第24話 速攻の異名
トラブルに巻き込まれつつも、花織は無事に本戦へと進出。
その一方で、
そして、帰りの新幹線内。
今日あった出来事が、景色と共に
――時は、本日の昼まで
こちらは関西。
天候は晴れ。
現在、
予選を順調に勝ち進んだ
大会の
その中から、彼は名物のお好み焼きとたこ焼きを
すると……。
「ありがとう。おおきに」
お礼の言葉と共に手渡された。
おおきに。
言わずと知れた、ありがとうを意味する関西弁。
であれば、その前にありがとうと付け足すのは重複ではないのか。
だが、再び予選が始まれば、
参加者たちを圧倒し、次々と勝ち進んでゆく。
と同時に、決勝で当たるであろう相手を見定める。
目を付けたのは、二十代の青年。
鮮やかな速攻で周囲を
そのスピーディーな攻めに対抗すべく、
そして、いよいよ最終戦。
予想通り、その青年が勝ち上がってきた。
テーブルを
と、青年が不敵に笑った。
「お前、関西のモンとちゃうやろ?」
「……だったら何だ?」
「何でわざわざこっちに来たんや? 向こうでは勝たれへんのかいな」
「ああん?」
即座に
その
「んなわけねえだろ? 仲間との
そこまで言いかけた
「どうやら、期待外れみたいだな……」
「おおん? 言ってくれるやないか! オレのことも知らんと、よう言うたな」
「知らねえな。お前、強いのかよ?」
「当たり前や。『速攻のフウマ』っちゅう通り名で呼ばれとる。知らんかったことを、たっぷり後悔するとええ」
「そうか……。楽しみだぜ!」
険悪な空気の中、
1ターン目。
「シールドマンボウを
場に出たそのカードは、ガーディアンという効果を持つ。
それにより、相手の攻撃を防ぐことが可能。
なおかつ、シールドマンボウの消費魔力は無属性1。
先攻は1ターン目の魔力チャージで無属性しか選べないが、このカードなら
初手から相手の出鼻を
しかし、フウマは顔を
「そう来ると思っとったで。何や、これまでの対戦中、
「何だと? だったら見せてみろよ。さあ、お前の番だ」
ターンを得たフウマは、木の魔力をチャージ。
そして、1枚のカードを場に出した。
「超魔術ファーミング・リライトを使用」
「っ!?」
息を
それもそのはず。
予想していた動きと違ったのだから。
超魔術ファーミング・リライトは、自分のライフ1を
それ自体が場の戦力になるわけではなく、
にも
つまり、
続く2ターン目に、
対し、フウマが場に出したのは、
3ターン目も、
そして、迎えたフウマの3ターン目。
彼は自身のレプリカへと手を伸ばした。
「ダンシングアップルでシールドマンボウを攻撃や!」
「させねえよ。見習いシスターでガード!」
「よっしゃ! かかったで!」
「な!?」
思わず声を上げる
目の前にはガッツポーズをするフウマ。
その理由もわからないまま、戦闘処理が行われる。
ダンシングアップルのパワーとライフは1。
対し、見習いシスターはパワー1ライフ3。
その結果、ダンシングアップルは倒され、見習いシスターはライフ2で生き残った。
本来ならば、このバトルは
ガードしなければ、シールドマンボウと相打ちになっていた。
それを
多くの場合、このプレイングは正解になる。
しかし、今回は例外。
先程の攻撃は
直後、フウマはそれを思い知らせるカードを場に出した。
「火竜祭を使用!」
「うっ! そのために、ライフを2に調整したのかよ……!」
「せやで。そして、火竜祭の効果で手札に加えるのは……このカードや!」
フウマが山札から選んだのは、ジャイアントボア。
パワー、ライフ共に6と強力。
さらに、
その代わり、サベージという効果により攻撃対象を自由に選択できない。
だが、デメリットさえカバーできれば
その暴走が今、
何とか直撃を防ごうにも、彼の場のレプリカは風前の
火竜祭の効果により、ターン終了時に2ダメージを受けてしまうため、生き残るのは無傷の見習いシスター1体のみ。
もう1体いる見習いシスターは、先程のバトルで
しかも、フウマの場には
その死亡時効果により、対象1体に3ダメージを与えられる。
このターンに
早くも
この状況を打開したくとも、現状の手札ではどうにもならない。
その結果次第で、ジャイアントボアの直撃を
望みのカードたちが頭に浮かぶ。
ベストなのは
ターゲットのライフをプラス2する効果を持つカード。
それにより、ダメージを受けた見習いシスターのライフを4に引き上げれば、火竜祭を
それだけでない。ライフ2と余裕を持って生き残るため、
しかも、
よって、1体は突破されても、残り2体で向かい打てる!
もしくは3枚目の見習いシスターでも可。
最善のケースとは違い3体ともライフ1で並ぶため、
最悪、ラベンダーセラピストでもいい。
その場合、見習いシスター2体しか残せないため突破は許すが、死亡時効果がレプリカではなく自身に向かうことだけは
それら、どのカードでもいい!
引けば
荒くなる息!
その緊張に打ち勝ち、
……乾いた笑いが
願いは届かなかった。
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