第11話 義妹とVTuberの友達
口移しはあえてスルーした。
そんな日が来れば嬉しいが、今はまだ心の準備が出来ていないのだッ。
昂る獣の感情を抑え、俺は冷静に断った。
「え~、お兄ちゃんならいいのにー」
「い、いずれな」
「じゃあ今度ね!」
「そのうちね」
曖昧な返事をする俺。今は誤魔化すしかない。許せ、愛夏。
それから普通に食事を進めていく。
お腹が満たされ、満腹になったところで俺は部屋へ戻った。
ベッドの上でゴロゴロしながら、サブスクの動画配信サイトで気になるアニメだとか映画鑑賞していた。
夜も更け……そろそろ就寝時間となった時。
扉が『コンコン』と音がした。
『お兄ちゃん。入っていい?』
「愛夏か。いいぞ」
部屋に招くと、可愛い寝間着姿の愛夏が現れた。ピンク色で女の子らしいパジャマだ。
「ねえねえ、お兄ちゃん。風吹ちゃんがね、VTuberやってるんだけど伸びなくて悩んでるんだってさ」
「へえ、女子高生でVTuberとか珍しいな。どれ、見せてくれ」
愛夏のスマホの画面には、妹属性の強い少女が映し出されていた。なるほど、このキャラクターが風吹さんのガワというわけか。金が掛かっていそうだなぁと俺は思った。
これで人気がないとか信じられないな。
確かに、チャンネル登録者数は1200人と妙にリアル感のある数値だ。
いやけど、なかなかいる方だぞ、これは。
「って、思い出したけど俺はまだ風吹さんに会ったことすらないんだけど」
「そうだったね! 明日、学校で紹介するね」
「そうしてくれ。今のところはアドバイスが難しいな。そもそも俺はVTuberはあまり嗜まないというか。……可愛い義妹がいるからな」
「えへへ、嬉しいっ」
心の底から嬉しそうに抱きついてくる愛夏。なんてことないスキンシップなのだが、ここ最近は愛夏もいろいろ成長している。パジャマ越しとはいえ、大きくて柔らかいものが俺の体中に接触してきた。
分かっていたけど愛夏はなかなかの巨乳。
こう押し当てられると、いくら兄妹とはいえ……興奮を隠しれない俺。
「……っ」
「どうしたの、兄ちゃん」
「いや、なんでもないんだ」
油断していると今度は愛夏が俺の膝の上に乗ってきた。
こ、これは……イカン!
必死に抑えつけていた邪神龍が暴走しちまう……!
「なんでもないならいいよね」
「ちょ……愛夏。まずいって」
「なにがまずいの~? ていうか、お兄ちゃん。わたしのお尻を指で突かないでよ~」
……愛夏さん、それは指ではなくて、ですね……。
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