第3話 勇者にみんな期待しすぎなんですよ

 家に帰ると、母さんから旅を止められるかと思いきや、逆に後押しされたときには逃げたくなった。


 死にたくねえなあ。


 お城の兵士に、なんでおれみたいな半端な子どもが戦線に駆り出されているのか聞いてみたところ、もう戦力が残っていないかららしい。自国の防衛で精一杯になり、各所がおのおのの対策でなんとか持ちこたえていると聞いたらめまいがした。


 ああ、死にたくねえ。

 でも世界は甘くない。

 記憶障害を理由に保護を求めても、足手まといを理由にそのまま死んでおしまいなのだ。


 あの王様の口ぶりからして、ほんとに切羽つまっているのだ。

 だとしたらねえ……。

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