第7話 パダチフとの戦い 私たちは生きのびる
「
真っ先に大声を
ウインはエトバリルに真っ
「ほんとに冗談じゃないです」
と自分の口がしゃべるのを聞きました。自分では意識するより早く言葉が出ていたのでした。パルミ、アスミチ、カヒの声も聞こえてきます。
「殺すって? 人を? あたしたちが? 無理無理無理ダメダメダメ!」
「兵士になんかなりたくないよ」
「わたしも、そんな怖いこと、できない」
エトバリルは
エトバリルにマシラツラが歩み寄ってきました。
「エトバリル、
エトバリルはじろりと
「マシラツラ、貴様が
マシラツラはそれ以上言いつのるつもりはないようで、頭を低くして下がってゆきました。
「な、なにかありましたか」
とウインが甲冑ゴーレムの中からたずねます。心の中では「なにかがあってほしい。マシラツラの水入りがあって戦いなんてなくなってほしい」と願いながら。
ノノレクチンが解説してくれました。
「ごめんねー。残念ながら、戦ってもらうことになりそうです。今から大きな動物と
子どもたちは、戦いと聞いて非常に
ゴトゴトと車輪の音を立てて、大きな
甲冑ゴーレムの並んでいるこちら側ではなく、中庭の反対側に、
しかも、この檻の数々は、ゾウやキリンといった生き物を収める
「君たちの仕事の成果を見せてもらいたい。命が
エトバリルはもはや友人を装うことをやめたようです。子どもたちにも兵士にするのに近い、命令に慣れた口調で伝えました。
子どもたちが乗る甲冑ゴーレムが火がともったように
まるで長い夢を見ていた人が眠りから覚めようとでもしているかのように、甲冑ゴーレムは手と足をつっぱらせています。
「た、立ち上がろうとしてるの?」
ウインが言いました。
「なにがどうなって、うぎゃああ、動いてる。どうなってるのさー」
パルミの大声が座席のそばから聞こえます。その声に反応するようにゴーレムの中が白い光に満たされました。
操縦席の壁が、まわりの
獣はひとつの檻に一頭が入れられています。
「戦車として
檻の中で、一頭だけどうしても落ち着かないものがいました。
荒ぶるデサメーラは、檻に頭突きをくり返しています。ごすんごすんと低い恐ろしい音を立てています。自分の頭が傷つき、その傷が広がって血を
「あれでは使えぬ。地球の子どもたち、魔法をお目にかけよう。魔法使いでありエルフであるエトバリルがすみやかに心臓を止めて殺す」
エトバリルが右腕をふり上げました。その手の
デサメーラの
ごす、という音とともに檻の
「な、なにあれ……
カヒの声がウインたちに届きました。
「魔法で、かんたんに殺すことができるなんて……」
アスミチがそこまで言って
ウインの目の前に、ハンドル、ギアチェンジレバー、アクセルペダル、ブレーキペダルがありました。お父さんの自動車にそっくりでした。
不思議なことに、自動車とそっくりな部分がありながら、ほかの機械が混じっていました。ビデオゲームのコントローラのようなもの、テレビのリモコンのようなもの、パーソナルコンピュータのキーボードまで、
思い出す中で、いろいろな機械の記憶も
「スマートフォンだってコピーできたんだもん。甲冑ゴーレムも動く可能性、あるよね」
はたしてウインの甲冑ゴーレムは歩行を始めました。
ウイン機だけではありません。五体あるうちの三体が、立ち上がり、前に進み始めます。トキト、パルミの甲冑ゴーレムも、動くことに成功したのでした。
アスミチとカヒの甲冑ゴーレムは、
「ごめん、みんな。ぼくが想像したのは
とアスミチの声が届きます。カヒも、
「わ、わたしも、飛行機の操縦席を思い出して……わかんないし、
どうやらすぐにはまともに動かせそうもありません。
カヒの「
直前に見たエトバリルの非情さが、子どもたちを
「なんと、三体もが
エトバリルの言葉は、どうやらマシラツラに向けられたもので、子どもたちに伝えるためではないようでした。
けれども、子どもたちには
「おし、俺とウインとパルミだけで獣を檻に戻せば、今のところは生き
トキトの声に力がこもっています。生き延びられる、という言葉を、さっきまでなら怖くて使うことができなかったかもしれません。けれど、今は、希望があるのでした。
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