたほうが良さそうだ。俺は、彼にそう告げた。それから、俺はすぐにその場から離れて行った。

「あのさぁー、あんたは一体なんなのよ!」突然の問いかけに驚きながらも俺は何も言わずに走り出した それから数分くらい走っただろうか、アリサは息を切らせながら俺の後を追ってきてくれた

「ちょっと!なんで急に逃げるのよ!?ってゆうかなんで私が追いかけなくちゃいけないの?意味がわかんないんだけど。ねぇ?勇者様なら私を助ける義務があるんじゃない?私は勇者様の為に色々と手伝ってあげるから、それくらいはいいでしょ?」そんな風にまくしたてられてしまった。

アリサの気持ちはよくわかる。アリサの言っていることは正しい

「まぁ、それはわかってる。俺もちゃんとお前が危険な目に会わないように努力はする。それじゃダメか?」

「ん。まぁそれならいいのかもしれない。うん、わかったわ」なんとか納得してもらえたようだ。それから俺はアリサと相談した。まずは装備を整えたいのだ。そして俺はこの世界では珍しい服装をしているのだ。そんなこともあって俺が異世界人であるという事が周囲にばれてしまうと、厄介なことになってしまうのだ そこで俺が着ている服をどうにかしなければ。それからそれから俺は考える事に必死になりすぎて。俺達の背後に近づく何者かの存在に気付くことが出来なかった

「おい貴様らそこで何をしている」背後を振り返るとそこには甲冑を身につけた男の姿があった アリサの顔を見るに、俺と同じように気付いていなかったようであった

「貴方達はこの国の方ですか?それと俺になにか用事でもあるのでしょうか?」俺はとりあえず質問に答える前に。まずは自分の身分を明らかにしておくべきだと思い。俺はこの国の住民かどうかを聞いてみた。

しかし返答は無かった

「もう一度聞きますが、俺に何かごようでも?」そんな俺の声に反応してくれたのはアリサだった。

しかしアリサはなぜか焦った様子を見せていた すると目の前にいる男の後ろからもぞもぞっと動き出す人影が現れた。それも複数人いた そして彼らは口を開いた。どうも彼らも騎士であるようであった。俺は今更ではあるが。この状況はやばいんじゃないかと思っていた。

アリサを背中にして、剣を構えた俺は。どうすればいいのかを悩んでいた 正直言ってかなり不利な状況にある なぜなら今の状況が俺の知っている物語の中で例えるとしたら、勇者である主人公がピンチになっている時に現れるのがこの人達だと思われる まぁそんな訳はないんだけど。しかし現実に起こっている出来事をみるとそうではない可能性が高くなってくる そう考えているうちに、騎士たちが襲い掛かってきた なんとかして倒せたのだが、問題はこれからだ 騎士たちとの戦闘が終わり俺は一先ずこの場所から移動することに決め、アリサと一緒に移動していた。アリサと一緒に行動する理由としては。やはりこの世界のことについて教えてもらいたかったからである。俺がこの世界に来た目的は元の世界に帰ること。そのためにも知識が必要だ それからしばらくして俺は、アリサからこの国についての話を聞くことができた この国はアスタルトと呼ばれる国だ。ちなみに国の名前の意味だが。太陽という意味を持っている それでだ。俺たちが訪れた場所には街があってそこには大きな教会が建っていた 教会はこの街の中でも結構重要な機関で。そこに俺の求めているような情報を取り扱っている可能性があるからだ。

俺達が教会に向かって歩き始めて数分後。アリサが急に立ち止まった。そしてアリサの口から信じられないことを耳にすることになった 俺は一瞬耳を疑ったが、俺はアリサに説明を求めるために話しかけることにした するとアリサが口にしたのは、こんな内容だった ここはアリサの国、アスタルトだ そんな事を言われても俺は信じれるはずがなかった。だって俺にはこの世界に家族も友人もいるのだから。俺はこの世界を知らなかったとしても、ここが自分の国だと言われてはいそうですか。そんな風に簡単に受け入れられるほど単純じゃないのだ 俺はまだ、混乱してるのかもしれない アリサの言ったことを信用したくないという思いが、そう思わせてるのかもしれないな。そんな風に考えてる俺にアリサはこう続けた まぁこの世界についての説明はここまでにしよう。まず君には私のお父さんから託された物があるの そしてその中身を確認して、必要なら使うといい。これはあくまでも、もしもの場合だ そうして俺は、アリサのお父様に貰った小袋を手に取った。俺は中に入っているものを確かめてみることにして取り出してみる。そして出てきたものは一枚の手紙だった 手紙の内容を読んでいく。内容は、俺の力をこの世界で役立てて貰う為に必要なものだそうだ そして最後に書かれていた文を読むことに これから君の身になにかが起きてしまうかもしれないが、君はこの世界を救うために召喚されている だから心配することは無い アリサのお父様もきっと応援してくれているだろう。そんな風に書かれていたのだ

「とりあえずさ、一旦落ち着ける場所に移動できないか?ずっとここで立っているわけにもいかないだろ?それとお前の父上様からの贈り物を確認させて欲しい」俺はアリサにそう伝えたのだ するとアリサは少しだけ考えた後に「いいけどさ。でもあんまり変なことはしないでね。一応は、まだ命の恩人だから助けてあげるけどさ」

俺はそんなアリサに感謝を伝えつつ移動を開始した。

そして少し離れた場所に移動した。

「それでは、お父様から譲り受けたという物の話を聞かせてくれないか?もしかするとお前の父親に会ったら分かるかもしれないしな。それと俺に力を貸してくれると約束してくれるか?」俺は、その問いに対しての答えを求めた すると、アリサの表情が変わったのを感じ取ってしまった俺がいた

「うん、それは分かった。あんたが、どうしても知りたいってゆうなら仕方ないわね。だけどね、これだけは絶対に守ってもらうよ?私のお父さんがあなたに渡した物がなにかを探ろうとしないこと、これが条件ね。それ以外だった場合は許さないわよ?」

そんな風に言われた。

「あぁ、わかった。それだけは誓う。それではさっそくなんだが、その手紙を読ませてもらうとするか。いいんだろ?」

アリサは小さくコクッとだけ首を縦に振った 俺はアリサが持っているその封筒を開けようとした。その時のことだった 俺の手の上に重ねるようにアリサが触れてきた そんなアリサを見て俺は驚いた。それと同時に、心臓がドキドキしてきた。だって好きな女の子がいきなり触って来たんだから当然だ。そんな事を思った俺は、動揺を隠しながら、アリサの方へ目を向けると、彼女も同じだったのか、俺と目が合うと慌てて手を放してしまった 俺は気になっていた事があった。この封筒の中に収められているものが一体なんなのか、それが非常に気になったのだ 俺はアリサの方に顔を向けたままでいた そんな時だったアリサの顔が一気に赤くなっていくのが目に見えた それを見た俺は少しばかり疑問を抱いたのだ。

俺は少ししてから、ようやく冷静さを取り戻したのだが、俺は一体なにをしたのだろうかと考える もしかしてだが、俺は無意識のうちにアリサに触れてしまっていたのではないだろうか?もしそうだとしたなら、アリサを怒らせてしまった可能性もあると思った。だからこそ謝るべきか、そんな事を考えながら、俺は自分の手のひらを眺めていた。そんな俺に彼女は

「べ、別にそんなにまじまじと手を見つめなくてもいいでしょ!まぁそんなに気になるなら見ていなさい」

それから、彼女は俺の手に重ねるように再び俺の手に重ね合わせた。俺とアリサの距離は近いものになっていた

「ほら、これでいいんじゃない?それよりあんたってやっぱり変なやつよね。普通こういうのって恥ずかしくて出来ないわよ?」なんて言葉が俺の頭の上から聞こえてくるのだった。

俺は、俺の手とアリサの手で握られている紙きれの事が気にかかった

「えーっと。この紙はなんなんですか?」俺はそんな言葉を彼女に告げた そんな質問に彼女は即答してくれた この中に書かれているのは、スキルの事が書いてあるらしいのだ この世界での常識的な知識が無い俺の為に。この世界に住まう人達なら誰しもが知っているであろうことが、ここに記されているのである この世界の人間に知られてはいけない秘密が 俺にそれを理解しろと言うのは難しい話であるのだが、アリサはそんな俺のために色々と丁寧に説明してくれているのだ そんな彼女の親切心を無駄にしないために俺は必死に文字を追いかけていった それから俺はどうにか読むことに成功したのである そして俺は一つの事実を知ることができた。それはアリサの父上はこの国の国王であり。なおかつ勇者の末裔だということを それからアリサは説明を続けていく。そして、ここからが一番重要なことらしいのだ アリサの父は、勇者の家系の中で特に特別な存在なのだ 彼はこの世界で最強の勇者と呼ばれていたようだ そんな風に呼ばれてしまうような人物から渡されたのがこの中身なのだった そんな彼の子孫に当たるアリサもかなり特殊な才能を持っていたようだ しかし、それも今では昔のような力を持っている訳では無く、一般的な人間の範疇に留まっているようだ そして、俺が気になったのは勇者の使っていたとされる武器の存在だ。勇者は勇者として選ばれた者に、勇者のみが扱うことのできる専用装備を手渡されていたというのだ そしてアリサもそんな道具を所有しているということだった そこでだ。俺は気になって質問をぶつけてみた。この世界で一般的に使用されている魔法の仕組みを教えてくれないかな。

そんな感じの質問だ それに対してアリサは 私もよくは分からないの。ごめんなさい 魔法っていうのは、体内に存在している魔力を利用して発動されるの 体内に存在すると言われている魔力の量によって威力が変化するの それでいて、魔力を自在に操ることができる者にしか扱えないの そしてそんな風に話しているうちに俺は思い出したことがあった。俺の職業がなんなのかを。それは【賢者】だ。そう、俺は勇者なんかよりも断然に強い力を秘めたジョブを持つ人間なのだ。それに俺は今現在、異世界にいる。そう考えると、これはもう完全にあれじゃないか 俺TUEEEがついに始まったんじゃないかと 俺は興奮しながらそんな事を考えているうちに、ふと思い付いた。そういえば俺は、ステータスを見ることが出来るんじゃないだろうかと そして俺は頭の中でイメージを浮かべると。案外簡単に俺の視界に映る情報に変化が起きた。そこにはこんな表示が映し出された

『アリサ』Lv:3

攻撃力:45

防御力:50

魔攻力:60

魔防力:50

素早さ:70

運 :100

状態異常:呪い 属性 火(水)、雷(風)、光 固有能力 身体能力強化

(常時使用可)

スキル 炎槍 レベル1 称号 王女 Lv.3だって?この年齢でこんなにも高いのはすごいことなんだと思う しかもだ、この数値が高いのか低いのかさえ俺は知らないのだ とりあえずアリサには、その事を伝えておくことにする するとアリサが少し考えた後でこんなことを口にしていた この数値は一般的なものでは無いと思う もしかするとだけど、あの人の血を引いているのかもしれないわね 俺が不思議そうな顔をすると、彼女が教えてくれた 私はこの国に伝わる伝承を耳にしたことがある それはとても古い言い伝え この国には伝説の武具が存在していて。

その武具には、特別な力が存在している。

それこそが魔王を討伐するために必要なもの。

それを身に着けることが出来る者が世界を救うとまで言われていたの でも実際に、それを身につける事ができたのは歴代の王様だけだったみたいなの だけどね、お父様は歴代の王とは違ったの。そう、その力を手にする事に成功した。そしてこの国を、世界を守ってくれた英雄だった そして私は、あなたにお願いがあるの これから私が、あんたの専属メイドになってあげる これはあなたに力を貸すための条件でもあるの 私のお父さんにあなたを紹介した責任があるから。だからあなたのことを全力で守ってあげるわ そんな風に言われてしまえば、俺は断るわけにもいかないだろう?それにさ、惚れた女が守ってくれるなんてさ、そんなの幸せに決まってるじゃん。そう思わない?だから俺は

「わかったよ。俺はあんたのことを信じよう。だから俺の力になってくれ」

アリサは満面の笑みを見せながら俺の言葉に答えてくれた こうして俺は、アリサに守られることに決まった。

それから少しばかりの時間が過ぎ去った。俺がアリサから聞かされた内容は衝撃的なものばかりだった この世界についてだ。

まずこの世界の種族に関してだが、大きく分けて2種類に分けられるようだ。それが人と亜人と呼ばれる種族だそうだ この世界に生息しているのは、主に人族と亜人と呼ばれている。その中でもさらに分類されているようだ 人は人、亜人は主に妖精や、巨人など。他には小鬼とか、悪魔などの魔物も存在する。まぁ、大体の人がそんな風に考えていれば大丈夫なのではないかな それから俺は、この世界には存在しない。俺が元いた世界の生物達もいる。例えば、虫だと、ゴブリンやスライム、後はコボルトってゆう犬の顔をしたような小さな怪物がいるらしいんだ ちなみに俺のイメージでは スプラッタな感じの映画に出て来る様なやつって思っていれば、問題はないあとは、ドラゴンとかもいたりするんだって 最後にこの世界における通貨の話だ。この世界の貨幣の価値基準としては 銅貨 100円相当 銀貨 1万円 金貨 10万円程度だ。価値的には日本円とそこまで変わらない 次に、俺の持っているお金がいくらあるのかという話だ。その額、約10億円だ。それだけの現金が俺のポケットの中に存在しているのだ。正直これだけの大金を持ち歩いていると怖くてしょうがない なので俺はアリサに相談することにした

「ねぇ、ちょっと質問したいんだけど。俺ってこの世界での金銭的な価値観が全く分からないからさ、この国の経済状況について教えてくれないか?」そんな質問に対して彼女は

「えっと、お金の単位は、ギルよ。1Gでパン一つ買える程度の金額と思って貰えればいいかな。あ、でも安心して、この国はそこまで貧富の差が大きくないから。ただ物価はかなり高いから、そこだけ注意が必要かも」そんな言葉を聞いた俺は 確かに、それは気を付けた方がいいかも知れないと思った 俺がそんなことを考えているうちにもアリサの説明は続いていた。

「次はこの国の成り立ちと歴史。それじゃあそろそろ行くけど、絶対に付いて来てよね。もし来なかった場合は、本気で怒っちゃうわ」そんな言葉を聞きながら俺はアリサの後ろに着いて行くのだった そして到着したのは街だった 大きな門を通って、俺たちは中に入ることが出来たのだが 目の前に広がっていた光景に驚いた。まるで中世ヨーロッパの時代のような建物が並ぶ景色。

俺にとっては、本当に異世界に来たのだという実感を強く感じるものだった。

「ここってさ、この街はなんていう名前の場所なんだ?」俺がそう聞くと、アリサから「アルデシア王国っていう名前よ。ちなみにここは城下町よ」

そう言って俺に手を差し出してくるアリサ。そんな彼女に連れられて俺は歩くことになったのだ。彼女の手はとても温かく柔らかい手だった。そんな手と手を繋いで、一緒に歩くこと30分近く。俺たちは城の前に辿り着いた

「さてと、ここからは私一人で行っていいかな?」

俺はそんな言葉に戸惑いを覚えた。

「えっ!?それってもしかして、置いてかれるのか?」不安気になりながらもアリサを見つめている俺を見て彼女は優しく微笑んでくれる そして頭を撫でられる そしてそんな事をされてしまっている俺は、子供みたいだなって思うわけだよ。だって好きな女の人にそんなことされて嬉しいわけじゃないですか。男ってそういうもんでしょ。それにさ、俺は今この場に、この世界で初めて訪れた街の中央に位置する場所に立っている。そう、アリサとの待ち合わせの場所に到着したばかりなのだ アリサが言うには、俺の事はアリサの父親に伝えられているようで、俺はその人の前に向かう必要があるのだそうだ。そしてアリサがここまで送ってきてくれた理由なのだが、俺の身の回りの世話をする為らしい。アリサはこの城に、ずっと居たらしく。俺が目覚めたという知らせを聞いて直ぐに会いに来てくれたのだそうだ。俺のことを気遣ってくれたんだろう。そして今は城内を探索しているのだ さっきまでの時間の間にアリサには俺の能力について色々と教えておいた ステータスを見た時に気付いたのだが、俺の称号欄にある 賢者というものをアリサに教えることで、何か変化が起きるのではないかと考えたからだ。そんな風に考えた理由は、アリサのステータスにも賢者の文字が存在したのである。しかも称号まで そんな感じに二人で話しながら城の探検を続けていると、突然後ろから声をかけられた。

振り向くとそこには一人の老人の姿がそこにはあった。彼はこの国の重鎮の一人なのだそうで。俺を呼び出したのはこの人のようだ 俺が頭を下げようとするのを止めてくれたのがこの人だ どうも礼儀作法には煩い人ではないようで助かった。それから俺と王様が向かい合う形になるわけだ

「貴殿が勇者召喚によって呼び出された若者か。我輩の名前は、ラクスウェルト=オルクルードと申す」そんな自己紹介をされたので俺は、自分も同じように挨拶を行う

「はじめまして王様。私は、天川 悠介といいます。こちらの世界ではユースケと名乗ることになるかもしれませんがよろしくお願いします。」俺の言葉に反応を示してくれる王さまは

「ほう?そちらの世界での名を名乗るということは。その様子だと元からこの世界の者ではないように思えるが。なるほどな。やはり伝承通りだったという訳だ。まさか、勇者の生まれ変わりが存在するとは夢にも思わなかったが。それならば我が娘の専属の執事にするのも一興であろう」と。

それからアリサについて説明を受ける 俺が異世界からやって来たことを知っていたのか

「娘を、救ってくれたことをまずは感謝しよう。そしてすまぬことをしたと思っている。我らはあの子に重荷を背負わせすぎてしまった。その結果がこれだ。しかしな、お主のその力でどうにか出来ると。我々は確信をしている。どうか頼んだぞ勇者よ」と、その言葉を聞けばわかるのだ。この人にとっての本当の敵は魔王ではないのだということがな そんなこんなで、王様から頼まれ事を受けて俺は、この国での生活を始める事になった。これからの目標は魔王の討伐 この世界での俺に与えられた役目は、魔王を倒すこと。そのための力を手に入れる為に俺は行動を起こす事になるのだった 俺がこの世界へと転移してから早くも3日が経過していた。そして現在俺がいる場所はアリサの家である。俺はこの世界において初めて女性の部屋に招かれることになったわけで、俺は正直に言ってしまうと緊張していた この家に入るのはこれで二度目だ 最初は、この部屋で寝泊まりをして。

次の日の朝を迎えたらこの部屋を出るつもりだったわけだが。今ではすっかりお馴染みとなってしまった。この部屋の窓から見える景色は、朝からとても綺麗なもので。毎日のように俺はこの場所に来ていた。

そんな場所で、俺は朝食を取っていた 今日は、パンとスープ。それと目玉焼きが俺の食事メニューだ アリサと一緒に食べるようにと言われてはいるが、正直少しだけ恥ずかしさがあったりはするのだが それでもだ。彼女とは、もっと仲良くなる必要があるわけだ この先何があるのか分からないからこそ 俺と、この家の家族との関係は非常に深いものにしておく必要があった だからこそ、俺はまだ彼女に、俺が異世界から来たという事実を打ち明けてはいない 俺としては打ち明けるべきか悩んでいるのだ。

正直に言えば。この国の人たちに対して信頼関係を構築するのは難しいのではないかと俺は考えている。何故なら俺の元いた世界とは違いすぎる環境だ だからこそ、この国の人たちを信じられないでいた この国の人たちは皆んな良い人だと言ってくれるかもしれないけど。俺はどうしてもそうは思えないんだ だからこそ。もう少しだけ俺は様子を見ることにしようと思っていた この国での暮らしは悪くないと思う。この世界の言葉に関しても覚えてきたし、ある程度の日常会話も問題なくこなせるようになって来た頃合だし 俺はそろそろ行動に移すべきだと考えている。この世界がどのような問題を抱えているのかを この国に蔓延っている闇は想像以上に深そうに感じている 俺はこの世界を、救いたいと心の底から思った。だからこそ俺はこの世界を救うと決めた。

そんな風に俺が思い悩みながら過ごしていると、扉が開かれる音が聞こえてくる そして姿を見せたのはこの国の第二王女のアリサだ 彼女はいつもの様に、白銀の美しい髪を揺らして部屋に入ってくる そして彼女は俺に向かってこう言う おはよう と、それからは2人で他愛のない話を続けて過ごす時間を過ごした 俺にとっては至福の一時であり 俺の楽しみの時間の1つでもあった。

俺の異世界で初めての休日とも言えるような時間が過ぎていく 俺が異世界に来てから早4日目を迎えることとなった。そんな日に俺はある決断をした。俺自身が、この世界で生きて行くためには。どうすれば良いのかを考える必要があると思ったからだ。そんな時にだ、俺は気が付いた。この国に存在する問題を俺の手で全て解決することこそが、この世界での生きる術に繋がるということに だから俺は、この国の問題を解決しようと決意を固めた そして、俺は、俺なりの方法で解決するために動くことに決めた その為にはアリサの協力が必要になる

「ねぇ、アリサ」

彼女は俺の声を聞くと、首を傾げながらもこちらを向いてくれて それからは「どーしたの?」と尋ねて来てくれる

「ちょっと頼みたいことがあるんだけどさ。いいかな?」俺がそう言うと彼女は、優しく微笑みながらも。その顔には嬉しさが隠せていなかったりする。なんというか 本当に分かりやすい

「ふふん。やっと私に甘えたくなってくれたみたいね。それで、何をして欲しいの?」俺のお願いにアリサはとても上機嫌になって そんな風になりながらも俺に質問を投げかけてくる

「実はさ。俺は勇者として召喚されているみたいだけど。それはあくまでも俺が、この世界で勇者の力を得たからだと思うんだよ。俺はさ、まだ弱いままなんだよね。このままだと、またアリサに守られて終わりになってしまう可能性があるから。それが、凄く嫌なんだよね」俺が真剣な顔をしているとアリサが口を開いた 私に出来ることはなんでもやるわ そんな言葉を聞いて俺は安心をすることが出来たのだ。そして、アリサに協力を要請することにした まず俺は最初にアリサのステータスを覗き込むことにした 俺にはアリサが隠し事をしていないかどうかを確認する必要があるからだった アリサは俺の言葉を聞いて驚いているようだ ステータスを見せてくれと言われたらそりゃ誰だってそうなるよね 俺だったらステータスを他人に見せるってのは躊躇いを覚えてしまうだろうし、そもそもの話だ、ステータスなんて見せたくないもんじゃん?だから俺も自分のステータスを見せたことは無かったりする。でも、この場でそれをする必要があって。尚且つ俺はこの世界での勇者だ、この世界のシステムについて知っておく必要性もあるわけだし。ここはアリサに任せてみるしかないと思ってたわけだよ

まぁそんな訳で。俺はアリサの許可を取り ステータスの確認を行ったわけだが。そこには俺とは違う内容が表示されていた 名前:アリサ=アルカード

職業:魔法騎士

称号 :姫

体力:Aランク

筋力 :Sランク

耐久力 :Bランク

魔力:Aランク

瞬発力 A+ランク スキル:火魔法の適性

Bランク 水魔法の適正 Dランク 雷魔法の適性 Cランク 土魔法の適性 C-ランク 風の適正 Eランク 光魔法の適性 Dランク 闇の適正 S-ランク 聖属性の適正 Fランク 固有技能 : と表示されている。これを見て分かったことなのだが、どうやらこの国には勇者の力を測れるような魔道具は存在しないようで。勇者の力がどういったものであるかを判断できないようだ。この国は平和を望み。そしてその願いが叶い続けている国でもあるようで。勇者の力で、この国の脅威を取り除く。そんな考えを持つ者は居ないようで。この国にとって勇者は必要ない存在であると認識してしまっているようで。勇者の力を計測できる道具が存在しないというのが、一番の要因であると考えられる そして、勇者の力とは何を指すのかということだ アリサが俺を勇者と呼んではいたが実際に俺はこの世界に召喚され、そして俺は今こうしてここに存在している。そのことから考えると、俺はこの世界を救う為の存在ではない。俺が勇者の力を手にした理由は別にあるのだと、思う。この世界を救うための力を持つのであれば、最初から勇者としての召喚はなされる筈だと、俺は考えていた。つまりはそういうことである。

アリサは俺の言葉を受けて。何かを理解してくれたようで。それからは自分のことを語り始めてくれた 私は元々この国の生まれではなかったの 私の生まれは、この王国の隣に位置する帝国の生まれよ。そして帝国はね、とても豊かな国よ。でも、この国と帝国民の仲はあまり良くないの。

その理由は簡単よ。私の父上が、現皇帝に対してあまり良い感情を持っていないからなのよ。それに加えてこの国の女王様とも父上は、仲良くない。だから。この2人はお互いに歩み寄ることもしないのよ。そしてこの国での問題も沢山あった。そして私がこの国に移り住むようになったのは数年前のことで。それまでは、帝都にずっと暮らしていたのよ。そのせいで。私に友達と呼べる人もいない。家族との会話もほとんどなかった そんな時にあなたが現れた 貴方が、勇者の力を手にしていたとしても。それは、この国の人じゃない。だからこそ私は貴方がいいの 私には貴方が必要だ 彼女はそう言って俺のことを真っ直ぐに見つめてきた 正直なところ俺もだ、彼女のことは、大切にしたいと感じていた。俺にとって初めての友人だと言える存在だからだ。それに彼女は俺を信頼してくれている。俺はアリサのことが好きだと改めて感じることが出来るようになっていた。

だからこそ。この国で俺は、彼女を幸せにすると心に誓ったんだ 俺にはやるべきことがある。そのために俺は行動するんだ。

そんなことを考えながらも。俺はこれから、俺自身が強くならなければと考える 俺はまだ、弱い この世界で、生きていけるように、強くなる為に俺は動き始める そして、この国に住む人たちを救うんだ この世界は平和そのものだった。魔物は居るものの、それも数は少なく、そしてこの国の周辺には滅多に出現することはないらしい そして、この国の民は、とても平和な日常を過ごしていて、他国に喧嘩を吹っ掛けるなんてことはしない。だからこそ俺は、この国が抱え込んでいる問題を解決しなければと考え、アリサと相談をすることになった。この国に存在する問題を俺が知る限り全て把握しなければならない。

俺がこの国の抱える問題について話し始めると、彼女は少しばかり驚いた表情を見せると。その後すぐに納得をしてくれる

「なるほどね。それで、あんたはこの国に蔓延る悪徳貴族どもが問題だと?」

「そうだよ。あいつらはきっと悪いことをしている。それを正さなければならないと思うんだ」俺の言葉を聞いてアリサは少しだけ悩む素振りを見せていたが

「わかったわ。この国の貴族たちについては私も良く思っていないから」そう言ってくれると俺は心の底から嬉しく感じてしまうんだ。アリサはこうやって直ぐに信じてくれるんだ そんな風に思っていた時期が僕にもありました!と言わんばかりの展開が待ってたりするんですよ アリサが協力を申し出てくれて一夜明けた朝に事件は起きた 俺達が目を覚まして、食堂に向かうために階段を下っていく最中に、俺は気が付いた 誰かに見られていることに気が付き、辺りを見渡した時

「あれ?」

俺の後ろにいたアリサが、俺と同じように声を上げるのが聞こえて来た。俺は、不思議に思い振り返ったのだが その時にはもうすでに遅く。

目の前に迫ってきていたナイフが俺に向かって突き出されたのだ。そしてその刃が俺に刺さりそうになった瞬間。アリサが俺を押し倒すようにして庇ってくれた。その結果だ。俺とアリサが、階段から落ちてしまったのだ そして、俺の上に乗っている状態で彼女は言ったのだ アリサが怪我をしたらどうするつもりだ。死ぬ気か?と、俺に向かって言い放った アリサの声色は怒気を含んでいたが。それと同時に俺を心配してくれているというのがありありと感じられる言い方だった 俺は、彼女に心配を掛けまいとすぐに謝ってその場を離れたのだった しかしだだ。俺達は、それから、朝食を食べることもなく。部屋に戻ろうとするとだ 俺達を追いかけてくる者の姿が見える その者はアリサを見つけると

「おいお前。俺の誘いを断った上にそいつまで巻き込むのか?」

そんな事を言って来るもんだから

「断る理由が私にはありません。それに、こいつは、私の友人だ、そして友人を守ろうとするのが人としての義務というものでしょう?」

アリサはきっぱりと答えると。男は、怒りを露にしながら

「この女。調子に乗りやがって。俺が誰だか分かっているのか?」そんな事を言うが そんなの分かりたくも無いし、分かりたくも無いから無視を決め込んで部屋に戻った

「なーアリサ、ちょっと頼みがあるんだけどいいかな?」

俺がそう言うとアリサはとても嫌そうな顔をしながらも俺の言葉に反応してくれていた。それからアリサに頼み事を伝えた。その内容と言うものは、この城から抜け出すことに協力して欲しいというものだった。もちろん。俺一人でどうにかしようと思っていたのだけれど。アリサが付いてくるというのだ まぁそんな訳で。俺とアリサが二人で抜け出したのは良いが、ここで問題がある。どうやって外に出るか?ということだ 俺は、この城を抜ける抜け道を探そうと、城の中を探索することにする。そして俺はアリサに一言伝えることにした。

そして、俺が言葉を紡ごうとした瞬間だった。俺の背後に何者かの気配を感じたのだ。咄嵯に剣を抜き放ち背後に向けて斬り掛かるが手応えはない、そこにいたのは黒装束に身を包む集団がいたのだった、俺は警戒レベルを最大にして臨戦態勢に入った 俺はその者達に対して問いかけることにした 一体何を考えているのかを聞くことにしたのだったが、返事がない

「お前たちはなんだ?」

もう一度問い直すやはり返答はなく。その代わりに攻撃を仕掛けてきた。相手の数は3人だ。だが、この狭い通路では人数の差はあまり関係が無いはずだ 俺の予想は当たった。だが、この程度で負ける俺では無かった。俺も必死になって抵抗し、何とかこの場は切り抜けたのであった そんな出来事が起きた直後である。俺の後ろから物音がしたので、俺はそちらに視線を向けた そこには先程の奴らがいて。アリサはそいつらのことを見た後に

「まさかとは思うけど。この男を助けようとなんて考えてるわけじゃないでしょーね」と言った。それに対しての回答は 勿論助けない。だが、この場で殺すわけでもないらしい この男の始末に関しては、我々の主が、直々に手を下すらしい、だから我々には、こいつを生かしておく必要があるようだ それだけを言って奴らは去っていったのである アリサとそんなやり取りをして、しばらくが経つ 俺はその間もずっと城の脱出方法を探していた。アリサの方にも手伝って貰うことになり そして、ようやく。城の外に逃げ出すためのルートを見つけた。それは地下へと続く隠し扉を見つけ出すことである そこからはアリサと共に行動することにした。そしてアリサと協力して俺は遂にこの国を脱出し。そしてアリサの故郷である帝国へと向かう そこで俺は彼女を守ると誓った その為にも強くならなければならない。俺はその決意を胸に抱きつつ。帝国の帝都を目指すのであった 私の名前はアリサと言います 帝国に住む貴族の娘で、それなりに裕福な暮らしをしていたと思います。私の父は元Aランク冒険者で。名を『白の剣士』などと呼ばれたりしていたようです。

私の家はかなり歴史の長い家で、代々勇者の伴侶となって、勇者の手助けをすることが、この家に課せられた使命のようなもので。勇者の力を測る魔道具も我が家の先祖が作ったものなのです。

私は幼い頃から勇者に憧れていた 私には歳の離れた兄が居たので。よく遊んでもらっていたりもしていたのです。私は兄のことが大好きなのですよ。私はいつもお転婆で 元気一杯な女の子として成長しました。

私は、将来は、父の後を継いで、帝国の為に働く騎士になるのだと そしてゆくゆくは帝国の第一皇女殿下をお守りする役目を父より承ることになると勝手に思い込んでおりました そんな矢先での出来事だったのですが。

私が14歳となった日に。勇者が召喚されることが決まった。その勇者様は異世界の人間であり、魔王を打ち倒す力を宿していらっしゃるとのことで 召喚され次第、帝都にて儀式が行われることになっていたのです。その儀において勇者は、聖女と呼ばれる方の導きの元、神から加護を授かるのだということを聞かされていました 私はこの日を待ち遠しく思っていました。その日が来たら、私と同じような思いを勇者様が味わってしまうかもしれないと思うととても不安になってしまうんです。でもそんなのは勇者様の前で見せることの無い様に振る舞おうと思っています しかしそんな気持ちをぶち壊してくれたのは母で、勇者がこちらに来られてから、私は勇者に嫁ぐのだと 母はそう言っていましたが、それが無理な願いなのだということは直ぐにわかりました。なぜなら この世界に召喚される勇者が。本当に世界を救うために呼び出されているとは限らないのだから そもそも勇者というのは嘘で。本当は悪いことを考えている人間が、この世界を侵略するためだけに呼び出しただけに過ぎないのかもしれません。そんな風に考えてしまいました その話を父と母が話している時にたまたま通り掛かった際に聞かされてしまったのですね

「ははははははっ!勇者は偽物だっただと!それで、あの国は私達に戦争を仕掛けようとしているということなのか?」と父が言う

「その可能性は高いとしか言えません。あの国の王がこの世界の全てを支配してやろうと考えているという噂を聞いたことがあります」と母が言った。私は何もかもを信じることを辞めたくなりました。だって。この国は平和そのものだったのに。そんな事を企んでいる人が王になっているだなんて 私はその日の夜から眠れなくなってしまった 私と同じ思いをさせてはいけない 絶対に この国を救うんだとそう決心を固めて眠りにつき、そして目が覚めると

「ここは?」

そう言いながら俺は、ベッドの上で起き上がった すると目の前には、俺の知っている人物がいるのだった

「やっと目を覚ましたのね?まったく。心配かけさせて、この馬鹿!」

アリサは俺に向かってそう言うと。そのまま俺の胸に向かってダイブした

「ちょ!痛てててて!なんなんだいきなり!?︎ おいアリサ!何が起きてるんだよ!それにここはどこだ?俺は、さっきまで。そういえば!あいつらに殺されそうになったところまでは覚えているぞ。それにアリサ!あいつらは一体誰だったのかわかるのか?」俺は矢継ぎ早に質問をぶつけた するとアリサはその一つ一つにしっかりと反応を示してくれる。どうやら俺達は助かったみたいだ。そしてここは城の中の俺が寝かされていた部屋の中だった それから俺とアリサはお互いに自己紹介を始めた。まずアリサは、俺と同年代らしく。年齢は16歳だそうだ。

俺が助けてくれたことについて感謝を伝えると。彼女は気にしなくて良いのよと言ってくれたのだった。俺達がそんな会話を交わしてから暫く経った時だ コンコンとノックの音が聞こえてきた そして俺とアリサの二人がその音に対して返事をするとその人物は中に入ってきた。それは俺達の世話をしてくれていた侍女の人で。名前はエマというらしい

「ご主人様がお呼びです。お目覚めになったばかりで申し訳ありませんがすぐに来て欲しいとのことでございます」と言われてしまったのだ そしてその指示に従い、俺とアリサは彼女の後をついて行くと 謁見の間に着いた。そこには王様が玉座に座っていて。側には先程会った。あの少女の姿があった 俺達は、王に挨拶をした。そして本題に入った この城の中で一体どんな事が行われていたのか、それと、俺がこの世界でどのような扱いを受けるのか、そして。俺はアリサと一緒に、ここから抜け出したいと思っているのだ 俺は自分の意志を伝え。それを承諾してもらうことが出来た そんな感じで。この場は解散となり。部屋に戻るように促されて、俺とアリサは部屋に戻った

「とりあえずは、これで一安心って事だよな?」俺がアリサに聞くと、彼女は少しばかり考える仕草を見せた後に。そうだと思うと俺に答えた。そんな事を話し合ったあと。

俺がこの城について気になることを聞いてみたのだ。俺に説明をしたのは先程のエマさんで彼女が言うにはこの城は魔導師達によって守られているのだという。

「この城に魔道士が何人いるか分かるかい?」と俺が問いかける すると

「魔導士?あぁこの城には魔道具の研究をする者が集まっているんですよ。そして彼等は研究の為ならば多少の無茶も辞さない連中なのです。その為。城内には、結界が施されておりまして。それを破るには、相当な魔道具が必要になるのでしょうね」と、答えてくれたのだった つまりこの城のセキュリティーはかなりのものと言うことだ。これは迂闊に攻め込むことが出来ないということになる そこで俺は、アリサと二人だけで脱出する計画を練り始めた。この国の中枢を担う人間であるはずの俺を、簡単に殺しに来る様な奴等だ。まともにやり合ってどうにかなるとは思えなかった 俺が色々と対策を考えていた頃だ アリサの方は何か考えていたようで、俺に提案があると言っていた。俺はその内容に期待を膨らませてアリサの話を聞くことにした するとその内容は俺からしてみればとんでもない話で。俺はアリサからの提案を断るつもりでいたが、それでもアリサがどうしても聞いて欲しいというので仕方なく話を聞き始めることにしたすると内容は、俺が帝国に行くことで。勇者のフリをしてこの国を支配しようと考えている貴族どもに俺が勇者ではないということを暴く手伝いをして欲しいというものなのだ 当然そんなことは、お断りしたいと思った。だが、アリサは必死になって頼んできたのである。そこまで言われたのであれば仕方がないと思い 俺は、その頼みを引き受けようと決めた そして俺達は。早速明日の朝早くに出立することに決めるのであった。

「今日も平和な一日で終わりますように」俺は祈りの言葉を口にして目を閉じる

「どうかこの世界に平穏がもたらされますように」そして再び祈る言葉を口にしたのだった だがこの願いが叶えられることは無かった

「ふぅ〜 今日もいい天気だし。気持ちのいい朝だ」

俺は、朝食を摂った後にそうつぶやくと

「あら?随分と早いのね? もう少しゆっくりしてから出れば良いのに」アリサがそう言ってきた 俺は、その発言に対して、苦笑いを返しておく そんなやりとりをしながら、二人で身支度を整えていく それからしばらくしてから、俺たちは出発の準備を済ませると

「では行って参ります。母上様。父上様」

と俺は告げた。その俺の発言にアリサも続くようにして同じことを言うと

「おぉ お前が勇者の真似事なんてものをしてまで、この国に居たいと願う理由はわかっているつもりだ。勇者殿が、この世界に戻ってくるまではこの国を守ってやるから安心するが良い」そう王が言ってくれたので。俺とアリサは頭を下げて、そしてこの城を発つことにした 門を出て暫くした頃に。俺はある人物と鉢合わせすることになるのだった 俺は目の前に居る人物に警戒心を露わにして問い掛けると

「やめてくださいよそんな風に睨まれるような事をするつもりはありませんから。

それよりこんなところで何をしているんですか?」そう言って俺のことを心配そうに見つめてくる そんな彼女に「君こそここで何をしているんだい?」と聞き返すと

「私は、これから王都の学校に向かうのですが。貴方達がこの辺りを通るなんて偶然もあるものなのですね。それに、この先には王城ぐらいしかありませんでしたから、それで不思議に思って声をかけた次第ですが。それよりも。貴方が勇者様で間違いは無いのですか?そうだと答えるのでしたら。勇者様に会わせて欲しいと言っている者達がおりまして、その者に会うために同行させていただけませんでしょうか?」と頼まれてしまう。そしてアリサは俺のことを見るが どうしようか。俺がそんな風に考えていると

「別に構わないだろう。私は問題ない」アリサが言う。まぁ。確かにアリサの言っていることに間違いはない 俺は彼女のその言葉に従うことに決めた。そして俺達が王都へと足を踏み入れるとそこには多くの人の姿が見えた そんな街中を歩いていると一人の女の子を見つけた 俺がその子を見ていると

「お兄ちゃんどうしたの?」アリサにそう尋ねられてしまう 俺は「あぁごめん。あの子が着ていた服が可愛かったからさ」と答えると アリサは少し驚いた顔をしていたが「そうだったの」と納得してくれたようだ。

