第2話 準備期間
「あの俺、今月いっぱいで冒険者やめようと思ってます。手続きお願いします。」
「え!」
俺が話しかけた相手は、冒険者になっていままでずっとお世話になった川口さんだ。同い年の女性だが定職に就かず転職ばかりの俺にでも優しくしてくれていた。ちなみに俺は27歳名前は、内藤 伸二 よろしく。
「シンジさん、突然どうしたんですか!」
「俺、魔物を使った養蜂家になろうかと思って。田舎でやるからダンジョンにもぐることもなくなるだろうからやめようと。」
「べつに潜らないからといってやめる必要はありませんよ。それに魔物を連れて移動するってことは従魔として登録しないといけませんから所属してもらったままじゃないとだめです。てっきり大けがをしたのかと思いました。」
「なら大丈夫です。来月からは来ませんので今までお世話になりました。残りひと月よろしくお願いします。」
そう言って俺は準備のためダンジョンに降りた。目指すはCランクダンジョン誘惑の森下層に出現するレギオンズ・ビーだ。単体ではCランクだが数によって難度が上がっていく魔物で大きさはミツバチと同じで風魔法と毒を使ってくる。女王はリンゴくらいの大きさがあり集団としてはすごく温厚でこちらから何かしない限り安全だ。
下層へついてすぐに働きバチを見つけた。
「ハチさん、ハチさんこれあげるから女王様のところに連れてってくれないかい?」
働きバチへ魔石を渡し返事を待つ。「ギ」OKをもらえたので案内に従う。しばらくすると女王がいると思われる巣が見えてきたが、通り過ぎてしまった。さらに奥へ進と巨大な巣が見えてきた。おかしいレギオンズ・ビーはあんな大きな巣は作らない。もしかしたらイレギュラーが起きており通常より強力な魔物が生まれている可能性がある、タイミングを間違えたかもしれないな命の危機だ。
とりあえずついていくと1Lのペットボトルぐらいのハチがいた。見たことない魔物だ。敵対しているわけではなさそうので話しかけてみる。
「俺はシンジって言います。外の世界であなたたちの蜜をあつめる仕事がしたいんですが協力していただけませんか?食事の準備は俺がします何とかお願いします!」
勢いで言ってしまったが、とてもじゃないけど今の説明でOKはもらえないだろう。額に手を当て後悔していると・・・「ギ」っと声が聞こえた。OKの返事が返ってきた!奇跡だもう無理だと思っていた。女王(仮)と握手をすると周りの巣や働きバチたちが一瞬にして消え肩に女王(仮)が止まった。
「これからよろしく。名前はそうだな~ミツバチのみっちゃんで。」
「ギ」
当初の目的と少し違うが無事、ミツバチ型の魔物を従魔にし地上へと足を進めた。
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