回想《かいそう》・ベルサーム 巨大ロボット侵攻《しんこう》の日
紅戸ベニ
第1話 異世界でトモダチか、死か?
ウインたち五人の子どもが、どうやって地球ではない世界で冒険をして、新型兵器をうばって逃げのびることができたのか。そのお話をしておきましょう。
「
そう言って見知らぬ男が作り
笑ったように見える顔のまま、おそろしいことを言いました。
「さもなければ、君たちには死んでもらう」
ウインやトキトたちがわけもわからないまま
いったい何が起こっているのか。
大人の人から「死んでもらう」と言われるなんて、とても
たしか今日は、四月、まだ春の終わり――――
春の
気持ちのいい晴れた朝、学校に向かうウインたち。
明日からのワクワクする休日を思い
いつのまにか空中に
ウインは思い出しました。空中に
――でも、いつものように学校に行く私のほうが、本物の私だったらよかったのに!
そう思ううちに、学校へ歩いていく幻の自分がどんどん離れていきます。声を出せば幻の自分に声が聞こえるくらいの
上も下もわからなくなるような感覚を
西洋の
「え、学校じゃないし、森林公園の中でもない。外国?」
とウインは記憶にない
自分たちが
城壁は
中庭にぽつりぽつりとわずかにある
ひと目見ただけで
兵士たちは、
日本のどこかではないということはすぐ
でも、ここがどこかはわからないままです。もっとも、まだ小学生のウインたちは、違いの国のくわしいことは知らないのですが。
五人はそれぞれが、
その
男はきわだった
白と黒。モノトーンの男でした。背中まで伸びた長く白い
「きれいな男の人……でも、怖い感じのする人だね」
とウインが四人の仲間に言います。
アスミチは、少しだけ
男は静かに、しかしよく通る声で名乗ります。
「私はエトバリル。地球と
兵士たちが、エトバリルの
ぶっそうな言葉が続きます。
「くり返す。トモダチにならないのなら、すみやかに
――それって命を
――ここで兵士に殺されちゃうってこと?
と、五人がおそろしい事実が
いつのまに近づいてきたのか、子どもたちのすぐ後ろに気配もなく立っている人物がありました。
メイド姿の女性です。三人いました。両手をそろえて、しゃべってはいませんでしたが、「なんでもお
――地球っぽい服だ。というか、メイド服だ!
ウインはまじまじと三人の服装を見つめてしまいました。
そのうちの一人がウインに話しかけます。
「
と、やわらかなささやき声で伝えてきました。
「あなたは……?」
「私はノノレクチン。もちろん、地球人ではないわよ。ここベルサームで働くメイドです」
彼女は姿勢よく軽い
五年生のパルミが、命をどうこう言われている
「うえっ、地球人じゃないって言ったのに、メイド服じゃん、メイドいるじゃん!」
ノノレクチンは
「地球じゃないけど、地球のいろんなものがこっちに
五人の子どもたちはこの世界での
――地球ではないけれど、地球のいろんなものが渡ってくる。
六年生のウインが、ノノレクチンに質問します。
「人も、来ることがあるんですか?」
ノノレクチンは軽い
「旅行者みたいにほいほいは来ないけど、たまに来るみたいよ。
ウインはこの言葉に、ノノレクチンは親切な女性じゃないかな、と思いました。
だってさらに知識が増えました。
――旅行者がいる。
エトバリルが声を
「ごちゃごちゃとしゃべっていないで返事を聞かせてくれたまえ。私たちとは、なれないかね? トモダチに」
トモダチ、という言葉だけをやけにはっきり、一音一音を
ノノレクチンが厳しい口調に
「あれれ、エトバリルのやつ、地球の日本の言葉を勉強したのね。トモダチっていうところだけ日本語で言ったの、わかった?」
言われてウインは気づきます。
「え、そういえば、トモダチという言葉以外は日本語じゃないよね……なんで? 言葉がわかるよ」
トキトも言いました。
「
パルミがすかさず
「んなわけないっしょ! これだから
四年生のカヒも
「でも
ノノレクチンが子どもたちの疑問を引き取ります。
「そういうこと。この世界では神様がいて言葉を
ウインは思います。
――ほんとうにノノレクチンさんは親切に異世界のガイド役をしてくれているんだな。
と。
エトバリルのような
しかし一番の
この男は
「わっ、サルのお面をつけた人がこっちに来たよ」
とカヒと同じ四年生のアスミチ。
男はずかずかと近寄ってきて、エトバリルより
「返答をせよ、わっぱども。一人ひとりの首をはねながらでもよいのだぞ」
仮面ごしでも、きっと
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