第18話 花織の決心
自室で
その目は
無理もない。
あの
彼は今、出口のない迷路に
どうすれば勝てるのか?
その答えは見つからない。
周りからはどう思われたか。
思い出す
自分はこんなに
その思いは
「
とっとと忘れてしまえばいい。
気にするだけ損。
頭ではわかっていても、そう思えば思う程、
どうやっても勝てない。
何をしても勝てない。
絶望に支配され、彼は勝ち方さえも見失ってしまった。
すると、今度は恐怖が
自分はもう誰にも勝てないのではないか?
そういう
負けのヴィジョンがあるからだ。
自分が負けるパターンを知ってしまったから。
もし、同じ戦術を他のプレイヤーがしてきたら、自分が負ける。
誰も彼も、強敵に思えてしまう……。
勝つためには、対策を立てなければ。
しかし、答えはどこにも見つからない……。
それでも見つけるしかない。
そのために試合内容を思い返し、再び後悔する。
それをトリガーとして、また
また、
カオスな心境の中、ネガティブの悪循環はエンドレスに続く。
気もおかしくなる。
床を
しかし、こんな事で気持ちが晴れるわけがない。
それくらい、彼もわかっている。
わかりきっている。
それでも、そうせずにはいられない。
しかし、解決になどならない……。
――その
それを迎え撃つべく、花織はストックゾーンに置いてあるカードへと手を
「さっき
「ああ、その通りだ」
「了解です! 超魔術テンペスト・リザーヴを使用します!」
宣言と同時に、花織はそのカードをストックゾーンから場に出した。
それは、
リザーヴという効果を持っており、
その際に置いておく場所が、場の手前に位置するストックゾーンと呼ばれる領域。
今、花織がカードを使用したのは、まさにそのストックゾーンから。
そう……それはつまり、リザーヴをきちんと活用した証。
超魔術テンペスト・リザーヴ。
その効果により、相手のレプリカ全てに1ダメージを与えることが可能。
つまり、この1枚で
「これが、さっき説明したアドバンテージだ。あの段階で使用していたら、倒せるのは2体だけだっただろ? それが今は6体も倒せた。このように、カードの
「はい! ありがとうございます!」
「おう! わからなかったら、何度でも聞いてくれよな! ……さてと、後は消化試合になりそうだな。オレがインフェルノブリンガーを
「わあ……!
満面の
と、そこへ
そして、
「お見事! 順調だね」
「
対し、
「大丈夫。きっと戻ってくるよ」
優しく
その言葉に、花織が
「知ってたんですか!?」
「うん。
「わあ……! 本当に思いが届くか不安だったので、
「それでも来ない時は、僕が引きずってでも連れてくるから、安心して特訓に集中してね。三戦目はここで見守らせてもらうよ」
「はい! とても心強いです。少しでも多く学べるように、
「うん。僕にも教えられることがあると
彼は、まだ
「……お前、ショップの入口にいたウィザーズウォーゲームの社員だな? オレと
「あ、バレちゃった? ごめんごめん。いやあ、
不自然に
その様子に、
「よく言うぜ……。あれのどこが熱戦だよ。まあ、今となっては感謝すべきか……」
「よかったー! 許してもらえて!」
わざとらしい
「まあいい。それじゃ、小休止もできたし続きをやるか」
「はい! お願いします!」
元気な声と共に、二人は特訓を再開。
あっという間に序盤を過ぎ、中盤へ突入。
と、ここで暗雲が立ち
先程までは順調だった花織だが、急に足並みが乱れ出す。
教わったばかりのカードアドバンテージを気にするあまり、
そうなってから
一度遅れてしまった
手札は
何度倒しても、次から次へと押し
やがて、花織のライフは0となった。
「……参りました」
がっくりと
それを
「いやいや、よく戦えてたよ。ねえ、
「ああ。さっき教えたカードアドバンテージを意識できてたな。けど、今回のデッキテーマはリバースだったから、テンポアドバンテージ……つまり、場のやり取りを意識するのが正解だったな」
「なるほど……カードに合わせて考え方も変えるんですね」
今の反省点を要約すると、以下の通り。
リバースは捨て札にあっても使用できる効果。
その代わり、消費魔力は大きく設定されている。
その長所を引き出し短所を抑えるには、カードリソースよりテンポを取るのが合理的。
以上のことを花織はしっかりメモし、顔を上げた。
「ありがとうございます。おかげでいろいろ勉強になりました!」
「おう! いつでも特訓付き合ってやるぜ! さて……それじゃ、本題だな」
そして今、とんでもないことを口にする……!
「あの……。
「
「私も戦うべきだと思ったんです。
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