それから直ぐに、少女のところに向かっていく その子は俺に話しかけてくるのだが。その途中で倒れそうになる。そんな彼女を、支えるために抱きかかえる。その際に。その子の耳を見てみる。どうやらエルフのようだった。俺は彼女に向かって。どうして俺に話しかけて来たのかを質問をする するとその子の名前はユイと言って 最近この世界に来たのだとか。

彼女は「それで。私はお姉様と一緒に暮らしているので、会いに来て欲しいって言われていて」と話してくれる。その話の途中で、アリサが割り込んでくる

「ねぇ 貴女。私の妹になりなさい。そうした方が楽しいと思えるから」そう言うと

「お姉様!?︎ちょっとお待ちください!え?本当に妹になれるのかしら?それは楽しみかもです!」

アリサが突然そんなことを言い出したため ユイは驚きつつも嬉しそうな表情を見せる。俺は二人のやり取りを見ていたが、このまま立ち去ってしまおうとアリサ達に背を向ける そしてその場を離れようとした瞬間に、後ろから肩に手を掛けられて引き留められてしまい、振り返ってみるとそこにはアリサが立っていた そして、俺は何故か。アリサと一緒に王城へ戻ろうとしている最中である。俺が、この城に戻りたくない旨を伝えているにもかかわらずアリサは、「もう、そんな事気にしなくて良いって言ったでしょう。ほら、行くよ?」そう言われると アリサが歩き始めたので俺は仕方なくついていくことにしてしまった 俺は今、アリサと共に城内にいる 何故俺が城に戻っているかというと。アリサが勝手に決めてきたからだ

「それじゃあ 行ってくるから、大人しく待っててよね。

私の可愛い義妹の為なんだから、変なことしたりしないでよ?」

「誰がするか!!そもそも俺は、その子を連れて行くことを許したわけじゃないぞ」とアリサに抗議をするも、アリサはどこ吹く風で俺の言葉を無視して。俺とアリサが城を出る前に話をしていたユイと言う女の子の手を引き城に戻って行く 俺は城に戻る際に兵士の人たちに声をかけられる

「ん?勇者様。そちらの女の子をご紹介いただいてもよろしいですか? もしかして、この城に新しく配属されてきた子なのかもしれませぬが、まずは、我々に名前だけでも聞かせてもらえますか?」と聞かれた。

俺がどう答えようかなと悩んでいると アリサが口を開いた。すると アリサに連れられた女の子の名前がユイだということが判明した 俺は少しばかりの時間、思考停止をしてしまうと。慌てて、そのユイと言う女の子を連れて来たアリサと。ユイをここまで送ってくれた女性に感謝を告げ。そして 俺は城の自室へと戻るのだった 俺の部屋に戻ってきた。俺達を迎えたのはエマと呼ばれるメイドの女性だった。彼女は俺に対して 自己紹介を行ってくれる。

その話によると、彼女は元はこの城の侍女だったようで。そしてある日のことだ。彼女は、とある事情があって辞める必要が出て来て、それに伴ってアリサのお世話係の役目を与えられたというのだ。

そして、そのアリサと言う子は一体何処に行ってしまったのか?俺は疑問を感じてしまったが。今は、それを尋ねることはしなかった

「アリサはどこにいるんだ?俺がここに来ていることは伝えてあったはずなのに」そう聞くも答えは返ってこなかったのだ。するとそこにアリサが現れた。俺はそんな彼女に近寄って行くと俺に対してこう問いかけてきた アリサが言うには、この部屋から出ようとするたびに何かが起きて、出ることが出来なくなるという だが。試してみると、俺の身体は何事も無かったかのように扉を開け放つことができた

「あれ?普通に外に出れたぞ?」俺はそう言って、外に向かおうとすると、エマさんに引き止められてしまう それから俺は、彼女と話すことにした。その途中、俺の目の前にアリサが現れて。

エマと俺の間に入り込むようにしながら会話に割って入って来ると。それからすぐに

「ねぇ そんなことより。早くこの国を支配しちゃいましょうよ?」

そんなことを言い出す。だが、当然のように却下しておいた 俺はこの国をどうにかして守っていきたいと考えていた だからこの国からの追放は望むところだと思っていた そしてその日は俺とアリサとの二人で行動することに決めた

「ねぇ。お父様が呼んでたわよ?」アリサが俺にそんなことを言ってきた だが俺はそんな話を耳にするなり。そんなことは無視をして。アリサを連れて、王の間へと向かう そして俺は王と対峙する形になる。だが、王の言葉など俺はまともに聞いてはいなかった アリサを勇者として召喚した?馬鹿らしい。こいつはただ単に。勇者と魔王の関係を利用したかっただけじゃないか?そんな風に思い。俺は、この国を出立することを決意した

「勇者の振りをして。帝国で暴れまわろう」そう呟き。俺は、王国を出て、帝都へと向かったのだった 俺は、帝国の街に足を踏み入れていた そして街の様子を見ながら歩いていく そしてしばらく歩いていると。一人の男と出会った 男は俺の姿を見つけると。いきなり攻撃を仕掛けてくる。だが、俺にはそんな攻撃は通用しなかった なぜなら俺が纏っていた魔力は俺自身の物ではないのだから それからしばらくしてから、その男は地面に膝を突きながら。苦しそうにしている その男が息絶えた後、その場に居ては怪しまれることになるため。その場を離れることにする 俺はこの世界で勇者の代役を演じて。帝国の連中がどういった反応をするのかという事を確かめるためだ そう考えると、俺の行動指針が見えて来た。俺が目指すべきは一つだけだ 俺の正体を知っている者が誰なのかを見極める事 そう考えて俺は街に潜みつつ。この国を支配するために、どう動くべきなのかを考えて行くのだった 私は、あの日からずっと考えていたことがある。

どうしてこの世界が滅ぶ運命なのだろうかと 私は、その事を、あのお方に伝えたくて。必死になってあのお方に話しかけていた あのお方は、とても優しい声で、私に語りかけてくれて、そして、この世界を守る方法も考えてくれていた だけど、そんな日々の中で。あの人はいなくなってしまった どうして私はあの人を助けることができなかったのか?あの人のことが大好きだったのに、あの人に死んで欲しくなんてなかったのに、どうして?私がもっと強くなろうと決意した時に私は、私と同じような境遇の人たちを集めて、この世界を守っていこうと、あの人が残した言葉を思い出して、その人たちと共に戦うために立ち上がったの そんな私達は、仲間を増やしていった。私達が手に入れていた魔道具を、私達の国に、その魔導士が残してくれていた、魔導機を使っていき、戦力を強化していたの そんなことをしていたらあの人と同じ力を手に入れた子が現れるようになった あの子が持っているスキルが、あの人の力と一緒のもので、私達が使っているものと似ていることから。その子も私たちの側にいてもらって、一緒に戦ってもらう事に決めたの。その子はとても強かった その子は名前をユウキと言った。でも彼は、いつも、どこか暗い表情を浮かべていた。それが何が原因かは分からないけど。彼が抱え込んでいるものは大きいと感じたのそしてそんな彼を見兼ねて、私は彼に話し掛けたりもしていたの そうしたらいつの間にか仲良くなってた それから私はユウくんに色々なことを教えるようになっていたの 彼の持つ知識は豊富で。この世界にはないような技術や情報などを、私は、彼と共有したの。するとある時、私の作ったゴーレムたちが勝手に動いて。他の街を攻撃し始めるという出来事が起きるようになって来たの それから、私が作った人形たちが。まるで誰かの意思によって動いているみたいに、その意思に従うかのように行動するようになった そして私の元に現れた一人の女性が、私に対して、自分の願いを告げてきたの その内容は。この国の王に成り代わりたいというもので。

その女性は。自分が、異世界からの迷い子だということを、教えてくれた。

私は彼女を信じてみる事に決めたの。そして、私は、その女性と一緒に、帝国を乗っ取ろうと動き出すの 最初は、うまく行くか不安でしかなかった。だけど、あの人と一緒で、凄く頭が回る人だった。そしてこの世界のことをよく知っている人で、彼女が作っている魔道具の数々は。とても便利なものばかりだし、彼女は私よりも遥かに優秀な人材だと思うの。

そんな彼女と、私は協力してこの世界を救えると思ってた。でも、彼女の目的は違っていたの。この国はもう、お終いだと思った それから、あの子はこの世界に蔓延している闇について語り出したの あの子の話は、とても衝撃的だった。だってそうでしょう?その闇って言うのは。

私にそっくりで。しかも私以上に性格の悪い女だったのよ その話を聞いたら納得がいったの 私の作り出す魔法が私の意識を離れて勝手に発動するようになったのは、私のせいだったんだって。それもこれも全部あの女神が悪いのよ。だから今度こそ決着をつけてやるの。あの女神がどんなに卑怯でずる賢いやり方を使ったところで、絶対に負けないから。それに、こんなことを仕出かした奴は、絶対に生かしてなんかおけない。

「さぁ そろそろ始めようか?あいつらが邪魔をしに来たとしても、全て返り討ち。そしてこの世界の王となる。それがこの私、アスタロッテの役目」

「おい、アリサ。これは一体どういう状況なんだ?」アリサに連れてこられた場所は何故か地下の牢獄のようで。俺は訳がわからず困惑を隠せない状態だった

「まあまあ、落ち着いて、これから説明するわ。まず最初に貴方が召喚されたこの城の地下には、王族しか知らない通路があるの。そこを抜けた先にあるのが。その隠し部屋よ。そこは王族のみが知ることのできる秘密の場所でもあるんだけど、そこには歴代の国王が集めてきた。ありとあらゆる本が置かれているわ。そして、そこで見つけたの。この城の現状を解決する鍵になり得る情報が記載された本を、そこにあった資料に書かれていた。初代勇者様の手記を、私は発見したの。だから、それを元にして作戦を立てたわけ。ちなみに貴方には内緒にするように言われてたの。そして、この城をどうにかする方法がわかったから、後は実行するだけだったのに。まさかこんなにも早く気付いちゃうとは思わなかった。」

「なるほどな。つまりはだ。お前は何かを隠して。そしてそれを俺に伝えようとしたんだな?」俺はアリサの話を聞いてそう告げる

「えぇ ごめんなさい。実はあの隠し部屋に行けば何かしらの情報を得られると思っていたから、貴方を連れて行きたかったの」彼女はそう告げる

「いいんだ それよりもだ。この状況を打破するために俺が何をすればいいのか。それを教えてくれ」俺がアリサに向かってそう伝えると 彼女は嬉しそうな顔をして それから俺に対して、この国を救うために必要なことを色々と話してくれたのだった

「なぁ アリサ。少し質問をしても大丈夫かな?」俺は、アリサと話し合いを終えて。一休みをしているときにふと思いついた疑問があったので聞いておくことにした

「うん。別に問題無いけど。一体何を聞きたいの?」彼女は首を傾げて不思議そうにしながら俺に尋ねてくる

「アリサが持っている。勇者の剣っていう武器はどこに行ったんだ?」俺は、そのことだけはとても興味を持っていたのだ。なぜなら俺の持つ神原勇斗の剣もアリサが所持しているはずの勇者の剣なのだ。だから俺が持つ神原勇の剣と、アリサの勇者の剣が同じ存在なのか。そして勇者の剣とは本来どのような性能をしていた物なのか 俺も知りたくて仕方がなかった。だからアリサに尋ねたのだが、どうやらその事については答えたくないようで、俺がいくら問いかけても教えてはくれなかった そして俺達がいるこの部屋の扉が開かれる そしてそこから入ってきたのはこの国の姫である。アスターティナだった

「アリサちゃん!無事でよかった」そう言いながらアリサのところへと駆け寄っていく

「心配掛けてごめんなさい」そんなやり取りを見届けた後で、この場から離れようとすると、突然俺の足下に鎖が出現する 俺の足に鎖を巻き付けるとそのまま引っ張られるように俺はその場を離れられなかった

「おい、俺の足に勝手に絡み付いてきたぞ?なんのつもりだよ!」俺が文句を言うと目の前に居た。金髪碧眼の少女から返答があった その声は鈴のような綺麗で透き通るような声で 俺はこの人物の顔を見ようと振り向いたのだったが、振り向くと同時に背中に痛みを感じ。俺はそのまま床に倒れ込んでしまった。そして顔を上げると、そこに居たのは、俺を見下すようにして笑みを浮かべている。あの時の女勇者だった 俺はこの世界に来る前にこの少女の姿を見ていた そしてそれは夢だったはずだが だがしかし。なぜこのタイミングなのかと、そんな事を考えていたら 今度は俺の体が浮き始めた

「おいっ ちょっと待て どうするつもりだ この野郎!!」俺は必死になって叫び。暴れまくった だが俺がどれだけ抵抗したところで、その女の腕力によって、まるで荷物を担ぐような状態で運び出される事になったのであった。

そして今現在 俺はとある場所に拘束されている。その場所とは牢獄ではなく。豪華な造りをした客室のようだ この客室は豪華すぎるだろうと思った。なぜならばこの部屋には、ベッドにトイレにお風呂、その他にも生活用品が全て揃っているのである。さらには家具などもしっかり置いてあって不自由のない生活をできるようになっていた 俺はその事に感動を覚えながらも。この部屋の持ち主であろう人物が姿を現すのを待つことにしていた 暫くするとこの部屋の中に一人の騎士らしき男性が入ってきて 俺の前で膝をつき頭を下げて挨拶をしてきた

「この度は我々の仲間を守っていただき誠にありがとうございます。この度は貴殿に感謝の意を伝えさせていただこうと思い。この部屋を用意した次第であります。ですので、どうかここでゆっくりと寛いでください。そしてもしよければ、貴方の持っている。あの魔導機の力を見せて欲しいと思っております。我々のためにその力を是非ともお貸し願いたいと、私は思っています」そんな風に話しかけられて いきなりだったのもあり、対応が遅れてしまい。

この人が言っていることが理解できず。しばらく黙っていると、痺れを切らした騎士さんは。再び同じ内容で話して来たのだった なので、この人からの申し出は断りたかったが、断れるような雰囲気でもなく。仕方なく了承する すると、俺のことをじっくり見つめてから 彼は部屋から出て行こうとした そして去り際に 彼は一言残していった

「これから忙しくなっていきそうだな」そんな言葉を残して彼は立ち去っていったのだった この国に巣食う闇の根源を潰さない限り 俺たちは安心して暮らしていくことが難しいということ だからこそ。今この瞬間。俺たちの平和な時間を守るために。俺たちの手で奴を倒すことを決めた

「さぁ、みんな。そろそろ出発しようか。まずはこの城に居るという国王と王妃を捕まえに行くよ。それでその二人さえ捕まえれば、あとのことはどうにかなるはずよ。そして、今回の目的は二つ。その目的を果たすために。まずは地下の牢屋に捕らえられているという王女を救出することから始めましょう」彼女が、そう宣言してこの部屋を出ていく それにつられる形で皆も立ち上がり彼女の後を追っていく そんな様子を確認してから。俺も彼女達のあとを追う 地下に向かう階段の入口に到着するまでの間で、俺は気になったことがあるので、彼女に尋ねてみることにする その質問は なぜ俺をこの世界に連れてきたのかということだ

「なぁ お前は、俺がこの世界に転移させられた理由はわかるか?」俺がそんなことを聞くと 彼女は困り果てたような表情でこちらを見ながら「えぇっと、ごめんなさい。そのことに関しては。あまり詳しくは知らないの。ごめんなさい。だけど、私はあの日 貴方のことをこの世界に送り届けてほしいって頼んだだけで、そのあとのことは何も頼まれてないわ」

そうか まぁそれなら仕方ない 今この場で追求しても何も得られないのであれば、俺としてもそこまで気にするような事でもなかった 俺はそのことを納得してから地下へと向かうことにした 地下にたどり着くまでの途中には 多くの兵士が巡回していて。中には魔物の姿もあった この城の兵士たちが、ここまで追い詰められていたんだと思うと。少し同情してしまう部分があったのだった そんなことを考えている間にも地下に続く階段の前にたどり着いたので ここからは慎重に進んでいく必要がありそうだと思い。辺りの様子を伺いながら歩いて行くことにした そして 俺が周りをキョロキョロと見渡していると 突然背後に何か気配を感じたので 後ろを振り返るが、そこには特に変わったことはなく 誰もいなかった 俺の考えすぎだったのかもしれない。そんな風に思った矢先 何かが俺の体目掛けてつかみ掛ってきたので。俺は驚きながらもその何かの攻撃を防御することができた 俺の体に掴み掛った正体はなんと、一匹の小さなスライムが 俺の体を伝い這い上がろうとしているのだった こんなところに、この城に生息するスライムがいるなんて 思いもしなかったのだから俺は困惑を隠せなかった

「お前 どうしてこんな所に、いるんだ?いやそもそも なんで俺の服の中にまで入ってこようとしているんだよ!?とりあえず出てこい!」俺がそういうと、俺の言葉を理解してくれたようで スライムは俺から離れると地面に落下していく 俺もその様子を見届けると 再び先ほどの場所に戻っていくのであった そして 俺の足にまた何かが絡み付いてきて。俺を引き戻そうとするが、俺はそれを何とか耐えきることに成功した そのせいもあって、俺はバランスを大きく崩し、転倒して倒れ込む その勢いのまま。俺は床に打ち付けられるように倒れた俺の体は、硬い石のような素材で作られた地面に衝突したことで大きな音を立てながら転がり始める だが幸いなことに 床には絨毯が敷かれていたので それほど衝撃を受けることも無く 俺は無事に倒れ込んだ状態から立ち上がることが出来たのである 俺がそんなことを思っている間にも。俺に何かしらの攻撃をしかけてくるものがいた。その正体とは 俺の靴にくっついている。あの謎の物体と同じ姿形をした生物だったのだ 俺は慌てて。自分の履いているブーツを脱ぎ捨てて その生き物に触らないようにしながら 俺はなんとか逃げ回ることに成功するのであった それからしばらく時間が経過すると どうやら目的の場所である地下牢の入り口に到達したようだった。その入り口は少し高い場所に作られていた この国でもそれなりに権力を持っているであろう人物。つまり 国のトップがいるとされている部屋の扉がそこにあったのだった そしてその扉の目の前に到着した俺は その扉に付いている取っ手を回して、扉を開く するとその部屋の中からは大量の煙が流れ出てくる そして視界が塞がれてしまったのである 俺達はそんな状況を打破するためにも、お互いに協力して。

扉を開き続ける。そして ようやく全ての扉が開ききることができた。

だがその光景を見て 俺達が抱いた感想としては、これはあまりにも酷すぎると 思わずには居られなかった この国の王族と思わしき者たちは 俺達の姿を見て、俺達を取り囲みながら「なんだ?貴様たちは?この私に用があるというのか?」「まさか。私を殺すつもりで乗り込んできたんじゃないだろうね?そんな事はさせないよ」などと口々にして言ってくる この人達をこのまま放っておいた場合 この人たちは間違いなく死ぬことになる それは絶対に防がなければいけなかった。だからこの人たちを救うために俺は戦う覚悟を決める すると、突然目の前にいる人物の一人から攻撃を受ける その人は「お前たちのせいで私たちは破滅の運命を辿ってしまったんだ。この恨み。ここで晴らしてやる」

そんな言葉と共に俺に攻撃を仕掛けてきたのだった「なんなの 貴方は、そんなことより早くこの部屋から抜け出すことに集中しないと、このままだとこの子たちが死んでしまうのがわからないの?」俺の仲間のひとりがそんな事を言い放つと 相手は動揺しながらも。「お前らなんかがこの私を傷つけられるわけが、あるもんかー!!」と大声で叫ぶので 俺は剣を振り下ろす すると俺の攻撃が直撃する すると、相手は吹き飛び、そして倒れ込み。そしてそのまま動かなくなった だがそれでも俺はまだ油断はしない。この人たちが本当に死んでしまったか確認する必要があるからだ

「ちょっと待ってください!もう十分でしょう。貴方に罪がないとはいえ。今、貴女はこの人を殺めました。なので 私たちと一緒について来て貰いますよ」その言葉を聞いて俺は 素直にその提案を受け入れることに決める なぜならば 今のこの人たちを救う方法など無いに等しいからだ。

俺はその言葉を言われる前からわかっていた。だからこそ この人たちを助けることができないことも、そして今 この場で俺ができる最善の策を取るべきだと思ったので その言葉を受け入れることにしたのだった 俺のこの行動によって 俺は彼女たちと同行することになったのである。

その後俺は彼女達に誘導されながら、地下のさらに地下深くへと続く階段の前に到着した そしてその階段を下りていく最中で 俺と彼女達との会話が続くことになった その会話の内容は俺自身のことについてだった

「私は君がどうしてあんなに強いのかわからなくて それで質問したいなって思ったのよ」俺に対してそう言い出した彼女は なぜか少し顔を赤らめて恥ずかしそうにしている 俺が何を話していいか困っていると、隣にいた女の子が

「あなた どうしてさっきあの人を殺したんですか?」そう言って彼女はこちらの方に目を向けて問いかけてくる

「えっと、それは俺がこの人たちをどうにかして救ってあげないといけないと思っての行動だったんだけど、それが間違いだってことくらい 俺も分かってる」俺はそんな風に返答するが やはり納得のいかない表情をしている女の子の頭を彼女が撫でてから「大丈夫。この人は優しい人で。とてもいい人だから、だからこの人のことは、これから私が責任を持って守ってあげるつもりだから安心してちょうだい」そんな事を言って その言葉を聞いた少女は少しだけ不満気な表情を浮かべながらも。大人しくなってしまった そしてその出来事がきっかけとなって 俺にいろいろ話しかけてきてくれるようになった そのおかげで 俺は、この世界のこと、この城のこと、この城の置かれている状況などについて知ることが出来きた まずこの城は元々は普通の城のはずなのに。今ではこのような惨状にまで追い詰められていること その理由は俺には全く分からなかったが、とにかく、その件に関して 彼女達は関与していないということがはっきり分かっただけでも、大きな収穫となった そして俺は 彼女達について行く形で その部屋に入る そこは 俺が最初にこの場所に入った時に 見たような気がする部屋だった その部屋には 国王と王妃、そして王子の三人が居るはずだが 俺の目に見える限り 国王と王妃の姿は無く。そこには王子だけが座っていたので おそらくこの人がこの国の王様で、王子が王妃だと思われるが、そんな風に思えたその証拠になるようなものは特に無かったが、なんとなく雰囲気がそう見えただけだ それから少しばかりの間、沈黙が続き 俺も特に何も言うことがないために。無難な返事しかできなかった

「えっと、あの、すいません。お名前はなんと言いますか?」俺がそんな風に訪ねてみると

「えぇ、私の名ですか?ふふ、私はこの国の第二王女のアイナです。以後よろしくお願いします」そんな風に挨拶してくるので 俺も自己紹介することにした

「俺は佐藤裕二。特に特技とかは無いただの高校生だよ。一応 この世界に来た理由は女神に頼まれたのが原因らしいけど、正直俺はそんな話信じていない。まぁ この世界は平和で、危険が一切無いっていう点に関しては俺も同意する。だけど もしそんな世界があるのであれば、そんな世界を俺は見てみたいと思うよ」そんな感じで 俺が答えると、俺の言葉に反応するように 俺のことをじっと見つめながら 何かを悩んでいるように

「そういえば あなたは不思議な格好をしていられますね。どこから来られた方なんでしょうか?」その一言で俺は思い出す。

自分がどういう服装をしていて、なぜこの国に来て ここに居たのか? 俺は、こことは違う世界で生きていた。俺はそこで死んだはずだった。しかし そんなことを考えていたら、俺は自分の服が変わっていることに気づいた。まるでアニメに出てくる主人公みたいな服装をしていて 俺自身が一番戸惑っている そのせいもあって。少しばかり困惑してしまったが、すぐに気持ちを整えて。冷静になって考えると 俺がこの服に変わった理由はなんとなく理解ができたのだった この国では魔法や、能力が存在する。

それを使えば、他人の服装を変えることなんて簡単な事かもしれない。だからきっと俺の服装が変わった理由なんて、どうせその程度なんじゃないかと俺は考えたのだ そしてそんな俺の疑問に答えてくれたのは俺の仲間の 一ノ瀬 由梨 俺よりも2つほど年上の 姉御肌な女性で、俺にとっては命の恩人でもある人物だ そんな彼女は 俺の服装の違和感を指摘して「そんなに この国の服装って珍しいものじゃないと思うのよね。だから、多分あなたの勘違いよ」と言ってくれた。その発言で、俺の考えは間違っていた事が証明された 俺はこの世界に元々存在しない人間 それは俺以外の全員が知っていることだ 俺は異世界から来たというのにもかかわらず なぜかこの国の人たちと話すことができた。そして俺は少しだけ不思議に思っていた 普通は異世界からの客人とやらは、かなり警戒されたり、場合によっては 殺されることもあるらしいが、俺はこうして生きていられている そしてそのことが、俺はすごく嬉しかった

「ありがとう。俺は本当に運が良い。もしかすると俺は、この国に良い感情を抱くようになるかも知れない」俺はそんな事を口走っていた

「そんなにこの国は悪いところなのかしら?」その質問に対して 俺は少し考えてから「俺のいた場所でも この国の状況は似たようなものだった。それにこの世界と俺がいた場所とは似ているようで全く別の世界なんだから。もしかしたらこの国の人たちは悪くはないかもしれない。俺が知らないところでこの国の人たちが他の国の人達にひどい扱いを受けている可能性も、ないとは限らないから」俺は自分で口にしておきながら、そんな事ありえないと内心思っていた。

「なるほど、でもそんな事を言えるって事は やっぱり君はとても優しい人ね」そんな会話をしていた時 部屋の扉が開いて 中性的な顔をした男性が部屋の中に入ってくる その男は、俺の顔を見ると こちらの方を見て

「あぁ君が、例の男か、君にはいろいろとやって貰うことがあるんだ。付いてきてくれ」

そんな言葉を受けて 俺とその男性 そして先ほどの女性3人を連れて。地下を移動すると、そこには牢屋のような物が幾重にも重ねられていた 俺がその中のひとつに近づくと

「おい お前!勝手に牢屋の中に入ったりするな!死にたいのか!」そんな言葉を発してきたのだが それを聞いていた女性が男に対して

「あら?そんなことしたらこの子が死んじゃうんじゃないの?」と言うと 男性は俺が近づいて行った牢屋の方をちらりとみて ため息混じりで 俺の背中を強く押すので 俺は前のめりに倒れてしまうと、そこには幼い少女が居て、少女はこちらを見るなり泣き始めてしまった 俺は慌てて 起き上がり 少女を抱き抱えようとすると 男がこちらに対して「この子を助けても。お前は死ぬことになるぞ」

その言葉を耳にして 俺がどうしてこんな事を言われているのか全く分からなかった 俺がそんな事を考えている間に 彼女は俺を蹴飛ばしてくる

「あんまりふざけるなよ!お前がその子に手を出すようなことをするなら 私はこの場で貴様を殺してしまうかもしれないんだぞ」そんな言葉を浴びせてきたので 俺は 俺に攻撃してきた女性を見据える。俺が彼女のことを睨むと 俺と彼女との間に緊張の空気が流れる。

「えっと。ちょっと、喧嘩をするのは構わないけれど、ここで戦うのは、あまり感心できないのよね。この辺り一帯を更地にするわけでもないでしょうし、そもそもそんな事をしたらこの国で暮らせないわよ」その言葉で我に帰ったのは、俺だけじゃなくて。相手側もそのようだ。俺を見ていた視線が外れると その視線の先は牢屋内にいる幼女へと注がれていて、俺もその視線を追うと その少女と目が合ってしまった

「えっと。とりあえずさ。この子は助けておくべきなんだろうけど。君は一体なんのために俺を攻撃して来たんだ?」そんな俺の質問を聞いて 彼女は少し困った顔をしている。それはそうだ。俺をこの国に入れないためとはいえ、あんな行動を取ってしまうということは この国が、今、何かの危機に瀕しているという可能性が出てくる。そんなことを考えながら しばらく待ってみると 彼女は観念したかのように話しだしてくれた この城の中で起きてしまっている。異常事態の全てをだ この城では現在、クーデターが発生しているのだという その目的は この国の姫である第一王女のアイナの暗殺だそうだ。

アイナは俺と同じ日本からの来訪者で、アイナはこの国に訪れた俺と同じようにこの世界に来て 俺と違って、勇者の力を手にすることができていたらしく。そのため その力は この世界でも屈指の存在で さらに 王族としての誇りもあり その力を使ってこの城の人々を守ることにしていたらしい そんな話を俺は聞いていると、その部屋の前に誰かが来たようなので。

俺はアイナと共にその場を離れて、少し離れた物陰に隠れた。

「あなたに一つだけ、お願いしたい事があるの」俺が何をすればいいんですか?と聞こうとした瞬間に アイナは俺に向かって頭を下げていた 俺は突然の事に驚きを隠せなかった

「あなたに あの子を 私の妹を助けて欲しいの」そんな事を口にされた俺は 一瞬 何の事を言っているのか 分からなかったが、俺の脳はすぐに 彼女が口にしていたことを理解することができたので、俺はそのことについて、いくつか彼女に質問をしてみた。

その質問の内容は至って単純なもの 俺にできることなんてたかが知れていると思うが 俺は、それでも何かの役に立てればと 俺は思ったのだ。

そんな訳で 俺がアイナに聞き出した情報は以下の通り この国の現状と。現在の王 そして王子についての情報が主に聞けたのだが やはりこの国はかなり酷い状況に追い込まれているようだった 俺が気になった部分として、 まず この国の王はかなりの人格者であり、国民からの信頼も厚く。

そのおかげで 今の今までこの国は比較的平和であった そんな王の子供が なぜクーデターを起こしたのかという事について疑問を抱いた俺は、その事を訪ねてみると。その答えとしては この国に最近になり魔物と呼ばれる生き物が現れたらしい それもその魔物たちは 普通の動物とは違って、知恵があり しかも、人語を解するというのだ。しかも、かなり凶暴なようで、人を殺すことなど躊躇しない上に、集団で行動したり、さらには軍隊を圧倒できるほどに強いらしい その魔物たちの影響で、この国の食料生産は、壊滅的打撃を受けており、 このままだと、国民の生活も危うい状態になってしまう。

そこで、そんな国を憂えた王が 自ら命をかけてでも。なんとかしようと思い。クーデターに踏み切ったという訳だった。

その話を俺はアイナから聞くと、俺は少しだけ考えると。俺はこの国に対して、恩返しをしたくなったのだ。

「わかりました。出来る範囲ですが、その件は協力します」そう答えると アイナは嬉しそうな表情で、こちらをじっと見つめている 俺はそんな彼女の目を見て、改めて、彼女の妹である アイリのことを思い出した。彼女はまだ5歳で、俺が最後に会った時はまだ 俺より少し年上なぐらいの少女だったはずだ そんな事を考えながら。アイリのことを思い出すと。俺はなぜか涙が出てきそうになったので、俺は慌てて下唇を強く噛んで我慢する。俺はその気持ちを抑え込むと、アイラがこちらを見て微笑んでいたので 俺もつられて笑顔になる そんなこんなで 俺は 自分の世界から、異世界へとやってきた俺の名前は 天谷優希 そんな俺に話しかけてくれた女性は。

この国を救って欲しいと言われてしまった しかし その前に。この国に居るという。俺の敵についても、詳しく調べなければならない。だから 俺はアイナに頼んだので。俺はその事を了承してもらって。

これからこの国の調査を始めていきたいと思っているので、俺はその足で アイナに連れられて 王と、その息子 それから、この国のお偉いさんたちが暮らしている場所に向かうことになった。そして、その場所に到着すると 俺はアイナに連れられるままに部屋に入っていった

「これはどういうことだ!」

「まぁ、落ち着いてください。父さん」俺はそんなやり取りを部屋の片隅から見つめていたのだが 俺とアイナは部屋の中にあった大きな机をぐるりと囲うようにして置いてある椅子の一つに腰掛けた。

俺は周りの様子を窺いながらも その視線の先に居たのは この国の王 この国の王様の名前だが アルドというそうだ。

その隣に居るのは この国で 騎士団を取り仕切っているらしい ライオスという男のようで、こちらの方は少し歳をとっている感じがする。その向かいには俺と年齢が変わらないくらいの女性 その女性のことは 俺はよく知らなかった。しかし、どうやら彼女はこの城のメイド長を務めている人物で、名前については。俺にはわからない。ちなみに、彼女のことをアイナはマリーと呼んでいるので。俺もそれに合わせて呼ぼうと思っている そんな訳で、俺たちは 目の前にあるテーブルの上に用意されている飲み物を飲みつつ今後のことを話し始めた そんなこんなで。

俺の持っているチートスキル『女神からの贈り物』で見た内容をアイナに伝えると、俺の能力の内容を知っているはずの、俺をここに連れて来た女性の一人が。「まさか その能力は」と言葉をこぼす そんな言葉を漏らしながら。もう一人の女性の方へと顔を向けて、そちらにも何かを確認するかのような視線を送ると、彼女は小さくコクリとうなずいた

「その話は、もう少し後にした方がいいのではないですか?」ライオスは冷静に言葉を発する そんな様子のライオスの言葉を受けて、アルドが

「それもそうだな。お前の言い分も分かるのだが。今はそれよりも大事な問題がある」

そう言葉を口にすると、俺はアイリスという名前の少女を、こちらに呼び寄せて そして。こちらにやって来て こちらを見上げて立っている少女を、俺は優しく抱き抱えて 頭を撫でてやる その少女はとても温かく。柔らかかった。そんな少女が こちらに向かって。「あぅー、あいぃ」

その声を聞くと、心が落ち着くのを感じるが。俺は少女を抱き抱えると、なんだか心が暖まるような気がしたので、その少女の事をあやしてあげたいと思った。なので 俺はアイリスの体を持ち上げたまま。ゆっくりと立ち上がる その様子を見ながら アイナが驚いた顔をしているのがわかった 俺はそんな彼女を横目に見ながら。少女に話しかけた

「えっと。君は俺と会うのは初めてかな?俺は君をアイリから預かっている者なんだ。君の事はアイアと呼ばせてもらうよ。よろしくね。それとアイナは俺の仲間だから。アイナの事を傷つける奴がいたなら、そいつは俺が絶対に許さないから」俺は、それだけ伝えると、俺はアイリスを、ゆっくりとアイナに手渡そうとした

「あぁ、もう、あなた。私、感動しちゃったわよ。まさか。こんなにも可愛い女の子を育ててくれるだなんて、ありがとう。私の大切な家族を守ってくれてありがとう。この子の名前は私から、あなたの事をパパって呼ぶのは嫌だろうし、お父さんって呼ばせるから、そう名付けてもいいかしら?」そう口にすると。俺はアイリにそっくりなこの少女が俺の娘だと知って嬉しかったのか。少し顔が緩むのを感じてしまう 俺はアイナからアイリアを受け取ったので。俺の膝に座らせてあげながら、俺はアイツに向かって アイナに問いかける「俺って父親なのかな?」

アイナは少し考えた素振りを見せたあと。こちらを向いて微笑みを浮かべると

「ふふっ、あなたも。アイリも。同じことを言ったじゃない。それに、私はあなた達のことが大好きだから。私が決めたんだもの。この子はきっと、私たちの子供だって」アイナのそんな言葉を聞きながら アイナはやっぱり。優しい人なんだなと感じた俺は

「ねぇ、俺はさ、アイリのために頑張ろうと思えるんだけど。俺はアイラにとっての何なんだい?俺はアイナの役に立ちたい。だから 俺は君の力になりたいんだ。教えてくれないか?俺は一体 どんな役割を持ってこの世界に来れたんだろう」アイナは俺の言葉を聞いてから。すぐに俺に向かって

「あなたの役割はきっとこの世界の未来を明るく照らしてくれる存在になれると思う。だけどね、それは この世界で、貴方にしかできない役目だと思うの。この世界を救う為に、私に協力してくれると言ってくれてありがとう。でも、私の為にじゃなくて、アイリと、そしてこの世界を救う為に貴方に力を貸して欲しい。どうかお願い」俺は彼女の言葉の意味がわからなかったので、彼女に説明してもらうように頼んでみる。

そんな俺のお願いを聞いた彼女は 真剣な表情で。「あなたとアイリは二人で一つの存在なの、つまり、どちらか片方だけじゃ駄目なの。この意味わかるよね。私は、あなた達が仲良くしてる姿を見て、本当に安心できたの。それこそ。あの子があんな風に心を開いて誰かと一緒に過ごせたんだなって、そんなあなた達に、この世界を救って欲しいんだもん」その言葉で理解する なるほど。そういうことか。確かに俺達は、一緒に行動して 仲が良くなってきていて、今ではお互いの存在が必要になっているかもしれない。

だからこそ、この世界でも、二人セットで扱われている訳で その考えが正しいならば、今回のことも、うまく行くはずだ。そう思った俺は まずは俺一人で調査を始める事にした。

「とりあえず 俺にできることは分かった。だから。俺はこれからも。一人 行動させてもらうけどさ。俺は俺で勝手にやらせてもらいますからね。それでいいんですね」そう言って俺はアイナの方をチラッと見ると、俺は席から立ち上がってアイリスを抱っこしながら部屋を出ていく。

部屋から出てすぐのことだが アイナが追いかけてきた「アイちゃんの事は大丈夫だよ。任せておいて」その言葉を聞いて 少しだけホッとした そして俺は 俺は城を出ると。城下町へと向かう そして町の中を歩いてみると やはりというべきか 俺の顔を見て反応するもの達が多くいるのが分かる その表情は どこか不安そうで、その瞳の奥では何かしら、俺に対して思うことがあるようだ 俺は 俺を見ている人たちに向かって笑顔を振り撒きつつ。歩き続けた すると

「ちょっとそこのあんた。悪いけど 私と決闘をして貰えないかい」そんなことを言ってくる人が目の前に現れた。そんなことを言われてしまった俺なのだが。

そんなことを言われたら 断れない だから 俺はその誘いを受けることにした。

「わかりました。ただ 俺の方は手加減とか、しないでも良いんですよね?」俺が質問を投げかけると

「当然よ!そのつもりでかかってきなさい」相手は剣を片手に持ちながら やる気十分の様子を見せているのだが。そんな彼女の名前は ミルカと言うらしい 俺よりも一回り歳が上だろうか、大人の魅力を持った綺麗なお姉さんであるのだが。見た目の年齢は二十代前半といったところだ。そんな彼女がどうして俺に勝負を挑んできたのか。その真意についてはまだ分からないので、俺は相手の攻撃を避けつつも観察を続けていた。

彼女はなかなかの腕の持ち主で、その一撃に込められた力は、普通の男だったらとっくに意識を奪われていたのではないかと思う程のもので、俺は何とか彼女の攻撃を受け流しながら。その攻撃を捌いていた 俺の持っているチートスキルのおかげでもあるのだけれど。彼女はどうやら、剣術にはかなりの自信があるらしく、その技の冴えはかなりのものなのだろうと、その剣筋を見れば、ある程度だが理解できるものだ。俺はそう思いながらも 自分の能力で出来る限りの情報を集めるために。あえて彼女の攻撃を受け続けることにする そうすることで、俺は彼女に対する分析を行い。そして情報を集めようとした。俺が持っているチートスキルのことは、今のところ あまり人に知られない方がいいと思っている。なぜなら この能力は俺以外の人間が使おうとしても 上手く扱えない可能性が高いからだ。

しかし もし仮に その力が俺以外でも使用できるようになったのであれば、俺がこの世界で生きる上で大きな戦力になると思ってしまったからでもある その力を使う為に必要なのは 想像力と。そしてチートポイントを消費することで使える特殊能力とスキルの数々、そのスキルに関しては まだまだ確認しなければならない事がたくさんありそうなので、今は保留中 さてさて、俺の攻撃手段が気になる人は多いと思う。一応俺が今現在 使用している武器は木刀であり。

