第12話 義妹に襲われかけた

 特に愛夏は気づかず、そのまま共にまったりゆったり過ごし――ベッドでゴロゴロしていれば眠気に負けていた。



 目覚めると、とんでもない状況になっていた。



 愛夏が俺を襲うみたいな、そんな覆いかぶさるように寝ていたんだ。そういえば、愛夏は少し寝相が悪いんだった。


 朝っぱらからというか、昨晩はずっと上から抱きつかれていたようだ。

 しかしこれは脱出不可能だぞ。


 腕を思いっきり俺の体に絡めているし、顔も俺の胸に埋めている。愛夏が起きるまではこのままかもしれない……。


 仕方ないので二度寝することにした俺。


 最近疲れているせいか不思議と眠れた。

 しばらくして俺は目を覚ました。


 愛夏にまだ抱きつかれていた。


 ――って、微動だにしていないんだが!!


 さすが起こすか。もう時間もヤバい。



「愛夏、起きろ」



 耳元でささやきながら、俺は愛夏の体を揺らした。するとやっと起き上がってくれた。


「ふぁ~…。おはよ、お兄ちゃん」

「おはよ、じゃないよ。遅刻するぞ」

「え~? 今何時?」

「朝の七時前だ」

「――って、わ! わたし、なんでお兄ちゃんを襲ってるのー!?」



 ようやく自分がどんな状態になっているか気づく愛夏。耳まで真っ赤になって、ちょっと涙目にさえなっていた。



「だから言っただろ。遅刻するって」

「あ、あの……ごめん、お兄ちゃん!」


 パニックになりながらも、愛夏はベッドから降りて部屋から出ていく。そんな取り乱すとは。そんな俺も実は結構ドキドキなのだがっ。



 ◆



 いろいろありながらも、やっと制服に着替えた。

 家を出て、学校を目指す。


「さあ行こうか」

「さっきは本当にごめんね」

「まだ気にしているのか。……いや、嬉しかったよ」


 照れくさくも、俺はそう礼を述べた。事実であり、本心だ。


「……良かった」

「気にするな。一緒に寝るのはこれが初めてではないだろ?」

「そうだけど、お兄ちゃんを押し倒すみたいになっていたから……」

「俺もビックリしたし、死ぬほど顔が熱くなったよ。でも、愛夏は抱き心地が良いっていうか、だからむしろ直ぐに安心できた」


 そう本音を打ち明けると、愛夏は項垂れて赤面していた。そんな反応をされると、こっちも照れ臭いんだがッ!

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