なぜなら人生なんていつ何が起こるか分からないもので
『ようやく落ち着いたようじゃな?』
すると目の前に一人の老人が立っていた。見た目は70代後半くらいで白い顎鬚を蓄え杖をついている姿はまさに賢者と言った感じである。
「あ、あなたは誰ですか?」
『ワシはこの空間の管理をしている神様じゃ』
「か、神様……」
いきなりファンタジーな展開だな、おい!?
『お主には謝らなければならんことがあるんじゃ』
「謝る?」
神様が言うには俺は本来死ぬはずではなかったそうだ。なんでも寿命はまだ先だったのだが、不慮の事故で亡くなったとのことだった。普通ならそのまま輪廻転生の流れになるところを、魂の状態のまま現世に留められていたのだという。
そして今回の出来事で肉体を失った俺を転生させるためにここへ連れてきたのだと説明をされた。
「それで、なんで俺なんです?他にもたくさん人が居たでしょうに」
『実はのう、今回はたまたま運悪くお主しか残っておらんかったのじゃ』
なるほど、つまり本来は100人近くいたのだがその内の数人を適当に選んだというわけか……酷い話だ。
しかし転生か……最近ラノベなどで流行っているやつだな。まさか自分の身に起こるとは思わなかったが……
だが断る!!
「すいませんが転生の件は無かったことにしてください」
『なんじゃと!?』
「俺にはまだやらなければならないことがありますので」
そう、今の俺にはやらねばならない事があるのだ。そのためにはまず元の世界に戻る必要がある。その為にはやはり召喚魔法しかないだろう。しかし今の魔力量ではおそらく不可能……ならばどうするべきか……
その時ふと脳裏にある光景が浮かんだ。それは自分が良く知る人物であり友人でもある少年の姿であった。
(そうか!その手があったか)