第5話 リスタートの鍵
その直後。
「一体何が違うんだ?」
口を
その声は先程までの冷めきったトーンとは明らかに違った。
声に
その問いへと答える前に、
そして、戦う花織の姿を見るよう
「
「居場所……」
そうしている間にも花織はまた一敗し、再び勝負を
その様子を
「あげるよ。対策に役立ててくれると
「……ああ、一回だけ戦う機会があったからな」
「そっか! じゃあ、後はカードだね! ごめんね。丁度今、持ってなくてさ! あの子にあげたので最後だったんだ!」
不自然に
「
「いやあ、やっぱり慣れないことはするもんじゃないね。ここはどうか、僕に
「ったく、どいつもこいつも勝手な奴だ……」
不平を
そこへ混ざり、見守ること数分。
再び決着を迎えた。
沈む空気の中、
「何回やっても
「面白いことを言うんだな、お前」
突然の出来事に
そして、そんな彼女らをよそに、
「ジョークなら百点だ。だが、もし本気なら……とんだ勘違い野郎だな」
「ああん?」
水を差された
「何がおかしいんだ? 言ってみろ!」
「わからないのか? カードゲームはレアリティで戦うものじゃない。カードの効果で戦うものだ。それがわからない時点で、お前もこいつらを笑う資格はない。
「何だとぉ!? そこまで言うなら見せてみろよ、お前の実力を!」
顔を真っ赤にし
しかし、
そして……。
「ああ、お望み通り見せてやるよ。今からデッキを作るから、楽しみに待ってろ」
低い声で、そう宣戦布告した。
その
「何だよ。まだデッキも持ってねえのかよ。
「心配はいらない。こいつからカードを借りて、すぐにでもデッキを組む。五分程度もらえればそれでいい」
「そんな
その移動が済んだ直後、花織が頭を下げた。
「すみません! まともなカード、持ってなくて……」
申し訳なさと
その様子に
「お前もそう思っているのか。やれやれ、
「え、えっと……?」
意味がわからず
「オレなら、お前の持っているカードだけであいつを倒せる。信じられないか?」
「いいえ、信じます!」
花織は
その予想外の反応速度に
適当に話を合わせているだけでは? 口先だけの信用なのでは? と。
真偽を確かめるべく
それだけではわかるはずもなく、知りたくば問い
「……どうしてオレを信じられる?」
「わかりません。けれど、
その言い分に、納得するだけの根拠はなかった。
しかし、その言葉には相手を
それを多少なりとも感じ取った
こうして話は決まり、
約束通り、五分以内に
そして、逃げなかったことだけは
先にシャッフルを終えた
それに対し、
「言い忘れてたな。先攻と後攻、好きな方を選ぶといい。
当然、
「お前、誰に向かって言ってんだ? あ?」
「いいから選べ」
「……言ってくれるじゃねえか。なら、先攻をもらうぜ。たっぷり
「それは楽しみだ」
ついに始まった二人の戦い。
初手の引き直しを
「……ッ……フフッ……。……ッ……フハハ。……フハハハハハハ!!」
「最高の手札だっ! これ以上にない、最善の初期手札! かわいそうだが、最速でお前の負けだっ!」
そう言ってまずは、無属性の魔力を1つチャージ。
その後、手札から耕作を場へと出した。
花織とのバトルでも使用した、魔力を増やすカードだ。
だが、
そして回ってきたターン。
「幼きエスパーを
一連の宣言後、山札を手に取った。
そして、目的の1枚を探し出し、
「サボタージュ。このカードを手札に加える」
「
「そうか。まあ、そう思い
使用したのは、またしても耕作。
しかも今度は2枚。
たったの2ターン目にして、
その代償に受けた合計3のダメージなど、気にする
それどころか、増えた魔力を見てニタニタと笑う始末。
そしてさらに、
「方針を使用」
宣言後、山札を手に取りカードを探し始める。
そして、見つけ出したそれを
「レッドドラゴンを手札に加えさせてもらうぜ。最速で降臨するこいつを止めることは不可能だ!」
口元を
顔を
だが、
そして、攻撃によって与えたダメージはたったの1。
その戦法を見た
「ようやくわかったぜ、お前の
観客の
その割に、特に何か
しかも今回は1体のみ。
使用可能な魔力も余らせている。
対する
ついに魔物が
「レッドドラゴンで攻撃! 効果対象に選ぶのはプレイヤー、テメェだ!」
攻撃時の効果により、3ダメージを宣告された
さらに、攻撃自体による6ダメージもそこへ加わる。
このままでは、
攻勢に立った
「さあ、選べよ!」
選択肢を
レッドドラゴンは強すぎるが
サベージの効果により、攻撃対象を選ぶ権利は相手プレイヤーにある。
つまり、味方レプリカを
だが……。
「攻撃対象に選ぶのは……オレ自身だ」
「何を言い出すかと思えば。そうかよ、そんなに兵力が大事かよ。確かに一理あるが、
「ああ、ちゃんと計算済みだ」
「残念だが、それは誤算だ。なぜなら……お前の陣営は全てこのターンで消し飛ぶからだ!
高らかな宣言と共に、
火吹きのヴォルケーノ。
そのイラストはレッドドラゴン同様、プラチナカード特有の光沢を帯びており豪華。
描かれているのは
全身に
当然、効果も凶悪。
その
「こいつは毎ターン終了時に敵味方関係なく全体ダメージを
高笑いが響き渡る。
だが、次の
「カウンター発動。ネゲイション」
それは
なおかつ、カウンター(宣言に割り
対抗手段のない
「いい気になるなよ。次のターン、
「そうか。そう思っていればいい」
彼の使用したカードは取捨選択。
その名の通り、手札を2枚捨て札に置き、2枚引くという効果。
つまり、場の戦力自体は増えない。
観客たちは
この
そんな空気の中、迎えた
またしても
そしてさらに、
「リザレクトでヴォルケーノを戻し、
先程の怪物が場に舞い戻った。
このターン終了時に
立ち
もはや観客たちは失望し、
しかし、ただ一人……花織だけはまだ
そして、その視線の先……。
この状況下においてなお、
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