第21話 予選試験
「……それでは始めてください」
合図と同時に、参加者が
教室内には、タッチ音だけが
その
映し出されたのは、対戦を
実戦とは異なり、山札や相手の手札を見られるようになっている。
場には何もなく、お互いのライフは4。
花織の手札はファイア1枚のみ。
対する相手はメディテーションが1枚のみ。
魔力は双方6で、その内訳は水と火が3つずつ。
山札はお互い何十枚もあるが、そのほとんどがほぼ意味をなさないパラレルというカードばかり。
ただし、相手の山札にだけ一番上にコンフュージョン、二番目にファイアがある。
そして、クリア条件はこのバトルに勝つこと。
一問目ということもあり、基本を問う出題。
言うなれば小手調べ。
だが、花織は油断せず、約束通り
その時の会話が鮮明に思い起こされる……。
「今からお前には、考える習慣を身に着けてもらう」
「えっと……? 私なりに、一応考えているつもりなんですが……」
「本当にそうか? ならば、迷いや悩みとの違いはわかるか? やたら長考する人や、
「……わかりません」
「なら教えよう。迷うというのは、
「確かに、
「そうならないために、考える際の指針があればいい。今から教えることは全て、その判断基準と状況整理の方法だ」
……まるで隣にいるかのよう。
それらは厳しく聞こえる言葉ばかり。
だが、その口調は終始
言葉がキツく感じるのは、常に断言しているから。
つまり、それは自信の表れでもある。
その心強さが今、一人で試験へと立ち向かう花織を勇気づける!
おかげで緊張が
この問題に出てくるのは三種類のカード。
ファイア、メディテーション、コンフュージョン。
いずれもカウンターを効果に持ち、タイミングを誤ると手痛い
例えば、すぐにファイアを使ったとしよう。
すると、相手はメディテーションを使用し、カードを3枚引く。
効果処理の後、再びファイアに対しカウンターを発動するタイミングが生まれる。
そこで、改めて今引いたばかりのコンフュージョンを打ち、結果としてファイアは手札へ戻されてしまう。
再度ファイアを使用する魔力は残っておらず、ターンを終了するよりない。
そして、ターンを得た相手がファイアを使用し、花織の負け。
かと言って、ずっと待ち続けるわけにもいかない。
もしそうすれば、2ターン後にファイアもコンフュージョンも手にした相手が勝ち切ってしまうからだ。
これらの状況を整理し、花織は考えを
この問題のテーマは何か。
それはズバリ、カウンターを打つのに最も適したタイミング。
そのことに気付いた彼女は、ここでようやく機器の操作を再開した。
まず最初に、このターンをパス。
そうすることにより、相手は6魔力がまるまる
かと言って、ここでメディテーションを使用しては、今度こそ花織がファイアを使用して勝つ。
これが、カウンターの後出しの強さ。
相手は
この相手のターン中にファイアを打つだけで花織は勝てる。
相手は今引いたコンフュージョンで一度は妨害できるものの、
それを引くためにメディテーションを使用すると、ファイアを打つための魔力がなくなってしまう。
一方の花織は、次の自分のターンに魔力が回復するため、そこで再びファイアを打てばいい。
以上の順で花織は無事に一問目を突破した。
続く二問目。
相手の場には、フルメタルガーディアンと
対する花織の場には、天界の修道女とレッサーイーグルが1体ずつ。
相手のライフは1。
花織の手札はウェーブ1枚のみ。
対する相手は0枚。
魔力は双方無限と表記されている。
そして、今回もクリア条件はバトルへの勝利。
花織はこの問題も同様に、考える前に
「思い
そのことを念頭に置きながら、花織は状況を整理してゆく。
この問題は、花織の攻撃がどちらか一方でも決まればクリア。
しかし、
しかも、どちらもカウンター持ち。
ウェーブで戻しても、すぐにまた
以上の中に思い
そして気付いた。
ウェーブの対象にすべきなのは、相手のレプリカではないということに。
後は、解答まで一直線。
まず、レッサーイーグルで相手プレイヤーへ攻撃。
対し、相手はフルメタルガーディアンでガード。
この
その結果、バトルは中断されるが、フルメタルガーディアンは行動回数を消費してしまう。
次に、天界の修道女で相手プレイヤーへ攻撃。
対し、相手は
相打ちとなり、2体とも捨て札へ。
その際、グレネードベビーの効果が発動し、全てのレプリカへ1ダメージをばら
しかし、レッサーイーグルは手札へ避難しているため、被害は受けない。
ここで満を
順調に二問目もクリアした花織。
だが、簡単なのはここまで。
残りの三問は、ここまでの基本問題とは違い、テクニックを要する難問
三問目。
相手の場には、レッドドラゴンが15体。
手札は任意のカードを花織が選ぶことができるが、3枚のみ。
しかも、内2枚は同じカードという指定がある。
加えて、
山札はパラレルばかり。
魔力は無限。
クリア条件は、相手のレッドドラゴンを全て場から退場させること。
四問目。
相手の場にはフルメタルガーディアンが1体。
花織の場は空っぽ。
相手のライフは12。
手札は任意のカードを選べるが、今回はたったの2枚。
ただし、中級のファイアと超魔術の使用は禁止。
そして、山札は役立たずのパラレルばかり。
魔力は今回も無限だが、逆に言うとヒントがない。
クリア条件は、このターン中に勝利すること。
五問目。
相手の場には、ディバインアーマーを6回受けた守り神が4体。
しかも、これらは効果のターゲットに選択不可。
対する花織の場は空っぽ。
相手のライフは20。
花織の手札は任意のカードを1枚のみ。
ただし、
さらに、アルファ博士の使用時に山札からサポートを引くことは禁止。
対し、相手の手札にはウェーブが無限に存在している。
そして、お互いの山札のほとんどがパラレルで埋め尽くされているが、自分の山札の上から6枚のみ任意のカードを選択可。
ただし、それらは1枚の被りも許されない。
双方の魔力は無限。
クリア条件は、このターン中に勝利すること。
いずれも一筋縄ではいかない難問。
その内の最初の問題へ立ち向かうべく、花織は画面を進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます