第19話 心からの寄り添い
突然の申し出に
どう答えるべきか悩み、数秒後……。
「……そこまでする必要はないよ」
優しい
しかし、花織は表情を
「でも……」
「わかった。今から
そう言うや
だが、その
「違うんです!」
花織の
「花織ちゃん……?」
「……無理やり連れてくるなんてダメです! そんなことしたら、
必死に
だが、その表情は
やがて、いつもの
「
「はい。わかってます」
「それだけじゃない。彼と戦ってゲームが嫌いになった人もいる。
「はい……。覚悟はできています。負けてでも、
「……わかった。
「はい! ありがとうございます!」
「じゃあ、ちょっと待っててね」
そして、約束通り
「……もしもし?」
「やあ、
「ええと、今?」
「うん」
「……どうして?」
「このまま
「……まあ、
「それじゃ、待ってるからね」
そう言って通話を切り、今度は
「……もしもし?」
「やあ、
「……切る」
「ちょ、ちょっと待って!」
さすがの
「ちょっとだけ時間ちょうだい! ね?」
「どうせまた、さっきと同じ話だろ?
「待って! 単刀直入に言うから! 花織ちゃんが、
「ッ!?」
電話越しに息を
そして、次の
「お前! 何考えてんだ!」
いつになく感情的な
彼にとって、自分以外のことで熱くなるのは初めてだ。
本気の
しかし、
内心、彼女らのことは気に
「僕じゃない! 花織ちゃんが自分から申し出たんだ。
「だからって呼ぶ奴がどこにいる!」
「僕が呼ばなきゃ自分で探す勢いだったからだよ! だったらせめて、僕がいつでもフォローに入れる時がいい。違う?」
「調子のいいこと言って、お前は一体何が目的だ!? これも全部、オレをゲームの世界に戻すためじゃねえのか!?」
「確かにゲームには戻ってきてほしい。けど、僕だって心苦しいんだよ! 本当なら、
「だったら! そのためなら、何やってもいいとでも言うのか!」
「僕だってそう反論したさ! でも、それも全部、最後には全員の笑顔に変わるから、と。そう言われたんだ! ……
「……」
必死に説得するも、返事はなく、数秒後に通話は切られた。
暗い
しかし、遠目に花織たちの姿が映り、不安にさせまいと無理に作り笑いをした。
――その一方。
向かうべきか、
刻一刻と過ぎてゆく中、悩み続けるも答えは出ない。
言うまでもなく、行きたくない気持ちは強い。
まだ心は
負の感情は、言い訳を生む。
自分が行って
そもそも、なぜ自分がそこまでしなければならないのか。
赤の他人のために……。
そう思う一方で、花織のあの泣き顔が
初めて味方してくれた存在。
そんな人が今、待ってくれている……。
それどころか、
その
あんなに純粋な子を見捨てるのか!? と。
これまで一人で生きてきた
それだけではない。
このまま会えなくなれば、
誰からも認められず、必要とされず……そして、誰一人として
悪いのは自分だと
そうしたら、きっと……もう二度と、笑うこともないのだろう、と……。
不意に
全速力でショップへ向かう!
悩み始めてから長時間が経過していたこともあり、今から行っても
転げるように前へと進む!
息を切らし、涙を流し、死に物狂いで……!!
――そうとも知らず、ショップ内では
負ける
「心が折れないのは素晴らしいと思うよ。でもね、いい加減わかってくれないかな? 思考を読むまでもない。僕への恐怖心と緊張感からミスの連発。君たちでは僕に絶対勝てないよ」
「わかってます! でも、
「そう言われても、僕だってこんなことしたくない。相手の心を折り続けるなんて、僕も苦しいんだよ?」
その言い
「言ってくれるじゃねえか、テメェ……! もう勝った気でいるのかよ? お前なんて、この
「強がりは
「へっ! バカじゃねえのか? 読み違えだ! お前を狩れるとワクワクしてんだよ!」
「違うね。冷や汗、体温、呼吸……。明らかに
「だー! うっせえ! いいから勝負に集中しやがれ!」
「……はいはい。でも、この一戦で最後にしてもらうよ」
ご
勝機などない。
それでも戦い続けている。
と、その時。
「やめろ!」
勢いよくドアが開け放たれ、同時に
花織と
その目に映るのは、ぼろぼろになった
数秒後、ようやく
「あんな奴と戦う必要はない。オレならここだ」
静かに、しかし力強く告げる。
その言葉を聞いた
店内に残された三人。
しばらくして、花織が涙を
「よかったです、本当に……!」
それを見ながら、
「あのなあ、強引にも程がある。オレに戻ってきてほしいからって、こんな無茶を……」
「だって……! 考えてみたら、私、
「……で? どうだった?」
「とても悲しかったです。自分の全てを否定されてるようで……。全部読まれるって、こんなに苦しいんですね。
思い出しながら
だが、すぐさま首を振り、
「でも、きっと
約束を
しかし、すぐさま
それでも今は、その思いを受け入れようと、彼なりに精一杯努力し……。
「ああ……」
と、一言だけ
たったの一言。
しかし、本来であれば、なかったはずの返答……。
そして何より、
花織はようやく安心し、満面の
それに
そして、すぐ
こうして、この一件にも終止符が打たれた。
三人は気持ちを新たに、また一歩前へと進んでゆく……。
――そして数日後。
大会の日程が明らかとなり、
すると、そこに
パズル問題による試験を含む、と……。
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