第16話 そ、そんなに足っていいの?
「さてさて、今日はどうしたものか」
私は学校から帰るなり、啓介くんの部屋に向かうことになった。
まぁ、ずっと家を行き来する仲だったから、別にそれ自体はいいんだけど、自室に入るなり催眠をアプリを見せるのはどうなのだろうと思ったりもしなくもない。
でも、そうされることを承知したうえで、のこのこと足を運んでしまう私の方がどうなのだろうと思わないこともない。
……今日は一体、どんなことをされるんだろうか。
そんなことに対して、いつの間にか不安はすっかり見られなくなってきて、最近は明日どんなことを命令されるんだろうと寝る前に考えてみたりもし始めている。
べ、別にそれを望んでいるとかではなくて、ただ考えてるだけ。
だって、毎日えっちなことを命令するわけだし、少しくらいそのことについて考えてしまうようになってしまうのは仕方がないと思う。
「それじゃあ、今日は少し控えるか。うん、恵理はベッドに座ってくれ。スカートはそのままで」
え? 控える? ベッドに座ってくれって、ただそれだけ?
私はいつもと違うその指示を前に、少し驚きながら目をぱちくりとさせていた。
そのくらいのことなら、別に催眠なんかしなくても全然するのに。
そんなことを考えてベッドに腰を下ろした私を確認して、啓介くんが私の足元に腰を下ろした。
上から啓介くんのことを見下ろす構図。
なんだろう?
そんなことを考えていると、突然啓介くんが少しだけ腰を屈めた。
「ここら辺かな? お、ちょうど見える」
「っ」
そして、啓介くんは私のスカートを覗き込むような姿勢で私のスカートの中を覗き込んできた。
え、スカートの中覗いてるの?! いつもたくし上げていたくせに、なんでそんな遠回りなことするの?!
じいっと注がれる視線は本気で私のスカートの中を覗こうとしていて、私は反射的に脚を閉じようとしてしまった。
でも、すぐに私は自分が催眠状態という設定だったことを思い出して、慌てて閉じそうになっていた脚の動きをその場に留めた。
そのことに対して啓介くんは特に指摘することなく、むしろ熱心に私のスカートの中を覗き込んできた。
熱すぎるくらいの視線を前に、私は羞恥心で胸の奥の方を熱くさせていた。そして、その熱が漏れでたかのように、私の顔を熱くしていた。
これ、たくし上げるよりも恥ずかしい?!
何かえっちなことをしろと言われるんじゃなくて、ただ一方的に啓介くんの行動を受け入れることしかできない状況。
やらされているのではなく、えっちなことをされているのを自らが受け入れるという行為を前に、私は心臓の音を徐々に大きくさせていた。
ただ覗かれるという状況を前に心臓の音をうるさくしていると、不意に啓介くんが口を開いた。
「脚は、際どい部分に入るか? いや、足裏をくすぐったりもしたことあるし、膝下まではセーフか?」
「っ」
え、足? 何その判定基準?!
啓介くんは独り言のようにそんな言葉を漏らすと、私の膝下をじっと見つめだした。
別に、膝下とかは普段出してる所だし、触られるのはいいけど……え、触って面白い部分でもなくない?
そんなふうに少し困惑している私をそのままに、啓介くんは私の足を持って自分の膝の上に私の足を乗せた。
何の意味があるんだろと思っていると、啓介くんは何かに納得するように頷いた後に言葉を続けた。
「へぇ、こういう感じか。案外、気持ちいいんだな」
「っ!」
え、気持ちいい?! こういう感じかって、何?! え、踏まれたいってこと?! 気持ちいいの? 少し踏んだだけで?!
私は幼馴染の隠された性癖を前にして、困惑してしまっていた。
別に、足くらい良いけどと思ってたけど、もしかして、啓介くんって、ずっと触りたかったのかな?
啓介くんからしたら、待望の瞬間だったり?