俺が持つ『女神様から贈り物』の効果による力で作り出された、この世に存在しない。架空のアイテムとしての意味合いが強い武器として作り上げた物だ。これは俺と、その妻となる女性が二人で協力して作ったものであり。お互いに意見を言い合いながら完成させた そんな品である。俺はこの世界での常識を持ち合わせていないため。どのような形状のものがこの世界に存在していて、そしてこの世界の人々がどのように認識をしているものなのかまでは把握できていないので、俺の作ることのできる最高の武器を作れるのかどうかという点は、少し心配だったが、結果 俺が想像した通りの形をした武器が完成した それは俺の持つ力を使って、魔法的な技術を利用して作成したものだ。だから その形は、ファンタジーの世界でよく目にするような剣にそっくりに作ることができた。ちなみに。俺は俺自身の能力をフルに活用した上で 俺の妻となった人物に、俺の武器の製造を依頼して、彼女にも俺と同じものを渡している。

だから俺と妻の二人が持つ武器もその形状は かなり似ている もちろん俺がこの世界の一般的な規格を知らないからこそできる芸当ではあるが。

俺はそんな木で作った木刀を武器に戦っているのだが。この木刀の凄い点は、俺の能力を最大限に発揮しているので折れず曲がらずの頑丈さと、魔力を流すと切れ味が増していくような効果を持つ優れものである事に加え。この世界には存在しない材質なので。簡単に壊れる事は無いだろうと思われる点が挙げられるだろう ただ一つ欠点を挙げるとすれば。木を加工する為に使っている俺の力なので。この力を使わずに。通常の刃物を作ったところで。それほどまでに優れたものが出来るのか、それはわからないというのが難点である。俺自身 この世界の人間では無く。俺自身が異世界からの来訪者だからこそ。この世界に存在する物質と。俺達の世界に存在していて、そして俺と妻が、この世界に来てから初めて出会ったものを組み合わせることにより作られた武器なわけで。だから そこまで期待はできないと思っていた しかし 俺がこの世界において作り出したこの世界オリジナルの素材を使った武器。

それの性能は、元の世界で使っていたものに比べると 格段に良くなっていたのは確かなことだ。

まぁ そのおかげなのか ミルカの繰り出す一撃を受け止めて。その攻撃を流しながらカウンターを入れるという戦法を取ることができて 彼女に傷を負わせることに成功した。彼女は怪我を負ったものの、命を落とすまでには至らなかった。

そして俺は。彼女の怪我の治療を行うことにして。その前に、俺は、彼女と話をすることにし 俺は 彼女にこう語りかけた

「俺も貴女のことが気になった。だから、俺のことを信用して、少しの間だけ俺に身を任せてくれないか?」俺はそう言うと 彼女は俺に「あなたは一体何をするつもりなの?」

俺は彼女の問いに対して

「この国の人達はさ。多分。いや絶対に。貴女が居なければ。いや違うか、アイラさんがいるおかげで。どうにかなってたんだと思う。でもさ、この先もずっとこの国はこんな感じなんじゃないのか?俺にはそれが気に食わないんだよね。だってさ、皆、どこか疲れてるっていうかさ、心から笑えてるようには見えなかったんだよ。俺がこの国に来たばかりの頃はまだ、そんなに悪い雰囲気では無かったんだぜ。アイラさんが王になってから、少しずつおかしくなってるんじゃないか?俺はそんな気がしてしょうがないんだよね」

「私はこの国に生まれて育ってきたんだもん。そんなこと私にはわからなかった。ううん きっとそんなことに気がつく余裕なんて無いほど必死だったんだろうな私ってば。それに あなたにそんな事を言って貰えるなんて思ってもなかったよ」俺はその言葉を聞いて少しだけ嬉しかった「俺にもそんなこと言える力があればいいのになって思ったんだけどね」そう言いつつ。俺は治療を行うことにする 彼女の体のあちこちには切り傷を負っており。それが原因で痛みを感じる部分もあるようだが、致命的になるほどのものはなさそうだと判断したので、まずは、傷口を塞ぐことから始める。俺は回復のスキルを使用して、彼女の傷ついた体を治していく。すると彼女は驚いたように

「あ、あれ。私の体に何が起こったの?」そんなことを口にする。俺の使った回復スキルが彼女の体を回復させたことで、俺の回復系のチート能力が、どれだけの効果を発揮したのかを確認することもできたので、俺は

「これで俺の言葉を信じてくれるか?」と聞くと

「そっか、ありがとう。私を助けてくれたんでしょ。やっぱり貴方は勇者様だ」彼女は、涙を流しながらそう告げてきた そんな彼女を俺は抱き寄せた そんなことがあった次の日の朝の事である 俺はいつものように目を覚ましたので。隣に居るアイラさんの髪を優しく撫でる「今日もいい一日になると良いな」俺は小さく呟く

「んっ、あ、朝?起きたんですね。おはようございます」俺に起こされて、すぐに意識を取り戻した彼女は そう口にした 俺は彼女のことを見つめつつ「もう少し寝てても良いですよ。俺にできることなら なんでもしますので」「えっと。じゃあ。その 抱きしめてください。それで十分です」そんな風に言われてしまったので、俺は その言葉に従って彼女を抱き締めることにした そんなやり取りをしていると。

部屋の扉がノックされ。そして開かれると、ミルカが姿を見せた「ちょっと失礼させてもらうよ」俺達に断りを入れた後に入ってきたミルカは、俺たちの姿を目に収めると

「おっ!昨日よりも更に仲が良さそうな事になっているではないか! ふむ。どうやら、君たちの関係を進展させることに成功したようじゃないか!どうだ? 気持ちの良い目覚めを迎えているかい? どうだ。

今度二人で私にご馳走してくれよ。どうだ?」そう言い出した。俺はそんな彼女の言動を見て苦笑いを浮かべる アイラさんも同じように苦笑しつつ「別に良いわ。ただ あまり変なことはしないでちょうだい。一応この子はこの城の姫という立場にあるわけなんだから、無闇にそういう行動を取ってもらっても困るのよ。

わかったかしら?それと あまり大きな声を出すと 周りに迷惑をかけてしまうので気をつけるように」俺と似たような対応を しているなと思いながらも。俺達はミルカと一緒に朝食を食べに行くことにした。俺は彼女の案内で城内の食堂へと赴き 食事を取ることとなった そこには 俺の妻であるアイラが座っていたので、俺と彼女はお互いに挨拶を交わすことになった 俺達が席に着いて食事をしている間。

俺は周りの人々の表情を観察していた。皆 笑顔を見せることはないが。しかし。昨日までよりは、少し明るくなったようにも思えた それから 俺は。この国の王が座るべき椅子に腰を下ろした少女を見つめながら

「どうやら俺が思っていた通りの展開になるかもしれないな。これはあくまで 可能性の問題だが、このままいけば、いずれ。本当にこの国が崩壊してしまうだろう。その前に何とかしないと ならないのだが。さてさて。ここから先は俺一人の手にはとても余ってしまうな。誰かに協力を要請する必要があるのだが。はてさて 俺一人ではこの問題を解決するのは厳しいだろうな。やはりここは 俺の持っている知識と力を存分に使って。解決に導くしか無いかな 俺は俺の目的の為にも。この国が平和であるべきだと思っている。だからこそ。なんとかしたい。その為ならばいくらだって力を尽くしてみせる。そう決意を新たにした俺は 朝食を摂った後。アイラさんと、アイリスさんと別れたあとで。王様の元へと向かい話を聞くことにするのであった しかし そんな考えが甘かった事に気づくことになるのだけれども。

朝食を終えた俺は。早速 俺をこの世界に連れてきた張本人であり 今は王の座に収まっている。あの男の元へと向かうことにした。

その男は 部屋の中に引き篭もりがちで。基本的に執務室に閉じこもっていて。

外には出ようとはせず 城の中で過ごす時間が多いのだという そんな話をアイラさんが言っていたので 俺は直接、その男の元へ向かう事にするのであった そんなことを考えていると。

ミルカが こんな言葉を口にした「まぁ 確かにこの国の王をやっているんだから、外に出なくても、この国を統治し 運営する事ができるんだろうから、その判断は正しいと思うぞ。だからと言ってな いつまでもそうして引き籠り生活を続けていられたら、この国は確実にダメになってしまうだろうね。それにさ 今の王はそれなりに人望もあるらしい。でも、それは、彼の元で働く者がいるからだとも言えるからね。だからこそ。彼から、この国から離れて。もっと別の場所で働いてみたいなんて奴が出てきたりするんだよ。そしてな この世界はそんなに甘くは無い。もしも彼が自分の意志で。この世界から去りたいと思ったのならば。彼は この世界から消えることを選ぶんだろな。つまりだ 王という地位に就いてしまえば、簡単には辞められないということだ。王を辞めてしまえば、その人物は もう。誰からも必要とされなくなってしまう。それがどういう事かと言うと。その人物が 今までしてきた事が 全て無かったものとして扱われてしまい。誰も相手をしなくなるってことだよ」

俺に説明をしながら 彼女はそんな言葉を口にした そして 俺は。その話を聞いたことで、この世界に俺が来た理由がなんなのかを知ることが出来た 俺という存在がこの世界でどのように影響をもたらし。どのように作用して行くのか そんなことまで理解することが出来て

「なるほどな この国の王は、この国の人達から必要とされる存在としてあり続ける為に、自らの意思を殺して。そうすることで。この国に必要な人材であり続けているということなのか。なんとなくだが、この国の王がどうしてこんな風になってしまったのかを理解することが出来た。だけどさ。やっぱり。それだけだとさ 俺は満足出来ないんだよな それに、そんな風に ずっと生きててさ。楽しいと思える時とかあるんだろうか?そんな風に思ったらさ。俺は どうにかして、助けてあげたくなった。俺に力があるのであれば。きっと どうにかできる筈だ だから。俺がやるしかないんだよ」そんなことを話しながら歩いているうちに 王のいる場所の近くまでやってきた俺は。王に会いたい旨を。衛兵に伝える すると、あっさりと許可が出たので。俺は この城の中を案内されるような形で歩くことになったのだった。暫く歩いて。たどり着いた場所は王の間ではなく。そこは王専用の私室であった。俺達は、部屋の中に入ると。中には。俺のよく知る女性が待っていた その人は

「やあ 君達が来る事は分かっていたよ。私のことは、アネスト王国。その国王にして、エルストリア王国の王を務めている。アルセリア。

またの名を。リリィ。そう呼ばれることが多いね」

そんな自己紹介をする彼女に俺は 疑問を投げかける「えっと。その、どうして。ここに?それに 俺のことを知っているみたいなんだけど?」そんな風に問い掛けると 彼女は そんなことを口にして。そして 俺は彼女からの言葉を待っていると。俺のことをじっと見つめてきた「君がこの国に召喚されたのは、私が君に力を与えたからなのよ。私の力があれば、君は、君自身が望むような人生を歩んでいけるはずなのよ。私はそう信じているわ。貴方に 私と同じ力を与えましょうか?貴方がこれから先の人生に必要となるスキルは何かしら?それによって変わるけどね」そんなことを口にするので 俺は、自分が求めているスキルを伝えてみた「俺の場合は、そうだな 戦闘面に関しての力なら、どんなものでも良いかな。後はそうだな 仲間との絆を深めたり コミュニケーション能力を上げてくれるスキルかな」そんな感じで伝えていくのであった。すると彼女は「それなら大丈夫よ 私なら出来るはずだから。それじゃあ ちょっと目を閉じていてもらえるかしら?」彼女はそう告げてくるので。俺が言われるがままに目を閉じると 頭に暖かい温もりを感じた「うん。これなら上手くいきそうね。目を開けても良いですよ」そう言われてから目を開けると。目の前には。俺が望んでいたスキルを手にした彼女が微笑んでいた「はい。これで貴方の望む通りのスキルが手に入ったはずよ。どうかしら?確認をしてみてくれないかしら」彼女に対して、お礼を言った後に俺は自分の能力を改めて見てみることにする。そこには俺が期待していた通りの結果が出ていたので、素直に嬉しかった そんな風に喜んでいて 気がつくと周りには大勢の人達が集まっていた俺は慌ててその場から離れようとしたが 俺よりも先に動いた人が一人だけ居た。その人物の名前はミルカだった。その動きを見た俺は 少し焦る気持ちもあったが。その気持ちを抑えつつ。

彼女の動向を見守っていたのだが。しかし、どうにも。彼女は様子がおかしいことに気がついていたのだ。そんな俺の予想通りに。その日を境に。ミルカの様子が変わった。どう変わったかと言われれば答えにくいのだが。俺が抱いていた印象とは少し違う行動をするようになってきているように思えた。その違和感を感じて、俺はどうしたものかなと思いながらも。俺は彼女のことを見守ることにするのであった。そういえば。昨日の夜に見た彼女の様子もどこか違っているようだったので もしかしたら あのミルカの姿は 本来のミルカなのかもしれない。そんな事を思いながら、俺達は朝食を食べることにした 昨日も訪れた食堂で。

「さてと、昨日はアイラと二人きりで過ごしたからな。今日は三人で過ごそうじゃないか!なに、問題無いだろう?」そんな事を言い出すミルカ。俺は、アイラさんの反応を見て。嫌そうな顔をして。そしてアイラさんは。笑顔を顔に浮かべて、了承しているようだ そして俺は そんな二人の様子を見ながら 食事をする事にしたのでした 朝食を食べた俺は とりあえず。城の敷地内を歩き回って見る事にした。俺が城の中で過ごし始めてから 数日が経つわけだが。未だに 城の敷地の外へと出ることを許されていない しかし。俺は諦めなかった。この城を探索しつくすことが 今の俺にとっての一番重要なことなのではないかと思い始めたからだ。

この世界では魔法が存在する その魔法の中には。転移と呼ばれる魔法が存在しているのだ。

その効果というのは、行ったことのある場所へと瞬時に移動することが出来るのだ 俺がそのことを知ったのは偶然のことだったのだが その事を俺は忘れてはいない。俺はいつかこの世界に来た時に 一度でも訪れてみたいと思っていたのだが この世界の何処を探せばその場所があるのかも 分からないので 断念せざるを得なかった。そんな風に考えて歩いている内に中庭へ辿り着いてしまったので。俺はそのまま休憩スペースとして開放されている場所で休むことにした そうして休んでいる間にも。色々な人と出会って話をして 情報を得ることが出来た その中で アイラさんに言われた 言葉を思い出してしまうので 俺は思わず笑ってしまうのだった

「アイツにはさ。色々と苦労してるんだよ。なんというか 自分の中でルールみたいなものがあってさ。そのルールの中でしか行動出来ないって言うかさ。だから、まぁなんだ。お前もあいつのこと よろしく頼むよな」アイザは そんな事を口にしていて。その言葉の意味がよく理解出来なかったが。それでも、その言葉で 何となく 俺は、アイラさんとミルカの関係が見えて来た様な気がした そんな風に思っていた矢先のことだ。俺は アイラさんと出会った。その日。俺に アイラさんがこう言ってきた「あれ、シンク様じゃないですか こんな所で何をしてらっしゃったんですか?」と、彼女は口にして

「えぇ まぁ 城内を散策していたところですかね。それに、まだ 俺はこの城について知らないことだらけなので、その辺を散歩でもして。知識を増やしていこうかなと、そういう訳でして。それに 俺なんかに敬語を使わなくても良いんですよ?」俺は そんな風に返答するのであった そして 俺は彼女に どうしてこんな場所に居るのかを聞くと 俺が思った通りに この王城に務めているのだと口にしていた。

そこで俺はふと思ったことがあった。俺は、王城の外へは出たことが無かったので。その事が不思議でしょうがなかった。だから、彼女に尋ねてみることにした「ところで。俺みたいな部外者が勝手にうろついていても大丈夫なんでしょうか?」と、俺は 彼女にそんなことを聞いてみた。すると 彼女は「大丈夫だと思いますよ?それに、もし何か問題があったとしても 貴方は勇者という特別な地位に就いているのですから、心配する必要なんて無いのですよ」と、彼女は答えたのだった 俺は、そう答えると彼女は。すぐに立ち去って行ってしまったのだった 俺はそんなやり取りをしている中で、ある一つの考えに至った 俺は、もしかしたら。俺という存在はこの世界で、どのようにして存在を確立させるのか。

その鍵を握っているのは、俺ではない。別の存在ではないかと。そんな疑問が頭に浮かんだのだ。そして、それを確信に変える為には。俺自身に何かをする必要があるのではないかと思うようになっていた その為にも。俺自身が強くならないとダメなのだと改めて思うことが出来た。

俺のそんな想いを知ってなのか それからというもの。ミルカとアイリと3人で訓練することが多くなり 次第に仲良くなるようになっていった。そうして ミルカと過ごす時間が多くなっていくうちに 俺は、いつの間にか。彼女に惹かれていった 彼女の側にいたい。その気持ちだけが募っていた だけど 俺の気持ちを伝えたところで。彼女はきっと受け入れてくれないだろう だからこそ、この気持ちだけは隠し続けていようと、そう決めたのであった。そんな中で、俺は王都にある。冒険者ギルドのランクがS級であることを示す 紋章を見せられてからというもの 俺は王城で暮らし続けているが。外に出たいと言えば簡単に出させてもらえるので 暇な時間に俺は。王城から出て 街中を散策することにしたのだった。

その途中で。一人の人物に出会うことになる その人物は、とても美しく。まるで芸術品のような女性。いや その女性は 人間ではなくて。亜人だった。その人は、俺に気がつくと 微笑みながら俺に話しかけてきた「あら、貴方は この間の冒険者の子ね。今日はどうしてここに?それと貴方の後ろに立っている彼は誰なのかしら」彼女は、どうやらミルカのことを知っているようで その事で俺は驚きを隠せなかった。しかし。俺は動揺しないように振る舞いつつ。

ミルカを紹介した そうすると彼女は俺に問いかけてきた

「貴方。その力を使って何をしたいと思っているの?」そんな事を唐突に質問されたので、戸惑ってしまっていた。俺には答えを出すことが出来なかった。しかし そんな俺の代わりに答えたのはミルカでした

「私達と一緒に来て欲しい。私の仲間になって欲しい」そう、はっきりと そう答えてくれたのでした 彼女は「私はね。ずっと待っていたの。この世界に召喚されて、私の力を受け継いだ勇者が。私の目の前に現れるのを待ちわびていたの。それが 貴方だというのなら 私は 喜んで 貴女の仲間になることを誓うわ」そう言ってくれたのだ 俺は彼女の言葉を耳にしていた しかし ミルカはそんな俺の様子を気にすることなく。彼女に対して自分の仲間になるように誘っているようだった

「私のことはミルと呼んでくれても構わないからね。それじゃあ。早速だけど、一緒に行きましょうか」彼女はそう言って。その場から去っていったのだった そんな彼女を見送りながら俺は 彼女と初めて出会った時のことを思い出して。これからどうなるんだろうか。俺の身にどんな出来事が起きるのだろうと考えていた。ただ この時の俺は知らなかった 彼女こそが。ミルカの正体であることを 俺はこの時はまだ知るよしもなかったのだから。俺は彼女達の後に付いていき。そのまま、王城へ戻るのであった。そして 王城の敷地内に入った途端に。俺は違和感を感じる 何故だか。この場所が、どこか。おかしいように思えたのだ 俺には その場所に。何が足りないのか。何がおかしいのかは、はっきりと言えなかったが その違和感を、確かに感じていたのであった 俺達は今。王城の中を歩いていて 俺達は、ある部屋に辿り着くのでありました そこには。アイラとアイナの姿があった 二人はどうやら、俺達が帰って来るのを待って居てくれていたようだ そんな風に思っていると。ミルカが二人に いきなり。抱きついたのだ 俺はその光景を見て。少し驚くことになった しかし それと同時に、俺は羨ましいと感じていたのでした そんな俺のことを見兼ねてなのかどうかは分からないが。アイラとアイナは俺に近づいてきて ミルと同じように。俺のことも抱きしめてきていたのだった。

そんな状況に困惑している俺の気持ちを他所に 俺を抱きとめながら、笑顔を見せているミル。その笑顔を見ただけで。

俺は幸せになれるような気がしたのでした。俺は、その事に気づくことが出来なくて 俺に抱かれている三人を見ていた。その時にアイアと目が合ったのが、恥ずかしくて。目を逸らしてしまった。その事に気づいたアイラが

「おぉ シンク お前さんも混ざるか?」そんな事を言われてしまう 俺にはアイラの言葉が信じられなかったのだが。ミルは「いいの!ねぇ!シンクも、ほら こっちに来てよ!」と言われてしまう そして。俺は、そのままアイアさんとアイリに。俺までも、その抱擁を受ける形になってしまう 俺は戸惑いながらも その心地よさに負けてしまう。このままだと俺はどうにかなってしまいそうだ。その事を実感しながらも その温もりに包まれているのも悪くないなと そんな事を考えていました。俺は この幸せな時間が 永遠に続けば良いなと思っていた そんな時に 俺に話しかけてくる人がいた それは。アイラのお父さんである 王様であった そして そんな俺に 王都の外で 最近魔物の異常発生が多発しているという報告を受けた。俺に調査して来てくれないかとお願いされる。その話を断る理由は特に無く。その頼みごとを引き受けることにするのでした その話を聞いたアイラとアイナは、不安げな表情を見せていた その反応から察するに。今回の件が普通の事ではないということを物語っているように思えるのだった アイラは 俺が危険な目に合うんじゃないか。そう思って心配してくれているようでした そのアイラとアイナの姿を見て ミルが、そんな2人を落ち着かせようとするのだったが。そんな時だ。突然として。誰かが部屋に入ってくるのが見えたのでありました その人物は アイラの父親であり この国を統べる王。その人が 部屋にやって来たのでした。王は俺と、アイアとアイリに用があるとのことだったので アイラ達に、しばらく待っていてくれる様に頼んでから王の元へと向かった そこで、王はこう言ったのだ「勇者殿の力が必要だ。王命として、君に協力をして欲しい事がある。これは極秘任務なのだが。もしも引き受けてくれると言うのならば。褒美を与えようと思う」と、彼は口にしていた 俺はその話を聞いて。少し考えてみる。そして

「わかりました。その協力させていただきます」と、そう口にしていた。俺は その話が本当かどうかを試してみたいと思ったからだ。俺がそう答えると王は その言葉を信じて良いのか?というような顔をしてから。俺に向かって、こう言ってきたのだ そうして。その翌日になると 俺は、王直属の精鋭部隊と共に王都の外にある森に来ていた そこで、俺は。異変の調査を行う為に 森の中を調査していたのだが その時の事だ

「何かいるよ」と、アイアの声が聞こえた 俺が、声のする方に振り向くと そこにいたのは。黒い狼のような生物がこちらに迫ってきている その姿を確認すると。俺は、腰に差してある刀を抜いて戦闘体勢に入っていたのでした しかし 黒い狼のような魔物を相手にしても 俺では歯が立ちません。だからと言って 俺は、戦う前から諦めたくはなかった そんな時だった。その黒い魔犬は何かに取り憑かれると、突如とし姿を変えていくのであった ただならぬ気配を感じた俺は身構えた。すると 目の前にいる存在は先ほどとは比べものにならないくらい大きくなっている。その姿を見ると俺は思わず絶句してしまうほどの存在感があった そんな相手に俺は恐怖を抱くことはなく。寧ろ、俺の体は勝手に動いていたのである。

「やれるだけやってみるしかない。やるしかないんだよッ!!」そう叫んでいた俺の姿を。周りの者達が見て驚いた様子を見せる しかし 今はそんなことは関係ない 俺は、そんな気持ちで一杯だったのだ。だからこそ 目の前の敵を葬ろうと、攻撃を開始していた そんな時に。アイナの魔力が高まっていき そこから繰り出される強力な一撃によって 俺達は勝利することができた しかし。俺はこの戦いで。自分の力不足を実感することになるのでありました その後 俺達一行は王城に戻ることになった 王城に戻ったあとは。その日は解散することになり。次の日の朝を迎えると 俺は王に呼ばれていた。俺はその事に少し疑問を持ちつつも 謁見の間へと足を運んでいた その部屋に入ると そこには。王の他にも何人かの人達の姿があり その中に。アイナもいたのであった そうして、王は口を開いた まずは、今回の討伐。大義であった。礼を言うぞ 勇者 アイナの婿 そう呼ばれた 俺は戸惑いを隠しきれない そんな時に、ミルが口を開く 私も手伝ったんだし。私にもお礼を言って欲しいよね。それに。今回、アイクくんが倒したあの黒いのだけど。アレは本来 私達の敵なんだからね。感謝をするのは良いけど。調子に乗らないでよね。私達はあくまでサポートをしてあげただけだってことを覚えときなさいよね。アイクは私の旦那様なんだからね」そう。彼女が言い切ると、周りにいた大臣達は、苦虫を噛み潰したような顔で 彼女を見ていた。そんな中で俺はアイナのことを見る。すると彼女は少し照れくさそうにして俺のことを見つめ返していたのだった 俺は、その事に喜びを感じていた それから 俺はアイナと一緒に王と王妃と対面することになってしまうのだった。俺は、どうしてそんな展開になってしまったのか分からず 困惑するのであった。そんな俺の様子に気がついたアイナは「アイラはさ。あんまり表には出さないんだけど。実は。凄い人見知りでね。シンちゃん以外の人に懐くことがないの。だから、これからも仲良くしてくれると嬉しいわね。私はね。本当は、あなたとずっと一緒に居たかったから。だから、あなたの事を諦めようとした。でも、やっぱり無理だったわ。だから私は アイナと結婚することにしたの。私は、これからはずっとアイナと一緒に居たいの。その事は、アイラとアイリも一緒よ。そしてアイクくん。貴方が王都に来る前に、私は。王都の近くの町までアイラと二人で買い物に出かけていたのよ。その時に、私達は貴方の姿を見た。だから、最初は驚いたのよ?ただ。アイク君のことを見ていたら。なんとなくわかった気がした。アイラが一目惚れした男の子っていうことを。それを知ってからは。アイラの気持ちを大事にしたくて。私はアイラと結婚することに決めたの。だからね シンちゃんにアイク君は渡さないわよ?」そんなことを言われるのであった 俺はアイラの方を見てみるが。彼女の反応は分からない とりあえず。俺は 王の前で失礼なことをしているのではないかと思い その場から離れようと、そう考えていたのだが そんな考えを見透かされたかのように アイアが口を開いてきたのである

「アイク君には悪いと思っているのだよ。本来ならば こんな事を言うべきではなかったかもしれないが。私はアイラが好きな相手であるアイラが認めた相手がどんな人なのか。その人を知りたかったからこそ このような形で話をしてしまったわけだが。そんなに畏まる必要は無いよ。むしろ、もっと普通に接して欲しいと、アイラは言っている。その事をどうか覚えておいてくれ」王は そう言う

「分かりました。では、もう少し肩の力を抜きますね。正直なことを言うと、緊張しまくりで 心臓も爆発してしまいそうなくらいにドキドキしていて どうにかなってしまいそうだったので。良かったです。アイアさんとアイラさんも その。とても綺麗だと思います。そんな美人な女性を2人も娶ることになるとは、夢にも思ってなかったですよ。本当にありがとうございます。そしてこれからよろしくお願いします」俺はそう答えてから、軽く頭を下げていた すると。俺の隣に立っていたアイナとアイラとアイラのお腹が大きく膨れ上がっていくのである。俺の体には異変が起きて。そのまま気絶してしまった。俺は薄れ行く意識の中 俺の手を握ったアイラの優しい手が見えた そうして、次に目覚めた時は。そこは。ベッドの上だったのだ。俺が起きた事を確認したアイアさんは

「おはよう シンちゃん」

アイラも

「シン兄様、大丈夫?」と言ってくるのである その言葉で、ここが何処か分かった。俺は王城に泊まっていたはずなのに 目が覚めた先は 自分の家の中だった そんな事を不思議に思っていた俺に向かってアイナは「アイクくんは、丸一日寝てたのよ?まぁ、それだけ消耗するのも当然なんだけどね。あんな魔法を受けたんだからね。それでも、よく死なずにすんだものだと。感心するばかりなのよ」そんなアイアの言葉で アイラが言っていた おめでとうを言えたとか。アイラとアイカを嫁にすると言う話は 嘘ではないと言うことが分かって。俺は、ホッとする そんな感じに 色々と落ち着いた頃合いをみた王は、俺のところへやってきた そして

「勇者殿 先程は驚かせてすまぬ。あれは全て真実であり。私がこの世界に来た理由。それは。邪神が復活しようとしている。それを阻止する為に私はやって来たのだ。今から数年前。突如として現れた、黒髪の女性が邪神の魂と契約を交わし。復活したのだ。奴らは この世界を混乱させ混沌と化させようとしている。それを私は許せなくてな。だからこそ、勇者殿に協力して欲しいことがある。その前に一つだけ聞きたいのだ。勇者殿は、その力をどこで学んだのだ?私達は 魔王と戦う為に 力をつけたが。その術は異世界から持ち込んだ技術なのだ。この世界の人間が持つ知識や発想などでは無いはずだ。そうだろう?それが故に 私もアイラの婿に選んだのだ」

俺がその言葉を聞いた瞬間だった 俺の体が勝手に動いたのである 俺の意思に関係なく。その言葉を口にしていたのだ

「俺は元いた世界で、様々なゲームをしてきました。その中には オンラインゲームというのがありまして。そこで得た知識を使い 俺はここまで強くなったんですよ。しかし。俺はそのゲームのプレイヤーでは無かった。だから。実際に自分がプレイしたわけではない。でも、俺はそのゲーム内の世界に憧れたのです。だから。俺はそのゲームをプレイする感覚で。この世界に来ました。しかし 俺は 俺なりのやり方で。強くなることができればそれで良いと思っています」そう答えると 俺はハッとした 俺の口から出た言葉が、まるで違うものへと変わっているからだ これは一体何が起きているんだ 俺はそう思いながら。その光景を目の当たりにしていた。俺の目はアイアさんの方を向く すると、彼女は微笑みながら 俺の方を見てきた

「なるほど。そういうことだったのか。やはりアイクくんを、この国に来てもらって正解だったな。これで確信できたよ。勇者が召喚されたのが 今日だということをね」そう言ってくれたのだ 俺は。俺自身が分からなくなっていた。自分の意思とは別に行動してしまう事が 恐ろしく思えてしまっていた

「勇者はな。元々 我々人間が持っている力のほんの一部を引き出す力を持っているに過ぎないんだよ。その証拠に 君の力はとても弱かっただろ?しかし。今はもう違うんだよ。その力は目覚め始めているんだよ。君にはその才能があるんだよ。これから 頑張っていけば。勇者なんて簡単に倒せる存在になるかもしれないぞ?」そんな言葉を言われた。

俺の体はもう、アイアの言葉に反応しているようだった。そして

「私ね。本当は、ずっとシン兄の側に居たかった。だって私はシン兄が好きだから。それに。シン兄の隣にいたら。何か良い事が起こりそうだなって思ったの。でも 私の力もシン兄の役に立てるなら。私は喜んで協力したいと思うよ?それにね 私とアイラが一緒になってね。シン兄の赤ちゃんを産んだらね。私はその子達にアイクを譲ってあげる。アイラの分もね」アイラも笑顔でそう言ってくれたのだった。

俺は、嬉しかったし。安心もしていた。ただ それと同時に 俺は。どうしたら良いのか分からないままでいるのであった そして これから俺達がどうしていくべきなのか。王から話を聞いて、少しの間。滞在してから、また旅に出ることになった まずは、アイクくんに剣の使い方を覚えて貰うところから始めないとね アイアは、そんなことを言い出していた 俺はアイラとアイナがアイアから教わったことを必死に学ぼうとしている姿を横目で見ていた。ただ、あまりにも熱心すぎて。アイラとアイナは。完全に置いていかれてしまっている状況になっている だから、俺が教えることにした それから数日が経過していくと 少しずつではあるが、アイラとアイカは、二人共それなりに上達していったのだが。まだ時間がかかりそうな様子だったので アイラとアイアと一緒に修行することになった 俺達の方はと言えば 毎日が平和そのものといったところで 特に何も起こらずに時間は過ぎ去っていくだけだった ただそんな中でも、王都での事件は頻繁に起きていたらしく 勇者の力を使ったアイラの活躍を、新聞などで知ることがあったりなどしていたが 俺は、そんな事は知らないままに過ごしていた。そんなある日の事だ。俺達はいつものように過ごしていて。俺はアイラと二人で訓練を続けていた その時のことだった

「あのね。シン兄ちゃん」そう言ってきたアイラの顔つきが違っていることに気がついてしまったのだ そして、俺は咄嵯にアイラを抱き寄せて 守れるような態勢になっていた そう。それは 突然の事で、俺自身も理解していなかったことだが。俺の中に眠っている力の一つが アイラを守ろうと反応したらしい そして

「ありがとうね。私は大丈夫だよ。それよりも。今のがシンちゃんの力なの?」そんな事を聞かれてしまうのであった ただ。俺は アイラを守りたいという気持ちだけで、無意識に発動していただけのようだ それを証明するかのように アイラに対して危害を加えたであろう相手に 反撃を加えようとしていたのだが。その相手も、どこかへ消え去ってしまったようで 俺は困惑している

「うん。ありがとう おかげで助かっちゃった」アイラの言葉で、俺の中で暴れていた力が大人しくなっていた

「それじゃ 俺はアイラのことを守ってやらないとな」俺はアイラのことを見つめて、そう言うのである するとアイラは俺に体を預けてくるのであった そして俺は

「これから、ちょっと用事があってさ。行かなきゃいけないところがあるんだけど。一緒に来て欲しいんだよ」アイアの頼みに。俺はもちろん いいですよと答えてから 早速アイアの後を追いかける事になったのである そうして アイアについて行った先に辿り着いたのは 大きな屋敷だった

「アイナとアイカに会わせてあげようと思ってね。それと。アイクくんには知っておいて欲しかったこともあるからな」アイアはそう言ったのだ そして、アイアに連れられて俺がアイナとアイアの妹であるアイカに会うことになった俺の前に姿を見せてくれた2人の女の子。それは双子姉妹であるということが良く分かる顔立ちをしていたのだ 俺達はお互いに自己紹介をする事になる そして俺は この国にある問題に直面していることを聞かされることになる

「実はね 私も知らなかったのよ。勇者がこの国に現れることは聞いていたけど それがどんな人かも、どこに居るかなんてこともね。そもそも勇者の力を発現させる方法もね。私自身よくわかっていなかったのよ」そう答えていたのだ

「なるほどな。まぁ アイアさんの言っている事はよく分かったよ。確かに、アイナとアイカも可愛いとは思う。でも いきなり結婚して下さい。とか言ってくるとか普通はないだろ?しかも俺は異世界から来て間もないんだぜ?」俺はアイアに問いかけると

「あー ごめん。そういうつもりで言ったんじゃないのよ。私が君に伝えたかった事は。君はこの世界を救うことができる存在だってことだ。勇者というのは 特別な力を持つ存在なのだよ。この世界の住人には無い、別の世界からの来訪者であるが故。それは特別なものを持っていることになる。だからこそ、その力は勇者しか持っていないのだよ。その勇者は私達にとって、神にも等しい力を持っていて、その力を制御できれば、この世界の人間では太刀打ち出来ない力を得ることもできるんだ。だからこそ、勇者という者はこの世界で絶対的な存在であるとも言えるのだよ」そう言われても。俺はまだ実感が持てないままでいた 俺はアイラと出会ってから 俺とアイラは、お互いのことについて話したり、相談をしたりと。俺達は一緒に過ごすことが多くなってきていたのだ しかし 俺達がそんな日々を過ごしている中で、俺達の仲睦まじい光景を見た一部の人間は。

自分達の婚約者を奪ったのは勇者ではないか?という噂を流し始めるようになっていった そしてその噂を耳に入れて、アイラとアイナを責めるような態度をとる人間が現れるようになっていた

「お姉様もアイラもずるいですわ。どうして私に一言言ってくださらなかったんですの?」

アイラにそんな言葉を向けているのはアイナである アイナの表情は険しく、明らかに怒っていたのだ そしてアイナは。アイナとアイアのやりとりを見て、少し不機嫌そうな顔をしていたアイラに対しても同じような怒りを見せていた そしてその日。俺とアイアはアイナ達をアイリの屋敷へと招くことにしたのだが。そこで起きた事件 俺とアイアがアイリの部屋に辿り着くまでの間に、一人の女性がアイリを誘拐しようとしたのだ しかし その女は、すぐに捕らえられてしまって アイラによって取り押さえられる結果になったのである 俺がアイアと共にアイリの部屋に向かっている間に、何者かがアイラを襲おうとしたが。アイラはそれを難なく防いでいた そうして部屋まで行くことが出来た俺達は、部屋に入り込むと そこには。既にアイリが拘束されていて。アイナはアイアとアイラを睨みつけていた

「あら 貴方達が何でここに来れたのかしら?ここは王城の警備が厳重なはずの場所でしょう?どうやってここに入れたのか。聞かせて貰おうかしら?」アイナは、余裕を見せながら俺とアイアに言葉をぶつけてきた それに対して アイアは何も答えず。黙って、その場に座ってしまう

「なるほどね。勇者が絡んでいたと言う訳なのね。全く呆れ果てたものだわ。まさかアイラとシンヤが手を組んでアイリを助けるために動いていただなんてね」アイナの発言を受けて アイアとアイラは無言で俯いているだけだった ただ、アイラとアイアの手が震えていた事に。俺だけが気が付いていたのである

「そんなに怖くて仕方がないって言うなら。もう諦めて帰りなさいよ。そうすれば、これ以上危害を加えるつもりもないから」そんな事を言ったアイアの目は笑ってはいなかったのである アイラもアイナに反抗するかのような態度を見せて、アイナを睨みつけるようにしていた アイアがここまで怖いと思った事は、これまでに一度も無いだろう それほどの威圧感があったのだ しかし それでも、アイアもアイラも引く気は無いようだった そして俺は。この場を何とかするために ある人物に連絡を入れることにしたのだ 俺は連絡を取ってから少しすると アイアに襲いかかろうとしていた女の人を、縄でぐるぐる巻きにして連れて来た それはアイリの護衛の一人でもある 騎士の人だ

「おい そいつを捕まえてくれてありがとよ」そんな事を言ってきた彼女は アイアがアイナに対して攻撃を加えようとしていた事を知っていた だから、彼女もまた。俺とアイアのやり取りを聞いて、心配になって様子を見に来ていたらしい そんな彼女はアイアに対して アイアとアイナが手を組めば勝てるはずなどないことを知っているにも関わらず。アイナに対して敵対的行動を取る理由を聞くのであった アイナは、俺の方をチラッと見た後で、口を開く

「シンちゃんのせいなんですよ。全て。彼が現れたこと自体が問題なのです。彼は異世界から来たばかり。それに 彼のせいで。私は婚約を破棄されかけたのです」アイナは涙声になりながらもそう言い放っていたのである 俺が原因だというのか? 俺はそんな事を考えつつも。そんなことを言われた俺よりも 俺の事を信じてくれる仲間の方が。アイナの言葉に腹を立てたようだ

「そんなこと無いよ。シンちゃんが悪いだなんて言わせないからね。シンちゃんの悪口をアイナが言うのは、たとえ妹でも許さないんだからね!」アイナに言い返したアイラ そして、アイアは俺の方を見つめてから、アイナに向かって

「悪いけどさ。それは間違ってると思うぞ?アイナがシンちゃんのことを悪く思っているわけでもないだろ?」アイアの言葉に アイナが何か反論しようとして、それを止めようとした時だった。俺の元にやって来た人物

「あー やっと来てくれたんだね。待ちくたびれてたところなんだよ。さっさと助けに来て欲しかったんだけどなぁ。どうせ暇なんでしょ?」アイアの知り合いだろうか 俺は、アイラの事をアイカに頼んで その人と話すことにした

