第13話 蜂蜜の価値
翌日、出来上がったジャムを梱包して出荷の準備をしていると冒険者組合から電話がかかってきた。
「はい、内藤です。」
「冒険者組合の奥村だ。いまいいか?」
「大丈夫です。もしかして蜂蜜の鑑定結果の件ですか。」
「そうだ。見させてもらったがあれはかなり上等なものだな。送ってもらった小瓶で1000万で買い取らせてもらう。正直もっと出す人間はいると思うが、予算的な都合とこれから長期的な契約のことを考えるとある程度利益が出るまでこれが限界だ。許してくれ。」
「は・・・・。」
奥村さんの1000万で買い取るという言葉に驚き固まってしまった。10㎝ほどの小瓶1つでその値段ということは巣箱の数を考えるともう一生働かなくてもいいぐらいの埋蔵量がある。
「内藤、おい聞いているのか!」
「・・・はい!はい、聞いてます。1000万円ですね。それで大丈夫です、ぜひお願いします。」
「それから、蜂蜜の価値を考えると養蜂場を今のままの管理体制にしておくことはできない。だからこちらから上位冒険者を派遣しようと思うが、だれを送るか一緒に考えてくれ。」
そう言われて、今の自分の状況を考えてみる。みっちゃんとの2人暮らしで果樹園や蜂蜜といった金目のものにあふれており防犯は全くない状態だ。この状況でもし上位冒険者などに狙われたら養蜂場は大丈夫だろうが果樹園の果物なんかは泥棒し放題だ。
「そうですね。こちらからもお願いしたいです。依頼料は蜂蜜なんかの売り上げから出す感じですかね?」
「そうなるな。といってもお前の売り上げではなく組合からの売り上げから出すつもりだ。人数なんかについても一緒に話したいと思う。」
そうして長く話し合った結果、2人の夫婦冒険者を果樹園の護衛として雇うこととなった。夫婦は現役Aランク冒険者でこの話が組合で出たときに志願してくれたらしい。それに資料を写真で見せてもらったが、とてもいい人そうで支部長の推薦もありこの人たちに決まった。
これから俺たちの家の向かいに家を建てて引っ越してくるそうだ。これから家を建てるとなると半年はかかりそうだが大丈夫なのかと確認をしたらそこは冒険者組合のコネを使うらしく1月もあれば家が建つらしい。それまでは安全のため蜂蜜の公表はしないらしい、俺にも動画での配信はしないよう注意された。
ちなみに気になる蜂蜜の効果だが、
幸福の蜂蜜
効果:治癒(大)、全耐性(大)、長寿(小)、若返り(小)
レギオンズ・ビーの蜂蜜(高品質)。治癒と耐性向上の効果により幸福を感じることができる。また、若返りの効果があり、寿命がほんの少し伸びる。
何度も説明を呼んだが、この効果なら身の回りの安全性を高めることに納得だ。正直自分の命の危険さえある。まあ、強力なみっちゃんたちがいるから俺や巣箱は基本的に大丈夫だがもしもがあるかもしれない。絶対に情報を漏らさないようにしよう。
とりあえず話も終わり、出荷の準備も終わったので配送の報告配信をしようと思う。カメラを準備しみっちゃんを呼ぶ。
「みっちゃん!動画とるからこっちに来て。」
「ギ」
呼ぶとすぐに来てくれ横に座って準備万端とアピールしてくれる。
カメラをつけ動画が取れていることを確認し話始める。
「こんにちは、内藤とみっちゃんです。」
「ギギ」
「今回の配信内容は今後の配信予定と前回のジャムセットの配送報告になります。今後の配信としましては、何か新しい果物や商品ができたらその報告と前回のようなお得セットの先着応募の配信ぐらいで雑談や作業風景の配信などはしないつもりです。これは、住所を特定されないようにするための対策でもありますので理解してください。それから、ジャムの配送準備ができましたので早い人で明日には到着するかと思います。みなさん今回は応募ありがとうございました。では短いですが配信を終了します。」
みっちゃんとお礼のお辞儀をした後、手を振りカメラを切った。
冒険者の夫婦が来るまで暇になるので後回しになっていた家庭菜園をやっていこうと思う。倉庫には土や肥料、種、農具などが準備してあるのでさっそく土づくりからやっていこう。
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