第12話 初めての蜂蜜採取

今日は、何をしようかみっちゃんと居間でお茶を飲んでいると一匹の働きバチがやってきた。


「どうした?なにかよう?」


ギーギーと身振り手振りで教えてくれているがいまいち理解ができない。ただみっちゃんには通じたようで俺の腕を引っ張り外へ連れて行こうとする。さすが同族としかいいようがないな。


引っ張られながらついていくと巣箱の前で止まった。巣箱を眺めていると中からハチたちが出てきて巣箱の天板を外し始めた。ここで俺はやっと理解することができた。


「もしかして、蜂蜜ができたのか!!」


「ギー!」


みっちゃんがその通りだと鳴き声を上げた。ワクワクしながら見守っていると、板の外れた隙間からすごくいい香りが漂ってきた。口の中はよだれでいっぱいになりもう目が離せない。


ゆっくりと開いていく天板から黄金に輝いた巣盤が見えてきた。巣盤にはいまにも流れ出てしまいそうなほど蜜がたまっていた。ごくりとのどが鳴る。ハチたちが巣盤の一部を切り取り俺とみっちゃんの前に持ってくる。


手を出すとその上においてくれた。みっちゃんと顔を合わせ一緒に口の中へ入れる。


口の中に入れた瞬間、香っていた甘い匂いがより強烈になり鼻を抜けていく。普通トロっとしている蜂蜜は不自然なほどさらっとしており後味は甘さが残ることはなくスッキリとしている。


これが、魔物の蜂蜜か・・・俺の知っている蜂蜜とはまるで違う。蜂蜜はおいしいが単体では甘さがくどくたくさん食べることはできないがこれならそのままでもがぶがぶ飲めそうだ。正直言ってなめていた。普通の蜜とは違うだろうなという想像はしていたがこれは想像のはるか上をいっている。


俺もみっちゃんもあまりのおいしさに無言になっていた。働きバチたちの鳴き声で我に返った。巣箱は当初の数より増えており現状何箱あるかわかっていないがすべての巣箱に蜜が詰まっているなら相当な量があるだろう。とりあえず3つほど瓶詰めして冒険者組合に送ろう。


急いで家から小瓶を持ってきて蜜を巣盤ごと詰め込んでふたをし組合へ電話をする。あちらも急いで回収に来てくれるとのことだ。


ただ待っているのも暇なので昨日配信した動画を確認してみる。10人ぐらいでも見てくれていたらやった買いがあったと思うがどうだろうな。


「うわ!すっげー再生されてる。」


びっくりして思わず声を出してしまった。その声につられみっちゃんが何かあったのかと慌ててこちらに飛んできたので画面を見せて説明をする。


「昨日の動画が100万回も再生されてるんだよ。応募ページもばっちり10人終わってた。」


「ギ♪ギ♪」


みっちゃんはこちらの言っていることが分かったみたいで一緒に喜んでくれた。コメント欄を見ると最初は詐欺や偽物の販売だと疑われているものばかりだが下のほうに行くと俺らをなぜか応援しているコメントになっている。これは急いで商品の準備をしなくては。これから蜂蜜の出荷が始まるからやれる時にやっとかねばいけない。


ほかにも今後の配信についてどうするかのコメントが来ていたので今度の配信で説明できるように案を練らなくてはいけないな。


どうしようかと考えにふけっていると組合の回収便が到着した。


蜂蜜の入った瓶を丁寧に梱包し手渡すと急いできた道を戻っていった。あとは鑑定結果の連絡を待つのみだ。俺はイチゴとオレンジを抱え台所に向かいジャム製造の仕事にとりかかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る