第12話 なにこの焦らしプレイ?!

 今日も朝啓介くんを起こしに行くと、さっそく催眠アプリを使われてパンツを見せるようにと言われた。


 効果がないはずの催眠アプリなんだけど、私は効果があるフリをして乗っかるしかないのだ。


 何回やっても恥ずかしさは変わらず、私は顔が熱くなるのを感じながら、その日も啓介くんの前でスカートをたくし上げて、パンツを見せたのだった。


 いつも見せてるのに、いつも食い入るようにじいっと見てくる熱視線。それを感じながら、私は少しだけ変な気持ちになっていた。


 ……上を脱げとは言わないんだ。


 別に、いつでも言われていいように準備をしている訳ではないけど、最近は下着も上下セットの物を着るようにしている。


 あんまり自信のなかったお尻を見て、結構な好評? をしてもらったこともあって、少し自信のあるおっぱいのことをはどう考えてるのかなと、思ったり思わなかったり。


 それだというのに、啓介くんはパンツばかり見たがる。


 もしかして、啓介くんはパンツフェチでブラジャーとかおっぱいには興味がないのだろうか?


 確かに、啓介くんの性癖が少し変わっているのは薄っすらと感じていた。


 いつも見るのはパンツだけで、私には触れようとしないでただ見てくるだけ。あとは、女の子の匂いが好きで、その匂いを覚えて一人でえっちなことをしてしまう。


 うん、なんかパンツフェチくらい普通に思えてきた。……啓介くん、色々と拗らせてるのかなぁ



 本気で啓介くんの性癖について心配し始めた放課後、また啓介くんは私を自分の部屋に呼んだ。


 啓介くんに呼ばれて部屋に向かうと、さっそく私はそこでいつもの催眠アプリの画面を見せられてしまった。


 当然、従うしかないのだけれど……もしも、『匂いが一番する場所を俺に押し付けろ!!』とかだったらどうしよう。


 一番匂いがする所、どこだろうか?


 頭? 脇? 足? その中だったら、まだ頭が一番安全、なのかな?


 まさか、今日も放課後に催眠アプリを使われると思ってなかったから、昼休みにシャワーなんて浴びてないし、汗の匂いがしちゃう気がする。


 で、でも、それを啓介くんが望むなら……。


「……そろそろ、シャツも脱いでもらおうとするか」


 え? シャツ? あ、結構普通なんだ……いやいや、女の子に催眠をかけたと思っていながら、そんな要求をしてくるのは普通ではないんだけどね!


 それでも、少し意外ではあった。


ずっとパンツばっかり要求してきたから、パンツ以外に興味はないのかと思ってた。


 別に、パンツはここ最近ずっと見せてきたわけだから、ブラジャーを見せるくらいなら問題ない、はず?


 あれ? そういえば、昔はお風呂に一緒に入ったこともあったから、パンツは見られたことがあった。


 だけど、ブラジャーを見せるのは、もしかして初めてでは?


「スカートはそのままでいいから、シャツを脱いでくれないか?」


 そんなことを考えている私の目を真剣に見つめながら、私のブラジャーが見れることに男の子として期待してる視線を啓介くんは向けてきた。


 そんな熱視線で見られると、その、変に意識しちゃうからやめて欲しいんだけどなっ。


 私は男の子として私の体を見ようとしている啓介くんの視線を受けて、羞恥心とは別の感情によって体を熱くさせようとしていた。


 その感情を押さえ込むようにしなが、私はちらりと啓介くんの方に視線を向けて、一つ目のボタンをそっと外した。


 ただワイシャツのボタンを外しただけ。


当然、たった一つのボタンを外したくらいでおっぱいが見えるはずはないのに、透視でもしてるんじゃないかというくらいの視線をおっぱいの所に感じた。


 熱くなっていく体の温度がバレないように、私はそのまま二つ目のボタンを外した。


 そうやって、ボタンを外す度に熱く注がれてくる視線。


 私は生唾を呑み込むようにしながら、普段は啓介くんから感じないその視線を受けて、ボタンを次々に外していった。


 うるさくなった心臓のせいで、息が浅くなっていくのを感じる。


 ただの緊張だということにして、私は微かに温度が上がったような息を無視してそのまますべてのボタンを外した。


「っ」


 はだけたワイシャツの間から、少しだけブラジャーが見えるような状態。


 そんな状態にした後、私はちらりと啓介くんの方に視線を向けた。


 ……凄い見てる。そ、そんなに覗き込んでも見えないでしょ?!


