#11 陰陽の仲間たち
タクシーから降りた達海たちは陰陽に入った。
「ただいま。
「おかえり。うまくいったか?」
春明の挨拶にカウンター内の老人が答えた。店内には数名のお客さんがいる。
「ああ、うまくいったさ。二階に上がってるな」
達海たちは店内奥の階段へと足を運ぶ。達海は春明に質問した。
「さっきの人は?」
「ああ、俺のじいちゃん。
白髪で春明をそのまま老けさせたような顔の老人だった。背は百六十センチメートルくらいだろうか。百八十センチメートルはある春明と比べだいぶ小さく見えた。服装は青い着物を身につけており、陰陽師の風格を漂わせていた。
レイが達海に笑顔でいう。
「私たちの仲間も紹介するね。達海君に会うのみんな楽しみにしてるんだよ」
レイは、俺のことをここに住む幽霊たちに話したのだろうか。達海の胸の鼓動は少し早くなっていた。達海たちは階段を登りきり、一番手前の部屋のドアを開けた。
「やっほー。おかえり」
背が高く細身で、端正な顔立ちの若い男が、こちらに向かって手を振った。
「ただいまー」
レイがにっこりと笑って手を振り返す。この部屋には四人の幽霊がいた。
「あれ? フォトはいないの?」
「今日も用事があるらしくて、お出かけしてますわ」
レイの問いに、煌びやかなお嬢様のような服を着た幼女が答えた。
「まあいいか、紹介するね。彼が達海くんだよ」
レイが紹介すると一人を除く三人の霊がキラキラとした眼差しで達海を見つめた。
「どうも、達海です」
達海は照れながら、短く自己紹介をした。どうも大勢の前で話すのは苦手だ。
「それじゃあ、こっちも自己紹介するね」
先ほどの端正な顔立ちの男が先陣を切って話し始める。
「俺はみんなからアクタって呼ばれてる。年霊は二十六歳。生前は、まだ何をしてたか覚えてないんだけど、きっとアクション俳優なんかをやっていた気がするんだよね。よろしくね」
ネイビーのジャケットの中にはシンプルな白地のシャツ、デニムパンツを着こなしている。身長は春明と同じくくらいだろうか。黒色の髪は少し長めで軽くパーマがかかっている。爽やかイケメンのアクタはにこやかに挨拶をした。
続いて、お嬢様のような幼女が挨拶をする。
「私はみんなからお嬢って呼ばれてますわ。年霊は三十八歳。生前の記憶は何もありませんわ。きっと良いところのお嬢様だったのでしょう。よろしくですわ」
(年霊が三十八歳⁉︎ 見た目は小学生くらいなのに、なかなかのギャップがあるな)
可愛らしい顔は色白く、髪型はハーフツイン、左右からは巻かれた髪が胸の辺りまで伸びている。THE.お嬢様さまという感じだ。
「次はワタクシだな。みんなからはマッチョと呼ばれている! 年霊は忘れた! 生前はボディービルダーをやっていたぞ! よろしくな達海少年!」
ピチピチの白Tにピチピチの半ズボンの筋肉ダルマが元気よく達海に挨拶した。見た目は三十代くらい。真っ黒の髪は横と後ろの裾回りが中段くらいまで刈り上げられていて、トップは立ち上がっている。
「ほら、ショタも自己紹介」
アクタが、部屋の隅でこちらを見ていた男の子に声をかける。
「ショタです。よろしく」
ショタは短く挨拶をした。服装は青色で柄の入っていないパジャマのような格好だった。黒色の髪はお坊ちゃまヘアー。
達海はなんとなく、雰囲気が自分に似ているなと感じた。
すると、1人の女性の幽霊が部屋のドアから入ってきた。
「ただいまー。あれ? もしかして、レイちゃんが話してた達海くん? こんにちは」
おっとりとした感じで達海に挨拶する。
「ちょうど今、達海少年にみんなが自己紹介を終えたところさ!」
筋肉ダルマ——マッチョが言った。
「そっか、それじゃあ私も自己紹介するね。みんなからはフォトって呼ばれてます。年霊は十一歳。
フォトが自己紹介をして軽く手を振った。指には結婚指輪がはめられている。服装は白のロングTシャツにベージュの裾が長いスカート。薄茶色の髪はショートボブで、首から掛けたヒモには一眼レフが繋がっていた。
「ここにいるのが、陰陽の幽霊全員だ。仲良くしてやってくれ」
春明がドアの淵に手をかけながら言った。
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