第16話 明日へ……
土砂降りのもとへ飛び出した
それを全力で追う花織と
しかし、その差は
それでも二人は必死に追い続ける。
花織は届きもしない手を無我夢中で
「待ってください!
息を切らしながらも、そう呼びかけた。
何度も何度も……。
全力
それでもなお、痛みなど気にせず
声は
……と、その時。
不意に
花織は思わず息を
「
と、悲鳴を上げ、急いで
数十メートル先で倒れたまま動かない
そのそばへ着くや
「
心配する彼女。
しかし……。
「……くれ」
「え?」
「もう
そして、顔を地面に向けたまま……。
「賞金なら
悲痛な声で
だが、それを
「嫌ですっ!!」
花織が
そして、
「……どうしてそんな悲しいこと言うんですか?」
ゆっくりと、そう問いかけた。
その
数秒後、
「……だってそうだろ? オレよりあいつの方が強い。なら、あいつに
「そういう話じゃないです! 賞金とか優勝とか、今はそんな話をしてるんじゃないです! ……私、賞金が手に入れば、他はどうでもいいだなんて思ってません!
「……オレのことなんてどうでもいいだろ」
「よくありませんっ!! ……私は
「仲間……」
「
必死に問いかける花織。
しかし、
数秒の
「私はゲーム初心者です。飲み込みも早くありません。それはきっと、
再び数秒待った
「私にできることは、きっとこれくらいです。それでも、
「……何で、だと? 弱みなんて……そんなかっこ悪い姿、誰が望む!?」
「望まれなくてもいいじゃないですか! かっこ悪くなんてないですよ! それでも、どうしても涙を見せたくないなら……私の前でだけ、泣いたらいいです。誰にも言いませんから……」
だが、
しばらくして、彼はふらふらと立ち上がり、ついに顔も合わさぬまま歩み出す。
去り行く背に向かい、花織は「待ってますからね!」と、思いを
その声に
直後、背を向けたまま……。
「……一人にさせてくれ」
そう一言だけ返し、再び歩き出した。
じっと見つめる花織。
その隣で
「何でだよぉぉお!!」
悲痛な声で、そう
しかし、雨の中ただ
しばらくして、二人は浮かない顔でカードショップへと戻った。
そして、置き去りにされた
――二時間後。
花織はすっかり前向きな思考へと復活していた。
そして、
話しながら、ふと窓の外を見る彼女。
すると、その目には虹が映った。
決して雲一つないわけではないが、見事な程の鮮やかな夕虹。
その先は、明日へと
一方、
約束の時間より少し早く来た
数分後、後方にある出入り口が開いた。
それに合わせ、
「……来たね、
「やあ、
「単刀直入に聞くよ。何で僕をこの大会に招待したの?」
まっすぐな視線を投げかける
対し、
「すまないね。社長が
「……僕はこんな自分に嫌気が差しているんだよ。対戦者を
デッキを手に取り、
そして、首を左右に振った
「この黒い
「……その問いに対する僕自身の答えがあるとしたら、
風がそよぐ中、
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