第20話 寝落ちした義妹

 食事を終え、片付けを進めると愛夏も手伝ってくれた。おかげで効率よく洗い物ができた。


 その後、まったりとした時間が流れ――愛夏は相変わらず俺の部屋に侵入しては、エロゲーをプレイしていた。


 どうやら今日は学園モノをプレイしてるようだな。薄っすら聞こえるBGMで分かった。


 俺はしばらくリビングでゲームでもしていよう。


 そうして就寝時間を迎え、俺は自分の部屋向かった。


 だが、怪しげな音が聞こえた。



『…………』



 む? なんだろう。

 愛夏が俺のベッドで寝ているのか。


 けど、音は直ぐに止んだ。


 俺は一応、ノックして扉を開けた。


 すると、愛夏が横になって寝ていた。……なんだ、寝ているだけか。って、よ~く見ると下着姿で寝てるし! なんてカッコで!



「しかも、エロゲーのエロシーンをそのままにして寝落ちかっ」



 なんてことになっているんだ!

 さすがにいろいろとマズイので、俺はエロゲーを終了させた。それから、風邪を引かないようにと愛夏に布団をかけようとする――が、そこでとんでもないことが起きた。


 寝惚けた愛夏が両手を伸ばしてきた。


 俺はそのまま愛夏の胸の中に落ち、逃げられなくなった。


「……おにいちゃ」

「!?!?!?」


 まさかの事態に俺は混乱した。


 や、や、やばい……やわらか――じゃなくて、これは参ったな。


 壊れた機械のように心臓がバクバクと高鳴る。

 愛夏のシャンプーとかボディソープの香り。

 もちもちですべすべの肌の感触。

 包み込まれるよう体温。


 ……ああ、もう逃げるに逃げられない。



 ◆



 気づけば俺は寝ていた。

 愛夏の胸の中で寝るなんて思ってもみなかった。最初こそ緊張で死ぬかと思った。だが、これが意外と寝心地が良かった。


 夢の世界に落ちる俺。


 落ちる、落ちる、落ちる……



 って、なんか真っ暗闇に落ちていくぞ!!



 奈落に落ちるうううううううううううううう!?



 うああああああああああああああああああ――――!!!



『ド~~~~~~ン!!』



 俺は真っ逆さまに落ちて、壁に激突したらしい。



「うごぉ!? な、な、なんだァ!?」

「お、お、お兄ちゃん! なんで! 妹を襲うとか酷いよ!」



 ――あ。


 そうだった。

 昨晩は愛夏に抱きしめられて寝ていたんだった。そのまま俺も寝落ちして……ああ、起きた愛夏に突き飛ばされたのか。



「違うって、事情がある」

「事情って、なによ!」



 俺は誤解を解く為、事細かく事情を説明した。



「――というわけだ。愛夏が寝ぼけたせいだ」

「え~、そうなの……ごめんなさい」


 案外簡単に信じてくれた。

 ほっ、良かった。


「そんなわけだ、もう着替えろ」

「うん――って、わたし、なんで下着姿なのー!?」

「今更かっ! 昨晩脱いだまま寝落ちしていたんだよ」

「……うぅ。お兄ちゃんのバカー! えっちー!!」


 俺の布団にくるまって部屋から出ていく愛夏。涙目で逃走していった。……お、俺の掛け布団……まあいいか。

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