「いやー 待ったよね。ごめんね。私はアイラの知り合いでね。アイナとアイクの関係も聞いているよ。それで、アイクはアイリアと仲良くしてくれているようだね。私は嬉しい限りだよ」そう言った彼女だが 見た目が幼く そして 身長も低いことから。アイアと同じくらいにしか見えなかった だが。彼女は俺より遥かに年上の女性なのだそうだ アイアや、その友達の人達とも、年齢の割には若々しい外見ではあるが。彼女の場合は 特にそう感じてしまうようだ そんな彼女に俺は

「あの。アイリを助けてください。アイリは俺の大事な人です。俺がもっとしっかりしてれば、こんなことにはならなかったかもしれませんけど。今は反省しています。だから、アイアさんに迷惑をかけて申し訳ない気持ちなんです。お願いします。助けてもらえないでしょうか?」俺は、この国の人間ではないのに。必死に頭を下げていたのだ すると。アイナは、アイアに対して怒りの声を上げる

「アイア!あなた、自分が何をしたか分かってるの!?あなたのせいなのよ。アイラと、シンくんは、お互いに信頼しているのよ。なのに、どうして、二人の間に割り込もうとしたのよ?」アイナはそんな風に怒鳴るがしかし アイナの問いに答えたのは この国にいる全ての人々ではなかった そう 俺とアイアが出会った場所で出会ったあの女の子だったのだ

「ふぅん やっぱりアイナは知らないか。まぁ それも当然かもしれないわね。私と会った時にはアイクはまだ、勇者じゃなかったんだからね。勇者が現れたと分かった時は、すでに私達は別れていて。そしてアイナの婚約者と私が付き合っていたのだから」そう語った女の子の話は。確かに衝撃的な内容ではあったのだ アイクとは一体誰なのか?何故、その人は勇者の能力を使えたのか?アイナの婚約者というのは誰か?俺も知りたいことは沢山ある だからこそ、その話を聞いてから、少し考える時間が必要になってしまったのだ しかし。俺が考えていた時間はほんの一瞬でしかない出来事 アイナはその一言に驚いた顔をしていた アイナは俺に勇者のスキルがある事は知っていた だからこそ、その力を使ってアイラを自分の味方に付けようと思っていたのだ だけど それができなかったばかりか。自分と同じ境遇でありながら。自分を打ち負かせる程の力を持っているであろう存在 勇者の力を使いこなしている人物が現れて 勇者の力を制御できたら 魔王をも倒す力を得られるという言葉を、実際にその言葉を聞いたことがある その言葉の意味もアイナは知ってしまっているのだから だからこそ。アイナはアイアを警戒するしかなかったのだ そして、アイナは そんな考えに至ると同時に。アイナは、自分がシンヤに対して抱いている想いにも気が付いてしまったのだ

「そんなまさか そんな事が あり得ない。シンヤはそんなことできる人間じゃないわ」アイナは俺の顔を見てから そう言っていた アイアとアイナは その会話の内容に驚いていた その話は、今まで一度も聞いたことのない話で そもそも、その話を知っていてアイアを責めるような態度をとっていた人物が 本当に存在しているという事実は驚きでしかないだろう ただ アイアとしては、その人がどういう意図でそんな発言をしていたのかも気になったようだ そしてアイナは、シンヤが勇者であることも、この世界に呼び出されて間もないことを知っているので。その話が真実なのかどうかが気になってしまっていたのだ

「ちょっとまって。アイナは。アイナはどうして、その言葉の通りに受け取ってしまうのよ?シンヤ君は、勇者の力で貴方を洗脳しようとしているんじゃなくて、ただ。アイナを守れるように、それだけのために、力を使ったのよ?貴方を守る為に そして貴方と仲良くなれるように 貴方に好かれるように 努力をしているのに アイアとアイラもそうなのに それなのに なんで貴方だけがシン君を悪く言うの?」そんな言葉を口にしたのは アイナだった

「私はアイラとアイアを救いに来たの。アイアとアイナとアイクの三人に酷いことをする為なんかじゃなくて。アイアとアイナとアイラが。私の大好きな人たちと仲直りできるようにって思ってただけなのよ」アイナは涙を流してアイラ達に訴えかけていた アイナが泣いた姿を見るなんて初めてだったので。俺はびっくりしてしまうが アイナはアイアを救おうとしていただけだという事は理解していた そして アイナの涙を見たアイアもアイナを心配する アイアだって、別に本気でアイラの事を嫌いだったわけではない アイアが嫌った相手と言うのも あくまでも、その人のせいで、自分が嫌われていたからに過ぎないのだ だから アイラはそんな風に、自分を心配してくれる姉の姿を見て。アイアに抱きついていたのだ

「ごめんなさい。お姉様」そう言って、アイアの胸元で泣くアイラを、優しく受け止めていたアイアであった 俺はそんな光景を見ながら。俺はアイアを安心させるためにも。俺の知っているアイナについてを、みんなに話すことにした

「実はさ。アイナって俺よりも前からこの世界で生活しているんだよ。そして、アイナの父親はこの国の王でもあるんだけどさ。そのアイナの父さんから俺は頼まれていたんだよ。アイナの事も頼むぞ 俺はお前にアイナの事を頼みたい 俺の娘が 俺の事を親だとは認めてくれなくてもいいんだ アイナの事を大事に思ってくれさえすればそれで構わない もしも、娘が、俺のことを大切に思っているような事があれば どうか。娘と仲良くしてやってほしいと。

アイナが、まだ小さかった頃なんだけどさ。俺は一度だけ。俺の目の前で、父親に会えない理由を話してくれたんだ。俺は、その時に約束したんだ。

いつか。アイナが本当の家族に認められる時が来るまでは。俺だけは、ずっと傍で支え続けてやろうと誓ったんだ」俺のそんな話を聞いたみんなの顔つきが変わったのだが。俺はそのまま話を続けることしかできないのだ。そう 俺は これから起こる事についても知っていて それでも、俺には。アイナを救うことができる手段がないということを分かっているからだ

「そうね。アイナの事を任せてもらえるのはありがたいわね。だけど。あなたは もう。勇者ではないはずなのに。どうしてそこまで出来るのかしらね。でも、私はアイクに感謝しなければならないのでしょうね。私が愛している人の大切な人になら、私に文句を言うつもりなんてないしね。それに。私にとってアイナのことは、可愛い妹だからね。私が助けに行ってあげるべきだと思うんだけど 何か 問題があるの?」アイアがそういうと

「アイナは。シンちゃんに任せればいいんじゃないかなぁ。私は、今の状況で。アイリを助ける事は出来ても、今のシンちゃんに、アイナを助けに行けるとは思えないんだけど。その。助けに行くっていう行為自体は否定するつもりはないんだけどね。その前に。私も手伝うよ。一緒に頑張ろう?」そう言ったアイラだが。

俺とアイナが、お互いのことを思いやっていると分かった瞬間に。アイナはアイアに助けを求めようとは思わなくなっていたのだろう アイナがアイアに

「ありがとう。アイア。大丈夫よ。アイクもいるし。きっと何とかしてくれるはずだもの」そう言うアイナの表情からは 迷いのようなものは消え去っていて 俺と一緒に行くと言ってくれているアイアの手を握って 二人で俺の元にやって来てくれた 俺は、そんな二人を見て。やっぱりアイナのことが好きなんだなって。改めて思うことが出来たのだから

「よしっ。これで準備は出来たわよね。じゃあ。早速。私は行きますから」アイナはそう言い残して 俺に微笑みかけてから アリサと共に何処かへと旅立ってしまったそんな様子を見送っていた俺に アイナのお母さんは 俺に対して、ある話を持ち掛けてきたのだ それは 魔王を倒しに行く前の話だ アイナの母親である彼女は。その身に宿る膨大な魔力で、魔族たちを殲滅してまわっていたが しかし いくら、魔族の王と言われる存在である「魔王」といえども 彼女の強大な魔法の前では太刀打ち出来ないのは当然のことだったのだ そして 彼女は、この世界の全ての人間に。自分を殺すために魔王討伐に同行することを命令したのだ そう 彼女の持つ魔法の力では。どうすることもできなかったのだ

「ふぅん。これは面白いことになっているようねぇ。ふふ。この私を殺せるとでも?たかが人間の小娘の力を得た程度で この私をどうにかできると思ったの?」そう語る彼女は余裕の笑みを浮かべながら 俺達の前に立っていたのだ

「あの女がこの私とまともに戦えていたとはね。まぁ。この私が。人間如きに負けるようなわけが無いけれどね。だけど 私の力では あれほどの力を持った者を倒せるかは分からないわね。だからこそ。私の力を、貴方の力にさせてもらうわよ」そう言って俺の方に手を伸ばす彼女だったが。その手を取ろうとすると その行動を止める人物が現れたのだ それは、勇者と呼ばれる存在だった「なるほど。やはり貴方のその能力は厄介ね。貴方がこの場にいるのであれば 貴方の力を使わなければ勝ち目なんてなさそうだし。今回は貴方に譲るとしましょうか」彼女がそういうと。彼女は姿を消したのだった 俺は。勇者としての能力を使って。自分の母親を止めたのだ そして、それからしばらくの時間が経った後に 勇者の力を封印し 元の体に戻ることができたのだ だからこそ。俺は勇者の力を持っていても。それを使いこなす事はできなかったので その力で魔王を倒すことは不可能だと思ってしまったのだった そして だからこそ。勇者の能力を自分の物にして。アイナの事を守れるようになる為に。アイナとの特訓を必死で頑張っていたのだから 俺達は、とりあえず。城の外にある広場に向かうことになったのだが。俺の知っている知識が正しいとするならば ここで戦闘になるはずなのだから。その戦いを見届けるためにも 俺達も向かう必要があったのだ 俺達がその場所に着く頃には既に。多くの兵士達が集まっていて。俺の見知っている人も沢山いて、中には懐かしい人達もいた 俺の師匠と呼べるような人 そして 父さんの知り合いでもあった人たちの姿があったからこそ その場所に足を運ぼうとした そんな時に その人に出会った

「やぁ。シン君。久しぶりってところかな」そこには。

以前会ったときと同じで、とても優しそうな笑顔を見せる人が居た そして そんな人が、この場所に現れるということは その人が誰であるのかを理解したうえで、俺は言葉をかけた

「貴方は一体何をしにここにいるんですか? こんな場所に貴方が現れるという事は、それなりの事情があってのことなのでしょうけど 何で貴方みたいな優しい人が。そんな危険な行為をするのか。それが知りたくて 俺は貴方に会いに来たんですよ」そんな言葉をかけると

「相変わらず 君の目は誤魔化せてはいないって感じがするなぁ。シン君。君に頼みがあるんだ 私の願いを聞いてくれるなら この世界の為に力を貸して欲しい」俺に向かって真剣な顔で言うその人の顔を俺はしっかりと見てから。返事をする

「わかりました。貴方に言われた通りにしますよ。それで 俺は、この世界を平和に出来るというのなら」

俺が答えると。目の前の人物は嬉しそうな顔をしながら、その手に持っていた武器を渡してきた 俺は、それを受け取ると 使い方を知っているから、すぐにでも使う事ができるが。今はその時ではないと思い。その剣を鞘に収めてから 俺は目の前の人物の話を聞いた その話を聞く限り 俺は。目の前にいるこの人の言葉に従わなければならないと理解したので。その提案を受け入れることにした

「本当に 良いんだね。これから先私が、シン君の味方になってあげられるのは ほんの一瞬だと思うよ。その僅かな時間だけなんだ。それだけは 覚えていてくれるかい?」その人は。悲し気な顔で、俺に言ってきたのだ

「俺は 別に構いませよ。だって。貴方は これから先も。俺のことをずっと守ってくれると。俺はそう信じていますからね。

俺は、今まで。色々な人から助けられてきています。俺も、誰かを助けたいって 俺は強く思っています。そして、俺を、助けてくれる人を、俺も守りたいって、俺が、俺自身が決めた事ですからね。その事に関して、俺は、後悔はしていないんですよ」俺は、そう言って 目の前にいる人物の手を、優しく握りしめたのだった

「そっか。シン君は 強いな。そんなに強い心を持っているんだ。

やっぱり。私に似合う男だよ まあ、とりあえず。まずは。この世界を救うところから始めないと行けないと思うんだよね。それに アイツに勝てるかどうか分からないしさ」その言葉に。アイクは、反応した

「それはどういうことなのかしら?あなたは、魔王について何か知っているのかしら?」アイナの母親はそう聞くと。彼女はこう返した

「私はね。魔王の事をよく知っているんだよ。だからさ。私がその魔王の相手をすれば。少なくとも今の状況よりはマシなはずさ。それに、魔王を何とか出来るのは、私しか居ないんだよ。まぁ、それはいいんだけどさ。

とりあえず 私に任せてくれれば大丈夫さ」

そんな事を言いながら。彼女は俺の手を引いてその場を離れようとすると。そこに。勇者がやってきた「あ、やっと見つけた。どこに行っていたのさ もうすぐ戦いが始まっちゃうから。早く戻ってくれないかな?」勇者はそう言った アイナの母親は何も言わずに俺の事を抱きしめてくる 俺は、どうして良いか分からず されるがままになっていると。突然彼女は勇者に襲いかかった しかし 彼女は。その攻撃を回避していた

「ちょっ、危ないじゃんか! 急に何をするんだよ!」勇者はそう叫ぶ

「あんたにだけは。私は許すつもりはないからね。覚悟してもらうよ」そう言った彼女は。勇者との戦いを始めたのだ

「うーん。どうしようか。このままじゃ、私まで巻き沿いを食いそうだけど。でもなぁ。どうするか ま、いっか。巻き込まれたほうが。後々に面白い展開になって面白そうだし」そう言いながら 俺達の近くにやって来た。アイナのお姉さんは。戦いを見物しているようだ そして 二人は激しくぶつかり合っていた

「くそ。やるじゃないか」と。そう言いながら。アイナの事を褒めていた そんな二人を眺めていると 俺の方に、アイアのお母さんは話しかけてきた

「あら、こんにちは。アイク君よね。お元気かしら?最近アリサちゃんが来てくれなくてね。退屈していたのよ。あの子は、貴方に夢中のようだけど。アリサが貴方の事を好きだと言う理由が。今の私にも理解できる気がしてるのよね」そう言って 俺の方を見てくるアイナのお母さんは どこか寂しげに笑みを見せていた そんな様子を見た俺は。なんとも言えない感情を抱きながら その話を聞いていて。その言葉に。どんな意味が含まれているのだろうと考えてはいたものの 答えを出す事ができなかったので その話をそれ以上続けることはなかった そして。その言葉の意味を理解した時。俺は 彼女達の力になりたいと、思っただが そんな時に、勇者は、俺の所にやって来て この場を離れるように言うのだ

「僕はこの人に付いて行く事にした。悪いけど。君とは一緒に行動する事が出来そうに無いんだ。でも安心してくれ。僕の能力を使えば、いつでも会いに来ることが出来るから。また会える日が来ると信じていてくれ」彼は俺に対して、そう告げると。彼女は、アイナの所に戻っていき。再び勇者としての姿になっていたのだ 俺は この場を離れて。とりあえずアイアの母親のところに戻ってくると。彼女は、勇者と戦わずに俺と一緒に行動することに決めたようであった その日の夜。俺が一人になると。

魔王が現れて 俺は。彼女を倒すために。戦う事になるのだが。それはもう少し後の事だったのだ そして、俺は、彼女の誘いを受けて。魔王の城へと向かうことになった そんな時。彼女は、私に とある質問をしてきたのだ

「ねぇ。貴女って。勇者様の恋人って事で良いのかしら?そうなのであれば 貴女も、この世界で、色々と面倒なことに巻き込まれているってことになるのよね」その言葉に俺は 少し悩んだ後に 魔王の言葉に 俺は、素直に言葉を返す

「確かに俺は、勇者の事を好きになったけれど。勇者が誰を選ぶのか。それを決めるまでは、俺は。アイツの気持ちに応えることはできないと思う だからさ。まだ。その関係には至っていないと思うけど。魔王さんも、その。好きな人とか居るのかなって。俺に聞いてくるって事は もしかして。魔王さんの恋のライバルになるかもしれない俺のことが気に入らなかったりするのかなって」俺がそう言うと。魔王の顔色が曇った

「えぇ、その通りですよ」その顔を見た俺は、やっぱりって思うと。彼女は俺に

「その前に確認をさせてもらうわよ。私の予想は外れていないでしょうし」と言ってきたので 俺は、正直に答えることにする 俺は 魔王に、本当の事を言う すると

「なるほどね。それなら。納得だわ。でもね。私は 別にそんなことで貴方を恨んだりしないわよ。だってね。私が誰を好きでいようと それは関係ないことだもの」彼女は、そんな事を言いながら。俺に向かって微笑んでくれると 俺に優しくしてくれたのだ

「それでね。話は少し変わるけど この先 私と行動を共にするなら。私のお願いを聞いて欲しいの」俺は 彼女の言葉に その頼み事を引き受けようとしたのだが。

俺は、それを。断る事になったのである 俺は。魔王の案内によって 俺達は その世界へとたどり着いた そこには、巨大な建造物があった

「ここに、貴方が知りたがっていた情報の全てが有るはずだから。それを探し出してね。それが終わったのなら。私は帰ることにするから」魔王はそう言うと その場を去ろうとしたが俺は そんな彼女に声を掛けて呼び止める

「なぁ。本当にお前の目的は、その先に有るものじゃないのか?」俺は。それだけを問いかけてみた しかし 魔王は

「ごめんなさい。これ以上貴方が関わるべき事ではないの。それに。これは。私の仕事でもあるから」彼女は、それだけを告げると そのまま帰ってしまったのだ 残された俺とアイナの両親は。魔王の残した言葉に従い 建物の中に入っていく 建物の中に入ると。その中は真っ暗であったが。アイナは。俺に向かって「この部屋にあるみたいだから。探して欲しいのよ」と口にしたので 部屋の中の物を一つ一つ探していく その部屋の中には、色々な道具が置かれていた そして 俺は。ある一冊の本を見つけることができた その本を。手に取ってみると。その表紙には『神原勇斗へ』と書かれていたのだ この本に、何が書かれているのかはわからないが。それでも。俺は、中身を知らなければいけないと思い。俺は、自分の名前を書かれている本を読んでみることにした そして。その本のページを捲っていくと。その書物の内容は驚くべき物だったのだ

「まずは 私の言葉を伝えておきましょう。私が、今こうして貴方の前に現れることができたのは、きっと。私が これから先の事を知っているからだと思うから 貴方に、私の言葉を伝えますね」その本に書いてあった内容を読み終えてから俺は、アイナとアイナのお母さんの方を見ると。その表情は、驚愕に染まっており 何か恐ろしい事を聞かされたことだけしか分からなかったのだった 俺は 今起きている状況について理解することができなかった どうして。こんな事になってしまったのだろうか?俺が何をしたっていうんだよ 俺は、必死に考えてみるが 何も答えを出せずにいた

「あーあ。やっぱりこうなっちゃったね」突然 聞き覚えのある声が聞こえる

「あ、やっぱり来たんですね」その声を聞いた瞬間にアイナのお姉さんは 魔王と話をしていた

「あぁ、久しぶりだね。それにしてもさ。まさか 魔王様まで連れてきてくれるなんてね」アイナのお姉さんはそう言って笑うと 魔王は、アイナの姉さんを睨んでいた

「貴方達。どういう事なのか説明してくれるかしら?」アイナの母親は、二人を見ながらそう呟いていたが 魔王の方に 目をやっている

「あらあら。怖いわね」魔王は、そう言いながらも楽しげに笑みを見せていた

「ねぇ 貴方。今の状況を理解しているかしら?」魔王は、そんなことを言い出したので 俺も魔王の方を向きながら「俺にわかるわけがないだろ」と返した その言葉に 彼女は「そうですか。わかりました」そう一言を口にしたかと思えば。いきなり襲いかかってきたので 俺は、咄嵯に避けたつもりだったが

「あれ?なんで。俺は 死んでいない?というか。なんで。どうして」俺の身体から 煙のようなモノが立ち込めてきて。俺の肉体を変化させていたのだ そして その姿を見た魔王は「なるほど。やはり貴方の身体を媒体にしたか」と。そんな事を言っているだけだったのだ そして 俺は、目の前に現れた化け物に驚きを隠せない

「おぉー。なんか、面白いことになってきたじゃないの。ま、どうでもいいけどさ。でもさ そいつの事をなんとかしないと 君も死んじゃうよ」アイナのお姉さんは 笑いながら そんな事を口にしていたが。そんなアイナのお姉さんを見て。魔王は、険しい顔をしている そんな魔王にアイナのお母さんが

「ちょっと待って下さい。貴方は何者なんですか?あの子の関係者であることは分かっていますが。今のあの子よりも強い力を秘めているのは確かですよね?私達を巻き込むようなら。それなりの対応をしないといけないと思いますが」アイナのお母さんは、俺の方をチラリと見ながら そう言ってくるので。俺はアイナの母の側に居て いつでも守れるようにはしておかなければならないと思っていた

「あら。それは どういう意味かしら?確かに私は、あの子に勝てる程の力を持っているけれど。貴方に、私の相手をする余裕はあるのかしらね。それに。私は、貴女達が想像するような人物ではないわよ」

その言葉と共に、彼女の身体は、変化していっていたのだ

「ほぅ これは。凄いじゃないか。さすがは、君と言うところかな」そう言うアイナは笑顔を見せているが そんな彼女を見ていた魔王は不機嫌そうにしており そして。俺の方はといえば 自分の身に何が起こっているのか全く理解できていなかった 俺に一体 何が起きていて。そして 俺が、魔王の相手にする事ができるほどに 強くなっているのだと。そう思ったが。この状況下で 俺の頭の中にあった考えは一つしかなかったのだ そう、それは、俺の力が この世界に来ている勇者の力と同等な程になっているのではないか。そんなことを考えていたが。俺は勇者のようにチート的なスキルを手に入れた覚えは無い

「貴方も 私の敵になるつもりかしら?私としてもね。貴方のことはそれなりに気に入っているのよ。でも。貴女達は。勇者の仲間だった者達よね。それならば 私の敵になりえるかもしれない存在になる可能性があるわよね」彼女は、不適に微笑むと その言葉に アイナは反応していた

「貴女。魔王として、この地に封印された魔王の眷属よね。それで、魔王を復活させて。世界を支配させようとか考えているんじゃないかしら」アイナは、鋭い視線を向けたまま魔王に質問をぶつけていたのだが。それに対して彼女は、ニヤッと笑って「それも良いかもしれませんね。でも 今は。その事は置いておくとしましょう。貴女達を殺す事は簡単だけど。それをするのなら。まずは、貴方が邪魔です。さぁ。さっさと消えてしまいなさい」そう言うと同時に 彼女から放たれてきたのは。とんでもない魔力の塊である事が理解できるほどのものであった しかし、俺とアイナの両親は、その場から動くことはなかった

「なるほどな。君は 本当に僕を失望させてくれるな」その言葉を発したアイアは、俺の知らない顔を浮かべると。アイナは その表情を見て。怯えていたのだった

「おい。何のつもりだ。そんなところで見ている暇があるなら、お前らも あいつの相手くらいできるだろ。それとも できないのか?それでも俺の家族なのかよ」俺は、俺に向かって話しかけてくる 彼女の方を見ながら アイナのお姉さんとアイナに怒鳴っていた その言葉を聞いたアイナのお姉さんは「いやいや 別に僕は 戦うつもりでここにいるわけじゃないんだ。それに 君の事を気に入ったと言っただろう。だから ここで見ているんだよ」と口にするだけで 戦おうとすらしなかったのだ

「お前は、お前は!ふざけるな」と。そんな言葉を叫ぶが 俺は 自分の身体に異変を感じると。そのまま倒れてしまったのだ そんな俺の姿を確認した魔王は

「さてと。貴方は。もういいわ。後は、あの人達に任せることにしましょう」と それだけを口にすると。その場から姿を消してしまうのであった 魔王がいなくなり その場に取り残された俺は、魔王と会話をしてみたが 魔王から得られた情報は、それほど多くはなく そして、その話の内容も。俺が考えていたこととは違っていたのである 魔王は、勇者を異世界へと召喚させた張本人で。勇者と敵対する関係にあり。そして。この世界では。魔王と俺の両親が 勇者の両親を殺め。そして。俺は、俺自身の力で両親の仇を取り。この世界の魔王を倒すと。そういう計画を立てているのだと思い込んでしまったからだ だが、実際には違っていて。勇者は、この世界での出来事がきっかけで。この世界を支配するためだけに 行動を起こしていたらしく。その結果。アイナとアイナのお姉さんを殺めて 俺をこちらの世界に呼び寄せようとしていたらしいのだ 魔王が姿を消した直後 魔王の魔力を感じた魔王の妹が 慌てて戻ってきたが。アイナのお姉さんは「やぁ どうしたのかな?」と口にしているだけであった俺はというと。意識はハッキリとしているが。まだ、立ち上がれない状態なので 地面に伏せながらではあるが 魔王の妹の事を 視界に収めていた

「あー うん。えっとね。魔王様が 何処に行ったか分からないかと思って 探しにきたんだけど」

魔王の妹は、俺達の様子を気にしながらも 俺達の様子から 何かを感じ取ったのであろう。少し警戒心をあらわにしているようだ

「魔王がどこに消えたのかねぇ。さっぱりだよ」とアイナのお姉さんが言っているのが聞こえる そして魔王の娘も「貴方達が、何かを知っているとしか考えられないのですけどね」と言ってはいたが 魔王の居場所については 何も言わないでくれたのだ ただ、俺の事を観察し続けているだけなのだが 俺自身も。今の現状を理解することができずにいるので。ただ、黙って眺めているだけしかできなかった それからしばらくして。魔王が 魔王のお母さんを連れて戻ってくると その事に気づいた魔王と魔王の妹は 二人の元へ歩み寄ると 三人共。同じタイミングで俺のことを見始めたのだ

「あれはね。魔王の呪いが解けているの」魔王のお母さんは そんな事を言い出していたが そんな事を聞かされても どうしようもないと思うので どうすれば良いのかと考えていた

「まぁ どうせだし。色々と聞きたい事があるのは分かるけど。とりあえず。彼の様子を見てからにしないかい?」魔王は そんな事を言うと アイナとアイナのお母さんは「それもそうですね」と答えてはくれていたので 俺は 魔王達に抱えられて運ばれることになった 俺は、自分の部屋に戻るや否や ベットの上に寝かされてしまっていたのである その俺の横には魔王と魔王の妹の二人が座っており。俺のことを見てきていたのだが、俺は 二人のことが怖くて 身体を動かせずに いたのだ そんな状態の俺は、身体を震えさせている 魔王の妹は、心配そうな目で 俺の事をみつめているが。魔王の方はと言うと 魔王の母と一緒に部屋の隅に移動して、何かを話し始めていて その会話の内容は、俺の耳にまで届いてくることは無かったが 魔王の母親の方を見ていた魔王の顔を見たときに「魔王も人間と同じ顔をするのだな」なんてことを思ってしまっていたのだ そうして時間が過ぎていき 魔王が アイナの両親に「今日は、ここまでにしておくわね。この人は 私達が面倒をみるから。二人は、ゆっくり休んでいて構わないわよ」そう言ってくれると 俺は、そのまま魔王に連れられる形で 魔王の部屋へと移動することになるのだった

「君には。僕の全てを見せてあげようと思っているんだよ」そんな事を言ってきた魔王に 何をされるのか分からずに。恐怖を感じていたが 魔王の言葉に逆らう事も出来ずに。大人しくついていくことにした それからしばらくすると ある一室に連れてこられたのである

「ここは、特別な場所でね。僕だけが知る場所だ。誰にも知られることのないようにしているから。ここなら 僕達の邪魔をする者は いない」そう言うと 彼は。ゆっくりと近づいてくると そのままキスされてしまったのだ いきなりだったので。ビックリして 後ろに下がろうとしたのだが 身体が動かなかったのである 俺と魔王は、身体と身体を重ね合わせて。抱き合ったままの状態で。互いの鼓動の音を聞いており 俺の心臓の音を魔王に伝えるように 密着しては離れを繰り返していると。俺の方も 魔王と同じように落ち着いていき いつの間にか。互いに唇を求め合うようになっていた

「君とは。仲良くなりたいと 僕は思っているんだよ。それは 本当なんだ。君は。どうして僕を受け入れてくれたのかな?それに 君のご家族にも。君は受け入れられているんだよね。だからかな?そんな風に思ったんだけど」そう言われて 俺は。魔王から解放された後も「俺も 貴方のようになれたのかな」と考え始めていたのだ そして 魔王も。アイナも。魔王のお母さんも。みんな優しい人たちばかりで。そんな人達に対して、優しく接していたら。もしかしたら、こんな未来になっていたのではないかと思い始めてもいる しかし。今となっては。そんなことは、もう遅いことであり もう 二度と戻らない時間を取り戻せないのだから「さてと じゃあ これからは。僕は 仕事に行って来るよ。この城の中を散歩でもしていてほしい」と言われてしまい。仕方なく。城の中を見て回ることにした俺は 城内を見て回っている時に 俺の目の前に現れた女性に「お久しぶりです」と挨拶されたのだが。それが誰なのかは 覚えておらず。その事が、少し残念に思っていた その女性は、魔王の秘書をしているらしく。名前は。アリスと言うらしく。俺は、その言葉を聞いた途端に 頭の中で。記憶を思い返していくと。彼女の名前を ようやく思い出すことができて 俺は、「お久しぶりです。アリスさん」と口にすることができたのだ その言葉を聞いた彼女は「良かった」と言いつつ 俺に向かって手を差し出してきて「私は、魔王様の仕事を手伝っています。この世界について 詳しく教えて欲しいのですが。よろしいでしょうか?」と。そう言う彼女の手を取ると。俺は「それくらいなら」と 彼女のお願いを聞いていた それから数時間の間。彼女は、この世界のことについて色々と聞いてきて。それを俺に伝えてくれることになった この世界の名前は、アースと呼ばれているらしい アース大陸の南西部にある魔の森と呼ばれるところを中心にして いくつかの国が点在しているそうだ 魔王領は、この国の中にあって。領土としてはかなり大きいらしく。

他の国との境いに結界をはり 他所の国からの侵略を防いでいるようで。この魔王領は この世界の中では珍しく 平和に保たれている場所らしいのだ そして、この世界の人間は、大きく分けて3つの種族が存在しているらしく その中でも 獣人族と魔族は仲が悪いようだが。それでも戦争を起こすことはなく。お互いに不干渉な状態を保っているらしい エルフは、森の中に住んでいて。

妖精族の代表的存在でもあるらしいが 森の奥から出てこないらしく 姿を見せるのは珍しい存在となっているようだ。

ドワーフは、山に住み 鉱石などを好んで掘ったりしている 鍛冶が好きな者が多くて 武具を作っている職人さんも、ほとんどがその人達だという その人達も、あまり外に出たりはせずに引き籠もりがちな生活を送っているのだと そして、最後の人種となるのだが。

その人は、魔物使いと呼ばれていて 主に、ペットなどを扱っていることが多いようだ そして、この国は。この魔王領内で、一番の小国なのだと教えられたのだ

「なるほど」と俺は口にするが。俺は そんな話よりも 自分の力についての話が聞きたかったのだ この世界では 自分の身体能力を数値化して見ることが可能になっているようなので その説明を受けたりもしたのだ まずは、体力から

「これは、魔力値や。知力が関わってくるものなのだけれど。基本的に体力は魔力が関係しているの。魔法を使うために、体内の魔力を巡らせて。自分の中に流れている魔力の量を確認できたりするわ」と言うので。

とりあえず。俺は、自分のステータスを確認してみると「おお」と言う感じで 驚いた表情を浮かべて「えっ」と言った後。

俺自身の事を凝視しているだけだった ちなみに。アイナのお姉さんは、俺の横に居てはいたものの。俺の様子を見ながら微笑んでいたりしており その横にいた魔王と魔王の妹はというと。二人で 何かを話し込んでいたりしているのだ そして俺はというと 自分の能力の確認が終わってからというもの。ずっと固まっていたのだ

「あのー どうなさいましたか?」そう言われたことで。俺は、我に返ることが出来て。少しだけ 気持ちが落ち着くと。魔王の妹に「ちょっと待っていて欲しい」と伝えると。アイナのお姉さんと一緒に その場を離れて行くと 二人だけの時間を作ることに成功していた

「貴方のスキルってね。凄く特殊なものみたい」そう言われてしまったので。どうすればいいのか分からない状態でいた 俺は、そのことに困惑しながらも。なんとか返事をしようと頑張っていたが。

結局は、上手く喋れないでいると。彼女が 困った顔をしたので「もう少し、俺の事を信じてくれても 構わないんじゃないのか」なんて事を言うが 彼女からの返事を聞く前に魔王の妹との話を終える事が出来ており

「ごめんなさい。どうしても信じられなくて。貴方のことが怖くて」そう言われると。何も言い返すことが出来ないので。ただ黙っていることしか出来なかったのだが 魔王の妹との話は、そこで終わったのであった 魔王の妹は、アイナの部屋に戻ると。アイナに抱きつきながら泣いており そんな彼女の頭を撫でながらも。俺は、先程の出来事を思い出していたのだ 魔王が、アイナの姉と一緒に部屋から出ていくと。今度は 魔王のお母さんが話しかけてきたのである

「魔王と魔王の妹は、私の血を分けているのよ」と言われた時には。どう反応して良いかも分からずに ただ黙っていた 魔王の母親の言葉には嘘はなく 俺も気づいていたことだったが。俺自身が魔王のことを受け入れられずに。

俺も、どうして良いのか分からない状態だった 魔王のことが好きになってしまったとしてもだ 今の現状を簡単に受け入れられるほど。簡単な問題ではないと思うんだよね。俺は 俺に優しくしてくれる人はたくさんいたが。俺は、その人達を信頼していなかったのだと思う それは。今になっても変わらないことだからね。

それにだ。魔王が、アイナを泣かせたことも許せないし。俺を騙して利用していたことについても。やっぱり、俺は魔王のことが嫌いになれそうもない だからといって、俺は魔王のことを受け入れた訳でもないんだよ だから。魔王と仲良くなりたいと思っていて。俺に好意を向けてくれるのは。本当に嬉しく思うんだけど。俺は、やっぱり。俺の大切な人と仲良くしたいと思っているんだよ 俺にとっての大事な人がアイナだった アイナだけは裏切ることは出来ない 魔王だって、魔王妹にとっては。母親だったりしているだろうから。仲良くしてあげたいという感情もあるんだけど。それでもだ

「勇者。お前に言っておきたいことがある」と言われてしまうが。俺も、魔王に対して。伝えたいことがあり。「俺は、お前に。俺の力を 全てを見せようと思えば見せることは出来るけどさ。そうするつもりはないんだよ。それに。俺は あんたに。俺の全部を教えるつもりも無いんだよ。それはさ。あんたが、この世界に来て。俺と同じ世界から来たから。そうやって優しくしてくれているかもしれないけど。だけど 俺は、俺のやり方で これからも頑張ろうと決めているから」と言うと

「そっか。それならそれで。僕は僕の好きなようにするから。君も、君のやりたいようにすると いいよ」と。彼は言うと。立ち上がっては そのまま部屋の扉へと向かって歩いていき。扉に手をかけた時「またね」と俺に伝えてくると。そのまま出ていったのであった

「俺も 俺の思うように生きるから。これからは。魔王としてではなく。貴方個人としての付き合いになるから」そう伝えてから 俺は 自分の部屋に帰っていき そして眠りについた 朝になると、俺は起き上がるとすぐに。アリサがいると思われる 魔王城内の食堂へと向かうと そこには。アイナの姿もあって。アイナは 既に食事を済ませてしまっては 俺の方に向かってきてくれたのである そんな彼女に。俺は

「おはよ」と言うと。

アイナは、頬を少しだけ赤くしながら「お、おはようございます」と返してきて 俺達はお互いに照れてしまい。それからしばらくしてから食事を取ることにしたのだ 朝食を終えてからは、しばらく この世界でやることが無くなってしまっており。何をしようかなと思っていたところではあるんだが 俺は、アリサと共に。魔王の妹に会うために向かっていた

「あの時は、私のせいで。貴女を傷つける形になっちゃいましたよね」なんて事を言われるのだが。別に俺は、傷ついてなんかいないと そう思いながら「まぁ 結果的には そうなってしまったけれど。でも 大丈夫だよ。俺は、気にしてないし。それよりもさ。今日もよろしくね」と言っておいた すると、彼女は。少しだけ ほっとしたような表情をしてくれたので。俺は「安心したよ」と言うと

「えっと 私は、貴方のことを信じてますから」と口にされたのだ それからというもの。俺は、魔王城にある。大きな屋敷のような建物の中にいるわけなんだが。魔王の妹は この国で一番偉い人物なので 魔王の妹が、魔王領で仕事をするにあたっての職場が用意されているらしいのだが 俺は、それを見学することにした ちなみにだが 魔王の妹は、見た目は。かなり幼かったりする

「あれ? なんで貴方が居るの?」そんなことを言われてしまったが

「魔王様に頼まれてね。魔王の妹の仕事を見学している最中で」と言うと。「あ、そっか。魔王のお母様の手伝いをしてくださっていたのは 貴方なんですよね。でしたら 私の方からも お礼を伝えさせていただきます。それと。魔王の妹としてではなく。一人の仕事仲間みたいなものとして接していただいて結構ですから。これからも宜しくお願いします」と そう言われるので。俺は、軽く会釈をしてから。彼女と仕事の話を聞いていたのだ。その話の内容については。

魔王の母から教えてもらった内容と同じで 俺は

「なるほど」なんて事を口にするが。正直 興味が無かったので 俺は魔王の妹に

「ありがとう。色々と聞かせてもらえただけでも良かった」と言い 俺は、アイナを連れて。自分の部屋に帰ってきた 魔王の妹が、アイナに何か言ってくることはないと思うので 俺も。アイナに何か言うような真似をしないように気をつけないと

「ねぇ ユウマさん。貴方って 凄く強いのに。それでも弱い人を助けるために戦うなんて。本当に優しいんですね」なんて事を言い出しては 俺は、アイナの手を握っていた

「そうじゃないよ。俺は、ただの自己満足の為にやっているだけにすぎないから。そんな俺よりも。この世界にいる人達を助けられる勇者の力を持っている人の方に助けに行ってあげた方が良かっんじゃないのか」なんて事を言っていると アイナの目が、俺の瞳の奥を見つめてきたので アイナは、真っ直ぐに見つめてきながら「私は、この世界に来て。最初に貴方に助けられて。本当に、嬉しかったんです」なんて事を話し出したのだ アイナの目を見ながら。俺は、「そういえば、俺が目覚めた時には。君は、ずっと側に居てくれていたよね」そんな事を言ったら。アイナが 顔を真っ赤にして 慌ててしまう俺は、そんなアイナを見て 微笑んでいると。俺に近づいてきた アイナの顔は。耳まで真っ赤になっていた 俺は、彼女を抱き寄せると。アイナの頭に自分の頭を近づけるような形で。抱きしめると。アイナが俺の背中に手を回してくる そうして、しばらくの間。俺は、アイナの頭を撫で続けていた 俺は、アイナのことが好きなのかと聞かれたら。多分 違うとは答えると思う。だけど、俺は。この子のことを大切にしていこうと思っている。それが俺なりの答えだったから。俺は、俺自身に素直になることを決めた アイナと一緒に過ごす時間が、とても楽しいと感じていて。アイナといる時間だけは。俺が、この世界で生きていきたいと。そう思えるようになっていたから 魔王の妹との面会を終え。俺は、魔王に呼ばれていたのである

「やあやあ。僕からの頼みはちゃんと 達成出来たかな?なんてね」なんて言葉を投げかけられながら。俺がどう返事をすれば良いのか分からずに戸惑っていると。「冗談だよ」と、言われた 魔王は、俺と会話をしながら、俺の様子を伺うようにして見ていた。魔王の母親は、魔王と顔つきがそっくりだった。俺に優しくしてくれていた時とは違って。今の魔王の態度は 完全に他人と接する時のもので 俺には、その対応の違いが、どういった意味を表しているのかということも分からない

「まぁ 君と会う時は なるべく二人っきりになりたいから。他の人が一緒だと困ってしまうんだけど。それでも良いかな」と言われたが。俺が、それについて返答しようとした時には もう既に遅かったようで 俺は魔王と別れることになったのだった 俺達は魔王に呼び出された時に、勇者を同行させていたのだ。それは 彼が勇者であることには間違いないが それだけではない。彼のスキルが問題なのだ 彼は、この世界にやってきた当初から「全てのスキルを使うことが出来る」というチート能力を持ち合わせていたらしく。そのことから彼は「この世界に迷い込んでしまった」と自称していたようだが 実際は、俺達の世界の人間のようであった だからといって 彼は悪い人間ではなかった それは アリサが証明してくれるだろうし。そもそも 俺は、アリサと二人で魔王の城へと向かうことになったのだから 俺とアリサは しばらく魔王の城へと向かっている道中に魔物と遭遇したりもしていたが。アリサ一人で十分すぎるくらい対処出来るレベルだったので 特に苦労することはなかったのであった 魔王の城に到着してからは アリサに魔王城の中へと案内してもらうと 俺達は 食堂へと向かう そして そこに、俺を魔王の妹に会わせてくれた人と。俺のことを、助けてくれる勇者がいたのだ

「お疲れ様。よく来てくれたね」と言われてから 俺も、挨拶を交わすことにすると

「初めまして。俺は、神崎悠真だ」そう言い終えてから。「これから よろしく頼むよ」と。俺が、勇者に対して言うと 勇者の青年も「俺は。高坂雄平っていうんだ」と言ってくれたので お互い自己紹介を終えてから 俺は、彼とも握手を交わした

「それにしても、まさか君のような存在が現れるだなんて思ってもみなかったよ」と言われてしまうと。俺自身も。自分の力を試したいと考えていたりもしたのだが。今は。目の前の人物の方が大事だと思うことにした そう思えたのは。アリサの存在が大きいからだ。彼女は今。この世界で 誰よりも強い力を持つ魔法使いとして生きていくことを選んだのだ。俺がこの世界で強くなろうと考えているならば。アリサは、これからは自分を高める為だけに。この世界での人生を歩み始める そう考えるだけで 俺は、この世界を平和にする為に。俺が出来るだけのことをしようと決意を新たにする それからしばらくしてから、俺達は。これからの方針などを打ち明けることになるのだが そんな話し合いの最中のことだった。突如 何者かによる魔法によって攻撃を受けてしまっており。俺は、反射的に。魔力を放出させるような感じで 周囲に防御壁を張ったのだ。

しかし。その一撃だけでは終わらず。連続で 放たれてきた魔法により。俺は、再び防御魔法を発動させようとしたのだが。その前に。アリサが、魔法の発動をやめさせてしまったので。俺は、その行為の意味を理解すると。アリサの行動を止めることはしなかった

「どういうつもりなの?」なんて声を出すのだが。勇者が口を開いてくれる

「これは一体 何の真似なんだ?」と言うと。アリサが「あなたは 何を言っているの?」なんて言葉を返しては「私はね。ユウマさんを護るために行動してるの」と口にして 俺は、アリサのことを守る立場ではあっても。守られる側になるつもりはないので

「いいや ここは アリサの事は俺が」と言うと。彼女は、少しだけ頬を赤く染めながら「ダメですよ」なんて事を言ってから

「私が 貴方のことを守りますから」と はっきりと口にしたのだ 俺は

「えっと なんで そこまでして」と口にしてしまうと。彼女はこう答えたのである

「だって 私が一番好きな人なんですから」

俺は、そんな言葉を聞いてからは、彼女のことを守ってあげようと決めてしまったのである それから、俺は、彼女と手を繋ぐことにすると。俺は、そのまま 勇者の方を見ると。勇者は、「そろそろ このふざけた茶番を終わらせるとしましょうか」なんて言葉を発してきては、魔王の方を見ていた それから勇者と魔王の戦いが始まったのだった。勇者の方は、武器を持って戦っているわけではなく。己の肉体のみで戦うタイプの勇者らしいので。魔王の攻撃に対しても、避けるのではなくて 魔王の拳が飛んでくる方向に身体を移動させて、受け流す形で対応しているのだ。俺も、一応だが 武術に関しては、ある程度ではあるが それなりに自信がある方ではある だけど 俺の場合は、身体を動かして戦いながら相手の動きを見るなんて事まではできない だから 勇者は、身体の動きと 相手との駆け引きだけで魔王を相手に立ち回っているのだ。

俺と勇者のレベルが違うということが、ここまで明確に現れるのだとすると。俺は、今まで以上に鍛錬に励んでいかないと、この差を埋めることが出来ないと痛感してしまったのだ そんな俺達三人が戦闘を行っている最中に。突然の出来事が起きてしまい。俺は、勇者と共に戦う形になっていたのだった。

俺が勇者と共に戦うことにしている間にも。魔王の妹は 勇者と俺に攻撃をしてきたのである。そんな妹に向けて、勇者は攻撃を仕掛けようとするのだが。魔王の妹には避けられてしまう

「勇者様は どうして貴方のような 雑魚に拘わるのですか?もっと他に大切な人を作るべきではないのですか?私は貴方のお嫁さんのはずなのです」と言い出してくるのだ 魔王の妹は、俺に敵意を抱いているようだったのだ そうして、勇者が、妹との戦いに気を取られてしまっていると。今度は、魔王の母親が姿を見せた。そして、彼女もまた。俺に攻撃を仕掛けてくる 魔王の妹と同様に 魔王の母は、娘と同じように。魔族と呼ばれる者達の最上位である存在であり。その力は圧倒的だと言われているが。この人は俺を敵と見なしていないらしく 本気で襲い掛かってくるという事はなかったのだった そうやって俺が 俺と勇者、そして魔王と妹の母が戦闘を続けている中で 勇者の相棒とも言える人物が姿を見せてくれたのだが。俺はその人物を見てから。思わず叫んでしまった「ちょっと待てよ。俺は 君には負けた記憶がないんだけどな。それにしてもさ。君には、まだ色々と教えて欲しい事があるんだ。だけど。今の君には聞くことはできないみたいだからさ。またいつか会いたいと思っているから」そんな俺の呼びかけに。勇者の相棒と呼べる人物は反応を示してくれなかったのだ そんな風に勇者が戸惑っている隙を突いてきた魔王の母は 勇者を吹き飛ばしてしまうと 俺は咄嵯に防御態勢を整えるが魔王の妹に 剣で斬りつけられそうになったのだ。だから俺は。咄嵯の判断で、魔法障壁を張ってしまう。それにより。魔王の妹が放つ斬撃は防ぐことが出来たが。俺は、反撃に転じることができないまま 勇者と魔王の母親と、魔王の娘が戦っている光景を見ることしか出来なかったのだった そして、その戦いの中で。魔王の妹が。魔法を使い始めてしまうと。俺は「魔王のお母さん。今すぐここから離れて」と言うと。その声に反応してくれた魔王の母が、俺の言葉に従ってくれると。勇者と、魔王と、俺と、魔王の妹が戦っている光景が目に入ってくる

「勇者様はどうするべきなのかを考え直していただく必要があるのです」なんてことを 勇者に向けて言ってしまう魔王の母親は 俺の魔法攻撃を受けても尚、勇者の首を締め付けながら「お前だけは 絶対に許さない」なんて言葉を勇者に投げかけていくのだ 俺は、魔王の母親と、魔王の妹が争い始めているのを見ながら。俺は、この場で自分がすべき行動を考えて実行していく事に決めたのだ 俺には、まだまだ足りないものが沢山あった。だから、それらを身に着けていかなければならないと心に誓うと。アリサのことを守る為にも 魔王の力が必要だと感じてしまった その為には。アリサの協力を得なければならないのは確実だろう

「とりあえず。今、この状況を乗り越えなければ」と思い 俺は 魔王の妹の意識が魔王の母親に向けられているのを利用して 魔王の傍に行くことにする 魔王の母親は俺に気づいたようで「貴方に用は無いですから。大人しくしていて欲しいですね」と言われてしまう 俺は、魔王の母親に対して何も言い返す事ができないのは事実だからだ

「俺はアリサのことが心配なんだ」と言うと。アリサも「分かってます。だからこそ 私のそばにいてほしいって思っています」と口にしてくれていたので 俺は、アリサと二人で魔王を助けることにすると。アリサと俺に襲いかかってきた魔法を魔法で打ち消すと。俺は「魔王、助けに来てやったぞ」と 声をかけてみると そんな言葉を耳にした勇者はこう言った 勇者が発した声音は

「俺はな。あの時の俺は 確かに自分の気持ちが分からなかったんだ。自分の想いを伝えようとした時に。それを遮られたのもあったんだろうけどな。それでも、俺は自分の感情が分からなくなっていた。だから、今は。俺も勇者としてじゃなくて、ただの男。高坂雄平っていう一人の人間としての気持ちをアリサに伝えたんだ。俺は、君達の事が好きになってしまったんだよ。もちろん、この世界での話だよ。元の世界に戻った後に、この世界での経験を活かして。この世界で俺のことを幸せにしてくれるような人と巡り合えたら良いなって思う」なんて事を勇者が口にしてくれたので 俺は、勇者に対して。アリサのことを任せられると判断することができたのだ そんな事を考えていると 俺とアリサは、それぞれ勇者と魔王と、それから魔王の妹と戦うことにした 魔王の妹の魔力はかなり高いのかもしれないと思った だが、勇者だって負けていない そんな状況の中。俺は、魔法による攻撃で勇者の手助けをしてやることくらいしかできなかったのだ 俺だって 魔王の力があれば もう少し楽ができたはずだと 思えてきたので。どうにかして、俺は強くなりたいと 切実に願ってしまったのだ 魔王の妹と勇者が激しい戦闘を繰り広げており。そんな中で 俺は、勇者の邪魔をするように、攻撃を加え続けるが 勇者の方は「君はアリサちゃんと俺の事を見捨ててまでこの世界に残るとでもいうつもりなの?」と俺に訴えてきたのだ しかし。この勇者は。アリサを好きになるのが早すぎると思う だけど。アリサは俺の彼女なのだから 俺は

「そんな事は関係ない 勇者だって俺の事を好きになってくれていたんだから」と言い返してみると

「えっと。その話は 俺の中では解決したはずなんだけど」と言われた だから「そんなことはない。俺だって 勇者と同じなんだよ。俺はアリサの彼氏な訳だし。俺には 彼女のことが一番に思えるように行動したいんだ」と言うのだが 勇者は、「俺にも立場があるし。俺は、俺の為にも君に力を渡そうと思っているだけであって。俺自身の意思では君の力を奪うことは出来ないよ」なんてことを口に出してくるので 俺は 魔王の力を貰えないのかと思ってしまうと、俺は少し落ち込んだのだ そうして、俺が魔王の妹と戦闘をしている間に 勇者と、魔王が 俺と魔王妹の間に割って入るように攻撃を仕掛けてきてくれるので 俺は、「魔王の力が欲しい」なんてことを言うと。魔王は、「私は 貴方に全てを託すことはできません。私は、貴方とは戦いたくないのです」と 言われてしまう だが、俺は 魔王に、どうしても魔王の妹と戦ってほしいので 俺は、必死にお願いしてみたのだが。それでもダメだったので。俺は、この場にいる勇者に助けを求めることにしたのだ 俺は、勇者に向かって。俺の魔法を受け止めてもらう為 攻撃を仕掛けると 勇者は、俺の攻撃を受けるだけでなく。それだけではなくて、俺の攻撃を利用しようとまで考えてくれての行動をとってくれたのだ その結果。俺は 魔王の妹に一撃を与えることに成功するが。勇者の方も 魔王の母親と 戦闘を開始し始めていたのだ 勇者は、やはり強かったのだ 俺は勇者の戦闘技術を目の当たりにして 自分なんかよりも遥か上に位置する人物だと認識してしまったのだった そうしていると 俺と勇者が、魔王の親子と、魔王の妹と戦い始める中で。突然の出来事が起きたのだ 俺の視界の中に突然魔王の母親が現れて

「おとうさん ごめんなさい 私には やっぱり 勇者様のことを受け入れることは出来ませんでした」と言うのだ そんな魔王のお母さんは 俺に対して攻撃をしようとはしてこなかったのだが。そんな時だった 俺の前に、魔王が姿を現わしてきたのだ そうやって現れた魔王は「私が、貴方の相手になってあげますよ」と。言葉を口にしてくれたのだ 俺は魔王と対峙する為に構えるのだ そうして、俺は 魔王との死闘を始めるのだった。そして、俺と魔王との戦いが始まるのだが。まずは魔王は魔法を使って俺に攻撃を仕掛けてきたのだ 俺の魔法は ことごとく防がれてしまい 魔王にダメージを与えることが出来ないのだった そうすると俺が「どうすればいいんだよ。こんなの反則だろう?」と言うと 魔王の母親は「ふふ どうしたのですか? 貴方らしくないのですよ。さあ、私を倒す気なら本気で掛かってきてくれないと。今のあなた程度の力では 私は倒す事が出来ないのでね」と言うのだが。俺には今の魔王の母親の表情から読み取れることがあったのだ 魔王の母親が、俺が持っている魔王の力に対抗できるだけの力を持っているとは思えないのに そんな彼女がどうして、今の俺程度の力しかないという発言をしたのかということだ そんな魔王の母親が。魔王の力を手に入れたはずの俺に倒されてしまうというのは 俺がこの世界に残れなくなる可能性があるのではないかと危惧してしまう そんな俺の心情は 魔王にも伝わってしまっていたのだろうか。魔王のお母さんは「勇者様も貴方も この世界が嫌いなんですね。まぁ、当然でしょうが」なんて言ってくるが 俺は、別に勇者の事が好きな訳ではない ただ 勇者に負けるのは気に入らないだけだ

「俺は、魔王と勇者が戦っている所を見るまでは勇者の事を諦める事ができなかった」なんて言葉を吐く俺に魔王は「そう言えば 勇者様から聞いておりました。

勇者様が元の世界に戻るのが目的なのですよね。それで、貴女が勇者様に付いて行きたいと思ったとしても。この世界の人達にとっては、魔王である私がいると、安心できないと仰っていましたが。その点については、貴女の気持ち次第で何とかなりますよ。この世界での、貴女の役目を果たされる前に」なんて言葉を魔王の口から聞けたので 俺は魔王の言葉を信じることにした 魔王は、勇者に勝つ為に ある方法を考えついてくれたようで 魔王の母親は、その作戦を実行するために俺の元を離れてしまった そうする事で 俺の視界の中からは魔王の姿が消える事になるのだが。それは 魔王にとっても不利に働いてしまうのではないかと思うが そんな事を思っていると 魔王の妹と勇者の戦いも激化していき ついには魔王の妹の方が優勢になっていき 最後には勇者の意識が無くなるくらいにまで追い込んでいったのだ。魔王の妹は、そのまま勇者の体を地面に叩きつけるように押し込むと。そこに勇者の意識は無くなってしまっていたので このままだと 魔王は勇者に対してとどめを刺そうとするかもしれないと感じた俺は 慌てて魔法を使い魔王の妹に襲い掛かることにすると

「魔王 今だ」なんて言葉を発したのに俺の放った攻撃魔法は、魔王によって相殺されてしまった

「ありがとうございます」と お礼を述べてきたのだ

「まさか こうなってしまうとは。本当に申し訳ございません。貴方達二人共を救えなかった。それが悔しいです」なんて事を口走ってくれていたのだったが そんな言葉を吐き出す魔王の母親の元に、勇者の妹が現れたことで 魔王が勇者に向けて止めを指しに行くことはなくなっていた。

それから俺達は魔王が魔王の母親を連れて移動した場所に移動することにしたのだ 魔王の母親に連れられて 移動するとそこには洞窟が存在していたのだ 俺はその場所を 魔窟の入り口かと思いながら、中に足を踏み入れると 中には多くの魔物が生息しているようだった 俺は勇者の体を借りていた頃は、魔王の力があったから。俺自身が 強いと思えていたのが 今は、弱いな と思ってしまったのだ 俺も、俺の事を好きになってくれるような人と巡り合えることが出来たら。

俺は、勇者のような力を欲しいと思っているので。

そんなことを考えていると。いつの間にやら。魔王が姿を消していた 俺は「あれ?どこに行ったんだよ。魔王 もしかして俺を置いてどこかへ行ってしまったのかよ」と言うのだが 俺の視界には。俺に背中を向ける形で立ち尽くしている 魔王の妹の姿をとらえることができたので。魔王の妹に声を掛けようとすると 突然。俺の目の前に。先ほどまではいなかった もう一人の女性が立ち尽くすようにして姿を見せてくるのだった。そんな彼女は「私の可愛い娘をここまで追い詰めるとは、許せない。それにしても 勇者に魔王の力を渡していたなんて 何が目的で そんな事をしていたんですか?」と言うのだが 魔王の母親にしては、俺が勇者に渡し続けていた魔王の力が。自分の手元から離れて。俺の元へ戻っていく感覚が伝わってこないので「お前 何を言っているんだ?」と問い質してみることにしたのだ そうすると 俺の前に現れた女性が「貴方が手にしている剣が、魔王の力の核となっているんですよ。その力で、貴方の魔力を高めてあげれば 私に傷を負わせる事だって可能ですよ。だから 早くその武器をお捨てなさい」と言ってきたので。俺は

「あんたが 魔王の母親でいいんだな?」「そうですよ。私は魔王の母であり。その昔は魔王をしていた者なの」と言い放つのだった そう言った彼女の手には 一振りの細身の短刀を握っていたのだ

「じゃあ。俺の願いは 勇者を倒してもらうことじゃないって事も知っているはずだ」と俺は言うのだが 魔王の母親にしてみれば「そんな事はどうだって良いのよ。私が求めているのは、娘の安否。ただそれだけなのだから」なんて言ってのけるのだ 俺はそんな彼女に 魔王に俺を倒してもらおうと思った経緯を説明してみる 俺が、勇者に魔王の能力を与える為に。俺に力を与えて貰おうとしたのだが。魔王が俺の提案を断ったことを話してみたのだ そうした時に魔王の母親の態度に変化が現れて

「そうでしたのね。でも、もう貴方は私達の大切な存在を。奪わないで頂きたいのです。これ以上 私から何も奪わないでほしいのです。私は 私の娘と一緒に。貴方達が幸せな人生を歩んでくれたならそれで構わないと思っていますから。貴方と魔王は。お互いに幸せになってくれればいいと思います。だからこそ。お願いします。魔王には。魔王の妹だけは助けてはくれないでしょうか?魔王のお母さんである私からのおねがいを聞いて下さい」と懇願する彼女に対して

「分かりました。俺は魔王と二人で。俺の好きな人と一緒にこの世界で。俺自身の好きな人が安心して生きていける。そんな場所を作っていきたいと本気で考えている。だからこそ。魔王が俺のことをどう思っていようとも。関係無く。これからも一緒にいていこうと考えている。そんな気持ちを俺は伝えたいと思う。だから魔王には 俺が伝えてきた魔王への言葉を伝えてもらえないだろうか。俺は 魔王に一言だけ伝えるだけでいいから。それを伝えた上で、魔王が決めてくれるといい」なんて俺の言葉に魔王のお母さんは涙を拭う仕草をして

「分かったのですよ」と呟くのだった そうやって魔王の妹に俺の想いを伝えることにした そうしている間に。勇者の意識も回復したようで 勇者の妹は勇者と何かしらの話をしているようだった そんな勇者に「魔王が 貴方に伝えたかった事があると」と告げると

「僕に 魔王のお母さんは。僕の事が嫌いになったのですか?」なんて質問をしてくるのだが。

俺は「そんなことはありません。むしろ大好きみたいですよ」なんていう風に話を振ったのだが。それに対して魔王は答えてくれなかったので。俺は仕方なく 勇者と話をすることにした そして勇者の体を使って、俺は勇者に伝えるべき言葉を告げていくのだった

「勇者。俺はさ。勇者のことが好きだぜ。この世界で誰よりも愛しい。君をずっと見ていたいと心の底から思う。君は この世界で生き抜く覚悟はあるか?この世界は残酷なんだよ。この世界に召喚された人間は皆等しく不幸になるしかないんだ。だけどさ それでも 勇者は 魔王のことを守り抜いて欲しいんだ。そうしないとさ。この世界に来た意味が無いじゃないか」と勇者に話しかけるのだがそんな時だった。魔王の妹が姿を現したので 魔王に勇者が勇者の体を俺に渡してきたと伝えると 魔王は、俺の体の上から降りると同時に 勇者に体を渡して。俺は元の俺へと戻って行ったのであった。俺は勇者に「魔王は、君の事を大切に思っているよ。俺がこんな事を言うのはおかしいと思うんだけどさ。魔王の気持ちに応えてあげて欲しい。これは 俺からのお願いだよ」と言うと 勇者の返事を待つことなく。勇者が魔王の力に呑まれていったのが 魔王に伝わり。魔王の母親は 泣き叫びながらも勇者の意識を取り戻そうとしていたのだ そんな母親の姿を見た魔王は 魔王の力を全て解放して 勇者の力に対抗する為に 勇者の意識を覚醒させようと必死に頑張っていたのだ。

それからしばらくして。勇者が目を覚ましたのだ 魔王は、嬉しそうな顔をしていたのだったが。勇者が魔王の力を受け入れたことに困惑していた そんな勇者が魔王に向かってこう告げた

「魔王さん。僕は、貴方の事を愛していました。ですが 今は、僕の中に入り込んできた魔王の力を受け入れてみる事にしたんです。そうすることで、この世界での役目を果たすことができるような気がして。だから、魔王。安心してくれ。この世界の敵と戦う為には、この力が必要だというのならば受け入れてやる。その代わり。魔王にも手伝ってもらうぞ。魔王の力が必要なのは この世界を侵略しようとする者達から、僕と、この世界を守ってもらわなければならないからな。そんな訳だから。宜しく頼むな」勇者は そう言ってのけたのだ

「分かりました。では。これからは。共に戦う者として。貴女の事をよろしくお頼みします」魔王は勇者に頭を深く下げたのだ。すると勇者は「ああ。任せろ」と言って 魔王の頬に口付けをした

「な、何をなさるんですか?急に」なんて言いながら。魔王は、顔が赤くなっていたのだ そして俺は「良かった。二人が幸せになってくれれば。俺は、それだけで嬉しい」なんて事を 魔王に伝えてしまった そうすると、魔王と魔王の母親が同時に俺の元に駆け寄ってきて

「ありがとうございます。勇者様がいなかったら。私は この子の笑顔を見ることができなかった。本当に感謝してもしきれません。この子を幸せにして下さり。この子の為に勇者としての務めを果たし続けてくださる事を。私は願っております」と俺に語りかけてきて 魔王は 恥ずかしそうにしながらも

「私だって。魔王としてではなく。一人の少女の願いとしては 貴方に側に居て欲しかった」と言うのだ 俺と勇者はその光景を見て

「じゃあ 後は二人で仲良く暮らせよ」と言うと

「待ってください。私だって。これからも 勇者様に守っていただくのですから」と声を上げるのだが 魔王と魔王の母親の二人を。勇者に押し付けるように 魔王の母親を連れて俺は、この場所を離れることにしたのだ そんな時に俺は ある事を思い出して「あっ。あのさ。魔王のお母さん」と言いかけたのだが 俺は勇者の身体を借りていて 本来の口調とは違う喋り方になっていたのだ その事を気付いた俺は 慌てて言葉を言い直そうとしたが。そんな俺に

「私の事を母と呼んでくれたことだけでも 十分に満足しております。それにしても まさか。魔王が勇者の力を取り込む事ができるなんて。勇者の力が、魔の力に勝てるわけがない。勇者が死を迎えるまで 絶対に魔王の力が、勇者の力を上回れることはないはずなのに 魔王はどうやって勇者に勝ったの?」なんて言うので 俺は「えっと その 魔王の魔力を吸収して、魔王が使っていた魔法の使い方を覚えたんだ。そうする事で、魔王の力に負けないで済むと思ったんだ。それに 僕は今まで、この世界に召喚されてから。自分の中の力に頼り過ぎていて 魔法を使いこなしていなかったんだ」と答えたのだが。そんな俺に対して彼女は「そうなのね。勇者は。勇者の本当の力で 魔王のお母さんと戦っているということなのよね。それなら大丈夫なのかしらね。でも それでも不安が残るから。一つだけお願いを聞いてくれるかな」と言われてしまうのだ 魔王は魔王の母親の事が心配だったようで 魔王が、俺の方を見ながら助けを求めてきたので

「何ですか?」なんて聞くと「私は。今。とても。心が満たされているのです。私は 勇者様の優しさに触れられて 私は幸せ者だと思えるのです。でも 私はまだ お母さんのことを気にしている勇者様に。何かをして欲しいと思ってしまう」魔王は悲しげな表情を浮かべて言うのだが

「魔王が 望むことがあれば。なんでも言ってくれ」と俺が答えると

「私は、勇者と。恋人同士の時間が欲しいのです」と小さな声で、でもハッキリと俺に向けて 魔王は口にしたのだ そう言われた俺は「分かったよ。少しの間でも 魔王と恋人でいられるように努力するよ」と言うと

「約束だよ」と魔王は 嬉しそうにして そんな魔王を見守るかのように。勇者は優しい目をしていた そんな勇者は「それじゃぁ 魔王。お母さん。そろそろ行きましょうか」と提案してきたので。俺たち三人は街を出ることにしたのだった 俺たちが街を後にする前に 俺に対して感謝の意を告げてくれた人達から「また 来てくれよ」とか「お前達は、この国の恩人なんだから。困った時は遠慮なく俺たちを頼ってくれ。お前達が 旅をしてきた間。この国は平穏な国だったんだからな」と言われると 俺は照れ臭くなりながらも。俺はこの街には二度と訪れないことを心の中で決め込んだ それから俺達は、この大陸の中心にある山を登って行った この山の山頂には大きな滝がある 俺はそこで勇者に別れを告げて 勇者を元の世界へと送り返した そして俺は魔王と、この世界に残った魔王の母親は。この先 この世界の行く末を、俺が知る事の無い物語を歩んで行ってしまうのだろうけど。きっと 二人なら、これからどんな困難が待ち受けていようとも乗り越えていく事だろうと思いたい 俺はそう思いながらも。この世界での。新たな生活に思いを馳せることにしたのである。そんな俺に魔王が「ねえ 私と これからもずっと一緒にいてくれるわよね」なんて言って来て

「ああ そうだな」なんて答えていたのだが 魔王の顔を見ると涙が溢れ出してしまっていたのだ

「魔王は どうしたんだよ?」と聞いてみると「私もね 貴方のことが好きになったみたい」なんてことを口走って来たので俺は思わず 赤面してしまうのだが。そんな風に顔を真っ赤にしていると魔王は俺にキスをしてくるのだった。

魔王の事を好きになってしまった俺は、この世界に残り 一緒に魔王の力になっていくことを決めてから。俺のこの世界での役割が決まった 魔王の力を抑え込み この世界で起こる全ての出来事を知ることだ そして俺は、この世界で起きたあらゆる事を魔王の力を通じて知った だが、それと同時に 魔王の力を悪用しようとする輩が現れたことも知ったのだ そう。俺は、その事実を知っているのにもかかわらず 勇者が魔王の力を受け入れることによって起きた奇跡によって、世界を救うことに成功した そして、その後 魔王の力の全てを 俺が引き継ぐことになり 魔王が魔王の力を使う時 俺が代わりに使うようになった 俺の中に眠る魔王は、未だに眠っていたが。魔王は、少しずつ俺と一体化しつつあるようだ そうして魔王との繋がりが深くなってゆく中で。魔王の力を受け継いだ俺の中には魔王の意思のようなものが感じられたのだ ただ単に 俺と魔王の心の一部が融合して 魔王の感情が流れ込んできているという事なのかもしれない 俺の体に 魔王の力を全て吸収された勇者が 俺の前に姿を見せることは無かった 勇者の身に一体何が起きたのか分からないまま時が過ぎると 俺の体内には魔王の意識が入り込んできた 魔王は、俺が意識を失う直前。勇者に体を渡した後に、意識を取り戻したらしく。勇者に俺に魔王の力を受け渡す事を頼んでいたようなのだ それからしばらくした後。俺の元には魔王の力が届けられたのだ そうやって俺の体は、この世界を守る為の存在に変貌を遂げた 俺は、自分の体が変化したことを知ったのと同時に。自分がやるべき事を理解していたのだ 俺は 自分の中にある魔王の力を暴走させる事によって 俺に近付こうとするもの達を排除するために行動を開始したのであった。その結果として 俺は、魔王として恐れられてしまったのだが それは、それでいいかと思う事に決めた そして魔王の力を持つ者は。俺以外には存在していなかったのだ だから。俺を倒す為に、数多くの者が襲ってくる そんな者達は、容赦なく倒していたのだが ある時を境に俺は 戦いを避け始めたのだ それは何故かという理由なのだが「私はね 本当はこんなことはやりたくないのだけどね」と言いながら、魔王の母と手を組み。俺は魔王としての務めを果たし続けていたのだ それからしばらくの間は平和な時間が流れたのだが それも終わりを迎えたのだ。俺の力を狙っていた奴が、遂に動き出したからだ そいつは、かつて俺の命を奪いに来た連中と全く同じような姿をした連中だった

「ようやく見つけたぞ 我らに刃向かうつもりだな。魔王め 今すぐにその首を撥ねてやるからな」と叫んでいたが。今の俺ならば。この世界に訪れる危機を回避する方法があったのだ

「悪いが お前らの命を俺の為に犠牲にするつもりはない。それに、俺の役目は終わった。後は、俺以外のものが引き継いでいくことになる」と言って俺は、その場を立ち去ろうとするのだが。

そんな俺に、襲いかかろうとしている集団が 一斉に魔法を使ってきたのだ だが俺は。その魔法攻撃を受ける前に。別の人物を召喚していた そいつも俺に呼び出される事に戸惑っているようで「どうして僕を呼び出すんだ?僕はもう勇者としての力は失ってしまったんだけど」と言うのだ そんな彼を見て。俺はこう言うのだ「なあ 俺はな。魔王の力が俺に受け継がれてから。自分の身を守るためには。誰かを犠牲にしなければ生き残れない事を学んだんだ。俺は魔王の力で得た力を振るう事に対して、ためらいはしなかったんだが。それでも。罪悪感を感じていた。俺は、そんな俺の心を癒してくれる相手が必要だったんだ。お前が俺の前に現れてくれたのには何かしらの意味があったからに違いないんだ。頼むから俺に協力してくれ」と言うと「仕方がないな。お前には、借りが有るしな。その貸しが少しでも返せるのなら構わないぜ」なんて言うので 俺は「じゃぁ、俺の仲間になるということで良いんだよな?」と尋ねると「もちろんだ。仲間になってあげるよ」なんて言ってくれたんだ。これで何とか助かったと、思ったのだが。魔王の母は「魔王の力を。貴女なんかが使えると思っているの」と怒りに満ちた声で言い出してくるのだった 俺も正直言えば、まだ上手く扱えるとは言えない状態で 勇者のように使いこなす事が出来なかったのだ。それに、魔王の母と争う必要も無いだろうと思っての行動だったのだが そんな俺に対して「勇者の力は、私の物だったのです。その力を使えば世界を掌握する事など簡単なことなのです。私がそれを成し遂げなければ、この世界に平穏が訪れないのであれば たとえ この命を捧げても 勇者の力を手にするしかありません。魔王よ おとなしく勇者を渡しなさい!」そう叫ぶと 彼女は魔法を発動させてきたのだ。しかも、かなり高レベルの魔法だった そんな彼女に対して魔王の父は「お母さん!落ち着いてください。勇者君は君の息子なんですよ」と言ったのだが。そんな事はおかまいなしのようだったので 俺の方も覚悟を決めるしかないかと思いつつ 俺は俺で勇者の力を操り。勇者の父と母の戦いを止めることにしたのだ そうして。俺は 俺の体に宿っていた魔王の力と俺の意思が完全に融合したことで 俺の中で眠っていた魔王の力は完全に覚醒することになったのだ そんな俺を魔王の母。アリサが見つめていたが。俺はそんな彼女に微笑みかける事で返事をしたのだった

「魔王。お前の力の使い方を教えてくれないか?」俺はそう聞くことにした すると魔王の力は俺に教えてくれたのだ魔王の力を俺は制御できるようになったのだと 俺はそんな魔王の力に感謝しながら これから先の出来事を見守る為に。この世界の全てを。魔王の力を通して知った そんな俺は、これから起こる事を知っていながらも 何も知らないフリをしながら。この先の世界の行方を見届けることにしたのである 俺の体内で目覚めているはずの魔王は俺に話し掛けてこないこの世界に、俺以外の勇者はいないのだ だから魔王と話すこともなかったのだ そうして、この世界が滅ぶ日を迎える事になる 魔王の母親は勇者の力の発動に必要な生贄となって命を失ったのである それによってこの世界から全ての魔物を消滅させたのだが。同時に勇者の力も消滅したのであった そして俺は そんな世界を救う為に、世界そのものを創り直すことを決意するのであった それから俺は 俺の中にいるであろう魔王の力に問いかけてみたのだ

「魔王の力を受け継ぐ事に成功したのに、どうして俺には勇者のような力が残っていないんだよ。おかしいじゃないか」と俺は言ったのだが 魔王の力は そんな質問に答えてくれることはなかったのである 俺はそんな俺自身の体を不思議に思いながらも どうしたら良いかを考えた結果。まず最初にやった事とは。この世界の創世を行う事にした この世界の全てを作り変える必要があると思ったのだ この世界の創造と破壊は神の御業なのだが それでは面白くないと そう考えてしまったのである 俺の中にある知識や 俺の持つ全ての力で世界を構築することにしたのだ そうやって世界を構築した後で 俺は自分の身体を 自分の意思で動かすことができるようになったので 自分の目で、自分の体を眺めることが出来るようになっていた だが俺の目線から見えるのは自分の姿だけ。俺が他の人の視点から見てみることは出来ないのだ そう思っていたのであるが 魔王の力を手にしたことによって その力が使えるようにはなったのだった そんなわけなので 早速試すことにしてみた 俺が俺自身に向かって 手を振ったりしていたのだが。何事も起きる事はなく俺が自分の体を動かせなくなったので そこで俺は 勇者の力を手に入れたときと同様に 自分自身が俺に乗り移る事にしたのだ だが 今回は、勇者の力の時の経験を生かしながら 魔王の力の使い方を理解したうえでの挑戦になったのだ 勇者と魔王の力を併せ持つことになった俺がどうすれば 俺の中に眠る勇者の力を引き出せるのかを考えていた時に思い出したのは。

かつて、勇者の力を受け継いだ俺が。勇者として 自分の力を使って魔王を倒したときに 勇者が 俺の中に入っていた魔王の力を引き出すことに成功していたことなのだ そう。魔王の力を引き継いだ勇者は。自らの力を使い。勇者の力を解放して魔王を打ち破ったのだが 俺は、そんな勇者の真似事をしようと考えたのだった そして。その試みは成功することになるのだった。

勇者の力は、やはり魔王の力の根源となるもので。その勇者の力によって。魔王の力を解放することが可能になっていたのだ だから。俺の肉体は 勇者と魔王の力を宿していたのだった そうやって俺が俺に勇者の力を使うと 魔王の力が、魔王の力によって封じられていた 魔王の力が蘇ってきたのだ それと同時に 俺に話しかけてくる声が聞こえてきて「私は、あなたに救われる運命にあったのかもしれませんね。ありがとうございます。そして。どうか。あなたの力が必要なので 私と共に戦ってくれませんか?私はもう これ以上の苦痛を味わいたくは無いのですよ」と言ってきたのだった 魔王の願いを聞いた俺は。俺の体内に入り込んでいる 俺の力を封印する力を持った者を倒すことを決めたのであった。それが俺の役目だと考えたからだ そして俺は、そんな奴を倒すために動き出したのであった 俺は、俺の中の魔王の力を利用して。俺の力を使って、魔王を倒すために行動を開始する事に決めたのだ そんな俺は 俺が倒した勇者の力を利用し。魔王の力を自分の中に収める事に成功させていた 俺は 俺の体に魔王の力を受け入れてしまえば 魔王の力を全て自分のものにできると考えたのだ その結果は大成功を収めたのだった 俺の中にいる俺自身が。俺の意思に逆らって、勝手に行動するという現象が発生したのだ その異変は 俺の身に起きている出来事だった 勇者として転生していた時と同じ感覚だ あの時と同じように俺に襲いかかってきていた。魔王の力は。自分の中に俺の意識を取り込んでしまったのだ 俺は、俺の中から。自分と同じような力を感じることが出来るようになってしまっていた 俺は そんな魔王の力に取り込まれてしまった そんな俺は 自分の力の使い方を理解することが出来た この力を利用すると。勇者の力は、魔王の力を抑え込むことに成功したのだ そんな俺は 俺に襲い掛かっていた魔王の力を完全に押さえつけることに成功するのだった そう。魔王の力は俺の中で眠った状態になったのだ そんな俺は 魔王の力を手に入れて 新たな世界を生み出すことに成功したのである 俺は 自分の意思に従って動くことができる俺の肉体を、完全に支配することが出来るようになってしまったので 俺に敵対心を抱いている勇者と魔王の力を。魔王の力を利用して手に入れ。勇者と魔王の力で世界を再構築させるのと同時に俺は 俺の中に居る魔王と勇者の力を手に入れる事にも成功したのである 勇者の力が俺の中に入ってくると同時に 俺の中に魔王の力の一部が入ってきたのだ 魔王の力には俺を強制的に成長させて。力を与えるような効果もあったようで。

俺の成長速度に拍車がかかることになったのだ そうなると。今の俺はどういった感じなのかといえば。俺は俺の姿を確認することはできないのだが。俺が見ている風景は、勇者の記憶が反映されているせいもあって。勇者の視点に近い光景が展開されているのであった 俺は勇者として生きた記憶と 魔王としての人生を歩んだ知識と。両方の知識を持っている 勇者の知識から読み取った魔王に関する知識を、魔王としての経験と合わせて。魔王の力を最大限に活用する方法を考え続けていた 勇者の時は、聖剣の力に頼って 俺の身体能力を強化することで、魔王との戦いに勝利していたのだが。今はそんなことをしても勝てるとは思えないし 勇者が俺に施した封印術を破ることさえ出来ない状況なのだ 勇者が施した 魔王にダメージを与えることが出来る唯一の方法が封印なのだから。勇者と俺では相性が悪いのだ。そんな俺が魔王の力を手にして。魔王の力を使えば勇者の力に対抗することも可能になるだろうと考えていたのだ 俺の体の中にある俺以外の存在。その力は俺が持っている力とは比較にならない程に大きな力なのだ 俺に出来るのであれば。俺が倒せない筈がない。俺だって、この世界に来て、勇者だった頃に持っていた。俺自身の力を覚醒させている最中なので。俺自身、まだまだ強くなる必要があると思っているのだ

「勇者の力を受け継ぐことが出来たとしても、それは一時的なものだと思っていたのだが。勇者も俺のように魔王の力を引き継ぐ事が出来たのなら 勇者も俺と同じく、魔王の力を扱えるだけの器を持つ人間だったのかもしれないな」と俺は考えたのだった そんな俺は。勇者の力を受け継いだ状態でも、俺は魔王の力を上手く使うことができないのである。だからといって、勇者の力の方に俺の全ての魔力を注ぎ込んでしまっても。それで魔王に勝つ事が出来るかと言われれば微妙なところである。魔王の力の根源となっているものが。この世界に存在してはいないのだ そんな俺は。魔王の力を利用して勇者と戦う準備を整える事にした

「さてと、俺自身の能力が。どれだけ上がったかを確認してみることとするか」俺はそう呟くように言うと。俺は自分の身体に流れている魔力を操作した。すると。視界に文字が表示されたので確認してみたのだ そこにはこう表示されていたのである。そこにはこんな表示が記されていた。

【レベル1:勇者の力】【ステータス:全ステータス+500】

「ん?」と俺は首を傾げた そして俺は思ったのだ 俺のステータス画面の表示の仕方が、前世の世界の勇者が使用していたステータス表示の仕組みとは違うことに気が付いたのだ

「これは 俺自身が。この世界の創世を行った時に使用した。魔王の力を、そのまま使っているという事になるのか」そんな風に考えて俺は笑みを浮かべた 俺自身の力も、魔王の力も 共に俺の体に備わっていた 俺の魂と融合していたのだが。俺は、そんな勇者の力と魔王の力を同時に扱うことが可能になったのである そんな俺の肉体は、既に俺の支配下から外れてしまっていて。俺の意思とは無関係の所で 俺の体を操ろうとしてくるようになっていたのだ 俺の中にある俺の身体は 勇者の力の影響で勇者の姿をしており。そして魔王の力の影響か、それとも元々魔王の力を身に宿していたのか、俺が知らないうちに。その容姿を変化させてしまっていた だが そんなことは気にしないことにした 俺の中に入った二つの力が、どんな形になろうが、それは全て、俺が制御することが出来ない そんな俺に宿る力だったのだから そうやって俺の意識を無視して、俺の体を操る事に成功した俺は。自分の力を確認する事に成功していたのだ まず最初に確認する事が。勇者の力を使う事によって。俺は、どのような事ができるようになっているのかを知ることだと考えた そこで俺は。勇者の力を使うことにしてみた すると まず俺の手が光輝いて。俺の肉体が強化されて強化される。そんなことが起きたのだった。更に俺が身につけている装備の効果やらなんやらも発動されて そんな風に俺が変化したところで。俺は勇者の力の使い方を思い出すことに成功したのだ 勇者の力と魔王の力、それを同時に使えるのが勇者であり、魔王である。俺のような特殊な事例を除いての話だがな。まあ 俺は勇者の力だけを使っている訳だがそんなわけで、勇者の力は、俺が想像していた以上の効果を発揮しているようだった 次に俺が試したのは 魔王の力についてだ。俺が俺に試したいと思う力と言えば。魔王として得た力の根源になっている力の事を指せばいい 魔王の力を俺は利用しようと思ったのだ。そうすれば勇者の力に対抗することもできるし。俺自身も成長させることができるのではないかと俺は考えていたのだ

「魔王としての力を使うと。魔王としての力が、どう変化するのだろうか」と疑問に思いながらも。俺は、魔王の力を使用する事に決めて そして、魔王の力を使用して。

魔王の力を使おうと考えたのだ 俺が俺に力を使った結果、何が起きるかわからないのだ 俺の中に入り込んでいる魔王の力を利用しようと考えたのだ 俺に魔王の力を利用するのに、問題が生じることはなかったようだ。特に問題は起きずに。俺の中の魔王の力を、俺が使用することができたのだ。そんな俺は魔王の力を使いこなすことに成功したのであった

「俺の中にいる魔王の力。その力を使えば 勇者の力を凌駕することも可能になるのかもしれないな」そんな風に俺は考え始めた

「しかし。この力を 魔王の力を利用するのは、かなり難しい」と俺は考えたのだ 勇者の力が使えなくなった。という訳ではないのだ 勇者の力で強化された俺の強化は継続中だ 俺が望んだ変化を遂げた俺の体は 俺を鍛え上げるための行動を開始したのであった 俺の中にある勇者の力と魔王の力を利用して、俺自身の能力を向上させる方法を考えた。勇者の力で、自分自身を強化することが出来て 魔王の力で身体能力を上昇させることができても。それでもまだ勇者の力だけで勇者に勝つことが出来るかどうかは、正直微妙だったからだ。だからこそ 勇者の力に加えて、魔王の力を利用することで、より勇者と魔王の力の両方の力を扱って、俺の身体能力の向上を図ることに成功できれば 俺の勝利する可能性は高くなる 勇者の力が、魔王の力を上回れば。それだけ勇者が有利になるという事だ。それに勇者が聖剣の能力を引き出した時の能力は魔王を超えている可能性が高いのだ。俺に聖剣の能力を解放させたとしても。魔王の聖剣を扱えるようにならなければ 俺は聖女に勝つことは出来ないだろう そうならない為にも。俺は 勇者が魔王の力を手に入れた時よりも強い状態を維持する必要があり 勇者が魔王の力を手にしたときよりも 強くなければならない そうなると勇者の力だけでは魔王の力を超えることは不可能なのである。魔王の力を利用して俺は、勇者と魔王の力を完全に扱い切る必要があった 勇者の力を魔王の力で、完全に再現して 勇者と魔王の力が完全に融合した状態にしないと、勇者に勝てるかどうかなんて分からないのだ そんな感じに。魔王の力を利用した強化を行って 勇者との戦いに備える事を決意した俺であったが。そんな俺は。魔王の力を使って、身体能力を向上することに集中していて 俺は、そんな風に勇者との戦闘で勝利することを考えていた そんな感じで。魔王の力と勇者の力を両方使った状態で、身体能力を向上させるために努力をしていた俺は そんな俺の肉体に何かの変化が訪れた 俺が勇者の力だけではなく 魔王の力も同時に使用している影響か。勇者の力の恩恵なのか それとも。勇者が持っていた魔王の力の影響もあるからなのか、よくわからんのだが そんなことを考えながら俺は 勇者の剣と魔王の盾 二つを手に持つことにしたのだ 魔王の力が宿っている武器を持つことで 俺自身の能力が底上げされることを期待することにしたのである 勇者と魔王の力を持つ俺の身体能力は。勇者と魔王の力が一つに纏まった事により、飛躍的に上昇することが期待できるのである 俺はそんなことを思っていたら。

突然。

俺の前に勇者と聖女の姿が現れることになったのだ

「ふぅー お前を倒すのに手間取ったぜ 全く。面倒な相手だった」勇者が俺にそんな風な言葉を投げかけてきた そして、そんな風に勇者が言った瞬間 聖女の体が、光輝き始める。そんな彼女は「魔王さん 今から貴方の体を乗っ取ってあげるから」と言って、彼女の持つスキルを発動させてくるのであった

「くそ、このままだと俺の命は」と勇者もそんな言葉を吐いていた 勇者の肉体の表面に亀裂が入り始めて。

そこから 光が漏れ出すと その裂け目が広がる。

それと同時に 勇者の体が崩れ始めていたのだ そんな勇者に対して 俺は声をかける 勇者に、どうしてこんな状況になったのかを聞いてみる事にした 勇者に話しかけてみて。そして勇者の口から、この世界の現状を聞くことが出来たのだ 俺は魔王の力を封印された時に、この世界が滅びようとしていたらしいことを知った。そして俺は、この世界が救われるために 魔王の力を封じ込められた後に、俺自身の手によって、俺の魂を、この世界の人間へと転生させたのだということも分かったのだ。だがそんな勇者の言葉には 勇者も そして、この世界の人間達も知らなかった真実が存在していたのである 俺が勇者によって異世界へ送り込まれた直後。この世界の人間達に施した俺の記憶操作と。この世界を俺が守ろうと考えている事実も勇者に教えてあげたのだ そして、勇者と会話をしながら俺は そんな事を考えてた。

俺の魂が人間に憑依したことによって。

俺自身の魂が消滅したのであれば。それは 人間としての寿命を迎えることになるはずだと思っていたのだがだが、俺は俺自身の身体を取り戻す事ができたのだ そのおかげで俺は。

こうして、この世界に生きる事を許されることになったのだ

「俺にだってわからないんだよ」と勇者が言い 続けて「だけど。俺たちの体は既に崩壊し始めているみたいだ。恐らくだが、もうじき。この肉体は消滅することになる」そんな風に言うと。

そんな勇者は 自分の肉体の崩壊を止めることができないのかと 必死になって足掻いているようだったが。無駄なことであった。そんな状態の時に 俺は俺自身の魂が消滅しない理由を考えたのだが。

そんな時 聖女が「魔王さんの体を手に入れることで。私の力は完全に取り戻せたわ」と嬉しそうに笑い出したのである。その顔を見た俺は。「俺が勇者に負けた場合、俺自身は 死ぬことになっても構わないが。

俺は勇者を、どうにかしなければならないのだ」そんな風に思ったのだ そんな感じに。俺は勇者とのやり取りを続けていたのだ。だが、そんな最中。俺の体の中に宿っていた魔王の力が。徐々に俺の身体を支配し始めたのである それを感じて、勇者も聖女も。俺が暴走し始めるのではないかと思い始めたようで、二人は警戒を始めたのだった そんな二人を見て 俺は「さすがに 俺自身が俺の体を制御できなくなるのはまずいよな」と心の中で思い。俺自身も魔王の力を操って、何とか制御する事ができないのかと考えたのだ 俺の中に宿る魔王の力を制御するために 勇者の力や聖女の持っているスキル。それらの力を利用すれば。なんとか制御する事ができるのではないかと考えたのだ 俺は魔王の力を、勇者や聖女が扱うことができるのかという事も確認しようとしたのだ その結果。俺は勇者と聖女の力を使うことに成功して。俺は魔王の力の制御を行う事に成功するのであった そんな感じに 勇者と聖女に魔王の力を利用させることに成功した俺は。勇者と聖女の肉体を魔王の力で支配する事に成功していたのだ。

俺の中にあった勇者の力は、俺が魔王の力を利用して制御することができた 聖女が扱うことのできる聖魔法は、魔王の力を使うことで完全に発動することができるようになったのだ しかしだ。

俺はそんな聖女を。俺の体の中から追い出してやるつもりだった 勇者に倒されてしまったとはいえ 聖女の意識までは消し去られてはいないだろう。

ならば俺の体から抜け出してもらって。勇者と俺との戦いを見ていてもらおうじゃないか。俺の中の魔王の力を上手く使うことが出来ているかどうか、見てもらうのに、ちょうどいい機会かもしれないと考えたのだ だから俺は。勇者との戦いに集中する事にしたのだ 俺の目の前にいる 勇者が。勇者の力を使用して、聖剣の特殊能力を引き出そうとしているが しかしだ。そんな事はできないはずなのだ 勇者は 聖女が使っていた聖魔法を発動させることができない状態のままである。

俺の体に聖女が存在している限り 勇者は 魔王の聖力を利用する事は出来ないのだと。

俺はそんなことを考えて 勇者が、勇者の力を開放しようとしていて。勇者と魔王の力を利用しようとする動きを見せる度に、魔王の力で、その勇者の力を制御してやったのだった。そんな俺に聖女が「何をするのよ 勇者様と、私を引き離したら。私が何をするか分からないからね 勇者様と私の仲を邪魔させないわ」と言い放ちながら 俺の体内で暴れ出したのだ 俺は聖女のスキルを発動させようと 魔王の力を発動させようとするが魔王の力を発動させる事ができなくて そんな俺の姿を見て。勇者は、勇者の力を利用して。魔王の力に対抗することができたようだ 勇者は魔王の力を強引に突破してくるようなことはしなかったのだ そんな風に勇者と戦おうとしたが 勇者は俺の事を観察しているようでもあった。

魔王と勇者の力の両方を巧みに操り。勇者の力だけでも対処することの難しい聖剣の能力も、俺は簡単に処理してしまうのだ 俺は勇者が放った 聖剣の能力を打ち消すための攻撃を繰り出して。それを聖女は勇者を守るようにして防御に回ってみせたのだ 俺は魔王の聖力で、聖女に攻撃を加える事で。その攻撃を全て防いで見せた。そんな攻防を繰り返している中で 俺と勇者の戦いが激しさを増していったのである そして勇者と聖女は「「くそ、なんて強さなの。この世界最強の勇者と聖女を相手にして互角以上に戦うとは」「それに 勇者である俺が聖女の聖力に抵抗できずに翻弄されてるなんて。

こいつは本当に人間なのか? 俺と同じ転生者か?」そんなことを呟きながら 俺を見ているだけだった 勇者が俺との戦いに集中している隙を狙って聖剣で攻撃を仕掛けて来たのだが 俺には通用せず。俺の聖力を宿した攻撃を受けても平気で耐え抜いたのだ そんな俺の攻撃に対して勇者がどう対応をするのかと 俺は興味を持ちながら様子を伺うことにしたのだ 勇者が魔王の力を宿した武器で 俺を攻撃してきたのだが、俺は魔王の盾を使って、それを受け流すと同時に反撃に転じる。魔王の力を利用した勇者の攻撃を、俺は受け流し切る事に成功したのだ。そして魔王の力によって強化された勇者の体を蹴り飛ばし 俺は 魔王の力を使った 強力な衝撃波を放ち勇者を吹き飛ばすことに成功する そして そんな風に戦い続けていると。勇者と聖女の二人は。俺に倒されて地面に横たわるのであった 俺に倒された二人は「魔王の力は厄介すぎる」そんな事を口走っていた。そして聖女の体から。

俺の魂は追い出すことに無事成功したのであった 勇者に聖女。

二人を倒した俺に、王様が近づいてきて。

そんな彼に俺は話しかけたのだ

「さて、どうですか 勇者も聖女も。魔王の力が相手でも十分に対抗できている事がわかったでしょう」そんな事を言う俺に。王様は「ああ、よく分かった。貴殿は、本当に人間族最強と言われる勇者と、女神に祝福されし存在であるはずの、聖女を同時に相手にしても問題がない程に強いのだということがよく分かった。そして勇者と聖女は 魔王の力を封印する手段を知らないということがわかったのだ」と言ってくれた そして俺は「そうですね。勇者と聖女では、俺を倒すことは不可能です」と口にしたのである その言葉を言った瞬間に。勇者と聖女が悔しそうな表情を浮かべたが その言葉を耳にしていた者達の反応は大きく2つに分かれていた 一つが「魔王に勇者と聖女を倒す事が出来る存在などいなかったはずだが、それが本当であれば。これは一大事である。もし事実であれば。我が国にとって、大きな脅威となるであろう」と言うような反応を示していて。

そしてもう一つが「やはり、勇者や聖女には。この世界を救えない」と悲観的になってしまうのである。そして俺が「貴方達にお願いがあります」と言った時に、全員が耳を傾けてくれたのだ そして「魔王であるこの俺を倒して下さい」そんな事を言い出した俺の発言に「勇者が魔王の討伐に名乗りを上げるべきだろう」と誰かが言うと。勇者が立ち上がり「俺が勇者の役目を果たします。だから魔王さんは安心してください」と笑顔で答えたのである。その勇者の行動が俺には非常に嬉しかった。なぜならば この世界の人間が。魔王に戦いを挑んでくれるなんて、普通はありえないことなのだろうと思っていたのだ。だが、勇者の言葉を聞いて 誰もが納得してくれて。「そうだな、魔王を放置しておく訳にも行かない。だが勇者だけでは、不安なので 我が娘である姫も同行させようではないか」と王が言い出し。その言葉を聞いた俺は「お断りします」と答えたのだ。すると勇者が「なぜだ? 俺たちだけで十分なのではないのか? それに あんただって。俺たちに負けるのであれば死ぬ事になるんだぞ」と言われてしまった。そこで俺は こんな風に話を切り出したのである。

俺が魔王として召喚されたのは、実は異世界から召喚されたわけではなく。元々は普通の日本人で。しかもその世界では俺は死んだことになってしまっていて。魂が消滅したことで、魂のエネルギーをエネルギーとして利用していた、ある力によって俺は復活してしまったのだ そんな俺の話を、真剣に聞いてくれていたのがアリサであった 彼女は俺の言っていることに疑問を抱くことなく信じて。さらに俺の話を理解してくれて「魔王がそんなに若い男の子の姿をしているとは思ってもみなかったわ」と言っていた。

俺はそんな彼女にこう質問してみることにする

「俺の姿が、どうして幼い子供の姿になっているのか分かるかい?」と聞くと。「魔王の力を取り込んだ時に 魔王の魂の力が。自分の姿形を変化させていたんじゃないのかしら」と答えてくれるのであった。

俺はそんなアリサに感謝しながらも。「魔王に肉体は必要ないだろう 必要なら人間の体を使えばいいだけだ 俺の身体が、なんのために用意されていたと思うのか? 勇者と聖女に対抗するための戦力を確保するために。俺をこの世界に呼び寄せるために用意したんだよ そして勇者と聖女は、俺のことを、あっさり倒せてしまっていた。だからこそ、あの二人は 俺の体の事を知らなくて当然だった。だって俺は、元の世界にいた頃からずっと。あのまま生きて行くことになるはずだったのだから でも俺はこうして生きている」俺が自分の体を取り戻したいきさつを説明すると なぜか俺に対して尊敬の眼差しを送ってくるアリサ そんな彼女に対して 俺の方からも聞きたいことがあるのだと口にすることにした

「ところで アリサの方は 何を聞きたくて俺に会いに来たのだい? 俺は 君に対して 魔王の力が働いているから。

何か知っているのではないかと、思っていたんだが 君は一体 俺の正体をどこまで見抜いているのかな?」そんなことを俺が聞くと 彼女の方は 俺の顔を見ながら 少し考え込んでいる そして 俺が魔王であることを 受け入れた上で 彼女は俺と仲良くなろうと考えていたようだ そんなアリサに俺が魔王であることを受け入れて貰えたことが嬉しい俺は 彼女ともっと親密な関係を築いていきたいと考えたのだ そこで 魔王の力を制御するために 俺はアリサの魔力を借りようと考えたのである そこで俺は魔王の力と勇者の力を両方発動させて。

俺の体内で暴発しないように制御しようとしたのだが 聖女の力で抑えられてしまい。結局制御することはできなかったのである 聖女の力を利用して俺は魔王の力と勇者の力を完全に支配することに成功したのである その結果に満足した俺は。魔王の力が暴走しない様に制御できるかどうかの実験を始めたのだった。

そして俺は魔王の力を使い 自分のステータスを確認することにしたのだ。俺が魔王の力をコントロールする事に成功しているかを知るためにだ 名前 田中亮介 年齢 40歳 レベル 325 職業 魔王(覚醒前)

体力 99億9000万 気力 100兆5000億 筋力 10000 耐久 10500 持久力 120 敏捷性 13000 魔力 1500000 耐性値 3000000 状態 魔王の因子 特殊能力 統率者、成長率100倍、スキル重複、不老、全言語翻訳可能、魔王の目、無限アイテムボックス 経験値取得増量、共有、獲得経験倍増、進化促進 固有技能 魔王覇気、魔眼 俺はその表示に思わず驚いてしまう。俺は確かに魔王の力が使えるようになっていた。それも大幅に上昇していることに気がついてしまう。そして魔王の称号を持っているせいか その能力の一部を使用する事ができるらしい。だが俺の持つ勇者や聖女の力が通用しなかった事を考慮するに。この称号はそこまで万能ではないようだと。そう判断することができたのだ。そんなことを考えながら。今度は俺は勇者の聖力を利用することにした。その聖力を使う事で俺自身の身体能力を上げることができるのではないかと考えたからだ。そんな事をした瞬間だった俺の手には聖剣が現れて俺の中に吸い込まれていった。そして聖剣を手にする前の状態の時よりも、体が軽く感じられたのだが「これってどうゆうことだ? ただ単に、聖剣が俺の中に吸収されただけなのか?」そんなことを思った俺だったが。聖剣を吸収したおかげで聖剣に秘められていた、魔王を倒せるほどの能力を利用できるようになったのだ その能力は魔王を倒す為のものだった。魔王を倒す為の能力なのだが俺は。勇者を仲間にして、魔王を倒しに行くのではなく。逆に、勇者を仲間にして、魔王を討伐しようと考えていた 勇者は聖女に好意を抱いていたようで、魔王を倒すためなら命を捨てることも厭わないというようなことを口にしていたが。

聖女は勇者の思いを知っているのか知らないのか分からないが、彼の言葉に返事をすることも無く、無視し続けていたのである。そんな聖女に勇者が告白をした。そんな二人のやり取りを見て、俺に惚れたのか 聖女が俺に「私と一緒に、魔王を倒して頂けませんか?」と聞いて来たのである。俺はそんな彼女に向かって 聖女の力を使わせて貰うことにする。

すると 聖女の力は 勇者が持つものより強いもので、俺が手にしていた聖剣に吸収された。俺は聖女から力を得たことによって勇者の使う魔法も習得できるようになったのである。その勇者が使っていた魔法は聖剣を使っていない状態では使えなかったので。俺は、その聖剣に備わっている、もう一つの機能である、勇者の能力をコピーすることができると言う機能を使おうとしてみる。すると俺が考えていた通りの効果を得ることができたのである。

俺が考えた、勇者の仲間を作る計画を実行しようと。まず俺はアリサに協力を求めることにする そして俺は 勇者の持っている。どんな傷を負おうとも一瞬で回復してしまうような。そんなチート能力を 聖女から譲り受ける事にした。

聖女が持っていた どんな病や毒にも効くと言われている薬を手に入れる そして勇者と聖女が協力してくれることになったので 俺は魔王の力を使って、この世界に存在している魔物を。俺の従える配下に変えようと画策するのである。その方法は簡単だった。俺は魔王の力を発動させると。勇者が持っている。すべての属性魔法の適性を得ることができるようになるという力を手に入れたのである。そして魔王の力を使った俺は 勇者の力をコピーしていた時の感覚を思い出して。勇者と同じような事をしてみる 勇者と同じ事が出来るかは分からないが。俺なりに、やってみることにしたのだ。俺は勇者と同じようにしてみようとする。その結果 勇者の力を再現することは成功できたのだが。そのやり方だと効率が悪いことに気付かされる。なぜなら 勇者の魔力は 無尽蔵と言ってもいいくらい膨大なものだからだ。それなのに 魔王の俺では、同じことを繰り返す度に 体力と気力を消耗していったのだから そこで俺は魔王としての力を最大限に使って、俺の身体の複製を作り上げ。それを俺の代わりに活動させ。俺自身は この世界に存在する、俺の配下を作り出す作業に入る事にしたのである。

そして 俺は魔王としての能力である。魔王の目を使い。俺の配下を作り出そうと考える。俺は魔王の目を使い。魔王の目に映し出される映像を見ていくと 魔王の目で映し出せる範囲は半径30メートルだったのだ。そこで俺は 自分が作ったばかりの俺の配下の目を通して、自分の目として利用できるようにすれば、視界を最大化することが出来るのではないかと。そんな風に思いついたのである。

俺は自分の目を複製した魔王の分身に取り付けることで視界を広げることに成功して、魔王の目で捉えた映像を俺自身も見ることに成功したのだ。

魔王の力を使い俺は 自分の配下を作ることにチャレンジした。その方法はいたって単純だった 俺が作った魔王の人形と、俺自身に。魔道具を使うことによって、擬似的にではあるが。魔王の力を使用できるようにしようとしたのだった。そして俺の作った、俺の姿形をしている人形が 魔王の力を取り込んだ結果。

魔王の力が解放されて、俺の力が強化される それと同時に魔王の目が俺の意思で操作出来るようになる そこで俺は、自分の意識が魔王の力に取り込まれるようなことが起きないか心配になったが、今のところ問題は起きていないのだった。そして俺の人形に魔王の力を使い。

自分の配下となる。ゴーレムやガーゴイルなどを作り出したのである。

俺は自分の姿を模した人形を作ったことで。自分自身と対面した気分になり。少し恥ずかしさを感じたのだが。そんな感情を押し殺して。俺は俺の作った俺の部下達に命令を出して、各地に派遣することにしたのであった。そして俺は魔王の力を利用して。自分の力を強化していきながら、俺が作り出した魔王の軍勢の強化も行うのである。そして俺の命令に従うことのできる存在に作り変える。それが今の段階までやってきた。だが、まだ足りない部分もあるのだと。そう判断できたのだから その不足している部分が何かと言えば 俺自身が直接指揮を取らないと駄目だということだろうと思うのだ。だから俺はアリサの所に向かいアリサの住んでいる場所に向かったのだ。

俺はアリサの住む街に到着した後。すぐに、ある場所にアリサと一緒に行くことにしたのである。そこは アリサの母親の故郷だ 俺もアリサの両親の事は知っている。俺はそのアリサの両親と幼馴染だ。俺達は小さい頃 家族ぐるみの付き合いがあったのである。俺の家族も、アリサの両親が住んでいる町に移住することになり。

俺が子供の頃から アリサと遊んだ記憶が残っている そして俺は アリサの案内の元 アリサの母親が眠っている墓場を訪れたのだ。そこで俺は、お墓参りをした後。俺は、アリサの母の故郷の町で 俺のことを良く知る人物がやっている。店に顔を出すことにした。その店の店主に頼み込んで 俺は俺が使っている武器と防具を注文することにする 俺が使う装備は。俺の魔王の力に反応するように作る。そんな風に考えながら作らせる そうすることで、俺が自分で魔王の力で生み出した。そんな俺専用装備品が出来上がるはずだと思ったのだ。そんな事を思っていると その俺の考えを汲み取ったのか、職人達が、俺の希望する通りに、俺専用の装備を作ってくれたのだった。

俺はそんな風に俺専用の装備を作成してもらったあと。

俺は、俺の仲間にしようと決めている 勇者の仲間達の事を。俺の配下に任せるために、勇者の仲間の一人に会わせて欲しいと頼んでみる。そんな勇者は、今現在どこにいるのか分からないが。

それでも探せばいいだけだからな。俺はそう思いつつ勇者を探す為に。勇者の仲間たちの居場所を知るために行動を開始したのだった。

そんな時に現れた一人の少女の名前は、アイラという女の子だった。彼女は この世界で、勇者が召喚される前に生まれていた少女で、この世界の人間なのだが どうやらこの子だけは違うようだ。それは彼女の父親が元奴隷でありながらも勇者と共に戦い続けた人物。つまり彼女が、勇者の仲間だったという事になる。そんな彼女だからこそ、この世界でも普通ではない。そんな不思議な雰囲気を持っていたのだった。

そんなアイラちゃんに対して俺はお願いをしてみることにする。

勇者に会いたいのだが。どこにいるのか知らないか?って聞いてみるのだが。「ごめんなさい お父さんから、その話はしないでくれって言われてて」と。申し訳なさそうに答えてくれたのだった。

俺は彼女に勇者にどうしても会いたいと。その理由を説明すると、勇者に会うためには、私の父に会うしかないと。そんな事を言っていたのである。俺はそんな話を聞きながら「どうして?勇者の所に行かないんだ?」と。そんな疑問をぶつけると 私の父はこの国で宰相をしておりますと、そんな風に口にしていた。そこで俺は。この子の父親を利用すれば、勇者に会うことができるんじゃないかと思いついて。この子に父親のことをもっと詳しく聞かせてほしいと言った

「分かりました。私も勇者様と直接話をしたことがあるわけではないのですが。勇者様に命を救ってもらったことがあります。その事で、私も命をかけて勇者の為に働きたいと考えておりまして。その為に 勇者に認めてもらう必要があると。父からそう教わり。そのために 私が勇者様にお渡しする。大切な贈り物を用意する必要があったんです」

そんな言葉を聞いて俺は、俺は思ったのだ。俺には勇者の聖力を吸収して聖剣に封じ込める。そんな力を持っている そして俺は聖剣に封じ込めた。勇者の能力を使うことができるようになったのである。だから勇者が聖剣を使っている時は勇者と同じ事ができるようになった。しかし聖剣を持っていない時、勇者は、どんなにレベルを上げていっても。どんなに強くなっても、普通の人間のままだという事を思い出したのだ。勇者の聖力は無限大なのだから そこで俺は この子が勇者と会えるようにしてあげようと考える。そこで俺は この子の力を強化することにしてみた まず俺は 勇者が聖剣を手にしている間だけ。聖剣に封じ込められている能力を引き出せるようにし勇者の仲間として使えるように、そんな能力を付与して 勇者の仲間として認められるようにする 次に勇者の聖力は勇者にしか扱う事が出来ないようになっているから。勇者の力の一部を この子に与えることにしたのだ。そして俺は、勇者の仲間である、アリサから受け継いだ聖女の力を利用して、この子の力を増大させることにする。

そこで、この子は 勇者の仲間として認められた存在となった そして、その仲間としての能力を使って。この子を俺の使い魔にすることにする そんなわけで 俺は、この勇者の仲間だった 少女を俺の使い魔にしたのだ。

これで俺は勇者の情報を入手できるようになった。

俺は俺の目の前にいる。

アリサに俺の正体を伝える事にした。もちろん 魔王だということは隠しておくが 俺の素性が気になっているような様子の この子と これから行動を共にする事にするなら 隠しておくよりは、素直に話しておいたほうが、お互いに良い関係を気付けると考えたのだ。それに 魔王だってことは、いずれバレてしまう可能性が高い。ならば、早いうちから魔王だと伝えてしまった方が お互いに無駄な被害を被ることもなくなるはずなのだ。俺にとって、この世界に来て初めての知り合いである アリサとは。仲良くしたいと考えている そこで俺は。このアリサという女の子と仲良しになりたいと思って 魔王としての力を使う そして俺はアリサの記憶と意識を読み取って 俺の正体を教える事にしたのである。

この子と一緒に行動をすることにした俺は、アリサと行動を共にし始めるのだが。俺は、あることに気づいたのである。それは 俺の配下のゴーレムの視界を通して、見聞きすることが出来る情報の中に。どうやら、俺のことを探している奴らがいることに。そこで俺は、アリサと一緒に、ある場所に向かい。俺が呼び出した、俺のゴーレムを使い。俺の姿形に擬態している人形の視界を通して様子を見ることにする。

そうすることで 俺のことを探しに来た、あいつらの動きを見ることが出来るから。それで何者なのか分かるからだ ちなみにアリサにも あの連中の姿が見えるようになる魔道具を渡していて。一緒に確認する そうしているうちに 俺を探していた奴らは俺がここにいるという情報を手に入れていたのである。しかも。そいつらが俺の前に現れて。俺は、この世界の魔王として君臨していた、そんな過去がばれてしまい 俺をどうにかしようと考えていた 俺を捕まえようとした。

そこで俺が、自分の作った俺の姿を模っているゴーレムと、自分が魔王だと認めた証である、仮面を装着することで 俺は正体が俺だとはばれなかったのである。

ただ、俺は、俺の事を勇者だと勘違いしている奴らがいたのは誤算だったが。

それから 俺は、自分の配下であるゴーレムやガーゴイルなどを呼び寄せて、自分の配下を増やす作業に取り掛かる その作業をしたのだが。そこで俺は、勇者の仲間たちを自分の配下にしようかと考え始めたのであった。

俺は魔王軍の強化を行うために、勇者と縁がある、この子達と手を組んで、魔王軍と戦おうとしているのだが。そこで俺は考えたのである。この世界に存在している。他の勇者たちとも協力関係を築くことはできないのかと そんなことを考えていると。アリサの方から この勇者の仲間達は全員、勇者の仲間だった時の力が、勇者の力と合わさることで、勇者以上の力を扱えるようになっていて、普通に戦うと、勝ち目がないことを理解したらしい。だがそれでも勇者を倒す為に この子たちは勇者との戦いを望んで。そして戦いを挑んだが、敗北。この子たちにはもう打つ手はないと思った時。そこに勇者が現れたのだと。だから勇者の仲間だった者達全員が必死になって助けを求めたところ。この国の国王に頼み込んで、勇者を自分達の国に連れて行ってもらったそうだ。そしてそこで、自分達も協力できることがあったら何でもすると。勇者に対して言ったところ、そこで、魔王討伐に協力してくれないかと言われ。それを聞いた彼女達が勇者に協力することを決め。勇者と一緒に魔王を討伐することになったとの事だ そんな勇者の話を聞き終えた俺は 俺はアリサを連れて魔王城に戻り、勇者に、魔王の力を渡さなければならないから、一度戻ることにする。

そう言うと俺は 俺の魔王城に戻ってきた。そして、アリサのお母さんのお墓で。お供え物をして、墓参りを済ませた後。俺は魔王の力で作り出した武器や防具などの装備一式を 俺の配下達に渡し。この子たちに任せることにしたのである。そして俺と勇者の仲間たちは。この世界を崩壊に導く。そのきっかけを作り出そうとしている魔王と戦う為に 魔王が潜んでいるとされる場所に。勇者は向かうことになったのだった。そして俺は 勇者について行くことになる。勇者のパーティーのメンバーの一人として、その旅に同行したのである。そして、俺は魔王がいるとされる 洞窟の中へと入って行ったのだった。ちなみに俺は勇者に魔王のことを、全て話してしまっているが。俺は魔王とバレないように行動する必要があるから 魔王としての姿を見せることを控えなければならない そんな感じで、俺は 勇者のパーティーの一員になったのだ俺は勇者のパーティーの一員となって 魔王の元へと向かう そして、ついに俺は この世界で一番最初に、俺自身が召喚された場所で 元の世界に帰るために、聖剣の力を使って。俺はこの世界で二度目の勇者になることを選んだ。それは、勇者になる為の修行をした時に知ったことだが。どうやら俺は勇者に、勇者のスキルを使うことで、レベルの上限を超えて成長することができるのだ。

しかし勇者のレベルの上限を超えていると、レベル上限を超えた数値に経験値を与えることはできないみたいで だから俺は、魔王を倒すために、この世界に残って、勇者を続ける道を選択したのだ。まぁでも、そんな理由でもない限り この世界で俺は勇者に戻ろうなんて考える事は無いと思うけどな そこで、元の世界に帰ったはずの俺の前に、突然現れたのは、勇者と行動を共にしていた、この世界の少女の一人で、この世界の出身ではなく、別の世界の出身で、勇者の事を好きだった この世界の住民だった アイラって女の子が姿を現した

「貴方が私の父を助けてくれたんですね。私はアイラと申します。父からは 私がこの国に来るまで、父の身になにが起こったのか、その話を聞いています」

そんな事を言っている彼女に。俺は 俺は「えっと。君の父さんの件に関しては 悪いと思っているよ。でもさ。仕方がないよね。君の父親はこの国に反逆しようとしたんだし。それに、あの人は、俺の仲間を殺そうとしていたんだ。俺も命懸けで戦わないと殺されてしまう可能性が高かったんだ。それで俺も死ぬのは嫌だったから、俺の実力でどうにかするしかないと判断して。戦った結果が、あれだよ。

俺はただ。勇者として当然のことしかしてないつもりだから、それで謝られても。困るだけなんけど」

俺がそんなことを言うと、彼女は 俺の目をじっと見ながら、「貴方は。勇者様です。それも、歴代最強と言われる程の。しかし私は知っていました。勇者様が私の父との戦いで見せた、圧倒的な力で、この国は変わることができると。だからこそ お願いいたします。魔王を倒し、私たちに力を貸してください。私たちは 今よりも良い世界に変えるために、戦いたいと思っています」「うん。わかった。俺は勇者なんだし。その言葉に従えば、きっと良い未来に繋がっていくかもしれないから、俺は、この世界を平和にすることを手伝うことに決めているし。協力する。ところでさ。その。この国から出ていく方法を知らないかな。この世界に戻ってくることができたのなら、俺としては またこの国で勇者をやりたいんだけど。俺は 勇者としてこの世界にいる以上、俺は この世界を守っていかないといけない立場にある。だけど、俺は勇者として 勇者が倒すべき魔王を倒した後は、この世界にとどまる理由が無くなるわけだし。そうなったら俺には また新しい勇者が、新たな世界を作るための手伝いをする事になるだろうから だから俺が、もう一度勇者になれるチャンスは今回しかないんだよ。俺がここにきた事で 俺以外の勇者は、みんな 元の場所に戻るはずだから そして俺も。勇者としての力を失う前に、魔王を倒す為に、元の力を取り戻しておきたい。そして魔王を倒して。俺は、勇者としての力を取り戻せば 次の勇者が現れても、俺はもうこの世界に留まる理由は無い 俺は勇者の力を取り戻す必要がある そのために 俺は魔王と戦い。魔王を殺さなくちゃいけない その邪魔さえしなければ。勇者の力を 魔王を殺す為に使うことに文句を言われることはないはずなんだ そして俺は 勇者が使う 聖剣を作り出す能力を使って この国の人間のために 俺は、魔王と対峙するために。

俺の作った武器を使うように言って。この世界の人間が魔王に対抗できる手段を作れるようにする為に 俺の作った武器を使いこなせる人材をこの国の中だけでなく 外にまで探して連れて行き、そして俺は 勇者と魔王の最終決戦に挑むことになったのである。そう言えば 俺はこの世界の勇者の事を、俺がこの世界に召喚されて、すぐにこの世界にやって来た、もう一人の異世界人だと思っていたので、俺と同じように 向こうの世界からやってきたこの勇者も、勇者の能力で俺と同じことをしようとしているんだと思い込んでいた。だが実際はそうじゃなくて。勇者はこの世界の出身らしい。

そして俺の目の前にいるこの子は。どうやら俺とは違う勇者らしい 俺は勇者として 魔王と戦わなければならない状況に置かれているが、どうやらこの子には戦う意思が無いようなのだ。だから どうしたらいいのか分からなくなってしまった俺は。

とりあえず、俺と勇者との最終決戦にこの子を巻き込まない為にも、俺はこの子との話し合いに応じることにしたのだが。そこで彼女が口にした内容に。驚いた なんとその子は 魔王と戦うのは俺じゃないと言い切ったのだ。そしてその魔王とは。俺の知らない勇者であり。そいつは俺ではないと。その言葉を信用できるかどうかは置いておくとしても、俺に魔王と戦わせようとしていないというのは分かったのである。そして勇者と魔王は。二人で協力して。俺を倒す気でいるらしく。

そして俺の事を、この世界を救うための存在だと思い込んでいるのだとか そんな事を言われてしまえば この子と一緒に行動しないという選択を取る事ができなくなるじゃないかと。

まぁそれはともかく 俺は 俺の事を勇者と信じている彼女の提案に乗ることに決めた そんな感じで、俺と、勇者は一緒に行動する事になった そして俺は、この世界に召喚される前の俺の本当の姿に戻り。この世界の人間の協力者を集め始めた。そして俺はこの世界で手に入れたスキル 身体能力強化 そして勇者の仲間であった 元の世界から来たこの世界の勇者の娘アイラは この世界で手に入れた 魔力増大のスキルと。他にもこの世界に元々存在する能力などを利用して 魔王に対抗する為に、色々と試行錯誤を繰り返してみた。まずは魔剣や魔槍といった物を作ってみたり そして、この世界でも普通に存在する魔法を使って戦う事ができるようになるための準備も進めたのだ。そして俺は勇者に頼まれて。この世界に伝わる伝説の武具を集めて、魔王との戦いの時に使えれば有利になるようにと、この世界の人達の協力の元。準備を整えていたのだった。

そして俺は魔王と戦う為に 魔王城に乗り込んだのだった。そこで 俺は、俺の敵と出会ってしまったのだ。

その相手の名前は、魔王と言う名前を名乗っているのだが。見た目は完全に、日本人にしか見えない男で。年齢は30歳ぐらいだろうか?身長180センチくらいある、筋肉質な体型の男だ。そんな相手に 俺は戦いを挑むことになるのだった。

俺は 俺の敵と、出会うことになり。その相手を 観察してみて思った事は、普通の人だ。ということだ。俺のように、突然別の世界から、自分の意志で来たわけではないようだったが、それならどうしてこの男は魔王を名乗れるほどに強大な存在になれたのかというと、俺の持っている能力と似たようなものを、この男が持っているせいなのではないかと推測できた。だがそれでも、この男の体の中には、魔王の力が存在していることに変わりはなく。そんな相手が本気で俺に向かってきてくれば、それはもう、とんでもない化物に違いないだろうと。俺はそう考えていた。そんなこんなで 俺は 勇者が俺に作ってくれた装備のおかげで。

