第20話 結果報告

ダンジョン探索を終え組合絵と帰ってきた。2日ぶりの地上のためまずはシャワールームに向かい汚れを落とす、ほかにもランドリーや少ないが宿泊設備もあるためダンジョン帰りの探索者にはとても便利な施設となっている。


汚れを落としスッキリとした俺は、受付へ向かう。向かう途中に奥村さんが立っておりこちらの姿を確認するとついてこいと手を振って支部長室に入っていったので後をついていく。


中へ入ると奥村さんのほかに組合専属の鑑定士が待っていた。


「内藤、先日はすまなかったな。まさかダンジョンにまで追いかけていくとは思わなかった。今回の件であいつは正式に除名となった。そこであいつの持っていた道具なんかをお前への慰謝料代わりとして渡すことになったから鑑定士から説明してもらえ。」


「初めまして、葛西といいます。組合の専属鑑定士で内藤さんの商品も担当させてもらっています。では、彼の持っていた道具なんですが価値のあるものはこの3つのみでした。」


アイテム袋からオーブが2つと指輪を1つ机の上に並べた。


「ほかの物は状態が悪く中古として使うには危ないと判断したためこちらで買い取りその売値をあなたに払うこととなりました。こちらが資料になります。」


渡された資料を見てみると、目録と写真が載っておりこちらとしてもいらないものばかりだったので金銭の支払いで問題はない。


「それでは、こちらの説明に入ります。まず2つのオーブですが、右のオーブが浄化のスキルになります。汚れや殺菌など幅広く活用することができることが確認されています。左のオーブは木工のスキルになります。木材の加工や工作がうまくなるようです。最後の指輪ですが、鉄壁の指輪というものでつけている間は体が頑丈になる効果が付与されています。以上3つになります。」



使い勝手のいいものばかりなのでさっそくオーブは使わせてもらう。オーブをつかみスキルを取得すると念じるとオーブが砕け散り体の中へと消えていく。これでスキルを獲得できたであろう。指輪は人差し指につけておく。


「ありがとうございました。ついでで申し訳ないんですが、鑑定してもらいたいものがあるんです。」


アイテム袋からピアスとボスの持っていた戦斧を机の上へと置いた。


「なんだそのバカでかい戦斧は!宝箱からでたのか。」


「いえ、ボスモンスターが持っていたものです。あそこのボスはミノタウロスだった気がするんですけど通常の個体より何もかもが大きかったんですよ!」


「そんなでかいミノタウロスの報告なんて1度もなかったぞ。となるとイレギュラーかもな。葛西、鑑定してやれ。」


「わかりました、では失礼します。ピアスは、虫の知らせというスキルが付与されていますね。虫全般の声がわかるようになるらしいです。内藤さんにはぴったりのアイテムじゃないですか!大当たりですね。」


虫の声がわかるようになる・・・これでみっちゃんと会話ができるようになる。すごくうれしいことだが俺は、ピアスの穴をあけるのが怖くつけるのにためらってします。



「魔道具なので耳に当てたら勝手にくっついて落ちなくなるので穴が開いてなくても大丈夫ですよ。」


ピアスを見つめ固まっていた俺を安心させるため葛西さんが説明をしてくれた。


さっそく耳につけみっちゃんとの対話を試みる。


「みっちゃん、これで会話ができるらしいんだけど何かしゃべってみて!」


「(シンジ、おなかすいたからそろそろご飯にしよ。ってほんとにわかるのかな?)」


「おおぉ!わかるぞ!おなかがすいたのか、これ少ないけど食べな。」


「(ほんとに通じた!)」


みっちゃんにドライフルーツを渡し少しの間我慢してもらう。それよりも本当に会話ができた。これほどうれしいことはないだろう、俺の持っている運を使い果たしてしまったのではないだろうか。その後も奥村さんたちをよそに二人でたくさん会話した。


「うぅん、ゴホッゴホッ!」


「あ!すみません。話に夢中になっていました。続きお願いします。」


「では、こちらの戦斧ですが、カーネルミノタウロスというモンスターの固有武器のようで土属性の魔法が付与されており中級までの魔法が使えるみたいです。ただ大きいので前衛の中でも重量武器に使い慣れた人でないと扱いきれないと考えられます。物自体はとてもいいものなのでオークションに出すといいかもしれません。」


オークションか、世界中から超の付くレアアイテムが集められとてつもない金額で取引される月1回の大イベントだ。場所は毎月変わるのでどこでやるかわからないが人生で1回は参加したいと思っていたのでここはオークションに出品しよう。


「倒した亡骸も一緒に出品すればさらに価値が上がると思いますがどうなさいますか?」


「(シンジ、私が食べるから売らないで!)」


「みっちゃんが食べるみたいなので今回は見送らせてもらいます。」


「そうですか・・・。残念です。」


オークション出品の手続きを済ませ用事が終わったので帰ろうとすると奥村さんに止められた。


「もう1つ言いたいことがあったんだ!内藤、例の蜂蜜だが効果がすごすぎてな販売できそうにねぇんだわ。不老と長寿さえどうにかしてくれれば何とかなるんだが。どうにかなんねぇか?」


「みっちゃん、どうにかなりそう?」


「(どうってことないけど味は落ちるわよ!それでもいいなら作り直すように指示するけど。)」


「何とかなるみたいです。ただ味が落ちるらしいのでまた出来たら送りますね。」


「わかった。無理言って済まねえな。気長に待たせてもらうよ。」


今度こそ終わったので、冒険者組合をでて車に乗り我が家へと向かって走り始めた。

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