第7話 興味の対象
流れる
その重圧に声を
集まる視線の中、
「私を助けるためじゃなかったんですか!?」
「そんなつもりはない。ただ、お前に興味があっただけだ。聞きたいことがあるから、明日あの場所へ来い。昨日会ったあの場所にな……」
「え? あの、ちょっと待って……」
「カードは返す。それじゃ、明日」
一方的に伝えると、
周囲の人々も他のテーブルへと散り散りに戻ってゆく。
一人残された花織。
そこへ
「ごめんね、心配だったから様子を見させてもらったよ」
「
「大丈夫。
テーブルへ置き去りにされたデッキを、
「きっと、
優しく
が、その表情は
だが、今の花織には他にどうすることもできず、その不安と共にこの日は帰宅した。
そして翌日。
約束の場所へ向かうと、
その姿に気付いた花織が
「待たせてしまってすみません!」
「別に? ここにはゲームがいくらでもあるからな。退屈はしない」
「……」
いつものぶっきらぼうな返答に、早くも心が折れかける花織。
そんな思いも知らず、
その間もずっと、花織は不安を抱え見つめている。
数秒後、ようやく
「で? お前は何で金が必要なんだ?」
「お母さんが病気で、治療費が必要なんです」
すぐに問いへと答える花織。
「かわいそうになあ。親のせいで、お前が大変な目に
「それは違います!」
そして、
「お母さんのせいだなんて思ってません。大変なのはお母さんの方です! 私は、少しでも安心してほしいんです!」
対し、
「親なんていなくても生きていけるぞ。オレは親と絶縁した。それでもこの通り、生活には困っていない。金が必要なのはわかったが、それは治療費じゃなく自分の生活費に
「嫌ですそんなの! いつも優しくしてくれるお母さんがいなくなるなんて……そんなこと……!」
花織は両手で顔を
だが、
気にするはずもない……。
が、しかし、泣き出したことは気に
「優しい……? 親が?」
口を
それを耳にした花織は、顔を
「……
その直後……。
「言っても笑われるだけだ」
それっきり口を
花織も
ただ
しばらくして、ようやく泣き止んだ花織が視線を戻すと、
一言も話してはくれないが、花織はその意を
話すことを恐れている、と……。
「どうしても話したくなければいいです。でも、抱え
静かに、割れ物を扱うかのように声をかける花織。
数秒の
「オレは親が嫌いだ。こっちの話は聞かないし、進路も全て一方的に決める。そして、それを親の愛情だと言っている。そうか、お前もそう思うのか。それも親の優しさだと。それとも、そんな下らないことでと、やっぱり笑うか?」
「笑いません。そんなこと思いません。
予想外の返答に、
彼にとって初めてのことだ、否定されなかったのは。
「下らなくなんてないですよ。
そう言って、花織は涙を流した。
その言葉に
もしそうでなければ、
そうでなければ、こんな言葉は発想として出てこなかっただろうから……。
そう判断した彼は、壁から背を離し改めて花織に向き直った。
「賞金、代わりに
「本当ですか!?」
花織の目が
しかし、
「ああ。ただし、オレの興味をずっと
「
「例えば……そうだな。まず、オレに一度勝ってみせろ」
「ええ!? 私、
「安心しろ。オレが使うのはこの前と同じデッキだ。対策も立てやすいだろう」
「そんな……」
突き付けられた厳しい条件に、花織は再び不安を
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