「よいしょっと」
思いもしなかったフェチの部分を急に見せつけられて困惑していると、啓介くんはさっそく私の足の裏を持ち上げてきた。
「あっ」
体重が後ろに倒されてしまって、啓介くんがどんな顔で私の足の裏を見つめているのか分からない。
それでも、熱い視線と、私の足を支えている啓介くんの手のぬくもりだけは確かに感じた。
「いやいや……さすがにエロ過ぎだろ」
「っ!」
え?! 私の足の裏ってそんなにえっちなの?! いや、ていうか足の裏がえっちってどういうこと?!
おっぱいを見たときと同じくらい感動するような口調で、啓介くんはそんな言葉を漏らしていた。
何かの勘違いかと思ったけど、いつになく熱い視線を向けられているような気がする。まるで、目の前の光景を瞼の裏にでも焼き付けようとするかのように。
それも無駄な言葉は一切漏らさず、ただただ熱い視線を向けられている。
も、もしかして、このまま一時間くらい見続けられるの?
「片方だけ靴下を脱いでみてくれないか?」
あれ?
そんなことを考えていた私の考えは簡単に裏切られ、顔を上げてみるとそこには催眠アプリを開いたスマホを掲げている啓介くんの姿があった。
あ、違う。これから始まるんだ。
私は熱視線を向けられながら、その視線に気づかないフリをして、スクールソックスを下ろしていった。
「……」
そして、スクールソックスを床に置いてちらりと視線を向けてみると、こちらに食い入るように視線を向けていた啓介くんの姿があった。
啓介くんにとっては、靴下を脱ぐっていう仕草がもうえっちな行為なんだ……。
そんなことを考えていると、啓介くんは靴下を脱いだ私の足をじっとしばらく見つめていた。
私は少しだけ躊躇った後、啓介くんの太ももの上に足を置いてあげることにした。
多分、こっちの方が喜ぶかなと思って乗せると、啓介くんは足を乗せられたことが嬉しかったのか、少しの間思いにふけっていた。
そして、何も言わずに私の足の裏に手を回して、優しく触り始めた。
足の甲を親指で優しく撫でたり、足の裏を指の腹でそっと這わせたりして、普通じゃない触り方をしてくる。
くすぐっているのではなく、何か目的があるんじゃないかと思うくらいにじっくりと指先で撫でてきた。
そんなふうに触りながら、興奮しているのが伝わってくるくらい熱い視線を向けてきて、
指の間を少しだけ広げてみたり、つうっとふくらはぎや膝の裏に指を這わせてきた。
「んっ……っ」
堪えられなくなった声が漏れてしまっても、こちらには一切目をくれずにずっと足を責めてくる。
必要以上にじっとりと。
「はっ……んっ」
啓介くんは漏れ出た声と共に私が小さく体を跳ねさせても、そんな私のことなどお構いなしで私の足を触り続けていた。
抑えようとしても抑えられなくなった声を聞きながら、まるでもっと声を聞くためにやっているかのように、必要以上に責めてきた。
そしてーー。
「い、一時間近くも触られ続けたんだけど」
いつになったら終わるのかと思いながら耐え続けて、荒くなりそうになった息を抑えながら一時間を何とか乗り切った。
私は浴槽に浸かりながら、足を責められ続けた一時間を思い出していた。
催眠されたという設定だったのに、私は最終的にパンツを隠してしまっていた。
いや、あれは仕方がなかった。だって、あんなに必要以上に触られれば、誰だってそうなってしまう。
……だから、別に私がえっちな子とかそんなんじゃないのだ。
「足、そんなに好きだったんだ」
知りもしなかった幼馴染の性癖を知らされて、私はなんとも言えないような気持になっていた。
そっと触られ続けた足に手を這わせてみると、小さく体が反応してしまったことに気づいて、私は浴槽に口まで浸かってブクブクと泡立てていた。
……これって、開発って言うんじゃないよね?
今までなんともなかった場所をじっとりと撫でられて、反応するようにさせられてしまう。
そんな行為に名前を付けるとしたら、それ以外に該当する言葉がないような気がしてきた。
なんでもない所を触って変なふうにされるくらいなら、普通におっぱいとか触られた方がいんだけど……。
私はそんな誰にも言うことのできない悩みを前に、どうすることもできずにいたのだった。
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