第14話 恋はサイクロン
校庭へ向かい、空いているベンチへ座った。
俺が真ん中で左に愛夏、右に風吹さんと……なぜか挟まれる事態に。
「なぜ!?」
「なぜって、なにが?」
「愛夏、俺が真ん中って……どういうこと」
「気にしない気にしない。風吹ちゃんも気にしてないよ」
そうなのか。
念のため、風吹さんの方を見てみると――。
「あたしのことはお構いなく! ていうか、先輩のことは信頼してますし!」
もうそんな風に思ってくれているとか嬉しいな。さすがギャルなだけあって距離感は近いってわけかな。おかげで俺もやりやすいけど。
「分かった。じゃ、飯にしよう」
観念すると愛夏がお弁当を手渡してきた。
俺の分と風吹さんの分まで……!
「いつもありがとう、愛夏ちゃん! 愛してる~」
「いいの~。お料理好きだから」
し、知らなかったぞ。
風吹さんの分もお弁当を作っていたのかよ。
でも、相手が風吹さんで良かった。
これまた安心できた。
さっそく蓋を開けると、おにぎりと卵焼き、からあげにウィンナーというシンプルなものだった。こりゃ最高のメニューだ。
「「「いただきます」」」
タイミングが見事に重なって、俺は苦笑した。
……さて、まずはおにぎりだ。
「ん~、美味い。絶妙な塩加減に鮭。美味すぎる」
「良かった~。お兄ちゃんの口にあって」
愛夏の手作り弁当を美味しくいただいていると、風吹さんが話しかけてきた。
「あの、先輩」
「なんだい?」
「先輩は、愛夏ちゃんと付き合っているんです?」
「ブッ――――――!!!!」
いきなり聞かれ、俺はおにぎりを噴いた。
ストレートすぎるだろ!!
「だって、すっごく仲が良さそうじゃないですか」
「あのね。俺と愛夏は兄妹だよ。……義理だけどさ」
「じゃあ、付き合えますね」
「ちょ! どういうこと!?」
「そのままの意味です。ほら、愛夏ちゃんって超絶可愛いし、男子が黙っていないですよ。ちゃんと守らないと取られちゃいますよ~」
いや、だから君にも守って欲しいんだがな!
それにしても愛夏は……まんざらでもない顔をしているし、めちゃくちゃ照れてる! そんな表情されると俺も顔が燃えるってーの。
「さっきも言ったけど、風吹さんも一緒に守ってくれ」
「そうですね、分かりました! でも……」
「でも?」
「恋はサイクロンとも言いますし、あたしも先輩のこと惚れちゃうかもですね~。アハハ~!」
な、なにィ!?
遠回しに好意を向けられている気が……。いや、まさかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます