第30話 お、お風呂はあかんでしょ?!①
……最近、幼馴染の様子がおかしい。
いや、一瞬ラノベのタイトルみたいだなと思ったけど、そんな悠長にしてられないくらいにおかしくなっている。
何がおかしいっていうとーーあまりにもエロ過ぎる。
そのせいで授業中の今も、昨日のことを思い出してしまっている。
昨日、恵理は俺に催眠をかけると俺に後ろを向かせて、脱いだ服を俺の目の前に積んでいった。
それはスカートやワイシャツに止まることなく、パンツやブラジャーにまで及んだのだ。
本人曰く、あれは脱ぎたての物じゃないと言っていたけど、微かに残った温もりとかがそれを否定していた。
はたして、恵理は俺の部屋で一糸まとわぬ姿になったのか。こればっかりは、当の本人にしか分からないことだろう。
……あああぁぁ!! 振り向いとけばよかった!
だって、あの恵理が俺の部屋で裸になっていたかもしれないいんだぞ!
振り向けば、たわわなおっぱいがそこにあったかもしれないのに、馬鹿みたいに惜しいことをした!
ていうか、なんなんだ最近の恵理の感じは! なに、欲求不満なのか?!
仮に下着を脱いでいないとしても、俺の部屋で自発的に下着姿になった所までは間違いない事実である。
恵理が帰った後、そんな部屋で思春期男子が大人しくできるはずがなく、結構色々と大変でしたよ、おかげさまで。
一昨日はおへそにキスをして、昨日は真後ろで脱衣ショーが行われて。
そうなると、今日は一体何が起こるのか。
それを想像しただけで、俺は滾ったような興奮を抑えるのに必死にならねばならなかった。
ちらりと授業を受けている恵理の様子を見ると、恵理はえっちなことなど何も知らないような無垢な顔で授業のノートをとっていた。
あんな子が妖艶な笑みと共にえっちなことをしてくるなんて、クラスの連中に言っても誰も信じてくれないだろう。
俺しか知らない恵理のえっちな一面。
そして、それにいいように支配されるという状況に期待している自分がいるのを、否定することはできなかった。
放課後に一体、どんなことを命令されるのか。それを考えただけで、俺は悶々とさせられて心臓の音を速くしてしまっていた。
そして、放課後。
……あれ? 今日はえっちなことなしなの?
放課後にそわそわしながら自室なり、リビングなりで恵理に催眠をかけられるのを待っていたのだが、恵理は俺に催眠をかけてこようとしなかった。
そのまま気がつけば共に夕食を食べて、その後に恵理はすぐ近くにある自分の家へと戻っていってしまった。
このタイミングで自分の家に戻るということは、多分もう今日は会いに来ることはない。
ということは、やっぱり今日は俺に催眠をかけてこないということか?
朝起きてからずっと恵理に催眠をかけてもらうことを期待して、ムラムラッとし続けただけあって、こうしてスルーされてしまうと肩透かし感が半端ない。
恵理を玄関まで見送った俺は、そのままリビングのソファーで座ってポカンとしてしまっていた。
……いや、こうしてみると、俺どれだけ恵理に催眠をかけてもらいたがっていたんだよ。
幼馴染に催眠にかけてえっちなことをしてもらえないから、がっかりしてるというあまりにも情けない図。
仕方がない。部屋で昨日のことを思い出しながらソロプレイをするか。
しばらくぼぅっとした後、そんなことを思ってリビングを出たところで、玄関で物音が聞こえてきた。
何だろうかと思ってそちらに向かってみると、玄関の扉が開かれて、そこには未だ制服姿の恵理がいた。
「え、恵理?」
「ごめんね、家のお風呂少しおかしくさ。今日だけお風呂借りていい?」
そこには、少し申し訳なさそうな笑みを浮かべている、トートバックを肩に下げた恵理の姿があったのだった。
「え、風呂? 別に、それくらいなら全然いいけど」
当然、全然いいわけがない。
今までだったらなんとも思わなかったかもしれないが、今はそんな訳にもいかない。
スカートをたくし上げさせてパンツを見て、ブラジャー姿を見て、最近はそれを見せつけられたり、それ以上のことをしてきたりする女の子。
この短期間で女性らしい体を意識せざるを得なくなって、最近は教室にいると自然と目で追ってしまうような女の子。
そんな子が俺の家にあるお風呂を使うというのだ。
……つまり、俺の家で裸になるということ。
それも今回は俺の妄想とかではなく、事実として裸になるわけだ。
何も思うなというのは無理という物だろう。
「啓介くんは、もうお風呂入った?」
「いや、まだだから、先に入っていいぞ。まぁ、まだお風呂いれてはないんだけど」
「実は、今朝から給湯器おかしかったから、こうなるんじゃないかと思ってね。……お風呂、実はもうお風呂入れる状態にしてるんですよ」
「え、そうなのか?」
なんだよ、もう初めからお風呂借りるつもりだったのか。
結構ちゃっかりしてんだなと思いながら、なんとなく少し前のような距離間の近さに少しだけ安心感を覚えていた。
そうだよな、変に気を遣わないでいいような距離間で、男女の距離間も忘れるような距離間だったんだ。
そんなことを考えて、漏れ出たような笑みを浮かべると、恵理も俺に合わせるように笑みを浮かべていた。
そして、何かを思い出したように小さな声を漏らすと、トートバッグから何かを取り出して、それを俺に見せつけてきた。
「だからね、今から催眠もしちゃおうと思ってさ。……一緒に、脱衣所まで来てもらおうかな、啓介くん?」
そこにあったのはスマホの催眠アプリの画面だった。
俺にその画面を見せつけてきた恵理の顔は、いつの間にか含みのあるような笑みに変わっていた。
こ、この流れで脱衣所?!
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