第34話 納品
予想通り夕方になってしまったがようやく組合に着くことができた。車を裏に止め従業員用の入口から荷物を台車に乗せて運んでいく。マジックバックに入れてもいいがその場で品を確認してもらうことを考えたら出して持っていったほうが手っ取り早いのだ。
「こんにちは!納品に来ました。誰かいますか?」
「はーい!」
裏のスペースの奥から返事が返ってきてすぐに女性職員が来てくれた。
「お久しぶりですね、配信見ましたよ。これからしっかりと納品していただけるとのことで安心しました。さっそく確認したいんですけど今日はその台車に載っている分だけですかね?」
「まだ車の中に載ってるんで後2往復ほどします。」
「それじゃあ鑑定できる人を連れてくるので残りの荷物も含めて隣の部屋に運んでもらえますか?」
「わかりました隣の部屋ですね、運んでおきます。」
職員と別れ荷物を部屋に運んでいき運び終わってしばらく待っていると以前お世話になった葛西さんを連れて戻ってきた。
「お久しぶりです。たくさん持ってきていただいたようで助かります。これから鑑定していきますが新作の物ってあったりします?」
「ジャムの作り方を少し変えたんでそれくらいですかね?今回から果肉が残るように作ったんで食感が変わってます。後少量で味見もしてないんですけどチェリーのキルシュ漬けを作ってみました。一応新作はわかりやすいように1つにまとめてありますから見ればわかると思います。」
「わかりました、しばらく時間がかかると思いますから支部長のところに顔を出してもらえますか。オークションの決済のお話もありますし。」
「じゃあ奥村さんのところに行ってきます。」
バックヤードを出て支部長室に向かう。途中俺がいるのが珍しいのか職員や冒険者の人がちらちらと見てくるが話はかけてこないので無視して歩みを進める。
「奥村さんこんにちは!」
「おお!内藤こうやって直接会うのは久しぶりだな。立ってないで座れ座れ。今日はさっそく納品にでも来てくれたか。安全報告してすぐで悪いな。葛西から聞いていると思うがオークションの結果だけどな3億円で売れた。これが明細だ。」
渡された紙を見ると落札価格3億円と記載がありそこからオークションの手数料が5%を引かれた金額が手元に来るらしい。
「はい確認しました、振り込みはもう終わってるんですよね。」
「もちろんだ。オークション終了後3日以内に入金はされている。」
「そうですか。一つ相談があってですね、この組合の場所を使ってバーベキュー大会でもしようかと思ってるんですよ。稼がせてもらってるんで少しでも還元するためにお願いを聞いてもらいたいんですよね。」
「俺は別に構わねえがお前がほかの支部に顔を出したりするとうちでもやって欲しいとか言われるぞ。ほかにも変なのに付きまとわれたりとか・・・。」
「その辺はあんまり気にしてないんで大丈夫です。最悪相談するかもしれませんけど。」
「まあやりたいならやればいいさ。日時さえ教えてくれれば少しぐらい手伝うからよ。」
「なら1週間後にしましょう。今回のオークションの利益を使って冒険者の人たちにいろんなお肉をたくさん持ってきてもらって開催しましょう。野菜なんかは近所のスーパーでたくさん買ってこればいいので買い出しにも人が欲しいです。」
その後もいろいろと案を出し合いまとめていく。
「これぐらいでいいだろう。すぐに掲示板に貼ってもらうようにするから前日にはまた来いよ。主催者がいないんじゃ何やってるかわかんないからな。」
「もちろんです、成功するように頑張りましょう。」
コンコン
「鑑定が終わりました。お話はお済ですか?でしたらこのまま報告させてもらいますまず果実が・・・・・・」
*************
多めに納品したとはいえなかなかの金額になった。特に新作のチェリーのキルシュ漬けは群を抜いて高かった。高いなりに効果もよかったみたいでこれからも納品してほしいと言われてしまった。一年中好きな果物を食べられるように自分たち用の保存分があるのだがこれは保存用のチェリーを解放したほうがよさそうだな。
組合での用事は今日のところはもうないのですぐに帰る準備をして家に帰ることにするみっちゃんもお腹を空かせて待っていることだろう。
置いていったこともあるし少しぐらい豪勢な晩御飯にでもするか。
田舎でモンスター養蜂家 幟 @kairanban
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