第5話 部屋に忍び込んでくる義妹

 また一日が終わった。

 ゲームをしていればあっと言う間だ。

 俺は最近、エロゲーだけでなくサバイバルゲームにもハマっていた。

 クラフト要素があり、いろいろアイテムを作って便利な工具で家を建てたりする。で、最終的には銃器を作って相手の資源を奪ったりする。


 これがなかなか面白くて徹夜してしまう。


 けど学校がある。

 寝なきゃ……。


 ベッドに身を預ければ俺は一瞬で眠りについた。



 ◆



『……キス、しちゃおっかな』



 耳元で愛夏らしき声が聞こえた。

 ん、そこにいるのか?


 けど俺は朝がめちゃくちゃ弱くて意識が朦朧もうろうとしていた。しかも、愛夏らしき声が天然ASMRとなって鼓膜を刺激しまくっていた。なんて耳心地のよい声なんだ。いわゆるアニメ声だから、天国すぎる。

 愛夏は人気声優になれると思う。


 おかげで本当にそこに愛夏がいたのか確信が持てず、俺は二度寝した。



「……Zzz」



 一時間後、俺は目を覚ました。


 ムクッと起き上がる俺。周囲を見渡しながら、俺は手をベッドに掛けた。すると“ふにっ”と感触が。


 なんだこれ?



「……やっん」



 え?

 どこかで聞いたような声だな――って、愛夏ァ!?


 隣には愛夏が寝ていた。

 って、やっぱりいたんだな。

 俺のベッドに忍び込んでいたとはな。

 しかも、今の柔らかい感触は愛夏の胸らしい。なんてものを掴んでしまったんだ俺は! もちろん不可抗力! わざとではない!


 ――と、言っても愛夏はまだぐっすりだ。


 いや、まずいぞ!

 遅刻する!!



「愛夏、起きろ! 学校だぞ!」

「…………へ。って、わたしなんてお兄ちゃんの部屋にー!?」

「俺が知るか。愛夏が入ってきたんだろ~?」

「そうだった。制服に着替えなきゃ!」


 その場で寝間着を脱ぎだす愛夏。……ちょ、下着が丸見えだ。


「おい、ストップ! ここに愛夏の制服はないだろ!」

「わぁっ! ごめん、慌ててた!」


 どんだけ寝ぼけているんだよ。

 しかし、朝っぱらからいいものが見れた。ほんの一瞬だったけど。


 照れていると愛夏は部屋から出ていった。どうやら着替えに行ったようだ。俺も着替えよっと。

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