第14話 透視する化け物
その夜、
しかし、なかなか納得のゆく
作り終えては
さっきからずっと、その
全く違うタイプのデッキが、生まれてはすぐ消えてゆく。
労力がまるで水の泡。
それでもめげずに作業へ向き合う。
ただひたすらに……。
何時間も、ずっと……。
そして、ついにその時を迎えた。
試行錯誤の末、ようやく
これで
しかし、その心には、
これで本当にいいのだろうか? ……と。
それでも他に答えは見つからず、仕方なく
だが、なかなか寝付けない。
「大丈夫、できることはした」
暗示のように
しかし、心に
それを
「やれることはやった」
再度、自分に言い聞かせる。
だが、それに対抗するかのように、迷いが心の中で
「本当にそうか?」
疑問が首を
「
不安を
それを必死に振り
「これがあいつを倒すために、最も合理的な戦略だ。
何度も何度も言い聞かせる。
言い聞かせる
「
……ノイズは
答えは出ない。
心の声を抑え
――翌日の午後。
カードショップ内には、
異様な空気に客は
沈黙の中、両者はデッキをシャッフルし、山札の位置へと置く。
視線を
と、
「先攻と後攻、好きな方選んでいいよ」
それに乗らぬよう、
そして数秒後、ゆっくりと目を開いた。
「後攻をもらおう」
その様子に気付いた
「後攻側にもメリットがある。一つは初期手札。先攻は最初のターンにドローできないが、後攻は1ターン目から引ける。もう一つは属性魔力を選ぶ権利。先攻は1ターン目に無属性の魔力しかチャージできないが、その制限が後攻にはない。
「なるほど、そうなんですね! ありがとうございます」
ターンが回ってきた
「宣教師を
宣教師の効果でサーチできるのは、光のサポートカードのみ。
属性と種類の二つの条件をクリアしていなければならない。
無論、前もって条件を満たすカードは入れてあり、それを見つけるや
「超魔術ライト・リライトを手札に加える」
宣言されたカード名に含まれる超魔術とリライト。
その特徴的な接頭語及び接尾語は、シリーズであることを表している。
第二弾から追加された能力『リライト』。
それは、自分のターン開始時に、デッキ外のカードと入れ
ただし、交換できるのは同じくリライトを効果に持つカードとのみ。
それでも、デッキ相性による一方的な敗北を防ぐには絶大な力を
特に、相手のデッキを
一方、2ターン目が回ってきた
「カームを使用」
「ッ……!」
その宣言に、
無理もない。なぜならそれは、山札からウィズダムを2枚サーチする強力なカードだから。
だが、
当然だ。彼は前のターンに魔力を使い切ってしまった上に、ゲーム開始早々なので手札不足。
都合よく0魔力のカウンターカードが引けているわけもなく、甘んじて受け入れるよりない。
それに、相手はあの
カウンターが不足していることなど
そして……。
「シヴァルリーとパラダイムシフトを手札に加えさせてもらうよ」
公開された2枚のカード。
前者、シヴァルリー。
その効果により、特定のカウンターカードを2枚トークンとして加えられる。
そして後者、パラダイムシフト。
0魔力でウィズダムを打ち消すことができる。
その強力な1枚が今、もう1枚のカードと共に
そして、
対し、2ターン目を迎えた
「超魔術ライト・リライトを、デッキ外のカードと交換する」
カードケースから選び出したのは、超魔術コンフュージョン・リライト。
能力にカウンターを持ち、相手のサポート(魔法に分類されるカード)を妨害できるカード。
このタイミングでそのカードを選んだのは、何も今すぐ使用するためではない。
リライトを持つカードは、自分のターン開始時に毎回入れ
回数に制限はなく、何度でも。
また、この交換は効果の使用宣言に該当せず、ターン開始時の一連の準備の一部として扱われる。
わかりやすく言い直すと、カウンターによる
つまりは、使いたいカードが決まった際に、ターンの初めに入れ
逆に言うと、それまでは
好きなカードでいいのなら、なるべく何かしらのメリットを求めたくなる。
そう。例えば、いざという時に相手のカードを妨害できるカウンターなどを……。
簡潔にまとめると、ただの用心。
だが、
その注意の行き届いた手順の後、
「幼きエスパーを
「どうぞ」
応答と共に
それを確認した
「パラダイムシフト。これを手札に加える。さらに、残りの魔力でヒメカゼスズメを
ヒメカゼスズメの効果で
着々と手札を増やし、前のターンに
続いて
彼は光の魔力をチャージ後、手札を1枚場に出した。
「シヴァルリーを使用」
「カウンター発動。パラダイムシフト」
当然だ。シヴァルリーで加わる2枚のトークンは強力。
その名はオネスティ。
これまた0魔力でサポートを打ち消せる強力なカード。
対象にできるのは水のカード限定だが、カウンターが豊富な水属性に対抗できるため使い勝手が非常にいい。
そんなカードを2枚も加えられるわけにはいかないため、必死に対抗した
結果、お互い1枚ずつ手札を捨て札に落として収支が決定。
しかし、パラダイムシフトの弱点により、
その1魔力と水の魔力を1消費し、
「超魔術テンペスト・リザーヴを使用」
「くっ……!」
再び顔を
出されたのは、全体ダメージを放つカード。
しかも、リザーヴという厄介な能力までついている。
それは、一度使用を宣言した後であれば、
無論、使われる側の
しかし、またもや
なぜなら、超魔術テンペスト・リザーヴの種類はディザスターだから。
魔力は使い切っており、なおかつ手札にある消費魔力0のカウンターは対象範囲が
ペースを乱され続ける
その表情には
想像に
カードゲーム経験者なら味わったことのある気持ち……それを思い返していただきたい。
重要な局面で切り札を出す時の、あの不安を……。
もし、裏目に出たら?
敗着になってしまったら?
そんな思いから、
そう、それが当たり前。
カードゲームは、相手が手札に何を隠し持っているか、その不安がずっと付き
だが、
さらに、ただでさえ
当然、最悪のタイミングで発動されるのは
その重圧が
対処せねば、と
加速する不安の中、
だが、相手は待ってなどくれない。
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