第9話 驚きの展開とオレンジジャム

早朝、スマホの着信音で目が覚める。画面を見ると川口さんだ。

目をこすりながら電話に出る。


「はい、内藤です。」


「内藤さん、朝早くすみません。送っていただいたイチゴについて大至急話したいことがあります。」


耳が痛くなるほどの大声で焦ったように話をする川口さんに何かまずいことでもあったのかと不安になる。


「いただいたイチゴなんですが、鑑定してみると疲労回復の効果と治癒の効果がありました。鑑定結果の写真送りますね。」


レギオンズ・ビーのイチゴ

効果:疲労回復(大)、治癒(小)

レギオンズ・ビーが育てたイチゴ。魔力を帯びており回復の効果がある。


なんだこれ、もしかして昨日食べたとき疲れが取れた気がしたのはこれのせいか。正直、収穫しかしてもらってないのにこんな効果があるのは納得がいかない。おそらくみっちゃんが何かしてくれたのだろう。


「それで、このイチゴなのですが、これからもギルドのほうに卸していただきたいです。ほかにも果物があれば何でも引き取ります。」


「ほんとですか。年中果物が取れるのでぜひお願いしたいです。」


「次回からは連絡をいただければ組合のほうから回収に伺いますので連絡お願いします。」


それからこれからのことを話し合った。結果としてはここで収穫された果物や加工品を高値で買ってくれることとなりこれからとれるようになる蜂蜜についても販売の契約を結んだ。これにより収入のなかった俺は安定を手に入れることができた。みっちゃんにお礼を言わなければいけないな。


今回のイチゴはキロ100万で買い取ってもらえるようですごくうれしい。冒険者組合から内藤養蜂園というブランドで販売されることになった。


電話を切りみっちゃんのもとへと行く。寝ているみっちゃんの頭をなで今回のお礼を言った。すると聞こえているのか寝言なのかうれしそうな鳴き声を上げた。


日も完全に上がり今日も収穫を行う。イチゴは段ボールに詰め冷蔵庫へとしまう。それとオレンジもいくつか収穫する。今回オレンジジャムを作ってみようと思う。

調べてみると酸っぱいオレンジはジャムなどにするといいと書かれていたのでさっそく試してみる。


まず、オレンジに塩を擦り洗う。(柑橘類には表面に実を守るためのワックスがついているため)

皮をむき薄皮をむく。皮のほうは白いワタを取り除き数回湯でこぼし小さく刻む。

オレンジの実と皮を鍋に入れ同じ重量の砂糖を混ぜ合わせる。

しばらく置いておくと水分が出てくるので、出てきたら中火でとろみがつくまで煮詰める。

瓶を煮沸消毒したら乾かしジャムを詰める。これで完成だ。


さっそくジャムを食べてみようと思う。最初はそのままで食べる。ワタを丁寧にとったからか苦味はなくオレンジの香りがすごくいい。もともとあった酸っぱさは砂糖の甘みと熱したことでまったくなくなっている。最初は砂糖が多いのでもっと甘ったるくなるかと思ったがそんなことはなくさっぱりとして食べやすい。この甘さなら料理に使っても問題ないだろう。晩御飯にさっそく使おうと思う。


効果のほうは全く感じられないがみっちゃんのことだからオレンジにも何かしらの効果があるだろう。このジャムもいくつか組合にもっていってもらおうと思う。


お昼になり組合からの回収便が来たので、イチゴとオレンジの実を少しそれからジャムを渡す。ジャムについては事前に川口さんに連絡してあるのですんなり受け取ってもらえるだろう。


お昼を食べているとみっちゃんが果樹園から帰ってきたので、お昼ご飯とジャムを皿にだし食べてもらう。


「ギ~♪」


喜んでもらえたようだ。一口食べては幸せそうに鳴き声を上げてくれている。


組合からオレンジの効果の連絡が来るまでゆっくりと待とうと思う。

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