第15話 放課後の美少女・早瀬さん
昼休みは終わった。
愛夏と風吹さんは元の教室へ戻っていく。
俺も戻ろう。
午後の授業を受け続け――というか、ほぼ寝て放課後。
ほぼ爆睡していた俺を早瀬さんが起こしてくれた。
「起きて、小野寺くん」
「ん……ぁ。ああ、早瀬さん」
「おはよう……でもないね。もう夕方だし」
「ん。もうそんな時間か~…よく寝た」
「うん、よく寝てた。ほら、妹さん来てるよ」
「そうか、いつも済まない」
体を伸ばし、俺は帰る準備を進めた。廊下できっと愛夏が待っている。
立ち上がり、カバンを手に取ると早瀬さんが目の前に。
「あ、あの……」
「どうした?」
「その……小野寺くん。れ、連絡先交換しよう」
「え……? ええッ!?」
美人で可愛くてクラスの人気者の早瀬さんから、そんなことを求められてしまった。
ウソ、これ夢?
俺はまさか、まだ夢の中にいるのか……?
突然のことで信じられなくて俺は自分の頬をつねった。痛かった。
「はい、QRコード」
目の前にスマホの画面を向けられる。
そこには早瀬さんのQRコードが映し出されている。これをスマホのカメラで読み取れば一瞬で早瀬さんが登録されるわけだ。
マジか!
「本当に良いの?」
「うん。小野寺くんってほら、妹さんのことを心配そうにしているでしょ。私も手助けが出来たらいいかなって」
「な、なるほど! 愛夏のことをで何かあったら連絡してくれるってことか」
「そそ! そうなの!」
それは助かる。少しでも協力者が増えてくれるのなら更に安心だ。
それに、そういう理由であれ……俺は早瀬さんとメッセージアプリの連絡先が交換できて嬉しいのだ。
確か、早瀬さんは男子とは連絡交換しないことで有名だ。
なのに俺には声を掛けてくれた。
これは奇跡か!
無事に登録を終え、一覧には早瀬さんの名前が追加された。
「じゃ、じゃあ……いつでも連絡を」
「ありがと! いろいろ話そうね」
なんだか嬉しそうに早瀬さんは背を向け、先に行ってしまった。……お、おぉ……なんか可憐だったなぁ。
こそばゆい感覚に陥りながらも、俺は廊下へ出た。
愛夏がジトッとした目で俺を観察してくる。
「お兄ちゃん、なにしてたのかな」
「えっ、別になにも」
「さっきすっごく美人な女子・早瀬さんが慌てて教室を出てたよ」
「あ、ああ……って、知ってるのか」
「もちろんだよ。早瀬さん、なぜかいつもお兄ちゃんを呼んでくれるから」
なるほどね、それで面識はあったわけだ。
事情を説明しようとすると愛夏は、少し膨れながらも俺の腕に抱きついてきた。
「うお!? どうした、愛夏。ここ学校だぞ」
「……分かってる。でも、こうしないとお兄ちゃんが遠くに行っちゃう気がするから」
こんなギュッとされるのは子供の頃以来だ。可愛くてたまらないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます