第25話 苗植え
やっと家庭菜園用の土が完成した。あれから何度か土を耕した為か柔らかくふかふかとした土になった。今日は畝を作りできれば苗植えまでやっていきたい。畝とは野菜が根を伸ばす場所のことで水はけを良くしたり通路と区別することで野菜を管理しやすくする目的があるのだ。
農家さんだと畝づくりは耕運機という機会を使って進んだ場所が畝になっていくものを使うが家にそんなものはないので鍬でやっていく。
畝を作る向きは東西方向に長く作りできるだけ日が長く当たるように作るのが基本で真っ直ぐに作るのが肝である。自分の感覚でやると絶対に歪んでしまうので棒にひもを括り付け畑の端から端へ伸ばしそれに沿って土を掘り下げていく。畝幅は70cmで作っていき高さは10cmぐらいになるようにする。調べると野菜にあった幅や高さ土質によっても変わるのでかなり奥が深いと思う。俺は適当に作っているので詳しいことはよくわかっていない。畝ができたら表面を平らにならしたら完成だ。
まだ昼前なので種まきまで一気にやってしまおう。今回用意した苗は、ゴーヤ・オクラ・キュウリ・茄子・ピーマン・枝豆・落花生・ししとうの8種類だ。種から育てるのは意外と難しいらしく初心者は苗から育てるのがいいらしいのでホームセンターで事前に苗を買っておいたのだ。これを畝の中央一列に間を60cmほど開けて植えていきたっぷりと水を与える。
「(育てるのは私たちに任せなさい!間違いなくいいものを作って見せるわ。)」
みっちゃんが胸をたたき自信満々にアピールしてきたが、ただの家庭菜園でとてつもないもを作られても困るのでここはおとなしくしてもらおう。
「みっちゃんたちには、害虫駆除や鳥の警戒をしてほしいかな。野菜自体は普通のものになってほしいから今回はおとなしくしていてくれ。」
「(えー。シンジもおいしいもの食べたいでしょ!遠慮しないで任せなさいよ。)」
「食べるもの全部目が飛び出るほどおいしくなったら普通の生活が送れなくなるから駄目です。」
「(ケチ。)」
みっちゃんは不貞腐れ家へと帰ってしまった。まあ本当に怒っているわけではなさそうなので後で謝っておこう。苗も植え終わったので肥料をまいて背の高い苗は仮支柱を立て風で折れてしまわないように支えたらお終いだ。なんだかんだで昼も過ぎてしまったので何か簡単に作れるものでお昼ご飯にしよう。
最近は季節のせいで蒸し暑くジメジメしていたのでカツオのたたきを食べようと思う。カツオのたたきはスーパーで買ってきたのだが売り場には背中側と腹側の2種類あることは知っているだろうか。背中側は油が少なく身がしっかりとしていて、逆に腹側は油が多く身が崩れやすいがカツオの油には不飽和脂肪酸が多く含まれているため健康にいい効果が得ることができるらしい。見分け方は背中側が二等辺三角形のような形をしており赤みが多いのが特徴で、腹側は内臓があった部分がへこんでいるので【へ】のような形をしているが特徴だ。
さあ料理に入っていこう、っといっても今回は薬味を切っていくだけだ。
いろいろな味を楽しみたいので今回はいろんな薬味を用意した。ニンニク・生姜・薬味ネギ・みょうが・大葉・カイワレ大根・玉ねぎを各具材に合わせた処理をし小皿に盛り付けていく。後はカツオのたたきをスライスしご飯とポン酢・塩を準備して完成だ。
机に向かうといつの間にかみっちゃんが座っており準備万端のようだ。
「では、いただきます。」
「(いただきまーす。)」
まずはニンニクから、スライスしたものを数枚のせ一緒に食べる。ニンニクの香りが生臭さを消しタタキと合わさることですごくおいしい。生姜は擦ったもの、これは定番の食べ方で間違いなくうまい。ネギ・カイワレ大根・玉ねぎはピリッとした辛みとシャキシャキした歯ごたえがありうまい。大葉とみょうがは独特の香りがあり臭みけしとしての効果は抜群だ、味のほうももちろんおいしい。ポン酢と合わせるだけではなく塩でも食べてみるがこれもうまい、高知のほうでは塩で食べる塩タタキってのが有名らしいので一度本場の味を食べてみたい。
みっちゃんはちょこっとづつ付けるのは面倒だったのか大皿にタタキと大量の薬味を混ぜ合わせポン酢をかけたら頭を突っ込んで食べている。口の周りにネギやらなんやらたくさんつけてもぐもぐしているあまりの量に思わず笑ってしまった。
「ふふ。ふっふっふふ。」
「(なに?)」
「口の周りにいっぱいついてるよ。」
バっと手を口の周りに這わせついたものを口元へ運んでいく。恥ずかしかったのかこちらを見ずに下を向いてゆっくりとご飯を食べるようになってしまった。
「みっちゃん、ごめんって。もう笑ったりしないからいつも通りにしてよ。」
「(ふん。)」
ありゃりゃ、また怒らせちゃった。今日はいっぱい謝らないといけないかも。
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