第26話 悪徳業者襲来1

梅雨明けが近いのか雨の日が少なくなってきて日に日に気温が上がってきている。それにともなって梅雨の時期に取れる果物も残り少なくなってきた。夏には春に失敗したメロンのリベンジが待っているので成功すればいいのだが・・・まあみっちゃんたちが管理してくれているから期待して待って居よう。


一通りの作業を済ませると赤城夫婦に家へ戻ることを伝え収穫したものをハチたちと一緒に運んでいく。家に着きハチたちと果物の選別作業をやっているとインターホンが鳴った。


「はーい!」


玄関から顔を出すと高そうな車に乗った初老の男性とお付きの人だろうか若い女性が立っていた。


「内藤伸二様でよろしいですか?私は青島青果の社長をしております青島正義と申します。こちらは秘書の加賀美といいます。今回はここで作られている果実を私の会社に卸していただけないかの相談に伺いました。」


「一応組合に卸す以外は考えていないんですよ。やっぱり果物にいろいろな効果があるって扱いが難しいとおもんで、そうなると専門的で世界中につてのある組合が販売経路として一番安心できるんですよね。」


「内藤様、私共の会社はこの日本で一番勢いのある青果の販売業者になります。専属の鑑定業者もいて安全目に関しては問題ないかと。それにわが社に卸していただければ組合の3倍の値段で買い取りましょう。加工品についても同様でなんでしたら新規商品の製造のお手伝いもしましょう。」


「そういわれましても、今日初めて会った人と簡単に契約はできないですよ。」


「でしたらここの県知事とは古い知り合いなので立ち会っていただき契約しましょう。第3者がいれば内藤様も安心できますかな?」


この人青島正義さんって言ったっけ、すごいがつがつ食いついてくるな。なんとしても契約してやるって気持ちがすごい感じられる。青島青果と言ったら日本で4割のシェアを持っている大企業だが話しているとなんだか不安になってくるんだよな。まず普通の会社には鑑定士なんていないし組合のつけた値段の3倍で買い取りってことはさらにその数倍で売るつもりなのだろう。俺は金の亡者ではないし組合のつけた値段で何一つ不満はない。なんとなくだが足元を見られている気がする。


「こちらも第3者で冒険者組合の方を連れてきてもいいですか。それでよかったら契約するかどうかは別として話し合いの席にはいこうと思います。」


「そうですか。でしたら後日連絡いたしますので今後の予定を聞かせてもらってもよろしいですか?」


今後の予定を伝え連絡先を交換しこの場は解散となった。今回のことをすぐに奥村さんに伝える。


「青島青果か・・・あの会社は日本の大企業だがいい噂は聞かないんだよな。結構後ろ暗いことやってるらしいし、いろんなところにつてがあるらしい俺だけじゃちょっと力不足かもな。俺よりも上の人に相談しておくから予定日だけ決まったら教えてくれ、それまでには間に合うようにしておくから。」


この生活を始めてから良いことが増えたけど厄介なことも多くなってきたな。平和に暮らせる日は長そうだ。とりあえず情報共有ということで赤城夫婦にも伝え果樹園の監視に一層力を入れてもらう。もちろんみっちゃんにも伝えハチたちに連絡してもらっている。


それから2日後青島青果の秘書加賀美さんから連絡がかかってきた。


「青島青果の加賀美と申します。内藤様今お時間よろしいでしょうか。会談の日取りが決まりましたのでご連絡させていただきます。4日後の正午、知事公舎にて行いますので同行者と一緒に来てください。それでは当日お待ちしておりますのでよろしくお願いします。」

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