第3話 初心者への洗礼
一方、店内では花織と
ショップの客が見守る中、試合は
どちらも魔力(カードを使用するために必要なポイント)を増やすだけのカード。
それ自体に戦力は
そして迎えた3ターン目も、
魔力を増やしたのみで、やはり戦力は0のまま。
対し、花織の場には見習いシスターが1体。
チャンスとばかりに観客が
「大したことなさそうだぞ!」
「こっちが優勢だ!」
たくさんの声援。
そんな中、
思わず目を移す観客たち。
その視線の先で、
「やれやれ、何もわかってねえな」
と
当然、反感を買い非難を浴びるが、それすら目を閉じて心地よく聞き入っている。
そして、
「最高だな! それでいい! 強者はいつでも嫌われる。嫌われてこその王者だ!」
割れんばかりの声。
直後、
イラストには炎を囲み儀式を行う様子が描かれている。
それを見てもまだピンときていない花織と観客。
そんな彼女らをよそに、
そして、ヒラヒラと
「火竜祭を使用……!」
低く
直後、
火竜祭――その効果により、レプリカ(モンスターとして扱うカード)を1枚公表した
その
最高レアリティであるプラチナカード特有の光沢!
その
みるみる
「どうする? 次のターン、こいつが場に出るぜ? 効果を確認しろよ。ルール上、公表義務だからな」
カード名はレッドドラゴン。
パワー6ライフ4と強力な上に、攻撃時に3ダメージを与える効果とアーマー(被ダメージ軽減)を持っている。
その効果を読み、花織は血の
対照的に、
「見ろ! この圧倒的なライフと防御性能を! パワーだって6もある。ぶつかり合いなら絶対に負けねえ! それに、さっき使った火竜祭にはもう一つの効果がある。次の相手ターン終了時に敵レプリカ全体へ2ダメージを与える効果がな! つまり、猛攻に備えて戦力を
そう言って豪快に笑いながら、ターン終了を宣言した。
花織はもう頭が真っ白になる
しかし、山札から引いてきたカードを見た
花織は喜び
「マインドハックを使用します! 手札をオープンしてください」
先程までの劣勢からは考えられない、ハキハキとした強気な口調での宣言。
対し、
花織はそれらを確認し……。
「レッドドラゴンを選びます!」
先程のカードを対象に選び、捨て札へ送った。
ホッと一安心する花織。
だが、
「それで
返しのターン。
すかさず
「リザレクト! ターゲットはもちろん……こいつだ!」
なんと! その効果により、先程捨て札へ置かれたレッドドラゴンが手札へと戻ってゆく!
しかも、消費された魔力はたったの1!
残りの魔力でレッドドラゴンが場に降臨!
絶望する花織。
「ようやくわかったか! お前らはこの
高笑いし続ける
以降はずっと彼のペースで幕を閉じた。
ゲーム終了後も、
その背に向かい、なおも
それを振り切るべく、花織は入り口のドアを開け放つ。
「どうかしたのかい?」
振り返った花織の目に映るのは、ドアのそばに立つ
彼は花織へとゆっくり歩み
「僕でよければ話してくれないかな?」
そう声をかけ、ハンカチを差し出した。
少し
その
それを見守るように、
数分後、ようやく落ち着いた花織は、
母が病気ということ。
自分では何もできそうにないこと……。
それを聞き届けた
「それなら、いいことを教えてあげるよ」
そう言って取り出したのは一枚の写真。
だが、それを見せられても花織はピンと来ず、
「えっと……?」
「この人に
それを聞いた花織は、表情がみるみる晴れてゆき……。
「はい! ありがとうございます!」
一礼し、すぐさま一心に走り出した。
その
ただただ無我夢中で……。
数分後、一番近くのゲームセンターに着くや
一人ずつ顔を確かめては、またすぐに走り出す。
必死に探し続ける彼女。
と、その時。
不意に、目的の人物らしき姿が目に映った。
だが、それは通路を過ぎ去る
すぐにゲーム機の
花織は
そして……。
「あの……!」
ついにその背を
花織はその顔を見て、探していた人物で間違いないと確信する。
しかし、酷く
その様子を白い目で見る
数秒後……。
「何だ?」
ただ一言、ぶっきらぼうな
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