第17話 ゆる~くデート

 ラブホテルを去り、辿り着いた場所は商業施設だった。


「ここって……」

「この辺りで一番大きいショッピングモールだ。ここで遊べ」

「知ってるよ、じっちゃん。確かに、ここなら何でもあるから暇はしないんだよな~」


 お店がたくさん入っているから、食べ物や本、家電、スポーツ用品など見て回れる。それと大型のゲームセンター。かなり広くてクレーンゲームの設置台数もトップクラスだ。


「ワシは適当に買い物している。紗季と愛夏は一時間くらい遊んでこい」


 軽バンから摘まみだされた俺と愛夏。

 じっちゃんは、車を立体駐車場へ向かわせて行った。あれでは追いかけられないな。一時間後には迎えに来てくれるみたいだし、しばらくは遊ぶか。


「愛夏、そういうことだ」

「うん、いいよ。お兄ちゃんとデートしたかったもん」


 嬉しいこと言ってくれるじゃないか!

 普段、エロゲーばかりだし、たまにはこうして二人きりで遊ぶのもいいだろう。


「どこへ行きたい?」

「う~ん。じゃあ、まずは本屋さん」

「分かった、そうしよう」


 そういえば、愛夏が愛読している漫画が発売日だったな。

 二階にある本屋へ。


 到着早々、愛夏はフラフラと奥へ歩いていく。そして、漫画コーナーへ入るとラブコメの漫画を手にしていた。

 あー、あれか。

 最近流行りの異色ラブコメだ。

 高校生の男主人公と妹を自称するヒロイン二人が絶妙な距離感で、相手の気持ちを探っていくというものだ。妹はどちらかが本物で、どちらかが他人。

 どっちが本当の家族であり、恋人になるのか……そんな切ないストーリーもあり、人気爆発中のラブコメだ。


 妙に俺と愛夏の関係にも近いから、多分それもあって愛夏は気に入っているのかもしれない。


「お兄ちゃん、これ!」

「それ、好きだよな。俺も続きが気になるし、買ってあげるよ」

「わ~い! ありがとー!」


 喜ぶ愛夏の顔が見れて俺は、それだけで満足だ。

 会計を済ませて本を渡す。

 愛夏は嬉しそうに本を抱きしめていた。


「よし、じゃあ次はゲーセンかな」

「まだ時間あるし、そうしよっか!」


 自然と手を伸ばしてくる愛夏。手を繋ぎ、俺は引っ張られる形になった。……ま、まるで恋人みたいだ。

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