第4話 田舎生活の始まり

ついにこの日が来た。俺は今、車を走らせ田舎の家へと向かっていた。みっちゃんは助手席のダッシュボードの上に鎮座しており流れていく風景に夢中になっていた。


みっちゃんとはあれから1ヶ月かなり仲良くなった。食事はもちろん風呂やお出かけ、寝る時だって一緒にいる。ご飯の好みは男子高校生そのものでお肉大好き海鮮大好き生野菜なにそれ状態だ。


しばらくすると家が見えてきた。玄関前に誰かが待っておりよく目を凝らすと、近所に住んでいる広田さんだ。家につき車を降り向かうと手を振ってこちらに駆け寄ってきた。


「やぁ!おはよう。今日からだったね。あってるかどうか心配だったよ。」


「おはようございます。こちらこそ向かう前に連絡を入れればよかったですね、すみません」


「大丈夫、大丈夫。そんなこと気にしないで。これ引っ越し祝い。それとこの地区の行事や予定の紙ねいつでもいいから読んでおいて。それじゃあ、私は仕事に行くから何かあったらいつでも連絡してくれ。」


そう言い広田さんはトラックに乗って走り去ってしまった。


「みっちゃんおいで。ここが今日から暮らすお家だよ。」


家は平屋建てで庭にはいろいろな花が咲きほこっており横にはそこそこ大きな畑がある。裏にはいろいろな果樹を植えてあり春夏秋冬何かしらの果物が取れるようになっている。花や果樹ははちみつのために植えてあり、りんご蜂蜜やみかん蜂蜜のような1つの種類から集めた蜜のようなブランド品ができたらいいなと考え植えた。


みっちゃんはさっそく花や果樹の周りを飛び仕事場の確認作業に入った。巣は果樹園の真ん中に倉庫がありその中にいくつも巣箱を置いてある。


俺は引っ越しのトラックが来るまで家の掃除やこまごましたことを進めなければ。

一通り用意が終わり居間でのんびりしているとみっちゃんが帰ってきた。


「ギ、ギ」


袖を引っ張りこっちにこいと鳴き声を上げる。立ち上がり引っ張られるままについていくと巣箱の周りはミツバチでいっぱいになっておりさっそく引っ越しのため飛び回っていた。各巣箱から女王バチがでてきてみっちゃんの前に整列する。


「ギ」


みっちゃんは俺の肩をたたき何か言えと訴えてきた。何を言えばよくわからないが挨拶と仕事についてはそうと思う。


「はじめまして、シンジです。これから蜂蜜集めでお世話になります。とりあえず今のところは特に要望とかはないので蜜がいっぱいになったら教えてほしいです、これからよろしくおねがいします。」


挨拶を終えお辞儀をすると女王バチたちが握手求めてきた。握り返すと巣に戻っていった。それから働きバチたちの動きが一層活発になり蜜集めへと一斉に飛んで行った。


「これでよかったのかな?」


「ギ!」


問題ないとうなずきみっちゃんは去っていった。家に戻るとトラックが来ており荷下ろしを始めた。もともと荷物も少なかったため夕方には整理が終わり一息つくことができた。その間みっちゃんは座布団に座り眠っていた。


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