 食い入るようにじっと向けられた視線は熱すぎて、私はその熱に当てられておかしくなっていたのかもしれない。


 そ、そんなに見たいんだ。


「え?」


私は少しはだけたワイシャツの間から、必死におっぱいを見ようとしてくる啓介くんの視線に背中を押されるように、少しだけはだけたワイシャツをもう少しだけはだけさせた。


いや、結構脱いじゃってるかもしれない。


勢いあまってブラジャーが全体的に見えるくらい、私はワイシャツを脱ごうとしていた。


 猫背に見られない様に背筋を伸ばした結果、おっぱいがはだけたワイシャツをずらしてしまい、ワイシャツが少しずつ落ちていくような感覚があった。


 さ、さすがにやり過ぎた。少しずつ隠していけばバレないだろうしーー


「でっかいなぁ……えー、エロ過ぎんか」


「~~っ」


 しかし、そんな私の考えは散々に飛んでいった。


 別に、熱い視線で見られながら言われた言葉が嬉しかったとかそんなのではない。け、決してそんなんじゃない!


 でも、エロいって誉め言葉、って認識でいいんだよね?


 わき目もふらずにじっと見ちゃうくらいには、魅力的って認識でいいんだよね?


「……いつもこんなえっちなのぶら下げて、俺の隣にいたのか」


 もしかしたら、お尻を見られていた時も、今と同じくらい熱い視線を向けらえてたのかな?


 そんなことを考えると、体の熱さの質が少しだけ変わってきた気がした。


 ただ恥ずかしくて体が熱いんじゃなくて、火照りのような物に徐々にその熱が変わっていく。


 そんな気がしてそんな熱に戸惑っていると、不意に啓介くんの手がおっぱいの方に伸びてきた。


 あ、触りたいんだ。


 私は逃げるでもなく緊張で筋肉を硬くすることもなく、ただこちらに近づいてくる指先をじっと見つめていた。


 そして、その指先は私のおっぱいに触れーーることなく、空を握ってばっと勢いよく去っていった。


「いやいや、だめだろ! そうだ、触るのは紳士的じゃないっ!」


 啓介くんは頭をぶんぶんと横に振って、そんな言葉を口にしていた。


 ……いや、催眠アプリを使って幼馴染にこんなことしてる時点で、紳士ではないでしょ。


 そんな冷静な突込みを視線に乗せて送るが、啓介くんはそんな視線に気づくことはなかった。


 だって、さっきからおっぱいしか見てないし。


 それから、しばらく葛藤した後にまた私のおっぱいに視線を向けて、そっと指先を近づけてきた。


 この状況で、我慢しろって言う方が無理だもんね。うん、仕方がないよ。これは仕方がない。


 そんなふうに受け入れようとしている私の心情を踏みにじるように、また指の先は空を掴んで離れていった。


「危ない、危ない! また手が伸びていたぞ! 紳士的にあれ! 俺はただの変態ではなくて、変態紳士なんだからな!」


 ……いや、すでに変態ならどっちでも変わらないでしょ。


 ていうか、この状況で触らないの? え、本当に?


 そんなことを考えていると、またそっと指の先が近づいてきて、そっと私のおっぱいに触れる直前でピタリと止まって震えた後に、そっと引かれた。


 近づいてきては、おっぱいの前でピタリと止まって、触れる触れないかの距離で動かなくなって、また去っていく。


 そんなやりとりをーー小一時間もやられた。


 なにしてんの?! これなに?! そういうプレイか何かなの?!


 微かにほてっていたような体は、この小一時間で完全に火照っていて、それでも、それを言葉にも出せず行動にも出せない。


 少しだけ荒くなった私の息のことなんて気づかないくらい、啓介くんは私のおっぱいを触るかどうかの葛藤をずっとしていて、気づきもしない。


 悶々とした気持ちと、焦らされ続けたて高まったそれを何とか押さえ込みながら、私は少しだけ脚をもじりとさせていた。


 ……スカートをたくし上げろって言われなくて、本当によかった。


 ブラジャーを晒しながら何を言ってるんだと思われるかもしれないけど、そこに関しては本当に良かったと思った。


 今スカートをたくし上げるのだけは、割と本気でやめておいた方がいい気がしたから。


 ……とりあえず、一旦着替えてこようかな?



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