魔王と名乗る謎の相手と戦う事が出来るようになったのだ。ちなみに俺は 勇者の事を 俺のことを魔王と勘違いをした少女アイラの父親を助けてしまったことから。俺は勇者と呼ばれ そして勇者と呼ばれることで 俺はこの世界の住人たちに信頼を得ることが出来たのだ。だから俺には 俺のことを魔王と間違えてしまうような、俺の勇者としての実力を認めてくれる者たちがいたおかげで こうして勇者として活動できていると言ってもいい そんな訳で勇者が俺に 協力してくれる人たちに渡してくれた。この世界のアイテムの数々で、俺は どうにかこうにかしていけるのではないかと思っている

「勇者様は。本当にお強くなられました。私の父は。勇者様に助けていただき、父も母も。感謝しております」

そんな感じで、勇者と俺は、この世界では最強の部類に入っている。この世界の人々から、勇者として尊敬されているのだ 俺は、勇者が作ってもらった、俺専用にカスタマイズされた、この世界の武器を握りしめながら。俺の勇者としての活動が始まる 勇者として俺は、この世界で勇者として活動することを決めたのだ 勇者と俺の出会いが、この世界を変えていくのだろう 俺が、魔王と名乗る謎の男と出会う少し前の話になるんだが。俺は この世界で勇者として生きる事を決める前に、元の世界に帰ろうとしていた だが、俺は帰るべき元の世界の。その座標が、わからなくなってしまっていた

「う~ん。困ったな」と、そう思っていると。アイラちゃんのパパである、アリサさんと再会した俺は、アリサさんの好意によって、俺がこれから住む事になる。この世界の家を紹介してもらった

「こちらです」と、アリサが言うと、俺は、その家の前まで案内されて、そしてアリサは「ここです」と言ったのだ そんな感じに、俺は勇者である事を。俺のいた世界へと戻る手がかりがつかめるまで、しばらくこの世界で生活する事にした それから俺は この世界の勇者になったわけなのだが この世界には、魔王と呼ばれるものが存在していたり この世界に住む人たちは、勇者の力に頼らずに。自分達の力で、世界を変えていきたいと。その思いを胸に秘めながら。この世界のために、自分たちなりに頑張っていこうとしていた そして俺は。勇者である事で。俺は俺の勇者としての力を使いながら。この世界の為に、魔王を倒していったのである 俺が、この世界の魔王を名乗る謎の存在を討伐して。勇者として。魔王と戦えるだけの力を。俺のこの世界での立場を手に入れたわけだ 俺には勇者である力があるし。勇者である俺は 元の世界への帰還方法を知っていると思われる勇者の少女 つまり俺の妹にあたる、俺と同じ世界に。同じタイミングで転移してしまった、この世界で生きている、俺と同じ境遇にあった、妹の彩香と会うためにも 俺にはこの世界を救わなければならない 勇者の力を取り戻した俺には、それだけの力がある そして勇者として俺は 魔王と呼ばれる、この世界の人々を苦しませる元凶の相手と戦わなければならないのだから。そして俺は、俺に力を授けてくれた。この世界にいる勇者達と連絡を取る為にも 俺はこの国を、俺の手で、勇者の手によって支配しようと思ったのだ。そのために俺は。俺はこの国の王様と話し合いをすることになった 俺は 元の世界へ帰る為に。この世界の人達を救いたいと思っているのだ。だけどそのために。この国の王である人物に、この国の実権を渡してもらう必要がある。この国の人達を救う為に必要なのだと、説明をしてから。

そんな訳で俺は、この国の王である ゼスト国王に会いに行くのであった この国の城にある謁見の間で俺は、この城の王に面会を求めに行った

「お前が、最近噂の勇者であると言う者か?」と、俺の前に座るこの国の王がそう尋ねてきたのである。俺は素直に答えることにした 俺にこの世界の人達を救わせて欲しい。そのためにも。この国の王の許しを得なければならないとそう考えたからだ だけど王は俺に対して、こんな質問をぶつけてきたのである 魔王を倒した後は、お前はどうするつもりなんだと。俺がその言葉の意味を理解していないでいると、王は続けて言ってきた 魔王を倒すことができても この国が無事でいられる保証はないぞと そして この世界に、再び危機が訪れる可能性もある だから俺は、この世界を救うために戦うつもりでいると、そんな風に答えると 王は「そうですか」と言ってきた そしてその後で王は、この国の王という立場でありながらも、この世界の現状を見て見ぬふりをすることはできなかったらしく。そんな感じにこの世界の人を見捨てたくないという想いが強いようで、俺に 協力してくれないか?と聞いてくるのだが 俺に協力して欲しい事があるのだ この国に巣くう魔王を討伐する事は可能だと、俺は確信を持って言える 俺が魔王と戦い、そして倒すことが出来ることを俺は証明できる。そんな俺の言葉を受けて 俺の協力を受け入れることにしたようだ 俺は俺に協力してくれる者達の居場所を教えてもらい。そしてその人達の協力を、魔王を討伐する為に必要だと思うから。この国の人に協力する事を了承してくれたこの世界の勇者に、この世界の勇者達に。俺はお願いをしたのだ どうか、魔王を倒せるように、この世界の人のためにも、戦ってくれないかと そして俺がこの世界を救うための力を貸してくれと頼むと、みんな快く協力をしてくれて こうして俺はこの世界の人達に認められた勇者として、この世界で生きることになった そして勇者の力を取り戻した俺は、この世界の脅威となる存在である魔王を倒すために戦うことを決意する そんなこんなで、俺は、この世界の平和を脅かす魔王とやらと戦う為にも。まずはこの世界の人々に信頼を得るために、俺が勇者であるという事を証明するためにも。俺は俺のことを勇者と認めて慕ってくれている人達に、この世界の魔王と戦うための装備を提供してくれるように頼み込んだ この国でも有名な鍛冶屋さんに俺は、俺専用に作り替えて貰えるような。強力な装備を作る事ができるような素材を使って欲しいと頼んだのだ そして、この国では、鍛冶職人として有名らしい。俺にこの装備を提供してくれると言ってくれた人は 俺が魔王を討伐するための。勇者に相応しいような武器と防具を作り上げてみせましょうと。そう言ってくれるので、期待したいと思っている こうして俺の装備が完成した この武器を手に持ってみて、俺は感動を覚えていた。なんて言うのかわからないけど。とにかくすごいものに仕上がってるんじゃないかと思うんだよな。これがあれば魔王との戦いに挑めるかもしれないと思って 勇者としての力が戻ってから、少しだけ時間は経過したのだが。それでも俺の体は万全とは言い難い状態ではあった

「さすがは、伝説の武器と言われるだけのことはあるな」

とそんな感じで、完成した武器の性能を確認してみて、凄いと思えるものが完成していた そんな訳なので、これから魔王との最終決戦に挑んでいくのだけれど そんな俺を応援するために。この世界の人達が集まってきてくれていて

「頑張ってくださいね」

「必ず魔王を倒してください」

と、みんな口々に声をかけてきてくれたのだ そんな感じに、集まった人たちが声をかけてきてくれていたので 俺は嬉しかったんだけど

「私達の事なら気にしないで、あなたはあなたの目的を果たすために行動しなさい」

そんな言葉を 俺はこの世界の王妃様からかけられる

「分かりました」俺は、俺のことを応援してくれるこの世界の人々の思いに応えるべく。そして魔王を討伐するためにも。俺の目的を果たすためにも、俺の装備を受け取った。俺専用の装備を受け取り。それを身に着けた。この世界の勇者が俺のためだけに作ってくれた装備品を身につけた 勇者の力を取り戻したことで、俺には俺のステータスが分かるようになっているので。俺が自分の今のステータスを確認してみると。この世界の人たちが、この世界の危機を乗り越える為に俺に協力してくれたことで、勇者としての力は取り戻せた。そんな俺に魔王を打倒できるだけの力は、備わっているはずである。そのはずだったのだが。その俺の予想に反して 俺が勇者としての力を取り戻すまでに要した時間はそれほど長くはなかった。だけど。それは俺に限った話ではないのかも知れないな だが。勇者の力は、俺一人の力で取り戻したものではないのだと、俺は考えることにする この世界の人だって。俺が元の世界に戻るためには協力を惜しまないと言っていたのだ 俺が元の世界に帰る為の方法を探す旅に出ているときに、俺の仲間になってくれたこの世界の勇者達もそうだ 俺には俺を支えてくれた人達がいるのだから 魔王と呼ばれる存在を倒すには十分なほどに。俺には俺の味方であるはずのこの世界の勇者の力も。元の世界へと帰るために、必要なのだと。だから俺達は手を組んだ。俺は勇者の力を取り戻し、そして魔王と戦うためにも

「ありがとう」俺はこの国の人々に、心からのお礼を伝えると、そんな感じに。勇者の力を取り戻すための努力をしていた俺の側に、一人の女性がやって来て、その女性もまた。この世界の勇者だった。俺がこの世界の王である人物に会いに行く際にも、俺のことを待ってくれていた。そんな彼女と一緒に、俺はこれから魔王の元へと向かうことにしたのだ そんな感じで。この世界の王と謁見を行った俺は 魔王と名乗る謎の相手を倒す為に 俺が勇者として。俺のこの世界での役割を果たせば。この世界の人々も救われるだろう。そんな気持ちを胸に抱いて、俺は、俺が勇者として戦うために必要な。この世界で最高の性能を誇る武具を。この世界の最高技術の集大成でもある装備を手に入れて そして俺はこの国の王から 魔王を倒すことができるような最強の武器を受け取っていた 俺は、この世界での勇者としての立場を手に入れた。俺を応援してくれる人達が。魔王と戦おうとしている俺のために。この世界の最高級のアイテムを用意してくれていたことで 俺には勇者としての力が再び戻っただけでなく。俺の力を高めてくれる。とても良い装備品を受け取ることもできたのだ

「さぁ。行きますよ!」

と、この国の王の許で、俺と勇者の女性。そして勇者として力を貸してくれている人達と共に 俺達はこの国の王都を後にする。この国の王が用意してくれた、最強の装備を俺達に託して、俺は俺でこの世界のために、俺にできることを精一杯するしかない そんな感じで。俺はこの世界のために、勇者となって、俺にしかできない戦いを始めようとしているのだ。この国の王も言っていたのだが。魔王の力は想像以上の物なのだと。この世界に存在する、この世界の最高の技術が結集して出来た最強の武器でも、勝算は低いのだそうで 俺を応援してくれた、この世界の最高の技術を駆使して作られた装備を俺に手渡してきた、この世界の王にも。

そんな風に魔王は危険な相手だと説明された。

この世界の王様の話を聞いて、改めて。俺が魔王を相手にするとか、そんなレベルじゃなくて、この世界の平和を守る為にも 魔王とか。そういった脅威からこの世界を救い出さなければならない。そう考えた俺は この世界の人達と別れてから。この世界の王城で。王や王の護衛の人達。俺が勇者として戦う為のサポートをしてくれる為に、同行してくれることになっている。俺の協力者であるこの世界の勇者の人 俺が召喚されて最初に知り合った、この国のお姫様や大臣。俺にこの世界の王様を紹介してくれようとしていた人達に。俺は見送られる形になっていた 俺が勇者となったことを喜んでいる人達もいたのだ この国には俺の知り合いはいないのだが

「勇者殿。貴女の活躍を期待しておりますぞ」

俺の知らないところで 俺は、この世界のために。魔王を打倒しなければならない状況に陥ってしまった そんなこんなで。魔王討伐のための旅に出た俺達は、まずは最初の街を目指していた。そんな道中において、俺のことをサポートしてくれていた。この世界の勇者の一人である少女が、この世界で、今起こっている出来事について語ってくれていたのだ。魔王と呼ばれる存在の脅威については この世界では周知のことであり。俺が勇者の力とやらを取り戻せるまでの短い期間の間、俺に協力をしてくれていた、この世界の勇者達が、俺の代わりに、他の勇者とコンタクトを取ってくれていたのだ 勇者とは、基本的に、自分の仲間を増やす為に、旅をする。そのように勇者の行動は、この世界の人達の間で認知されていたようで。だからこそ、この世界に勇者が誕生したのならば。その人はこの世界を救うために。この国を出て行くのだというのが当たり前になっているようであった 勇者という存在に。勇者が魔王と対峙するのは、この世界の平和を守るために、魔王と戦う為にだというのは常識的なことなんだよと、そんな感じで俺は教えてもらうことができた 俺にこの世界の勇者としての役割を押し付けられたこの国の王から 俺は俺なりに、この世界の為に、魔王と対峙する勇者として相応しいようにと。この国の王様は、俺に、魔王と戦う勇者になるべき存在に相応しいように、色々と手ほどきをしてくれることになった 俺は俺で、自分がこの世界で魔王を倒せるほどの勇者になれれば 俺の元の世界でも、何かが変わるのではないかと考えている。そして、俺は、勇者に成りたての俺の面倒を見てくれるのと同時に 魔王の討伐を目指すための修行もしてくれると。そういう約束をしてもらっていた

「この剣を使いなさい。貴方の力を存分に振るうことのできる武器になりましょう」

そう言って、勇者の女性が。この世界の鍛冶屋が作り上げた。俺専用に作ってもらった。勇者としての俺の為の武器を渡してきた 俺の持っている、この世界で手に入れた最高の性能を持った装備品。それらを上回る程の性能は持っていないが。

俺に最適な性能の武器に仕上がっているという そんな俺の手元にある、勇者の武器。俺に渡された勇者としての俺の武器 勇者としての役目を果たしながら。俺はこの世界の人々の為になるように。俺ができる限りの事をしながら、魔王との決戦に臨む覚悟を秘めていた そんな感じで。この世界の魔王との戦いに向けて 俺とこの世界の勇者は二人で旅を続けていた この世界に来て間もない頃の俺とは違い 今ではすっかりと。この世界の勇者は。勇者である自分のあり方を受け入れている 勇者であることを嫌だと思っている様子は無い むしろ勇者であることが。今の自分にできる役割なんだと認識していて そんな感じで勇者として生きている彼女を見て。俺は 彼女が勇者であることを辞めたいと望んでしまわないか不安で 俺はこの勇者の事が気になってしまっている。彼女は勇者である自分の役割を、勇者として生きる事を受け入れることができていることが 俺には嬉しい反面 彼女の心の中でどんな感情が育っているのか、それを知りたくもあり 俺とこの勇者の少女との関係は、一言で言えば、俺にとってこの勇者の事をどう思ってるんだ?と。そんな質問をこの世界にいる知人からされたら。俺にはどう答えることもできない。だって 俺と勇者はお互いに名前も素性も知らなかった だけど、勇者が俺と一緒にこの世界で魔王を倒すために行動してくれる 勇者としては、俺の勇者の力を高めるために。勇者として魔王と戦ってくれる勇者は貴重だと。俺は勇者のことが心配な気持ちもあるが。この世界の人達は魔王と戦う勇者を必要としていないようだからな

「お主よ。勇者殿のことを考えているな?」

この勇者が。この世界で魔王と対決している間に、魔王と対峙する俺のことをサポートしようと申し出てくれたのが、この世界の冒険者のトップである人物だ その冒険者は俺に。あることを頼んできた 俺に魔王を倒すための仲間になって欲しいのだそうだ 勇者と旅を共にするこの国の王 この世界で最高級とされる武具を作ってくれた職人 そしてこの世界の最強の勇者の一人で俺に勇者としての力を与えて勇者として魔王と戦えるようにと 様々な人が、俺に力を与えてくれた

「この勇者様との旅も。悪くはないのかもしれんのう。だがの。この勇者と魔王とやらの因縁に。お主にまで首を突っ込んでもらうのは悪いと思うのじゃが」

俺はこの冒険者に。俺の目的を果たす為にも、俺はこの世界の人達に協力しないといけないからな。この勇者の事は心配だが この世界の王から、魔王を倒して、この世界の人達を守って欲しいと 俺の協力者の勇者も言ってくれているからな

「私達も一緒に戦います。貴方だけに負担をかけてしまうのは不公平ですから」と、この世界に存在する勇者の女の子が俺に声をかけてくれる。この世界の勇者の実力もかなり高いと聞いていたのだが 勇者はこの勇者よりも強いみたいだった。勇者の方が年上のはずだから この二人の関係はどうなんだろう この勇者は俺が知っているこの世界における最強の存在であり。勇者はそんな彼女よりさらに強かったりするからな まあ、そんなことは今はいいとして 俺は、魔王と戦おうとしている。

そしてこの世界の勇者である、俺に力を貸してくれる勇者やこの世界の王からも。魔王がどれくらいの物なのかと聞かれたので。

この世界の王からは、魔王と呼ばれる相手と実際に戦ったことがある訳でもなく。この世界の勇者の人たちにも。俺と同じように勇者の力を手に入れた人達がいたのかもしれないが 勇者としての力を取り戻した俺は。勇者として。

この世界の人達の力を借りながら 勇者としての使命を全うしようとしていた。魔王の封印を解き放ったのであろう元凶を探し出して、俺は。

俺にしかできない方法で、魔王をどうにかしなければならない この国の王から 魔王をどうにかしてほしいと頼まれた以上は、この国の王の信頼に応えたいこの世界の王様に恩義を感じるというわけではないのだが。俺にも、俺がやるべきことのために。魔王を何とかする必要があるからな そうして。俺は、この世界の王からの依頼を受けて 魔王と対面する為にも この世界の平和を取り戻すべく。魔王との決戦を行うことになるのだ そんな感じで、俺は、この世界において。この世界の勇者として。

魔王と呼ばれる存在を相手にすることになったのである 勇者がこの世界にやって来てから しばらく経った頃 俺とこの世界の王 俺とこの世界の王は、勇者として召喚されて間もない頃から、共に行動していた。

それから俺達は。勇者である彼女に。

俺はこの世界では珍しい、この世界とは違う世界の人間なのだということを。隠さずに伝えていた 勇者として召喚される前から、この世界の住人ではなく。この世界とは別の世界に住んでいたこと。この世界では、俺の世界での科学が、この世界よりも遥かに進んでいる。そのせいで俺は、こちらの世界で召喚されて。勇者となる前に。勇者ではない俺を召喚してしまった国で殺されそうになったりもしたが それはそれで置いておいて。この世界で俺がどういう風に過ごしていたかを説明した上で 俺は俺が持っている能力についても、この世界に伝わる伝説とか、伝承に伝わっているとか、そう言う話も含めて、俺はこの世界で勇者となった少女に伝えた。

すると勇者の彼女は。

俺が持っていた剣に興味を抱いたようで

「貴方の使っている武器は。私の持っている剣とは、性能が段違いですよね」と。勇者の彼女は、俺の手元に目を向けていた。俺も確かに 自分の持っている勇者の武器を、この世界に来てすぐには使っていなかったが 今では勇者の力を取り戻してから 俺の持っているこの勇者の武器は。

俺の世界では超一流の素材で作られた 最高の武器となっているのだ。勇者の彼女が、この世界では最強レベルの実力者で。魔王と戦う為に 鍛えられた特別な力を、惜しみなく発揮できるようにと作られた。

勇者がこの世界に現れた時に使う。専用装備。それがこの世界に存在している。俺の持つこの武器は。勇者専用装備と呼ばれている武器であった

「この武器を使いこなすことができてこそ。本当の勇者になれるんですよ。貴方のように勇者に成りたての人でしたら、この勇者の力が込められた専用装備を使うことが、一番、効率が良いのです。私が、この世界の勇者の力を手に入れて、勇者の力を扱うことができるようになるまでには時間がかかりましたけど。それでも。私でも、それなりに扱えていますし、だから私は、魔王を倒す為には勇者の力と。そして専用の武具を使う必要があると考えていました」

この世界の魔王に対抗できるような強さを持った存在でなければ。この世界を救いたいと思えないと。勇者が言っていた。そういえば 勇者と出会ってから暫く経つが 彼女の方は、俺の勇者の力を。どうやって手に入れることができたのか。詳しいことをまだ聞かなかったが。彼女も。何かしら事情があるのか? まあいいや。俺も俺で勇者の武器を持っているが。それを使って戦うのは。まだまだ未熟な俺だ。

俺の勇者の武器は凄まじく強力な力を保有しているからな。使いこなせるようになるまでにかなりの時間がかかったのを俺は思い出す 勇者の力を手にしたばかりの頃の俺はまだレベルが低すぎた。今なら問題ないだろう。俺は、俺自身の勇者としての力が、どれだけ強くなっているかを実感できていた。俺の勇者としての力で、俺が扱える勇者の力は、勇者の力を宿したアイテムだ。それを身に着けることで勇者の力を扱いやすくなる そして勇者の力を手に入れた俺は、その力を扱えるだけの力を身につけた。

そのおかげもあり、今ではこの世界の王と共に行動している。王の側近の騎士も。勇者の力を手にする前は、勇者の力を扱いきれずに苦しんでいたらしいのだが。俺と同じで。俺に勇者の力を譲渡したことで。今では俺と同じように、勇者の力を使っているみたいだ

「お前さん。ワシらがこうして話し込んでいる間に。勇者の奴のところに向かって行けば良かったんじゃねえか?」俺の隣にいた爺さんが、唐突に俺に言ってきた

「そうしたかったんだけどな」俺がそう言うと

「勇者殿と旅をしていたら。いつの間にか。あの子はこの国の王様に気に入られてしまったからな。下手に動けば、勇者殿と揉め事になる可能性だってありえるし。それに。勇者殿は俺のことを信頼してくれているようだから。今は。勇者殿とこの城の人達に気づかれないうちに、城から出た方が良いだろう」

この世界には。勇者である彼女が 魔王を倒す為に必要とした仲間が存在するのだが。勇者は俺以外の仲間には興味がないようで 彼女の方から。魔王を倒しに行くために 旅をするのには協力してくれたのだけれど。俺の仲間にはなりたくないみたいなのだ

「まあ。勇者がこの城にいることを知っている者達は限られている。この城内にいる人間達で勇者がどこに行ったかもわからない状態であれば、多少、怪しまれてはいるかもしれないだろうが。勇者殿が城を出ていると。知っている者も少ないはずだろう?」

俺とこの世界の王は。そんな会話を繰り広げていると

「おい。そこの男。ちょっと待ちな。お嬢様からお話は伺っているよ。その女の仲間に加わらないつもりなのかい?」

そんな風に。いきなり話しかけてきたのは、この国のお姫様 この国の王女だった

「俺の事を言っているのか。俺はこの国の勇者に。魔王と戦って欲しいと頼まれたんだ」

「あんたがこの国の勇者様のお誘いを断ったから、勇者様はお怒りになられているようだよ。お姫様としての立場を考えて欲しいもんだ。この国の王族の一人としては、勇者として魔王退治をして貰うための準備もしてあげているってのに、断るなんてさ。勇者様が可愛そうだ」と、お付きの人が 俺のことを睨んできて 俺は思わず後ず去る 勇者に勇者としての力を与えたこの世界の冒険者は 俺に魔王と戦えるだけの力を与えてはくれたが。それ以外のことは。何も教えてくれていない

「なんだよ」俺はそう言ってからこの場から逃げ出そうとするも 俺は腕を掴まれてしまう

「逃げることはないだろう?この国の英雄であり。最強の力を手に入れた男じゃないか。あんたの力は。間違いなくこの世界でも最高クラスに位置するものなんだから。少しは私達に協力してくれると嬉しいのだけれどね」とお付きの人は そう言ってくる

「悪いが俺は勇者の味方をしているだけだ。勇者のやることは俺にとってはどうでもいいことだからな。勇者と一緒に行動する義理はないし、俺の目的はこの世界の魔王と呼ばれる存在に対処することであって、別にこの世界の為に魔王と対峙する訳ではないのでね」と 俺はこの世界のために動く訳じゃない あくまでも、俺は俺の為だけに動いているのだから 魔王との戦いに備えて 俺は色々と調べ物をする必要があった 勇者と魔王が実際にどんな風に戦うことになるのか、その戦いを見守るためには、どうすれば良いか 実際に戦ったことがあればわかるかもしれないと思ったから、勇者が実際に魔王とどう戦ったのかという事を知るために まず俺はこの国の勇者である彼女に連絡を入れてから。この国の勇者と実際に話をする機会を設けることにした。俺は勇者の関係者という立場であるし。この国の王からの信頼を得ている立場でもある。なので。勇者が俺の頼みに応じてくれて 彼女と直接話ができる環境を作ってもらうことが出来た この国の王と勇者との謁見が無事に終わると 勇者の案内役に選ばれたメイドに、俺は勇者の元に向かうように指示を出すと俺は王との話し合いを終えてから勇者がいる場所まで移動を開始することにした そして 俺は勇者がいる場所に辿り着くことに成功したのだが 勇者である少女の姿を見ると同時に この世界では珍しい俺の持っている刀に興味を示すのであった

「貴方が。貴方こそが、勇者様が仰っていた私の新しい仲間の勇者様に間違いはないですよね」

彼女は俺の顔を見て そう言い放ち 俺はそれに対してこう言った

「勇者に言われたのですか。この世界に呼ばれた俺に。魔王を倒してきてほしい。そんなことを頼んできたのは貴方でしたね。俺にその期待に応えられるような能力がないことを知ったら。失望しましたか」と俺が言うと 彼女は

「いえ、私の勇者は貴方だけではありませんので。魔王を倒す為には勇者の協力が必要なんです。貴方が協力してくれないとなると困るのですよ。魔王と相対するために」と彼女は答えた。それから

「それに。あなたと貴方の仲間の方々は 魔王と対等に戦うことができますし。私の見立てでは 私と同等以上の強さを、既に手に入れているようにも感じ取れましたからね。勇者が貴方を信頼するのは当然ですよね」と言ってきた。

そして彼女は俺に自分の持っていた武器を手渡してきてから。「これを受け取ってください。そして。貴方はこの世界で。私が手に入れたこの力の扱いをマスターしてくださいね。この世界には魔王と戦う為にやってきたのですから。そのついででいいですから。魔王とも。この力で戦ってくれると、こちらとしても助かります」

俺の武器よりも かなり強力そうな代物を受け取った俺 勇者の力を手にした俺は この世界の最強の存在にでもなったかのように思える程。圧倒的な存在感を放ち この世界に存在している。他の人間との力の差を見せつけられた この世界にやって来た勇者は 本当に魔王に勝てる力を持っている

「俺は、これから仲間になるつもりはない。勇者が仲間にしてほしかったら、魔王を倒しに行けるだけの力が自分に備わっているか、試してから。俺に声をかけてきてくれるといい。それができたのなら。俺もお前に協力するつもりではいるから」俺の言葉を聞いて勇者は この世界の王へと目を向けた。すると

「お、おう。わかったぜい。そ、そういえば。ワシら勇者に、協力してくれていた者達の何人かが、勇者の力が宿っている装備を身につけて、この国の外に出てしまったらしいぞい」と王が俺に向かってそんなことを告げてきた 俺に渡してきた武器は 勇者の力を秘めた特別な品だったようだな この世界に存在する武器の中で 最強と呼べなくもない武器だ 勇者の力を手にしたからなのか。俺が身につけている勇者の力は俺に更なる力を与えてくれたみたいだな

「俺は勇者の力を手にしたが。俺の仲間たちにはこの世界を救うとかそんな考えは全くなくてな。この世界を救いたいとは思っているんだが。俺の目的を果たすための行動を優先する。それでも。この世界を救うことができると思うなら、俺はお前達に力を貸してやっても良いと思っている」俺がそう言うと

「魔王を倒すために必要な仲間はもう足りているんだけれど。私の仲間になりたくないと言うのなら。無理強いするつもりはないので。私は諦めましょう。そして。魔王討伐の為には、勇者が魔王を倒したという証拠を残すために。この世界に魔王が存在していたということを残したままにしなければならないでしょう。それならば。この国に眠っているお宝を手に入れるべきですね。私達の目的のために」勇者の表情からは、俺に対する不満のようなものは見受けられなかった だが、何かを隠していることに 俺は気がついていて。そんな彼女の態度に、違和感を覚えたのであった 俺は勇者に、この国に伝わる秘宝についての説明を求めた

「勇者殿から話は聞いています。この国の宝物庫の中には この世界を滅ぼすことが可能な力を持つ。秘宝が存在しているという話でしたよね」俺がそう言うと この城の警備を任されていた兵士達が集まってきて 勇者に対して「何を勝手に決めつけようとしているんだ。勇者様はそのような事を我々に伝えた覚えなどないだろう」と言い放ったのである

「いや。勇者様から直接聞いたんですよ。そう言えば。その話には続きがありまして。なんでも。世界を支配することが出来る力を、この世界から無くしてしまった存在がいるらしくて」と、俺の事を指差して兵士にそう伝えると

「なっ、ななな何を根拠に。嘘をつくな!」

と、その兵士は動揺しているようで 俺の事を信じていないみたいだったのだが。「この城の中にある。あの剣。あの聖剣と呼ばれる伝説の剣を、手にすることができる人間が現れない限り、この世界には危機が訪れないようになっているはずなんだけど。私の仲間になってくれるっていう人が、あの力を持っていなかった場合、どうしようかしらね」と勇者が呟いた瞬間 俺が身につけているこの国の国宝の一つでもある。聖刀が 突然光り輝いていた

「え? これってもしかして、貴方が?」勇者が俺の顔を見てそんなことを言う

「これは、勇者が持つと言われている。聖剣なんじゃないか?」と俺が口に出すと、周りにいた兵士達が「お、おおおおおおお、おいおい、おい、おい、おい。ちょっと待ってくれよ」と。大慌てで勇者の元に駆け寄り、そして俺に襲いかかってきた 俺はそんな彼らの攻撃を難なく避けてから、この場から離れる 俺を殺そうとした奴らをどうするべきか考えていると この部屋の外から 誰かがやってくる音が聞こえてくる 俺は 扉の前に移動して。警戒態勢を取りつつ 扉の外にいる人間と対面することを決めた この部屋の中に 兵士が入ってきたかと思えば

「おい。そこにいる男を捕まえろ!早くしないか」

そう命令してくると。部屋に入ってきた人間は、俺のことを睨みつける

「この国の王に呼び出されてやってきたのだが。何故俺がお前のような人間の相手をせねばならんのだ」そう言ってくる相手の正体は、王の側近を務める者の一人である、宰相である人物であったのだ 俺はそんな彼を相手に、この国の現状を説明すると「貴女は何を言いたいのでしょうか。この国は確かに危機に瀕しております。なので、貴女の望みを叶える為に必要なものを差し出すことは可能ですよ。ただ、私達の国の王は 私達と取引を行う前に、勇者と話をしたいそうで、その為の時間を作っていただけませんかね。それと 先ほどは貴方の大切な人を殺してしまい。すいませんでしたね」

そう言い残し、その場から離れていったのだった

「さっきの人は誰なんだ? 知り合いか?勇者様」

俺は 彼女に、今の男が何者か尋ねたのであった。すると彼女は「私の命を狙う敵で、私が持っているこの国の国宝を狙ってきています」と答えたのである この国の国宝。それは一体どのような物なのか俺は知りたくなって そのことを訪ねたのだが「そのことについて説明は後回しにしてもらえますか。まずは勇者と話し合いをするべきだと思うのですよ。この国を守る為に協力して欲しいのですから」と 彼女はそう言ってから。「それにしても、私達は貴方に迷惑をかけてばかりで、申し訳ないと本当に思ってるんですよ。貴方を騙すような形でこの世界に連れてこてしまったこともですし、勇者の力を与えてあげても、まだ信用していないのか。協力を申し出てくれないし、私の事を見下すような発言をしますし」と言ってくる そして、勇者である彼女は、俺の事を抱きしめるのだった 勇者は、俺の身体をギュッと掴むように抱きつくと「私が魔王を倒してからでも。貴方が魔王と戦っても構いませんからね。この世界に魔王がいたということを証明してくれる存在さえ現れれば良いのですからね」と言ってから、「勇者の力を得た貴方は。この世界で一番の実力の持ち主になることができますから。私の勇者様」と言って、微笑んでいた 俺に抱きしめられても嬉しくもなさそうな彼女は この世界で魔王と呼ばれている存在と。俺に倒してほしいのだと、魔王と戦わないといけない状況に陥ってしまった。だから この世界を救えるだけの戦力を持つ俺に声をかけたと言っていた 魔王がこの世界のどこで眠っているかは分からないし 魔王に狙われないように。勇者の力で身を隠せるようになるまでは。勇者と行動をともにした方が良さそうだと俺は判断すると「勇者の仲間になったわけではないけど。しばらくの間は一緒に行動することにするか」そう伝えて。俺は、俺に近づいてきたアリサを仲間として。この城に滞在することを選んだのだった この世界は今。大きな危機に直面していて、この世界の魔王は復活する寸前にまで追い詰められているようだ。そんな状況の中、この国に居る一人の男によって。勇者の力を持った俺は、魔王との戦いに備えるための行動を始めることにした

「勇者の力を手に入れた貴方ならば、魔王と戦うことが出来るかもしれませんね。魔王を倒すために 貴方が勇者の力を身につけたことは分かりました。それでこれからのことですが。この国に存在している宝物を手に入れるべきですね。そして、魔王が復活したことを人々に知らさなければならないと思うので、そのための証拠を残しておく必要があると思います」と勇者は そう言って俺に向かって。魔王が眠る宝物庫に入る為の 特殊な鍵を渡すのであった

「魔王は眠りについているから、この国から脱出する方法はないかも」勇者が、そう俺に向かって呟くのだけど そんなことはないだろうなと思った 魔王を復活させようと動いている存在は確かに存在するから この国にも。その組織の人間が潜んでいるかもしれないと考えたのである

「勇者がこの世界を救う気がないんだとしたら。どうして俺が勇者に協力的なのかを考えてみるんだな」と俺が答えると勇者は 黙ったまま。何も言わずに俯いてしまう 俺は勇者が 何かを隠していると感じ取っていた 何かを誤魔化そうとしているという印象を受けてしまったからこそ、勇者はそんな風に考えてしまったんだろうと

「なぁ 勇者様よ。もしもだぜ。この世界の人たち全員が勇者の力を求めているんだとしたら、この国に存在する全ての武器を勇者が集めた方が良いんじゃないのか」

そんな俺の言葉に「それでは駄目なんでしょうね。貴方には、もっと強い武器の方が良かったのでしょうか」と、少し落ち込んだ様子を見せながら俺の事をジッと見つめてくる

「俺は、強い武器よりも、強い力の方がありがたいぜ」

「なるほど。それなら魔王を倒してくれるんですね。約束は守って下さいね」と。そう言い残して この部屋を出て行くと 俺のことを一人置いてけぼりにするのだった この部屋に置いて行かれた俺の元に、兵士の格好をした少女が現れる

「あの、勇者の連れのお兄さんですか?」

「ああ、そうだが」

俺がそういうと。目の前にいる彼女の顔が曇っていくのを感じる

「あー、まぁ、勇者に頼まれてるんでね。君たちの目的を果たす為の手助けはするよ」

「え?じゃあ、私達と一緒に行動してくれても良いということですよね?」彼女が確認するように問いかけてきた言葉に「そうだよな?」と言い返してみると、兵士の姿をした少女の顔が明るくなっていくのだが「とりあえずさ。ここの部屋から出たいんだよね?俺につい来てくれないか」俺はそんなことを言いつつ、この部屋から出ることにしたのだ。だがしかし、その途中で、俺はある人物に出くわすことになってしまう。それが誰かと言えば、先ほどの勇者に襲いかかってきていた宰相の男であった この部屋の中で何が起きたかといえば 俺に対して攻撃を仕掛けてくる兵士と思しき者がいる部屋の中に俺は飛び込むことになるわけだが、そこで見た光景とは 兵士達に襲われそうになっていた女性が 必死に抵抗する中で、なんとかこの部屋から抜け出そうとする姿だった。俺はそんな女性の背中を押し出すと、兵士に攻撃されそうになったのである 兵士の攻撃を回避しながら 部屋の中に入って来た男の顔を睨みつける この男を俺が倒したところで、兵士達が諦めてくれるとも限らないのだし、この場での戦闘は避けたかった 俺がこの部屋にやって来てからは、兵士達の表情が変わったように思える。兵士達はこの部屋にやって来た俺の事を見ながら 困惑の表情を浮かべるのだが そんな中で、俺が 宰相と対面している女性に向けて。俺の後ろに逃げろと指示を出すと 彼女は素直に従ってくれたのだが、この部屋から出ていく気配はなくて俺に襲いかかってくる兵士の攻撃を捌いていると 俺の横っ腹に拳をぶつけようと考えていたと思われる兵士が俺のことを攻撃するので俺はその攻撃を避けつつ そいつに一撃を食らわせると、そいつは俺の顔を見た後に 俺の背後へと向かって行き、部屋の中にいる兵士たちの視界から外れようとするのだが それを見越していたかのように俺の背後にいる兵士が、そんな彼女を捕らえようとしていたので俺は そんな兵士の顔に肘打ちをお見舞いすると

「うぉおおおおお、俺達のことを忘れて貰っちゃ困るな」と言ってくる兵士と 俺は 戦うことになったのである

「お前が魔王を目覚めさせるつもりなのか。そうはさせないぞ」そう言ってくる兵士に俺は、「魔王を復活させるために、何をするつもりなのか」と尋ねてみると

「お前なんかに教えたくないな」と答えてくれた それからも 戦いは続いていき。結局 兵士の連中に負けてしまった俺 それからというもの 俺は 気絶させられた状態で この城の地下に閉じ込められていたのだった 勇者様から貰った。この城の地下に眠っている。お宝を探すためには鍵が必要だから どうにかしなければと思ったのである 勇者は、この国の地下には、勇者が持つ鍵を使わなければ入れない特別な場所に、この国が大切にしている国宝が存在するらしいのだが、それは何処にあるかまでは分からず、その場所を知るための鍵が必要なんだとさ。俺はそう思いつつ 勇者の言い残した この国の地下について考えることにすると もしかすると。俺がこの国に訪れた際に、女神様に頼んでもらった。魔王に関する情報は。この国の国宝の情報だったのだろうか?なんてことを考えたりしたが 魔王の復活を阻止するための方法が分かる情報なのか もしくは、魔王の居場所を特定することができるような。魔王復活を阻止することが出来る情報を俺は知らないのだと改めて実感した 俺達がこの世界にやって来る前には、俺達は魔王をこの世界で眠らせていたという話は聞いたことがあった この世界に魔王を眠らせるための方法としては 異世界からの勇者を呼び出して 魔王に戦いを挑ませる。そんな手段を取ることによって、この世界の住人に被害を与えない形で魔王を倒そうとしていたんだとさ だから俺は 俺と同じようにこの世界にやって来た異世界からの客人と協力して 魔王を倒すことが、異世界からの客人の使命だと聞かされている この世界の人達が 魔王を倒した後。この世界の平和を乱さないようにするために、この世界の人々の中から。新しい魔王が生まれるような事態を避けるために、魔王を討伐した後は この世界の人々が新たな魔王を生み出すことの無いようにするための対策が重要だと言われている。

そんな話を思い出した俺は 俺に話しかけてきた女を仲間として受け入れたのだった この国に魔王が眠る場所を探しに行くにあたって 必要なものを手に入れなければならないと考え まずはこの城の中の資料室を訪れることにして、資料室の扉を開いた。

「おい 勝手に他人の家に入られてしまっては困るんだけど」そこに居たのは この家の主人らしき人物が座っている椅子の隣に座っている少女の姿があったのだ

「悪いけど。俺の用事があるのはこの部屋だけじゃないんだよな」と 俺は答えてみせる それから俺は資料室内を調べ始めたのである。この部屋に存在していた資料の数々を調べることで魔王が封印されているという情報が手に入るのではないかと考えたからだ。それには時間がかかってしまうだろうと思って、資料探しをしていたのだが 隣にいるメイドさんが気になって仕方がない。この人はいったい誰なんだろうと思いつつも俺は彼女に話しかけることは無く黙々と資料に目を通し続けた 俺の予想が当たっていたならばだが 魔王が眠っている宝物庫に入る為に必要な特殊な鍵が、この部屋のどこに置かれているかさえわかれば良いと思っていたんだ だがしかし そんなに甘くはないようで、俺は結局 魔王についての資料を発見することは出来なかった 俺としては、魔王に関しての資料が見つかればいいなぐらいの考えしかなかったんだけどさ ただ 俺が見つけたいと望んでいる資料は見つからないままに時は流れていってしまっていくわけだが、それでも、この場所で得られるものは他にもあるはずだと そう思っていたわけで俺が見つけたいと思っている資料をこの部屋では見つけられないということだけは分かったのである。そして俺は、別の資料があると思われる場所に移動しようとすると 隣の部屋に続くドアが開くのであった。そこには、この屋敷の執事服を着ている男がいた 俺はその男を 初めて見る顔なのだと気付いたのであった

