第6話 君たちは多くの敵を殺すだろう!
「すごいなノノレクチン。私の知らない情報があったぞ」
タバナハは
「わ、私は言われても意味がわからない部分が多くて……お二方、いったいなぜお
エトバリルが文句を言う時間も
「もう説明はよいぞ、ノノレクチン。事情は聞いてのとおりだ、トモダチ。どうか今すぐに
彼の声からは、
ノノレクチンの説明と
なんとか急いで子どもたちに甲冑ゴーレムの完成のために説得したいという切実さもにじみ出ていました。
トキトがいささかとまどい気味の声で
「
と言うと
「エトバリル様、もう少し説明しても?」
とノノレクチンが静かに
「む、そうか。まだ説明不足であったか……」
とエトバリルは
「操縦席を作るって言っても、君たちは思い出すだけで大丈夫です。機械の操縦席、それを大人がどう使ったか、思い出すとあとは魔法の力でどうにかなります。ほら、地球にはいろんな機械があるでしょ、大地を走る機械、海に鉄の
地球にくわしいとしか思えないノノレクチンの説明を聞いて、パルミが明るく言いました。
「ノノさん、見てきたように地球のこと、しゃべるねー」
「うふふ、パルミちゃん、そうだった? 私も勉強したからねー。エトバリル様よりきっと地球のことにくわしいかも?」
子どもたちから見えない中庭でエトバリルが口を
「まず手始めにかんたんなものを作ってもらおう」
ということでした。お
「甲冑ゴーレムの手元の金属の
という手順の説明でした。
要するに、電話(=スマートフォン)をコピーするという意味でした。
ウインが困って言います。
「あの、中の仕組みまでは理解していないんですけど」
「つべこべ言わずに、やってみることだ」
そこで、子どもたちは目を閉じ、スマートフォンの記憶を探ります。信じられないことに、エトバリルの言う通りに、金属がたちまち形を変えていきます。クレイアニメの
「今は形を
スマートフォンの形をしている物体は、ただの黒い金属のままです。電源も入らないでしょうし、通信なんてできそうもありません。
「こちらの世界では形が意味を与えるのだ。トリが地球にもいるだろう。翼の形から、空を飛ぶ姿を想像できるな? 同じことをしてもらう。君たちがその機械を使って会話するイメージを描くのだ」
アスミチが、本でいつか読んだ知識を
「古代ギリシャの人みたいな発想だ」
と、知識欲の
ウインが答えて、
「この世界では魔法があるから、形が意味になるっていう考えが正しいんだろうね。ちょっと
とアスミチに向かって言いました。
カヒが気になる点を口にします。
「あれ?
トキトがカヒに同調しました。
「たしかに、形がはたらきを表すのなら、貝殻で通信するのは変だよな」
エトバリルは少し
「いい疑問だが、あとで答えることにしよう。君たちの作った装置の上に、今通話している耳あてを乗せてくれ。より強い意味を与える」
できたばかりの黒いスマートフォン型の金属の上に耳あてを置きました。すると、耳あてが水に沈むように金属に飲み込まれてしまいます。
あろうことか、ただの金属の塊だったはずの黒いスマートフォンからエトバリルの声がするではありませんか。
「通話する意味をもたせることができたようだな。実験は成功だ。いよいよ甲冑ゴーレムを魔法なしに
ベルサームには過去に存在しなかった、魔法なしで操縦可能な装置が、目の前で新たに
地球と、この異世界との技術の
エトバリルの指示にしたがい、五人は「操縦装置」を記憶から呼び出そうとします。
「えっと、ええっと。操縦ってどうすればいいんだっけ? うまく思い出せない……」
ウインはこめかみのあたりをおさえて、頭を
「五人すべてが失敗という事態は
とエトバリルがなにかをつぶやいています。あまり聞きたい内容ではなさそうです。
そこへノノレクチンが助言を伝えてきました。
「頭で思い出すだけじゃなくて、体を使って思い出すといいと思うわよ。そこに実際にあなたたちが知っている機械があると思って、それを手や足を使って
五人にはありがたい助け
「ノノさん、それいいね。やってみる」
とパルミがうれしそうに答えました。
パルミは、家にあったコンシューマーゲーム機のコントローラーを
ほかの四人も、同じようにノノレクチンの言葉どおりに、体を動かしています。
五人それぞれが思いえがく形は違うものでした。
トキトは、パルミとほとんど同じ発想で、ゲームセンターに置かれているビデオゲームのジョイスティックとボタンを思い浮かべて、それを
トキトの頭の中では、よく遊んだ対戦型のゲームが動いています。彼の手や指が、操作コマンドを入力する動きを続けます。
一方、ウインは手元を見下ろしながら、乗用車のハンドルを
彼女は「右がアクセル、左がブレーキ」と、いつか父親に教えてもらったことをつぶやきながら、足で想像上のアクセルとブレーキを
アスミチはテレビで見た
そしてカヒは、飛行機パイロットになったかのように想像の中で、
「素晴らしいぞ、トモダチ」
とエトバリルが五人を
五人のいる操縦席は、みごとに想像で思いうかべたとおりの形になっていました。魔法の力のせいか、金属だけではなく、
「うわ、飛行機のメーターとまるで同じだよ……」
と、カヒが息をのむ声が伝わってきました。
うまくいったようで、とりあえずほっとする五人。
しかし、続いた言葉が、子どもたちの心に冷水を浴びせかけました。
「では甲冑ゴーレムを使ってもらう。実戦だ」
さらに続く言葉は、子どもたちにとって心を
「君たちはベルサームの
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