第2話 仕組まれたリスタート
――昨日のこと。
病室で、少女は髪を
母の
時間も
ふと、母が表情を
「ごめんね。入学式も行けなくなって……」
「いいの。無理しないで」
少女は
その
それでもなお心配は収まらず、少女の目をじっと見つめる。
「本当に大丈夫? 中学校からは給食ないんでしょう? 毎朝お弁当作るの大変じゃない?」
「心配しないで。お母さんに教えてもらった玉子焼き、上手に作れるようになったんだよ。お母さんは病気に負けないようにがんばってくれれば、それでいいの」
少女の言葉に母は涙し、頭を
何度も何度も。
「ごめんね。辛い思いをさせてしまって……。お父さんがいれば、もう少し楽できたかもしれないのに。私が別れたせいで……」
「そんなことない! 自分を責めないで」
「
その声は震え、涙は大粒となる。
――と、花織がそこまで思い返したその時。
「――賞金もらえるそうじゃん!」
たった今聞こえてきたその言葉を、花織は頭の中で
「……それ、今話題のカードゲームだろ? 大会で優勝すれば賞金もらえるそうじゃん!」
賞金。
その単語に、花織は
母が
次の
目的のカードショップの場所など知る
そもそもカードショップというものの存在すら知らない。
それでも体が先に動いていた。
行き当たりばったり。
だが数分後、彼女は無事に目的地へと
何のことはない。何しろ話題のカードゲームなのだから。
男子たちが
入口付近に
その様子を物陰から恐る恐る
少しして、青年がそれに気付き手を振った。
その
すると、青年は百枚以上のカードが入ったケースを差し出した。
突然のことに花織は
他の子供たちへ配っているカードは数枚なのに対し、なぜ自分へはこれだけ大量なのか。
「おめでとう! 今日、全国のカードショップに僕ら社員が出向いて、
「え、えっと……」
不自然に裏返った青年の声に、花織は
その
「ごめんごめん。いきなり知らない人から話しかけられたら
その声は彼本来の
そして、子供たちと共にルールを教わり、デッキも組み終えて準備は
「ヘッ! 優勝するとか
すぐそばのテーブルから飛んできた
思わず顔を向けた花織の目に、同じ中学の制服を着た男子が映る。
逆立てた茶髪とギョロリとした目が特徴的で、周囲の人々はその
だが、その空気を作り出した当の本人は気にしていない。
それどころか……。
「よーく覚えとけ。優勝するのはこの
などと言って高笑いを響かせる始末。
対戦相手は
花織はそれを見過ごせず、そのテーブルへと向かって歩みだす。
静かに、しかし力強く。
そして、テーブルのそばに着くと厳しい視線を
「そんな言い方、あんまりだと思います! 優勝を夢見ることが、そんなにいけないことですか?」
きっぱりとした口調による非難。
その
「……あ?」
返ってきたのはたったの一声。
先程の
だが、その声に
みるみる
「何だよ
「や、やってみないとわかりません!」
かくして、一触即発となった二人を尻目に、静かに店の外へと出てゆく
そして、社長へと電話をかけ……。
「はい。ご指示通り、わけありそうな子へと渡しました。丁度いい火付け役も
そう報告し、
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