「あー、君が 私の娘をさらった張本人だな」そう言って俺に詰め寄ってくるこのおっさんが。俺をこの家に閉じ込めて。娘を誘拐した犯人だと断定するこの男の言っていることを信用することは 出来なかったので、この男を問い詰めたら 案の定と言うべきか この男が俺が魔王の眠る場所を見つける為に欲しいと考えている情報を。この男は持っているみたいだったから 俺はこいつを利用する事に決めて、この男と交渉してみることにした その交渉の内容とは 俺とこの男との話し合いの結果。お互いにメリットのある結果をもたらすことができたようで、このおっさん。俺の提案を受け入れてくれるようだったので 早速 俺は 目の前の男の言い分を 信じ込む振りをしてみたわけなんだ

「あぁ、俺のことを勇者と勘違いしていたこの子のことだろ?」

俺の言葉に 目の前のこのおっさんが「貴様は勇者の関係者ではないのか?」と尋ねてきたのだが

「勇者は俺の友人なんだけど、あいつとは何の関係もない」

俺が 嘘と本当の事を混ぜ合わせながらそう答えると おっさんの表情が 険しい表情に変化して行くのが目に見えてわかったのだが この人が、娘の事が心配で仕方がなかったからこそ、こうして俺の前に姿を見せて俺に質問してきたのであろうが 残念ながら 俺にそのつもりはないのだ 俺が おっさんと話し合っている最中。俺が この部屋から出ようとすると それを見たおっさんは「待ってくれないか」と俺を引き止めようしたのだ そんな 俺の目の前にいる この家の主であるはずのこのおっさんに、俺が何を求めているのかといえば 魔王が眠りについていたとされる。その時代のこの国の状況。また 勇者に狙われることになった。その原因となった出来事の詳細について教えて欲しいと言ったわけだが、当然だが、このおっさんに話すわけにはいかないことがある 俺には時間が必要だったんだ。この国の宰相に 娘を返してくれと言われた時のこと。

この国を治める国王陛下から直々に 魔王を復活させようとしていて それが失敗した場合は この国が魔王の力によって滅ぼされてしまうと知らされた俺は この世界に存在する国と国を隔てる大きな壁。それが存在している理由について 詳しく知ろうと考えてみた結果 この世界にやって来た 異世界からやってきた勇者と呼ばれる人間達の存在が問題になっているのではないかと考えついた俺は 俺と同じ境遇に立たされることになるかもしれない者達のことも考えてやる必要があるだろうと思えたわけでもあって 魔王の復活を阻止するために行動する必要があると考えた俺は魔王の復活を阻止するためにはどうしたらいいのか。その方法を知りたいと思ったのだ それからしばらく 俺はおっさんとの交渉を続けていきながらも、情報交換をするのだが 俺は 魔王復活を阻止する為の鍵となる物がこの国の城の地下深くにある宝物庫の中に眠っていると聞いていたのだが。その宝物庫を開くために必要な物を手に入れるためにはこのおっさんから鍵を奪い取ればいいのか?と尋ねてみると 俺の問いかけに対して このおっさんが俺が知りたかった鍵のありかを知ってるみたいな感じなので、この鍵はどこに存在しているのかを教えてもらったんだが、鍵を手に入れたとしても簡単には 宝物庫の中に入れさせて貰えないんじゃないかとも思ってるんだよな。

だって 普通だったらそう思うじゃんかよ。だからさ俺に協力してくれないかなと頼むことにしたのだった。そうしたら意外にもこのおっさんが俺に協力してくれると言ってきたわけだから、とりあえず俺はこの人の言いなりになるふりをすることにしたんだよね

「なぁあんたが持って来てくれた資料によると 魔王が復活した時代に存在していた国は、確か4国くらいしかなかったはずだけど、その中で特に厄介そうな存在と言えば」俺は、資料を読み漁り。

その中から 魔王に関する資料を俺に渡してくれたこの城の文官の男に向かってそう尋ねたのだった すると、彼は。俺の言葉を待っていたとばかりに。自分の口から答えを述べてくれようとしていたのだが 俺はそんな彼よりも先に。魔王について記された。この国に存在する資料を読んでいくことで この国の地下に存在した魔王が眠っているとされる宝箱の鍵。その鍵について記されているページを発見することが出来たのである。そして俺は、この鍵の入手のために協力して欲しいことがあると伝えることにした それはつまり。俺が今求めていることを伝えることで 俺に鍵の情報を提供してくれた男と取引きが行えることになるので、この男には 俺の頼みを聞いてもらうことにしようと思う まずはこの男が持っている鍵をどうにかしなくてはいけないな この国の地下に封じられているとされている。宝物庫の中には魔王に関する情報が書かれた資料が置かれている場所があるらしいのだが、そこを開けることが出来る特殊な道具が存在していて その特別な武器を手にすることが出来る人物のことが、魔王の力が封印されているという場所に書かれているらしいのだが、この世界に訪れたばかりの異世界の勇者達が手にしている。神剣と呼ばれている特別な力を宿している武器の1つに勇者が手にするべき。魔王の討伐に必要な。神器と呼ばれるものがあって それを勇者が持つ事で 魔王に挑んでも負けないようにするため 魔王の魂が封じ込められていると言われている宝物庫を開放するための鍵。その鍵は勇者しか手にすることが出来ないようになっているんだと まぁ、そういう風に書かれていたんだけどね それからしばらくの間 俺は目の前に居る男の話を聞くことにしていた この男の話では 宝物庫の中には魔王に関する情報が眠っているので その情報が眠っていると言われる 宝物庫に足を踏み入れた者にしか見ることの出来ない。特殊な仕掛けが施されている資料が存在しており それらの情報を保管していたとされる部屋がある この城の地の底。地下深くまで潜り。この城の中心部に存在する部屋を目指すと そこには 俺が探し出したかった資料が眠っている。俺が求める。

その資料を手に入れる為に 俺に協力してもらいたいと男は俺に伝えて来た そんな男に対して。俺は「魔王が眠るという。その資料が収められている場所には。魔王を倒すために必要な装備が収められてたはずなのに、その資料に目を通すためだけの扉が存在するだけで。資料が保管されていた部屋の奥の方には魔王と戦う為の特殊な設備が用意されていると聞いているけど、その場所が分からないんじゃ。資料を見る為だけにそこまで移動することは出来ないだろう?」と言うと 俺の話を聞いたこの男は少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐに冷静な態度に戻る事に成功していた。それから、男は「どうしてそんな話を」と口にしてみせたんだ。そんな男に対して「別に深い理由なんかは無いんだけど、俺が聞き込みを行った際に手に入れた。とある噂話を思いだしただけ」俺はそう言う この男は、魔王の復活を阻止したいと考えている連中から。命を狙われており 魔王の復活を目論む。魔王軍から狙われている。そんな奴等と繋がりのある可能性が高い男であり その魔王復活を企んでいると思われる組織が、この男が持っている。鍵が欲しいと考えている可能性はあると思う。そんなことを 俺は思いつつも、この男が持っている 鍵をなんとかしたいと考えた結果 この男の持っている鍵を手に入れて。俺が欲している資料が存在している部屋の前まで向かう必要があると考えた

「ところでだけど、君の名前を聞いても良いかな?」と この男の名前を聞こうとすると、男は俺が口にした「名前を教えて欲しい」という要求に答えようとしたのか 自ら。自分の存在を。名乗ろうとしてくれた

「私は レイジリー だ。君は私の娘を誘拐して、その挙句 その身柄を引き渡してくれる気がないのならば。その前に 私の娘を君から取り戻すことにする。そして 私がその気になれば 君に復讐することもできるということを覚えておけ」と そう言ったので 俺はその言葉を鼻で笑うことにした。俺がそんな反応を見せると、このおっさん。レイジーリーは怒り狂った様子で俺に掴みかかろうとしたのだが、俺に危害を加えるのを良しとはしない。とでも思ったのか?おっさんの身体は動きを止めてしまう そんなことを俺が行ったせいなのかどうかは分からないのだが、おっさんが急に立ち止まる事になったから 当然のように バランスを保つ事が出来なかったのか?おっさんの体勢が崩れてしまったわけで その結果 俺に殴り掛かろうとしておっさんの体重移動により 倒れそうになる事になるのだが そのおかげで、おっさんが持っていたはずの あの本のような何かが地面に落ちていく光景を確認することが出来ていたわけなのだが、俺の目が間違っていなかったら。その落ちた物には 何が書かれているんだろうかと思ってしまったのだ。だから、俺もおっさんと同じようにしてみる事にしたのである それからしばらくした頃だった

「おい あんまり調子に乗るなよ?こっちは人質を預かっている側だってことを忘れるなよ!」と言いながら、娘である。リシアを 連れ去った 俺を恨めしそうな表情をしながら睨み付けてくるこの国の王の姿がある どうやら俺は このおっさんの娘を人質にすることで、俺が望む。魔王の資料が眠っているとされる部屋に続く。隠された扉の鍵を奪うことに成功したようである このおっさんが俺から情報を聞き出そうとしてきた時に、もしも娘が死ねば。もう二度と娘には会えなくなるだろうとか何とか 脅しをかけていたのを思い出した俺は、俺の視界から消えようとしている。娘を連れ去った この国の王の後を追い掛けることにしたのだった。俺が おっさんの後を追うために、駆け出したのを見てか、俺を追いかけようとしてくる男がいたのだ。その男は俺に攻撃を仕掛けてきた。しかし 俺に攻撃をする事が出来たのは最初だけで、俺はこの国で手に入れることの出来た。特殊な武器を握り締め。俺はその剣をこの場で使いこなすことが出来るようになったんだが その効果を 俺は早速試すことになる 俺は剣を振るうと 俺がこの場から逃げ出すために。俺の事を狙っていたその男の背後へと一瞬で近寄ることに成功していた。そして、この俺の攻撃を回避することが出来ずに受けてしまったのか?男はその場から動くことができなくなっていたので 俺が男を蹴り飛ばすと この国の王は「まさか お前は」と口にしながら、その場に倒れる。俺に向かって 何かを伝えようとしてたのか知らないけど、俺には 何を言っているのか理解することができなかったのだった。ただ このおっさんが。この国で一番偉い人物である事は間違いないらしく。俺に蹴られたことで 意識を失い。床に倒れ込んだおっさんに対して 俺はこのおっさんから。奪い取ることに成功した 鍵を懐に収める。

それから俺は、娘の救出に成功することができたのだが、俺はどうやらこのおっさんの娘と勘違いされたまま、娘と行動を共にしていくことになってしまう その出来事に後悔はないんだけどな。

俺は このおっさんが所持していた。鍵を手に入れるために おっさんの娘。その人物を拐う必要が生じてしまったのだが このおっさんの娘である。このおっさんと同じ髪色をしている少女を俺の手で攫うようなことは この世界に来る前の俺であれば、絶対に躊躇っていたと思うが 俺は この世界に転移させられて チートと呼ばれる。とんでもない力を手に入れる事に成功しているんだ。その力で どんな無理難題であっても。解決することが可能なので 俺は、この世界で生きる事になってからは、自分がやりたいと思ったことを 出来る限りやって行こうと決めたのである。そんなこんなで、俺が娘。リシアを連れて歩いている姿をこの城の者たちに見られてしまうと。娘が俺の手によって奪われた。そう思われることになるのは必然だったので そうならないように行動を起こす まずは俺のことを襲ってきた奴らをどうにかする必要があるのだが、俺はリシアの手を引いて 城の中に存在している図書館のような場所にたどり着く この場所なら安全だと踏んでいたからである。すると 俺が思っていた通りに 城の中には大量の書物が存在していて、その全てが貴重な文献になるのだが、その中には魔王に関する情報を記したとされる書物が存在しているという。それらの情報を保管していた場所こそ。地下に存在した宝物庫という場所に存在していたらしいのだが 宝物庫には特殊な鍵が使用されているため 普通の方法ではその鍵を入手することは不可能になっている しかし、その特殊な鍵を手に入れる手段が存在して、この城の地下に存在すると言われている 地下の宝物庫。

そこに侵入することが出来る特殊な鍵を手に入れることで 宝物庫の中にある 魔王に関する情報を収集する事が出来るらしい。と、ライオスから説明を受けていた。そして、その特殊な鍵を俺が持っているとこの男は言っていた。俺にその鍵を見せてほしいと この男が言って来たので、俺は素直に鍵を手渡すことにして それからしばらくして、鍵の入手に成功できたのか?この男は「ありがとう」と言いながら、俺に礼をしてくれたので この鍵を使ってみることにしたのである。

そして 地下へ続く隠し通路を発見する事に成功してしまい そこから地下に存在すると言われる。地下の書庫への入口を見つけることには成功する 俺とこの男が手に入れた特殊な鍵を使い。地下に存在すると言われる。地下の書庫へ向かう。

そこで俺が目をつけたのが、この男が所有すると言う。本に記されているという魔王に関する情報を確認すれば この城が抱えている問題を根本的に解決するための糸口を見つけ出すことができるのではないかと考えた。この城の中には 魔王を復活させようとする者達によって命を奪われそうになった。と、言うよりは実際に殺された。その可能性がある者が存在していたりするわけで その者が残したと思われる研究データも、書斎に保管されていたのだ それこそが魔王復活のための儀式方法についての記された書類であり そして、この男が所有していた資料には「異世界人の血族が持つ魔力を利用する事により。魔王を復活させることが可能であると結論に至った」と記載されていたので 俺は確信してしまったのだった。この男が持っている本に記載されてあった内容は、この男の書いた文章なのか分からないけど、魔王に関する重要な内容が書かれていた為。これは確実に確保しておきたいと考えたのである。そして 俺の目的は達成されたのだ その資料を手に入れたことで、魔王に関する情報を手に入れてしまったことにより、この国の問題を解決できる可能性が見出すことが可能となったのだが、そんな事を知らずにリシアを俺から取り戻そうと このおっさんの娘を拐った奴らが 再び襲いかかって来そうになっていたのだ。

俺に おっさんが所有している特殊な鍵を奪われたせいで、その鍵を使用し。俺を捕らえようとして 俺を捕まえることに躍起になり始めているおっさんの姿を確認したので、俺もこのままでは 面倒臭い事になってしまいそうだなと思い始めたのだ。とっさに考えた作戦としては、あの本を俺の力で強化させることが出来るのかどうか。それを試す為に実験を行いたいと俺は考えていたのである。

俺は懐に隠し持っていた鍵を取り出してみたんだ。俺はこの本に対して施されていた細工を思い出すことになる。この仕掛けを施した人物は間違いなく俺達とは違う誰かである。そして、あの男が持っている特殊な本が俺に奪われたことで、その所有者である男が怒り。俺を襲ってくる。

そのような未来が見えたので、この男の娘。この国で最も偉い人間の娘を人質に取って、こいつから本を奪い返してみる事にする。

そうして 俺はこのおっさんから奪い取ることが出来た特殊な鍵を利用してみようとしたところ、おっさんから 娘を取り返すことに成功する おっさんの娘はおっさんが俺に向かって何かをしようとして おっさんが俺に向けて攻撃を放った結果。俺は 娘を助けだすことに成功した それからすぐに俺は 娘と一緒にこのおっさんが保有している特別な本の中に記載されているはずの魔王に関する記述が記載されているページを探し当てると そこには おっさんが所持していた特殊の鍵を使用する事で その先へと進めるようになっているので、そのページを俺は開いてみることにする。しかし、俺が手に持っていたはずの特殊な鍵は何処かに行ってしまったせいで手元にはないのだ そのおかげで、俺は今にも おっさんに襲われようとしている この場を何とかしなければいけなくなったのである。おっさんに殺されないようにするためだ。とっさの行動で俺はあることを思いついたのだった。おっさんに俺の力を認めてもらうにはどうしたら良いのか?そんな風に考えてみて俺は 俺は懐にしまっていた本から おっさんが所有していると思われる鍵を取り出す事にしたのだった。

それから おっさんに向かって俺は攻撃を仕掛ける。もちろん、おっさんの娘を俺の手で救い出して、無事にこのおっさんから逃げ出すことが出来れば、それが一番理想的なんだが このおっさんに捕まってしまった場合は おっさんに俺を生かすつもりがなさそうなんで 仕方がないと言えば それまでなんだが。俺のことを殺しにかかる。そう思ったので 俺がおっさんに仕掛けた方法はこうだった。俺は懐に仕舞っていた鍵を手のひらに乗せて そのまま握りしめるようにして 俺は鍵を粉々に砕くことにしたのだ。俺が鍵を握り締めたことを確認すると、俺はおっさんの顔面を思いっきり殴ってやった。

その結果。俺が鍵を握力で粉砕したことにより。俺の手の中には、おっさんに奪われてしまっていた俺の物じゃない。この城にある書庫で見つけ出した。その鍵があった おっさんは、俺がこの場で作り出した拳を見て驚愕していたが それは おっさんにとって とても恐ろしい光景として映っているようで、俺が殴りつけただけで おっさんはその場に崩れ落ちるように倒れてしまう。それから、意識を失いそうになっていた おっさんに止めの一撃を放つ。

このおっさんが持っている本に記されていた魔法を おっさんが所持していた特殊の錠を用いて発動させることにより、俺が行なっていたことを理解することができたのかはわからないけど おっさんはその場で気絶してしまった。そんな出来事を目の当たりにした娘であるリシアは恐怖のあまりに動けなくなっていたのだが そんな娘に対して俺は「俺が怖いのか?」と問いかけてみたところ、リシアからは何も反応がなかったのだが。俺のことを信用してくれるのか?それとも 何も答えずに ただひたすら涙を流しているだけの娘 俺はリシアを自分のそばに引き寄せると、その涙の意味を知りたくなってしまい。リシアのことを優しく抱き寄せていた その出来事が原因で娘に懐かれてしまい 娘を連れて行動する事になるのだが俺は特に困らなかった そして俺は娘と共に行動しながら地下に存在する書庫で手に入れてきた本の解読を進めていくことになる。そして娘と行動することで、俺はリシアのことを徐々にだが知っていくことになっていった。最初は言葉すら通じなかったが 少しずつではあるが、リシアのことを信頼することにも成功していったのであった。だからな リシアも安心できると思ったのか。彼女は自分の名前を口にするようになったんだ。それで、俺も彼女に名前を付けてあげることにしたんだが リシアからの提案によって お互いに名前を交換することになり、それからは リシアのことも信頼するようになってくれたみたいで それからしばらくしてから、俺は魔王の復活に必要な条件とやらを理解することができてしまったのである。

まずはこの国に眠っているとされる。魔王が復活するためには 勇者が魔王を倒せるだけの力を秘めた剣が必要になるらしい。そして勇者を誕生させるための儀式には、特殊な薬が必要になってくるようだ。その薬とは「人の体の一部」が必要なんだが おっさんの娘である。この城の姫君が持っていた髪の毛の一部を魔王を復活させるために必要となる特殊な薬品を作成する際に使用して 儀式の生贄に捧げて、さらに特殊な魔法陣に リシアの髪の毛を使用することによって 勇者をこの世界へと呼び出す準備を整えているらしいのだが、肝心のこの城で保管されていた特殊な鍵が 何者かの手によって持ち出されてしまっているという情報を手に入れてしまい その情報が記された本が おっさんが所有していいたものだった。と、なると。当然のように。この国を支配する国王でもあるおっさんの父親が怪しいと俺は考える。

なので俺はリシアから教えてもらった。地下の書庫にあった本に記載されている内容を参考にすることにした。この城の書庫からリシアを救出した際に、地下に存在すると思われる。その場所に俺達が辿り着くまでに、何度か襲撃を受ける事になったんだけどね。そのせいで娘を連れ去られてしまったりする展開も起きてしまったわけだが、娘を連れ去ったのは娘の命を狙う連中であって、娘は俺のことを頼りにしてくれたので良かったと思っているよ それから俺達は娘を奪還するべく行動を開始したんだが。俺の予想していた通りに、おっさんは地下の宝物庫から「とある特殊な書物」を持ってきてしまったせいで、この国の王様は、この国から姿を消すことになりそうだ。そしてこのおっさんは、その特殊な道具を使用してしまい 俺が地下の書庫で調べ上げた内容を確認しようとしていた。その最中。地下の書庫は この国の王様が所有する。特殊な武器が侵入者を排除するために使用するトラップに引っかかってしまっていて 地下の書庫は崩壊を始めていくので、俺は急いで この場所から抜け出す事にしたのである。

そうして 俺はリシアと行動を共にしながら地下の宝物庫へと向かい そこで魔王に関する情報を手に入れることが出来たのだが。それと同時に。俺の目的のためには必要だったと思われる鍵を入手したのである 俺はその書斎から、娘と一緒に逃げ出すことに成功した俺は。おっさんの所有する鍵を使って城の中に存在していた秘密通路を使用して脱出することに成功する。その際にリシアにはこの城から離れるように告げて、彼女には安全な場所で身を潜めていて貰うようにした。そうすれば俺が戻ってきた時には安全に迎え入れてくれるはずなのだから。そうして おっさんから奪い取った鍵を使用する前に その効果を確かめることにする。俺が持つ鍵に記載されていた内容は、どうやら おっさんから奪い取って俺の力になった。あの書架に存在した本に掲載されていた魔王に関する文章を閲覧するために必要な鍵であるようだったが、それだけで無く、俺の特殊の鍵をこの城に保管していた人物の正体までが書かれていたので、これは非常に貴重な鍵だと思えたのである。とっさに思いついて行動した結果がこの成果につながったと思う。おっさんに奪われた鍵を取り返すことができたのも。リシアを救い出してくることに成功したおかげだったのだ。おっさんが隠し持っていた特殊な鍵の効果は、あの書庫に書かれていた文章を読み取ることができるようになっていたらしくて。あの場所に書かれていた。魔王に関する情報が記載されていないはずの部分を確認することができたのだった。この事実をおっさんに知られない内に、俺はおっさんが所有していた本に記されている鍵を利用することにしてみた。その効果がどういったものなのかは おっさんから奪い返した鍵を使用すれば理解できる。そのはずだった。

俺が手に入れた鍵を使用すると、目の前に巨大な魔方陣のような物体が出現した その瞬間。

おっさんの所有していた特殊な鍵を使用したせいで 俺達の前に魔王が出現していた。俺達の目の前に現れたのは、おっさんの娘を誘拐しようとした。その張本人である。

この国の王族の一人であるミルカという人物が、おっさんに召喚されたのだろう 俺はそう思っていた。その予想は当たっており。俺の前に現れたのはおっさんではなく。俺の知り合いである。その人物は俺と面識のある人物であり、この世界で一緒に旅をすることになった仲間であり、この国では英雄と呼ばれるほどの力を持つ人物である。

俺は彼に向けて「お前は何でこの場に姿を現したんだ?」と訪ねてみると、彼は。俺に質問をぶつけてきたのである。どうして俺を襲ってきたのかについて問いただしたい。そういうような感じで話しかけてきた。彼の言葉を聞き流してもよかったのだが、このまま何もせずに放置していると。また襲われることになるので 俺は彼をどうにかしなければならないと考えることにした。しかし。

俺と彼とは実力が違いすぎる。どう足掻いても 俺が勝つことができないので 話し合いを行うしかないだろう 俺は、この世界に召喚される前から知り合っていた、俺が勇者になる切っ掛けを与えてくれた恩人とも言える彼に語りかけるようにして事情を説明し始めた その前に、おっさんが持っている特殊な鍵の効力を利用して俺の仲間である ミルカをこの城に引き込むことに成功していたのだ そしておっさんの娘と引き合わせることで おっさんの娘であるリシアを俺の元に送り届けることに成功させた。これで、ようやく話が出来るようになったかと思いきや、今度はリシアの方から俺に話しかけてきたので。俺は彼女の言葉に対して返答をする。

リシアが何を思ってそんな言葉を発したのか分からないし。彼女もまた なぜこの世界に存在する俺の姿を知っているのか疑問に思うが。

彼女は俺に対して。こんな言葉を告げてくる。彼女は俺の事を「お兄ちゃん」と呼ぶが 彼女が言うには俺はリシアの知っている。この世界での出来事を体験していないのにも関わらず。彼女は俺のことを、何故か昔から知っているかのように振る舞い。さらに俺の事も名前ではなく「あんた」や「あなた」、「お前」などと呼び始める。そのせいで俺としては混乱してしまうのだが 俺のことをお兄ちゃんと呼び慕ってくる少女。そんな彼女を見ていると俺は どうしても心を奪われてしまうのだが。そんなことは気にせず。俺はこの国の王と接触を図ろうと考えていたので、おっさんと対面する前に俺は。この国の支配者がどんな存在なのかを知る必要があると俺は考えてしまい リシアのことを俺に託してから。娘に別れを済ませることにしたのである。娘と別れた俺はおっさんと会うべく、地下にある。特殊な場所へと移動することに そんなことを思い出していたら。俺はおっさんから逃げ出すことに成功しているのだから驚きだな そして俺は、おっさんが所有している鍵を使いこなせるようになったので この国の地下に眠っていた書物の内容を確認しようと決意して おっさんの私室に向かう。おっさんがどのような方法で勇者を誕生させることが出来るのか確認する為にね おっさんの部屋に向かった俺だが、おっさんは留守のようだ。俺は仕方なくおっさんの机の上に視線を向けると、そこにあったのはおっさんの趣味なのか よく分からない代物だった。俺には価値が分からなかったので それを鞄の中にしまい込んでから 再び書庫に向かい 俺は地下に存在する。特別な書庫の中へと入り込む。俺はリシアに頼んで。おっさんが所有する特殊な鍵で開くことの出来る扉を出現させて貰い。地下の書庫の更に奥深くへ進んで行くことにしたのであった。

おっさんから奪った特殊な鍵の力が この書庫の奥に眠っているとされる。

魔王が復活するために必要な条件が記載されているという特殊な本が存在するとされている部屋の前まで来る事ができたんだよね。この部屋に入るために、おっさんが保有していたと思われる。あの不思議な書物を手にする必要はなかったんだ。何故なら、俺がその書物を手にした時点で 俺はおっさんよりも先に魔王が復活するために必要な条件が書かれている書物を見つけることができたからだ それから、娘を助け出すことに成功した俺だったが、リシアと共に行動することによって この世界における重要な情報を俺の元に届けてくれて。俺を信頼してくれた娘は「助けて欲しい」と言ってくれたので俺は娘と行動を共にして この国の王のおっさんの書斎に向かっているところなんだ 地下へと繋がる書庫の中で発見した。この城の書庫に存在する。特殊な書物を読むためには鍵が必要になるようで、それを入手する為には、俺に懐いて着てくれることになった女の子が所持していた鍵が必要となる おっさんが所有する鍵を使用しなければ、特殊な本に書かれている内容を目にすることが出来ないようになっているようだったからね。俺がおっさんから奪い取った特殊な鍵を使用することで、俺達が目的としていた。魔王復活のための方法が記載されていそうな書物が保管されている部屋に到達することができていた。その部屋に辿り着いた時。娘が何かを喋りかけてきたけど、俺はその会話を中断して。娘の話を最後まで聞こうとしたのだが、この娘が何を言っているのか理解できなかった どうやらこの娘の話を聞く限り。おっさんの娘は特殊な道具を所持していなかったらしく。娘も特殊な道具を使用していなかった為 娘の声が聞こえるようになったのは 俺だけらしい。俺の知らない間に娘は何かのアイテムを身に付けていて。

おっさんと対話ができるようになっていたらしい 娘にそのことを教えてもらった俺は娘がおっさんと話し合うための道具を用意してもらい 俺はおっさんと話をすることにしたのである おっさんに話しかけると この国を統べる国王として 俺に頼みたいことがあると おっさんは口にしたのだった。

俺はその内容を知りたくて 仕方がなかったのだが。その前に 俺の持っている あの魔王に関する情報が記載されているという本に記載されている内容を確認したくて、俺はその本を 鞄の中から取り出した後に ページを開いた。

そして本には。俺がこの世界の勇者として召喚される以前の世界の出来事が記されているようだったので 俺の持っている この本に記されている内容が 俺が元いた世界の出来事ではないのだろうか?

俺はそう考えるようにしながら本に記されている文章を読んでみることにした 俺はおっさんから頼まれごとを受けることになり。

おっさんから、おっさんの娘の救出を依頼された俺は おっさんの娘を救い出す為に 俺の仲間になってくれている女性。この世界の英雄と呼ばれていて。俺を勇者に仕立て上げようと画策していた張本人でもある女性の協力もあり。

無事にこの国に存在するおっさんの娘であるリシアと接触することができた俺は その日の夜にリシアと会っているんだよね ただ、その時に俺とリシアが顔を合わせることになるとは思っていなかったんだけどな。まさかあの時の子供がこんなにも立派になるなんて思いもしなかったぜ まさかなぁーと思ったよ。まあ それはいいか。とりあえず、俺はこの国の王女であり、俺の元の世界での知人でもある女性と顔を合わせてしまったのだが その後の事を考えておかなければならないと思っていたのだけれど、意外とその必要は無かったかもしれないなと思いながら 書庫の中へと入り込むことにする。おっさんの所有していた特殊な鍵で書庫の入り口を開くことによって、俺達の前に姿を現したのは地下に存在する特殊な空間だった。この書庫には特殊な魔法が施されていたらしく、この特殊な本に記されている特殊な情報にアクセスできるのがおっさんだけでは無く 他の誰かにも可能だという事を教えてもらうことが出来た おっさんの所有していた特殊な鍵は 魔王を誕生させるために必要となる情報が記載された特殊な本があるとされている部屋の中に入るために必要なものであり、その部屋の鍵を管理しているのはこの城の支配者であるおっさんでは無いとダメだとされていた。

この事実を知るまでは俺は、俺の仲間となって行動を共にすることになった女性がこの城に滞在している間は、その女性の協力を仰ぐことにして、その女性が俺に同行することを許してくれるまでの間は、おっさんの書庫の扉を開かせることに成功していた。

俺はその女性と協力して おっさんが所有しており、この国の王が所有していることにもなっている。この城の内部にある、特殊な鍵でしか開けることのできない特別な部屋の更に地下へと通じる扉を開いてくれる人物を 俺達の目の前で呼び出したのだ。

俺の目の前に現れたのはこの国の女王で その人物は俺のことを以前から知っていたらしく、何故か俺の顔を見て、俺に話しかけてくる。

俺はこの城の中に足を踏み入れるのはこれが初めてなわけだし。俺は女王のことを知らない筈なのだが。この女性は 俺のことが気になっているのだろうと思うどうして俺のことをこの人はここまで意識しているのだろうか? 俺は、この女性から好意を抱かれているのだと思うが。この女性の容姿を見てみると とても美しいのだが、年齢は二十代後半くらいであり、俺が以前、リシアと出会った頃に知り合った人よりも少し歳上のような気がするが、この人もまた、その美しさをいつまでも維持することができるような感じであるのだが。

そんな事を考えながらも、俺は、自分の方から、彼女に色々と問いかけるようなことをせずに。相手の言葉を待っている事にしたのである。俺の方から質問をぶつけるのは簡単だけど。

まず最初に相手の名前を確認することにした俺は そのついでに。俺がこの国の王様が所持する書庫に保管されていた本の情報を閲覧したいと伝えた。するとこの国を支配する存在であり。俺の仲間となっているミルカの母親でもある彼女は、あっさりと答えてくれた。この人が所持していた特殊なお札が効果を発揮したことにより。

おっさんが隠し持っているであろう。俺を異世界に送り込んだ際に使用されることとなっていた特殊な力の根源となり得る書物の内容を確認できるようになった。この部屋で。俺は俺が手に取っていた特殊な鍵を使用すると。その書庫の中にある特殊な書物を目を通すことができたのだ。しかしだな。

俺の持っている本の中に書かれている内容には、その特殊な書物の中に記載されている書物を読めるのはおっさんだけだと書かれていたのだから驚きだ 俺が手に入れた特殊な道具を使って おっさんが保有している書庫の中に入り込むことに成功したのだが そこには魔王復活に必要な情報が記された本が保管されているようだ。そして、そこに記載されている内容は、魔王が復活するために必要な条件が記載されていて 魔王が復活するためには その条件が満たされている必要があり 魔王復活の条件を満たしていない状態で。この世界が魔王によって滅ぼされてしまえば 世界は滅びてしまうようだ この書物の中には、おっさんの所有する鍵を俺が使用することによって、俺達が入室をすることが可能となった特殊な書物の他にも、様々な書物が存在している。おっさんが所有している書物の大半は、魔王を復活させるために必要になる。おっさんが所有する特別な書庫で保管されているものばかりだったが。俺が手にしていた。魔王に関する情報が記載されているとされる特殊な書物と同様に、その書庫の中に保管されている書物の中には おっさんが魔王復活の条件として 俺の世界で、勇者をこの世界に呼び寄せようとしていた儀式に関する記録などが記載されていたのである。ただ おっさんが所有している書物の全てが、魔王が復活するための条件を満たす為の手段を記した書物ではなく 中には魔王復活の儀式を行うにあたって 必要となる材料や必要な物について記載されている書物も存在する。それらの書庫の中にも当然のように おっさんが魔王復活の為に用意した特殊な道具や特殊な鍵を使用しなければ 中身を確認することができない書物も存在している。これらの書物の内容を確認できたことは本当にありがたいことだと思っている。

そして、その書物を読み進めると 俺の世界で とある特殊な技術を用いて俺に成り代わろうと企てている人物がいる事が分かった。しかも そいつは 俺をこの世界に送り込んできた人物でもあり。リシアがおっさんに対して恨みを持っているように この世界の人達からも。その人物がこの国を支配しているという事実を知り。恨んでいる人々も数多く存在しているようであった

「私の名前はアイア。貴女は、シンクという少年の知り合いなのかしら?」

「そうですけど。それが何か?」

「私は、彼と顔を合わせたことがあるの。私が勇者召喚をしようとした際。彼の世界にも私の仲間を何人か送り込んでいるからね」

(おいおい、おっさんは。自分が俺の世界の魔王を蘇らせるために、自分の部下を送り込んでいたのか。

まあ、その話は置いておいて。俺の知っているこの人は、勇者としての素質がある人を、その力で操り人形として扱おうとしていた。俺は、勇者召喚が行われようとしていた時期に、その世界に行く機会があったので、俺自身がその召喚される場所に立ち会わせてもらっている。そこで出会ったのが 俺の友達だったんだよな。その人のお姉さんも勇者だったみたいで。その勇者のお兄さんが、おっさんの仲間が行っていた勇者召喚が行われた場所の近くに存在した国を守護していたらしいけど。俺もそこまでは分からないな)

俺の知らない所で俺の知らない話が進んでいく中で、俺は、目の前にいる女性の名前がアイリアであることを認識する。

この女性こそが、おっさんが魔王の復活を目論むきっかけを作った張本人であり、俺がリシアと再会した時。この国の王がおっさんでは無く。この人であったことをすぐに知ることになるのだが。俺がリシアと初めて会った時の話に関しては、この人から聞いたことで間違いないだろうから この場では語ることは無いだろう。まあ、それは良いとして おっさんは、この人にリシアを殺させないようにした理由と、この世界の勇者にしようとしていた人物の事も知りたかった俺は、この人がおっさんをどう思っているかを確認しようと試みる。

俺の考えを見通していたかのように 彼女は口を開いた 俺は彼女の言葉を聞くと。その答えは意外と早く聞くことが出来たのだ。彼女が言うには、リシアを殺そうとしたのは、魔王を復活させようとしている。おっさんに対する復讐のためだったという事。勇者にしようとし た男についても、彼女はリシアとは全く関係のない別の人物であった。リシアは確かに リシアを暗殺するために差し向けられた刺客を返り討ちにしたことはあるそうだ。だが、彼女はその時に怪我を負っただけで 特に問題も無く生きていたようだ おっさんはその事実を知った瞬間にリシアを殺すように指示をしたそうだが 彼女にとっては おっさんへの復讐の道具として使われるよりも、その方が幸せになれると思い。彼女を逃がして、おっさんに敵対するようにさせたのだという事を俺に伝えてきた。まあ その事実を知るまで。俺は、その事実に気がついていなかったんだけどな。まさか、俺がこの国の王のおっさんに殺されそうになった際に、助けてくれたのがおっさんでは無いと分かるなんて思わなかったよ。それにだ。俺を助けてくれたのは俺の元いた世界での友達でもあってな。この人と顔が似ているからって訳でも無いんだろうが。その人もリシアの姉さんだったんだ。おっさんが 俺の元居た世界にいた勇者が この世界に飛ばされる前の世界で俺達の世界にやってきた時期と、俺のリシアと出会った頃の状況が一致していたことを考えると。

おっさんとリシアに血の繋がりがあることはほぼ確実と言っていいだろう。この事を知ってしまうともう。おっさんをこの手で倒さないといけないと言う事実だけが突きつけられてしまい 複雑な心境でいる

「俺の仲間になってくれている女性が、俺のことを呼び捨てで呼んでくるんですけど。どうにかしてくれないですかね?一応。この人の方が年上だと思うんですよ」

俺は、そんな風に言った するとその人は俺にこう伝えてくる 俺に仲間がいることを知らなかったようだ 彼女は俺が元の世界に戻る為に、その人の協力が必要となり。一緒に行動を共にするようになったことを簡単に伝えると。納得してくれたようで。彼女は、俺のことをこれから、君付けで呼ぶことをやめてくれるようだ

「分かりました。えっと、じゃなくて。わかった。これで満足してくれるかな?」

俺がそんな風に言うと ミルカの母親であり、リシアの父親でもあるこの人は、笑顔を浮かべると、俺の手を握り締める。俺がその行為を受け入れることにした。すると、突然。

俺の背後の扉が開く そしてその扉の先から姿を見せたのは、おっさんであった

「何をやっておられるのですかな?その者に触れると、呪いが移りますぞ?その者に、この国には近づくことをするべきではありません」

その男は俺に対して そのような事を伝えてきたのだ。

「あら、貴方に私のことを注意する資格なんか無いわよね。私の息子の命を奪った癖に、私の前でそんなことを言うつもりなの?」

おっさんに対して、怒りの表情を見せているこの女性の名前はアイアと言い。俺が初めて出会うおっさんの妻で このおっさんが勇者として召喚されようとして失敗した際の生き残りである。この人の怒りが限界を迎えた瞬間。

俺の背中に強烈な痛みが襲い掛かると。その反動で。俺は壁に叩きつけられた。この人。本気で俺を潰すつもりだったのかもしれない。

「そんなことよりも お前達は今ここで何をしている?」

「別に何もしてないけど 貴方は一体何がしたいわけ?」

アイアが答える おっさんはこの城の中にある特殊な書庫で俺達の会話を聞きながら何かをしていたのだが。俺の身に着けている腕輪の力を発動させる。この書庫には、俺とおっさんにしか存在を感じ取ることのできない特別な部屋が存在するらしく。おっさんはそこを利用し 俺の知らないところで 魔王復活の為に必要な材料と 必要な道具を用意している。魔王復活に必要な材料は、おっさんが所有している書庫の中で おっさんが管理を任されている書物に記載されているものが大半なのだが。その中には特殊な素材も存在していて おっさんがそれを利用して魔王を復活させるために必要な物を揃えているようだ その書物の中に 特殊な材料が記載されている書物が存在していたのだ。その書物の中に記されていた物こそが、俺が、アイアと名乗る女性に対して確認をしなければならないと思っていた内容だった 俺がその書物を手に取ったことにより 俺の意識は、その

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魔王は、勇者を異世界へと召喚させた張本人で。 あずま悠紀 @berute00

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